簿記3級という資格を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。キャリアアップを考えていたり、仕事や転職で活かす資格取得の1つの候補として検討したことがある人も多いでしょう。
今記事では、簿記3級はどんな仕事に役立つのか、試験の難易度、勉強方法など紹介します。簿記3級の資格が気になっている方はぜひチェックしてみましょう。
目次
簿記ってどんな資格?
簿記とは、簡単に言うと会社で行われる日々のさまざまな活動を「お金」を切り口に記録することです。一般的には、会社の経理部門で活かせるイメージでしょう。
しかし、経営管理や財務分析の理解ができるため、営業などの幅広い職種で活かすことができる資格です。
簿記には大きく分けて3つの種類があります。
・日商簿記検定
・全経簿記能力検定
・全商簿記検定
簿記検定の3つの違いは主催する団体、対象にしている受験生が異なります。仕事で活かすために資格取得を検討している場合には、社会人向けの簿記検定を受験しましょう。
簿記検定として最も有名なのが、日商簿記検定です。日商簿記検定には初級、3級、2級、1級と4つの級があります。その中でも、簿記3級は主に商業簿記に関する知識を問う試験問題となっています。2級は工業簿記、1級は会計学や原価計算に関する知識が求められます。
また2020年の新型コロナウイルスの流行により、従来の試験方法に加え、ネット試験が導入されました。そのため、今までよりも柔軟に試験を受けることができるでしょう。
簿記3級はどんな仕事に役立つ?
簿記3級の資格は、取得後にどのように役立つのでしょうか。どのような仕事で活用できるか具体的に紹介します。
会計事務
会計事務所の事務員として働く際に、簿記3級の知識を活かすことができます。会計事務所の事務員は、日常的に公認会計士や税理士とともに仕事をします。
公認会計士や税理士の仕事は簿記に関する高い知識が求められるため、一緒に仕事をする事務員も簿記に関する一定の知識を保有していると役立ちます。
経理
簿記3級は、企業の経理業務にも役立ちます。経理業務は、企業の活動におけるお金の流れを記録し管理するお仕事です。お金の流れを把握するのに、簿記の知識が活きてくるでしょう。
税理士補助
税理士の補助業務を行う際に、簿記3級の知識が必要です。税理士の試験科目にある「簿記論」や「財務諸表論」は簿記の試験内容と重複しています。
また、業務を行う上でも簿記の知識を活かす必要があります。税理士の仕事をサポートする際に、簿記3級の知識は大いに役立つでしょう。
簿記3級は、「会計事務」「経理」「税理士補助」などの仕事に役立つ資格です。転職時に有利になるでしょう。
\事務職に転職する場合の資格は必要?/
簿記3級を取るメリット
簿記3級に合格すると、確定申告の青色申請書類を作成するスキルや企業の経理業務の基礎知識を身につけることができます。そのため、フリーランスで確定申告を行う方や、企業の経理部門や会計事務所への就職や転職で有利になるでしょう。
また、簿記3級取得を機に新たな資格取得へチャレンジすることもできます。簿記3級の知識はさまざまな資格に活かすことができます。
簿記3級の上位級である簿記2級の取得に役立つ他、FPや公認会計士、税理士、中小企業診断士といった資格取得にも知識が活かせます。そのため、簿記3級の資格取得を足がかりに、より難易度の高い資格にチャレンジしやすくなります。
また、簿記の知識は経営者や営業部門などでも活かすことができます。簿記3級の知識を得ると、ビジネス全体を数字で読み解くことが可能になります。
自社の経営状況や営業部門の売上状況など、ビジネスは数字で見なくてはいけないことが沢山あります。知識がなく数字を見るのと、簿記3級の知識を持って数字を見るのとでは理解度に大きな差が生まれます。
簿記3級の知識は、ビジネス全般で活用することができると言っても過言ではないでしょう。
簿記3級を取得することで、確定申告を自分で行ったり就職や転職の際に有利に働くことがある。また、経営状況や売上状況の把握など、ビジネス全体を数字で読み解く力が得られます。
簿記3級の合格率
日商簿記3級の合格率は、平均して40%前後となっています。年々合格率は上昇しており、40〜50%で推移しています。ただし、難しいと感じる方も存在するようです。また、回によっては大きく合格率を落としており、合格率に変動がある点には注意しましょう。
日商簿記3級の合格ラインは100点満点中70点です。正答率7割で合格となります。試験の内容は、商業簿記の基本的な内容を問われる問題が中心です。計算問題は電卓を利用して回答できるので、四則計算ができれば十分対応できるでしょう。
日商簿記3級は、今まで簿記の勉強経験がない人でも合格しやすい試験です。そのため、難易度としては比較的やさしいといえます。
ただし、手を出しやすい試験であるがゆえに気軽に受験を考える層も一定おり、この層が合格率を落としているともいえます。試験に向けてしっかりと準備をすれば、合格の可能性は高められるはずです。しっかりと学習計画を立てて、きちんと勉強すれば一発で合格することも十分可能な試験でしょう。
簿記3級の勉強時間
日商簿記3級の合格には、おおよそ100時間の勉強時間が必要と言われています。単純計算で、1日3時間を1ヶ月継続すれば合格を目指せる試験です。
しかし、仕事や他の予定との兼ね合いで毎日まとまった時間を確保することが難しい人もいるでしょう。そのような場合は、週末にまとめて勉強するなど、自分のスケジュールに合わせて柔軟に調整しています。
隙間時間を活用して勉強する方もおり、必要な勉強時間から逆算して日々コツコツと勉強していくと良さそうです。
なお、過去問は著作権の兼ね合いで公開されていません。問題集を購入して対策しましょう。
簿記3級の試験問題
日商簿記3級の出題範囲は大きく分けて4つ。
・簿記の基本原理
・諸取引の処理
・決算
・株式会社会計
※2019年6月の改訂で新たに株式会社会計が追加されました。
商工会議所が公開している試験問題のサンプルには、以下のようなものがあります。
「株式会社明央商事は設立にあたり1株当たり¥50,000で株式を100株発行し、出資者より現金を受け取った。発行価額の全額を資本金とする。」
(参照:https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2019/09/2019_kaitei_3-sample.pdf)
このように、簿記3級の試験では仕分けを行う設問があり、受験生が躓きやすいポイントです。簿記全体の仕組みを理解するとともに、仕分けについては何度も練習して定着させるようにしましょう。
簿記3級取得の勉強方法
簿記3級取得に向けた勉強方法には、大きく3つの勉強方法が存在します。自分に合った勉強方法を選択しましょう。
独学で勉強する
一つ目は、独学で勉強する方法です。伝統的な参考書を用いた勉強の他、最近では簿記勉強用のアプリも多数リリースされています。なお、2019年6月に出題範囲が改定されているため、参考書を活用する場合は改定に対応しているか確認しましょう。
専門学校に通う
お金と時間に余裕がある方は、専門学校に通うのが効率的です。専門学校では、分からない部分をその場で質問できることが大きなメリットと言えます。
また、試験の最新情報や傾向など耳寄りな情報を得られるのも魅力です。反面、授業のスケジュールが決まっており、融通が効きにくい点や学費が他の学習方法に比べてやや高額なことがデメリットと言えるでしょう。
通信スクールに通う
通信スクールを活用する方法もあります。通学する時間や金銭的余裕がない方や、独学だとスケジュールを立ててやり切る自信がない方におすすめです。通信講座なら独学と違い、テキストや学習計画が準備されており、すぐに簿記の勉強に取り掛かることができます。
簿記3級取得の勉強方法には、「独学」「専門学校に通う」「通信スクールに通う」の3つの方法がある。それぞれ一長一短なので、自分にベストな方法を選ぶのがコツです。
まとめ
簿記3級取得はどんな仕事に役立つのか、その具体的な職種や、取得することで学べる知識やメリット、試験問題の難易度、勉強方法について紹介しました。
簿記3級の取得は、「会計事務」「経理」「税理士補助」などの仕事に直接役立つ資格です。また、
簿記3級の勉強をすることで経営管理や財務分析の理解ができるようになるため、幅広い職種に役立ちます。
アプリや参考書を利用して独学で学ぶことも可能で、効率的に学べば1日3時間の勉強を1ヶ月継続することで合格が狙えるでしょう。申し込み方法や試験日の日程などは、日商簿記検定のホームページで確認してみてくださいね。
簿記は学んで損のない知識なので、気になる方はぜひチャレンジしてみてはどうでしょうか。