学生時代にはよく耳にした「インターン」という言葉ですが、実は社会人にもインターンがあるのをご存じでしょうか。転職だけを目的とせず、スキルアップや社会貢献や副業など、インターンに参加する目的は人ぞれぞれです。
今の仕事を続けながらインターンに参加できるスケジュールを作っている企業が多いので、気になる企業の内側をちょっと見てみたい、という目的でも参加が可能となっています。
この記事では、社会人インターンの目的や期間、メリットやデメリットなどについてご紹介します。
目次
社会人インターンとは?
社会人インターンとは、就業中の仕事を続けながら、気になる他社での勤務を体験できる制度で、大手企業でも積極的に取り入れられています。
現在の仕事に辞めたいほどの不満はないものの、このまま勤め続けていいのか悩んでいる人は少なくありません。将来的な転職を見据えて、他社について知っておきたい人には、社会人インターンはとても良い機会になります。自分のスキルが他の企業でどの程度評価されるか、自分の腕試しに参加することもできるでしょう。
そのほか、社会貢献やスキルアップのため、副収入を得るためなど、社会人インターンに参加している人はさまざまな目的を持っています。
企業にとっても、インターンを実施することで採用後のミスマッチを減らし、優秀な人材を確保できる部分が大きなメリットです。また、社外の人材のアイデアを取り入れて積極的に活用することで、企業にとっても大きな成長が見込めるため、これからますます活用されていくと考えられています。
インターンとはいえ、期間が複数日に及ぶ場合は給与が発生する企業が多く、他の企業での勤務経験を得ながら収入も得られることは参加する側の大きなメリットです。
インターンはさまざまな形式で行われており、企業に赴いて業務を行うインターンは一般的ではありますが、フルリモートで行う企業も多くなってきました。企業以外でも、NPO、NGOでもインターンを募集しています。
海外勤務に憧れている人には、2週間~1年の期間に及ぶ「海外インターン」もあり、これまでできなかった挑戦をするチャンスにもなるでしょう。
学生インターンとの違い
学生向けのインターンは、就活に役に立ち、採用後のミスマッチを防ぐ点でも非常に大切です。しかし他にも、キャリア教育や職業意識の育成など、企業体験をすることも大きな目的となっています。
それらの経験をキャリアプランの形成や学業へ生かすことに重きを置かれているため、社会経験を積むという点では学習の一環と言う位置づけで捉えることもできるでしょう。
社会人インターンは、異業種の体験や、社会貢献、スキルの習得や人脈の形成など、参加する人によってさまざまです。「副業を含む社会活動の一つ」でもあり、転職を見据えた就業体験の機会としても活用できます。
社会人インターンシップの種類
1DAYインターン
1DAYインターンは、自社に興味を持っている人が来ることを踏まえて企画されるインターンです。
会社説明会、企業見学、ディスカッション、ワークショップなどを単発で行います。他社で働いている人でも参加しやすく、多くの参加者に体験してほしいことから、一日で完結するインターンとして開催しています。
どのような企業かを体験する意味でも、気軽に参加可能なインターンなので、興味があれば積極的に参加してみると良いでしょう。希望の企業の仕事内容や雰囲気を知ることができますので、その後の長期インターンへの応募を考えている人は、判断や検討する材料として参加してみることをお勧めします。
ただし、説明会の色合いが強いため、無給の企業が多いようです。
土日のみのインターン
日程を土日のみに設定して参加者を募るインターンで、毎週土曜、隔週で日曜など、パターンはそれぞれですが日程は週末です。期間もまちまちで、1か月~半年ほどの参加が必要なインターンもあります。
継続的に参加するインターンとなるため、報酬が支払われる企業がほとんどです。しかしそれだけに、成果や結果を求められることもあります。
職種はエンジニアや営業、マーケティング、ライター、編集などが多いようです。長期的に企業のビジネスに触れ、アドバイザーとしての立ち位置から参加するためのインターンもあります。
夏休みや有給休暇のインターン
応募した企業に1週間~1か月ほどの短期で参加する社会人インターンです。有給休暇や夏季休暇などの長期休暇を利用し、応募先の社員と一緒に平日の時間をフルに使って働きます。
企業内でさまざまな部署の仕事を体験するインターンや、特定の事業の部門に深く携わり、知識を深めながら体験するインターンなどさまざまです。短期集中的に行うインターンですが、顧客ニーズを調査して商品企画や開発、販売戦略を立てる仕事や、地域コミュニティ作りの企画をするなど、業務の内容は多岐に渡ります。
社会人インターンに挑戦するメリット
新しいスキルを身につけられる
社会人インターンは、さまざまな業界・業種で実施されており、募集の内容もさまざまです。デザイナーやプログラマーなどでは、特定のスキルを求められる場合があります。
必要スキルをあらかじめ持っており生かせるインターンでは、習得レベルの再確認や現場での実際の使い方、スキルアップの方向性、必要性を知ることができる機会になるでしょう。
また、「高いスキルがなくても興味があればOK」と言った募集に参加する場合は、習得に必要な情報を得ることに加え、企業での経験やディスカッションから、これまで持っていなかった考え方やスキルを獲得することもできるかもしれません。本業を続けながら、独学よりも効率よくスキルアップが見込めます。
自分の市場価値を客観的に知ることができる
ずっとひとつの企業に勤め続けていると、自分の価値は会社への貢献度のみで評価されることになります。自分自身にも、仕事に対しての固定観念が生まることは避けられません。
しかし他社のインターンの参加することにより、自分は他社に対しどのような貢献ができるか、どのような評価をされるのかを知ることができます。勤めている会社では評価されにくかったスキルも、インターンに参加した企業では高評価がもらえるかもしれません。
それは、自分自身の市場価値を知ることでもあり、モチベーションにもつながっていきます。
副業として働ける場合もある
社会人インターンでは収入を得られることも多いため、就業中の仕事に加えた副業として捉えることもできます。働く時間や日数などにより異なりますが、金額も月に数万円~数十万円もらえる場合も少なくありません。
ただし、自分が企業を見てインターンに応募するのと同じように、企業も自分を見て評価しています。インターンに参加した企業で、自分がどんな貢献ができるかを意識し、行動や発想で示していく必要があることは言うまでもありません。
多くの人と出会える
さまざまな環境で活躍する人たちに出会い、刺激やフィードバックを受けることは自分に自信を持つことにもつながります。また、多くの人に出会うことで、人脈を広げることも可能です。
仕事のみならず、これからの人生を豊かにする出会いが待っているかもしれません。
社会貢献もできる
社会人インターンを通して、自分が持っているアイデアや、企業活動への意見を述べることによって、企業や社会に貢献することができます。
役に立ち、感謝や評価をされることは、自分の力を高める意欲を生み出すことにも繋がります。
やる気を出せる
他の企業での仕事を体験することで、今の職場の課題やそこで自分が貢献できる事柄に気づくことがあります。これまで自社では重視してこなかった部分こそ大切と知ったり、他社の新たな価値観に触れることで、自分がリーダーシップを持って取り組める事柄が見えてくるかもしれません。
自分が今すべきことが具体的かつ明確になり、仕事へのモチベーションを新たにして仕事に取り組むことができるでしょう。
将来の転職に役立つ
社会人インターンに参加することで、将来的に自分が転職する場合に、どんな企業が良いかのヒントが見つかります。企業風土や価値観、業界や業種、企業の規模など、自分に合った企業がについて知る良い機会です。
転職を含め、将来のキャリアプランの設計にも役立つ経験ができるでしょう。
社会人インターンのデメリット
仕事との両立が難しい
現在の勤め先で一日仕事をした後や、本来ならば体を休められる土日にインターン先へ赴き働くことは、時間や体力の面でもハードです。疲れてしまうとやる気を失いますし、インターンへの参加が原因で体を壊してしまっては本末転倒となってしまいます。
モチベーションを高く維持してインターンに参加するためにも、何のために自分が応募し参加するのかの目的を、自分の中ではっきりさせておくことが大切です。期間についても、長期のインターンに申し込む前に、1dayなどの短い期間のインターンで社風や雰囲気、仕事について知っておくと安心できます。
また、本来の仕事がおろそかになることがないよう、無理なく意欲を持って働ける企業にインターンに参加するようにしましょう。
企業によって仕事内容にばらつきがある
企業によっては、社会人インターンの立ち位置が曖昧な場合があります。例えば、アルバイトとインターンの扱いが同等に考えられていると、単純作業を延々とやらされるだけの思ってもいないインターンとなってしまうかもしれません。
新たにスキルを身に着けることや、キャリアアップを目的としている人がそのようなインターンに参加しても、得ることが少なく意味がないでしょう。そのため社会人インターンに応募する際には、自分が参加する目的である「志望動機」をあらかじめ企業に伝えておくことをお勧めします。
自分の目的が、応募先の企業で達成可能かどうかを前もって判断することで、インターン中も不安や不満なく仕事に集中することができるでしょう。
副業禁止の場合はできない
企業によっては、副業によって収入を得ることを禁止している場合があります。副業禁止と知らずに社会人インターンで他社から給与を得てしまうと、社内規則での処罰の対象となることがありますので注意が必要です。後の祭りになってしまわないよう、まずは自分が勤めている企業が副業を行なっても問題ないかを確認するようにしましょう。
まとめ
近年、さまざまな事柄が要因となって加速化する仕事の変容や、歯止めのかからない少子高齢化のため、多くの企業では常に優秀な人材が求められています。そのことからも、社会人インターンは、企業にとって非常に重要な取り組みです。
また、応募者自身にとってスキルアップ、キャリアアップはもちろんのこと、他社の仕事やサービスを知ることで、厚みのある人材へと成長することができます。現在勤めている企業の中だけでは知り得なかった多様な価値観に触れ、新たな評価を得ることで自分に自信を持つためにも、社会人インターンに参加することを検討されてはいかがでしょうか。
なお、参加の際には、時間や体力に無理がかかりすぎないよう、余裕をもったインターンに応募するようにしましょう。