現在、転職は珍しくありません。とはいえ何度も転職を繰り返していると、ジョブホッパーと見なされてしまい、書類選考になかなか通らないことがあります。なぜ、企業はジョブホッパーを敬遠するのでしょうか。
本記事では、ジョブホッパーの特徴やメリット・デメリットを紹介しています。現在、転職を考えている方や、すでに職歴が多く自分はジョブホッパーかも…と心当たりのある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ジョブホッパーとは
ジョブホッパーとは、短期間に転々と仕事を変える、それも3年以内の転職を何度も繰り返すといった人を指します。具体的な転職回数についての定義はありません。ですが、一般的には4〜5回以上、転職している人をイメージされることが多いようです。
特徴として、職種や業界に一貫性がなく、収入アップや明確なキャリア形成を持たないまま、転職を繰り返していることが挙げられます。
転職理由は様々です。やってみたいことに挑戦したい。知らない世界を見てみたい。色んな職種を経験してみたい。実際に働いてみないと適性があるかどうかなんてわからない、というような好奇心や適職に出会うためにポジティブな転職を繰り返しているようです。
逆に、社内の人間関係やセクハラ、パワハラといった職場環境の問題。店舗や事業所の閉鎖、業績悪化などといった労働環境の変化。介護、夫の転勤など家庭の事情によるもの。このように本人の力ではどうしようもないことが起こった場合もあります。そして、転職するにも仕事内容を吟味する余裕もなく、結果的にジョブホッパーになってしまうことも決して珍しくはありません。
20代のジョブホッパーは、短期間の転職が続いても、会社によってはポテンシャル採用してくれる所があります。ただ、無計画に職歴を重ねると、若くても転職活動は厳しくなっていくので注意が必要です。
30代以降のジョブホッパーは、スキルや一貫性がなかったりすると転職活動は厳しいものになります。パワハラや家庭の事情などといった様々な理由から、キャリアを上手く積み上げられなかった人もいると思います。その場合は、資格を取ることやPCスキルなど、希望する職種に必要なことを身につけて補っていくことができます。
ジョブホッパーとよく似たものに「キャリアビルダー」というものがあります。これは、数年で転職を繰り返すといった点は共通しています。しかし、計画を持って転職しキャリアアップしている所が異なります。職種に一貫性があり、給与や待遇が良くなったり、役職などのポジションが上がったりします。転職理由も明確で筋が通っていることも特徴といえます。
エンジニアはその代表といえるでしょう。1つの企業に所属というよりも、プロジェクトごとに参加するため、働く場所が変わっていきます。携わっていた案件や身につけてきたスキルを武器に転職を繰り返します。
今後、転職をする際には、何か1つでも業界や職種に特化することを意識して、ジョブホッパーではなくキャリアビルダーと認識してもらえるよう転職活動を進めていくのがベストです。
ジョブホッパーの何が悪い?企業からの印象
転職が当たり前になったとはいえ、まだまだ企業は1つの会社に長期間勤めたことを評価する傾向があります。それは採用するなら、長く働いてくれる人を求めているからです。そして、短期間に転職を繰り返すジョブホッパーには、良いイメージを持っていないことが多いです。
一つひとつの職場の在籍期間が短いことから、大したスキルが身についていないのではと、採用を不安視しています。また、1つの業務をやり遂げる力は備わっているのか。そして、少しでも嫌なことがあったら仕事を放り出してしまうのではと、忍耐力を懸念していることも挙げられます。
そして、仕事を覚えた所ですぐ辞められたら、教えたことが無駄になってしまうのではといったことも。教育コストの兼ね合いから慎重にならざるを得ないのでしょう。また、重要な仕事も任せにくいといった事情もあります。
面接の場で、応募者は転職理由を、スキルアップややりがいを求めて…などといったポジティブなことを答えます。しかし、実際には人間関係による転職は多いです。そして、それは企業側も知っています。人間関係のトラブルで度重なる転職をしているのではないかと、ジョブホッパーを警戒しているのです。やはり採用するなら、今いるスタッフとうまくやってくれる人が望ましいと思うでしょう。
このようなことから、多くの企業はジョブホッパーには良いイメージを持っていないのです。
ジョブホッパーになる人の特徴
向上心が高い
自分の能力を伸ばしたい、スキルを高めたい、という高い向上心を持っています。そのため、スキルの習得や自分自身の成長につながる仕事に積極的に取り組みます。仕事が終わった後や休日でも自分を磨くために、独学で学び続けたり、スクールへ通ったりと努力を惜しみません。しかし、今の職場環境では、この先成長が見込めないと感じると、新しい環境を求めて転職を考えてしまいます。
自分に自信がある
様々な環境で働いてきたことから、自分の経験や能力に自信を持っています。培ってきた経験やスキルを次の職場で生かし活躍してきた実績が、自信を裏付ける証拠になります。そして、転職活動を何度も経験しているため、面接にも慣れています。そのため、自己アピール能力も高く、職歴の多さにも関わらず、新しい職場に採用されることも意外と多いのです。
気持ちの切り替えが早い
転職するたびに新しい環境へ飛び込むため、変化に強く適応能力も高い面があります。また、ものごとに執着せず見切りをつけるのが早いのも特徴です。例えば職場環境がブラックだった場合、周囲の人たちは、転職を恐れて会社にしがみついて辞めないことが多いでしょう。しかし、ジョブホッパーは、また別の会社へ行けばいいという姿勢なので、より良い職場環境を求めて転職します。変化を恐れず行動することで結果的に、自分自身を守ることへとつながります。
顔が広い
退職しても人の縁を切らさずに関係を保つことで、人脈を広げることができます。転職するたびに新しい人間関係を築いていくのですから、多くの人たちとの間にコネクションを持つことができます。ですので、円満退社は不可欠ですね。また、フットワーク軽く様々なコミュニティに参加するため、職場以外にたくさんのつながりを持つことも多いようです。広い人脈を生かして、仕事の幅を広げたり、新たな仕事を手に入れることもあります。
ジョブホッパーのメリット
行動を早く起こせる
ジョブホッパーは、好奇心ややりたいことに挑戦するといったような、ワクワクすることが原動力となって行動します。そのため、興味のある仕事に出会うと積極的に取り組みます。また、複数の職場を経験していることから、身につけたスキルやノウハウを生かして、新たな仕事へ挑みます。そして、チャンスが目の前に現れた時、躊躇することなく持ち前の行動力を生かして掴みとるよう、努力を惜しみません。
多くの経験ができる
様々な職場を経験することは、見聞を深め多くの体験を得ることができます。実際に働いてみて、想像していたより、大変だったこともあるでしょう。その中で、やりがいを見つけたり、魅力を知ったり、人との出会いがあったりと、かけがえのない経験を得ることができたのではないでしょうか。また、華やかな業界の裏側を知って、落胆したこともあるかもしれません。
しかし、やってみたいことに挑戦することは、夢を夢のままで終わらせることなく、現実に折り合いをつけるという一面もあります。まだまだ1つの会社に長く勤めることを評価されますが、場合によっては、様々な職場を経験することも必要かもしれません。
コミュニケーション能力が高まる
転職するたびに、職場の人間関係をゼロから構築していくことになるので、コミュニケーション能力がつきます。そのため、新しい環境に溶け込むスキルを身につけることができ、場数を踏むことで更に磨きをかけていきます。そして、様々な職場で色んな人たちと出会ってきたことが、コミュニケーション能力を高める一因ともいえるでしょう。
例えば、接客業といっても、業界によってはお客様との接し方が異なります。以前に身につけたスキルを柔軟に変化させることで、早く仕事に慣れるというメリットがあります。コミュニケーション能力は、どんな職種や業界で働くことになっても生きてくる武器になるでしょう。
ジョブホッパーのデメリット
飽きっぽいと思われがち
好奇心から職を転々とすることが多いため、飽きっぽいと思われがちかもしれません。仕事をある程度覚えてしまうと新鮮味を失って、それ以上仕事に興味を持てなくなってしまい、転職を繰り返してしまうことも。ただ、このようなことを続けると、幅広く色んなことを経験しているとはいえ、誰にでもできる仕事ばかりになってしまいます。このままでは、一向にスキルを身につけることはできません。
見切りをつけて転職してしまう前に、その職場の中で他に興味の持てそうな仕事や、更にスキルを身につけられるよう、上のポジションを狙ってみるなど、上司や同僚に相談してみてはいかがでしょうか。
協調性が低いと思われる
仕事内容が合っていても、上司や同僚と上手くいかないために転職を繰り返しているジョブホッパーは珍しくありません。どこの職場に勤めていても、人間関係の問題は多かれ少なかれあるものです。
時には、苦手な人や嫌いな人とも協力して仕事に取り組まないといけないこともあるでしょう。また、コミュニケーションが取れないと、業務上の連絡や相談が上手くできなかったり、孤立を招いたりします。ですので、仕事中は割り切って、職場の人と接することが大事になってくるのではないでしょうか。
人間関係を深められる
やりがいや成長、スキルアップを理由に転職を繰り返している場合、仕事に対して高い理想を持っていることが見受けられます。理想と現実のギャップから、不満を持ったり物足りなさを感じると、自分にとってふさわしい仕事がどこか他にあるのではないかと考えてしまうことも。そして、上司に見る目がない、仕事のレベルが低いなどと思い、また転職をしてしまうことになります。
本来、理想を持つことは良いことですが、時に隣の芝生は青く見えるものです。成長の機会は、新しい会社に移ったからといって確実に得られるものでもありません。与えられることを待つのではなく、今の職場でも自ら掴むことはできないか、一度考えてみることをおすすめします。
まとめ
転職はすでに珍しいものではありません。とはいえ、短期間の転職が続くと、ジョブホッパーと見なされてしまうのが現状です。しかし、ジョブホッパーに対する印象が悪いからといって、悲観するのはもったいないことだと思います。今よりも成長したいと向上心を高く持っていることや、変化を恐れず新しい環境に飛び込んだこと。これらは、今後の糧になるでしょう。様々な職種や業界を経験することで培った力は、あなたの大きな財産といえます。不本意な事情からいくつもの職場を渡り歩いた経験も含めてです。
これらを生かすためにも、一度あなた自身のキャリアを棚卸ししてみましょう。今後のキャリアプランはあなた次第です!