「語学を活かした仕事がしたい」といった方は、外国語を日本語に訳す仕事である「翻訳家」に憧れている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、「翻訳家になるのに必須な資格はあるの?」「おすすめな資格が知りたい」という方に向けて、翻訳家におすすめのさまざまな資格を8つ紹介します。
また、未経験から翻訳家になるための方法も紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。
目次
翻訳家になるのに資格は必要?
翻訳家は以下の2つの働き方に大きく分けられています。
- 会社に所属して働く雇用形
- 個人事業主として働くフリーランス
一般的には、フリーランスの翻訳家が大半を占めています。
翻訳家になるには、厳密にいえば必要な資格というものはありません。
しかし、企業や翻訳会社に所属する場合には、雇用主から求人要件に資格を求めるケースがあります。
たとえば、英語の場合だと「英検1級」や「TOEICの点数」などを採用の基準とするところがあります。
他にも資格はさまざまな種類があり、取っておくことで能力を示せることや、就職で有利になることもあります。
翻訳家になるために必須な資格はありません。しかし、企業に就職する場合には採用される条件として資格が必要になる場合もあります。
\翻訳家に必要なスキルとは?/
翻訳の仕事をするのにおすすめの資格8選
それでは、翻訳家におすすめの資格を8つ紹介します。
JTA公認翻訳専門職資格試験
JTA公認翻訳専門職資格試験は、「社団法人日本翻訳協会」が実施している民間資格です。年4回実施されており、英語か中国語を選択できます。
かつて厚生労働省職業安定局の管轄下にあった協会が実施していることから、難易度が高く専門性をアピールできる資格です。
受験科目は「翻訳文法技能試験」「翻訳専門技能試験」「翻訳IT技能試験」「翻訳マネジメント技能試験」の4科目。
翻訳スキルのほかに翻訳ビジネスやマネジメント能力等も問われ、ビジネスと翻訳者の関係を意識した試験内容となっています。
4科目すべてに合格し、2年の実績を「翻訳実務経験審査」で認められると「JTA公認翻訳専門職」に認定されます。
TOEICを超える難易度と信頼性を持つ資格といわれており、初心者が簡単に合格できる試験ではありません。
しかし、翻訳技能を証明するには信頼度の高い資格だと言えるでしょう。
JTFほんやく検定
JFTほんやく検定は、「社団法人日本翻訳連盟」が実施している検定で、50回以上ものテストが実施されている歴史の長い検定試験です。実務レベルの翻訳技能を測ることを目的としています。
合格すれば取得級を履歴書に書けるようになったり、2級以上になるとJFTサイトの検定合格者リストに登録ができます。
130社の加盟翻訳会社から仕事のチャンスを得られるメリットがあるのが特徴です。
試験は年2回実施され、検定は1級~5級まであり誰でも受けることができます。5級と4級は基礎レベルで、英文読解力や日本語表現力をテストするものです。
3級以上は実用レベルとなり、英日翻訳と日英翻訳のテストがあります。翻訳の完成度に応じて級が認定されるシステムで、専門家の翻訳であると認定されれば1級、実務レベルの翻訳であれば2級、ある程度の実務に通用するレベルならば3級と判定されます。
JFTほんやく検定は、テストの結果次第で合否が決まり、幅広いレベルがあります。そのため、現役翻訳者として活躍している人だけでなく、翻訳を勉強中の学生や主婦なども挑戦しやすい検定と言えるでしょう。
翻訳技能認定
翻訳技能検定は、「一般社団法人日本翻訳協会」が実施しており、時代や産業界の要請にこたえる力を持っている翻訳者を認定するための試験です。
対象言語は英語と中国語。言語能力だけでなく、ITやマネジメント、文化背景の知識など幅広い知識も求められます。80%以上の正答率が求められることからも、難易度の高い試験だと言われています。
検定は年に4回実施されます。科目ごとに合否判定を行い、受験者のグレードが示されるという形となっています。「翻訳文法技能試験」「翻訳IT技能試験」「翻訳マネジメント技能試験」「翻訳専門技能試験」で構成されています。
2級以上に合格し、2年以上の実務経験の審査に合格することで「JTA 公認翻訳専門職」(5年間有効)と認定されます。翻訳技能認定に合格することは、産業界からの需要に応えられる翻訳家であるということの証明になるでしょう。
翻訳実務検定(TQE)
翻訳実務検定は、「サン・フレア アカデミー」が実施しており、限られた期間内に商品としての訳文が作成できる能力を認定する検定試験です。
70点以上のスコアを取得すると「翻訳実務士®」に認定され、翻訳者としてサン・フレアに登録することができます。
誰でも受験可能で、インターネット環境が整っていれば受検場所は問われません。
英語、中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語を選ぶことができ、「原文解釈力」「訳文表現力」「専門知識 」「スタイル」の4つの基準に照らして、採点・評価されます。
翻訳者として登録されれば、各分野を担当する事業部と面談をし、仕事の依頼相談が可能なことがメリットです。
また、どこでも、誰でも、何度でも受けられるという手軽さも、魅力の1つではないでしょうか。
英検準1級
英検(実用英語技能検定)は、「公益財団法人日本英語検定協会」が実施する英語試験資格で、TOEICと並び国内での認知度が高く、国内最大級の英語資格試験です。そのため、英検はあらゆる場面で役立ちます。
英検には、1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7つの級があります。日常英会話からビジネス英会話まで幅広い範囲の英語が出題され、5級と4級は筆記試験だけですが、それ以上の級では2次試験として面接があります。
翻訳者になるためには、「英検準1級」が必要だと言われています。英検準1級に合格すればいい、ということではなく、最低英検準1級が必要だということです。誰でも知っている検定だからこそ、しっかり押さえておきたいところです。
TOEIC
TOEICとは「国際的な意思疎通のための英語のテスト」とされています。TOEICのテストプログラム開発はアメリカの「ETS」が行い、日本でのテストの運営は「財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会」が行っています。
TOEICは大きく2つに分けると「TOEIC Tests」と「TOEIC Bridge Tests」があります。「TOEIC Bridge Tests」は初・中級者用で、翻訳家を目指すなら「TOEIC Tests」を受けることになります。
「TOEIC Tests」には3種類ありますが、その中でもっとも一般的で普及しているのが「TOEIC Listening & Reading(L&R)」です。
翻訳者になるためには「TOEIC900点程度」が必要だと言われています。英検と同じで、最低ラインだと認識しておくべきでしょう。
HSK
近年知名度が上昇中している中国語の資格が、「HSK(漢語水平考試)」です。HSKは、中国政府公認の中国語資格試験であり、受験者数が1番多い中国語の資格です。
中国の大学や留学の際に、必要要件としてHSKの基準の級とスコアが定められていることも多く、中国語の翻訳や通訳、中国関連の仕事を探す際には大きなアピールとなる資格です。
HSKは、実際の日常生活の中で使われるものが多く、高い実用性の中国語能力が求められます。出題言語も回答もすべて中国語ですが、様式が決まっているので過去問を勉強していれば十分対策ができます。
HSKは難易度に伴い、1~6級の級が設定されており、1級がもっとも優しく、数字が大きくなるにつれて難易度が上がります。おおむね中国語での業務遂行ができる最低ラインは5級以上と言われています。
難易度が幅広いので、中国語初心者の方でも受けられ、レベルアップできる資格です。中国語を使う仕事をする場合には、ぜひ持っておきたい資格です。
JTA公認のフランス語翻訳能力検定試験
JTA公認のフランス語翻訳能力検定試験は、フランス語の翻訳家を目指す人におすすめの資格です。誰でも受験することができ、インターネットによる在宅試験となっています。
試験は1級から5級で判定される能力検定試験で、「フィクション分野」と「ノンフィクション分野」があります。また、プロレベルとして認められるのは2級以上となります。
翻訳の仕事をするのにおすすめの資格は、「JTA公認翻訳専門職資格試験」「JTFほんやく検定」「翻訳技能認定」「翻訳実務検定(TQE)」「英検準1級」「TOEIC」「HSK」「JTA公認のフランス語翻訳能力検定試験」です。なりたい言語や分野の翻訳にあった資格を選択しましょう。
翻訳家になるにはどうしたら?
最後に、翻訳家になるにはどうしたら良いのか紹介します。
翻訳家になるには、決まった資格や免許はなく、卒業が必要な学歴もありません。そのため、目指す方法は人によって異なります。
それでも、翻訳家には高い語学力が必要となるので、必然的に大学や短大の外国語系学部出身者が多いというのが現状です。ここでは、それ以外にどんな目指し方があるのか紹介します。
独学で勉強する
一つ目は独学で勉強する方法です。翻訳のトライアル応募に挑戦しチャンスをつかみ、実績を積むことことで、独学でも翻訳家になることは可能です。
ただし、翻訳家になるには、単に言語能力が高ければプロとしてやっていけるというものではありません。
単語や文法はもちろん、表現力や専門知識、リスニングも重要です。また、プロとして仕事をするためには資格や実績、コネクションも求められます。
通信で勉強する
近くに学校が無かったり、働きながら翻訳家を目指す人には通信講座という手段もあります。
通信講座はさまざまな種類があるので、自分のレベルや進みたい分野などによって選ぶことが大切です。
通信講座でしっかりと勉強すれば、初心者でもプロの翻訳家になっている人が多く存在します。
専門学校で学ぶ
最後に、専門学校で学ぶ方法です。翻訳家を目指せる専門学校としては、外語系の専門学校が有名です。
翻訳家を目指す人のための語学系専門学校の多くは、翻訳会社が経営しています。
そのため、卒業後に就職のバックアップが得られたり、現役の翻訳家からノウハウを教わったりすることができるのも魅力の1つです。
実践力を鍛えるなら、大学よりも専門学校で学ぶほうが最短かもしれません。
翻訳家になるためには、大学に通う以外にも独学や通信で勉強したり、専門学校で学んだりするなど、さまざまな方法があります。
まとめ
「翻訳家」になるために必要な資格はあるのか、翻訳家になるのにおすすめの資格を8つ紹介しました。
翻訳家になるのに絶対に必要な資格というのものはありません。そのため、取得しなくてもなることは可能です。
しかし、企業に雇われる際に、求人要項に資格が記載されていることもあります。また、応募時に資格があることで有利になったり自分の能力を示すことができます。そのため、取っておく方が良いでしょう。
独学や通信スクール、専門学校に通うなどして勉強することができるので、翻訳家になりたい方はチャレンジしてみましょう。