SNSやネットニュースなどで見る機会が増えた「マンスプレイニング」という言葉。「男性」の「man」に「説明する」の意味がある「splaining」をつなぎ合わせた言葉で、「女性を見下して発言する男性」や「女性には知識がない」と思い込んで説明したがる男性のことを指します。この記事ではマンスプレイニングする男性の心理と、そんな状況の交わし方について解説。記事を通じて現代のビジネスシーンでも出くわすことの多い状況をスマートに対処しましょう。
目次
マンスプレイニングとは
マンスプレイニングとは具体的には、以下のような意味があります。
| 《man（男性）explain（説明）＋ing》男性が女性に対して、相手が無知だと決めつけ、見下した態度で説明をすること。また、そのような態度。《man（男性）explain（説明）＋ing》男性が女性に対して、相手が無知だと決めつけ、見下した態度で説明をすること。また、そのような態度。引用：goo辞書 |
つまり、女性に対する先入観や固定観念、最近ではジェンダー的な偏見が影響し、「そんなことも知らないのか？」と自分の経験や取り入れてきた知識を見下した態度とあわせて
- ひけらかす
- 自慢する
- 押しつける
ことを言います。欧米ではハラスメントの一種として認識されていて、日本でもここ数年で広まっている言葉のひとつです。この万スプレイニングという一種の概念が広まるきっかけとなったのが、作家であるレベッカ・ソルニットのエッセイ「説教したがる男たち」です。この本のなかには、とあるパーティでソルニット本人が写真家のエドワード・マイブリッジについて本を執筆したと話したとき、会話の相手だった男性から、自分では読んでいないのにもかかわらず「今年出たばかりのマイブリッジ関連の貴重な本の存在を知っているかい？」と長々と知識を露見し始め、途中で自分の目の前にいるのがその本の著者であることを知って驚いてしまうといった話が出てきます。この本をきっかけに性差別問題として各国のSNSでは大きな話題になり、2010年にはニューヨークタイムズ紙が選ぶ流行語の1つとして選ばれたり、2014年にはオックスフォード英語辞典に掲載されたりして、あらゆる国で広く知られはじめた言葉です。
マンスプレイングする男性の心理
ではマンスプレイニングしてしまう男性にはどういった心理が絡んでいるのでしょうか。心理状態をチェックしておくことで無駄なストレスを感じにくくなり、相手を思いやりつつ自分は傷つかないようスマートにスルーできるようになります。
女性を支配しようとしている
マンスプレイニングをする男性の心理のひとつとして、心の奥底に「女性を支配したい」と考えている場合があります。昭和の「亭主関白」のような気持ちが未だに根強く残っていて、支配したがるのです。女性を支配したがる男性は自分の考えを一方的に押しつけたり、自分の尺度で物事を考え伝えてきます。そのうえで女性を自分の思うように動かそうとするのです。支配したうえで自分を認めさせたり、自分の方が優秀であるかのように思い込ませたりするので、女性がそれに対して言い返すと激しく逆上することもあります。
女性は無知だと思い込んでいる
女性は無知だと思い込んでしまうあまり、自分の知識をひけらかす場合もあります。現在は女性も男性も平等に学校に通い学習しているのに、それでも知識不足であると勝手に思い込んでいるのです。男性の方が優秀であるといった先入観がマンスプレイニングを引き起こしている可能性もあります。
本当は自信がない
優秀な女性を目の当たりにしたことで、自分の自信のなさが露呈しないようマンスプレイニングする男性の少なくありません。本当は自信がないのにもかかわらず、悟られたくないために自分の知識をひけらかし、優秀であると思われたい願望がそのような行動や発言をさせてしまうのです。
マンスプレイングする男性の特徴
ではマンスプレイニングする男性にはどういった特徴が見られるのでしょうか。現在の職場などを思い浮かべて読み進めることで「これがマンスプレイニングなのか」と理解しやすくなりますから、普段の職場や上司を思い浮かべながら理解を深めていきましょう。
女性を見下している
マンスプレイニングする男性の特徴として非常に多いのが女性を見下した発言です。女性に対して上から目線で注意をしたり作業を教えたりする上司や同僚はいませんか？自分の思い通りに女性を動かしたいといった気持ちが強く表れた結果であるため、女性からすると苦痛
を感じる特徴のひとつであると言えます。明らかに見下されていて気分を害したとしても、「そういう人だ」と割り切ることで男性に対して期待もしなくなり、何を言われてもそこまで気にならずに済みます。
女性に対して高圧的な態度を取る
叱責したり注意したりする際に、早口であったり大きな声で伝える上司や同僚はいませんか？女性に恐怖心を与えて支配しようとする男性は、こういった方法で自分を強く見せ、マンスプレイニングしてくることも多くあります。高圧的な態度をされた瞬間はイラッとしたり不快に感じたりしますが、「すみませんでした！」とさわやかに謝罪することで、男性もそれ以上責められなくなります。
必要以上に説明しようとする
女性に対して賢い人間だと思われたいがために、聞いても居ないことを必要以上に説明してくる男性もマンスプレイニングしていると言えます。些細な事柄に対して質問したつもりでも、必要以上の答えが返ってくるため、女性としては非常に迷惑で、話しかけるのも億劫になってしまうことも少なくありません。必要以上に話をしそうになったときは、「まだ仕事が途中なので」と断りを入れたり、「早く作業を済ませて次の仕事に取りかかけりたいのですみません！」と目標を持って動いていることを認識させたりすることで、男性もそれ以上引き留められなくなります。
女性に対して自慢ばかりする
マンスプレイニングする男性の特徴として自慢げに話す人も含まれます。過去の自分の努力や経験などをどんどん話したがり、自分はすごい人だと女性に知らしめたいのです。自慢げに話す男性は政治的な話題や経済など、どんなジャンルでも広く浅く知識を取り入れています。そのため、どんなことでも知っているかのような口ぶりで話してくることから、女性だけでなく、周囲全体が引いてしまうことも少なくありません。自分を認めてくれる人が周囲にいないと感じている男性こそ自慢話をしたり知識をひけらかしたりしますから、「仕事がまだ途中なのですみません！」とソツなく交わすことで無駄な時間を割かずに済みます。
人の気持ちを汲んだり空気を読んだりすることが苦手
自分の気持ちだけを優先していることから、周囲の空気を読んだり人の気持ちを考えたりすることができないのもマンスプレイニングをする男性の特徴です。自分中心でいたい、もっと周囲に認められたいといった願望が強すぎるせいで、回りが見えなくなってしまうのです。自己顕示欲が強すぎる男性に多く見られる特徴であるため、女性を見ればすぐに口を開き、ああでもないこうでもないと言ってくることがあります。「立派な大人なのに空気も読めないのね。大変ね」と心のなかであきれつつも、「すみません以後気を付けます！」と爽やかに返すことで、大きなダメージを受けることなくその場から離れられるようになります。
マンスプレイングされたときの対処法
マンスプレイニングをされた場合、どういった対処法がスマートなのでしょうか。ここでは
毎日関わらなければならないマンスプレイニングする男性を、うまく交わすための方法について解説します。しっかりとチェックしこれからの職場での対応方法をイメージし、職場内のダメージを少しでも軽くさせましょう。
聞き流す
マンスプレイニングが始まったら、ある程度聞き流してしまいましょう。「あぁ、また上司の得意の自慢話が始まったわ」と軽く受け止めたうえで、「そうなんですね！」「さすがですね！」と適当な相づちを打って「では仕事がありますので失礼します！」と丁重にその場を離れましょう。質問をしてしまえば最後。そのままどんどん話が進んでしまいその場から離れられなくなりますから、気になることがあっても決して質問はしないようにしましょう。また、聞き流す際は、露骨に嫌そうな表情をしたり、声のトーンに出したりすると、相手に対して自分の気持ちを悟られる可能性があります。表情には決して出さず、「すごい」や「さすが」といった敬意を表しながらも丁寧にその場から去るのが傷つけず離れられます。
割り切る
マンスプレイニングする人はどうあがいてもそういう人のまま暮らし続けます。ですからある程度割り切った考えを持つのもおすすめです。「この人はそういう人なんだ」と心の中で割り切って考えることで、必要以上に関わろうとしなくなり、自分からわざわざストレスを感じに行くことも減ります。モヤモヤした感情はどうしても残るものの、相手よりも我慢してる自分自身の方が立派に大人であることを認めれば、相手の小言や自慢話もスムーズに交わせるようになります。
分析する
自分の知識や経験、武勇伝などをダラダラと話し続けはじめたら、話の内容に集中することなく相手を客観的に分析しましょう。「どうしてこんなにも自慢話が好きなのか」「家庭では誰も聞いてくれないのかも」と推察したり、「こんな性格だからきっと友だちもいないのかも」と相手を分析したりする時間に変えれば、下手に傷つかずに済み、不要な知識や武勇伝を自分の頭に記憶せずに済みます。なにかコンプレックスを抱えているんだろうなと大きな心で受け止めてあげれば、小言もいちいち気にならなくなりますから、「これも仕事のひとつなのかもな」と捉えて適当に済ませてその場を離れましょう。マンスプレイニングする男性のテンションに合わせて相づちや表情を作ることで不快な気分にさせることなく相手のことを分析できますよ。
距離を取る
マンスプレイニングする男性と毎日関わらなくてはならない場合は、仕事以外関わりを持つのはやめましょう。必要最低限の会話や質問程度に留め、ほかにも質問できる人がいる場合は別の人に質問したりするのがおすすめです。マンスプレイニングしたがる男性は、女性を見つければすぐになにかしら口を出したくなるもの。見た目や髪の色、話し方や知識などに対して、小言を言いたくなってしまうのです。そういった可能性を極めて少なくすることで、必要以上のストレスを抱えるきっかけも減ります。
周囲に相談する
職場内でマンスプレイニングをされている場合は、女性の同僚や信頼できる上司などに相談するのも方法のひとつ。自分の上司がマンスプレイニングする場合は、もっと上の立場に居る上司や人事部に相談するのも良いでしょう。女性の同僚に「実はね……」と口を開いたことによって、もしかすると同じ悩みを抱えていることを知るきっかけになる可能性もあります。同僚も共通する悩みを抱えているのなら、マンスプレイニングする男性に呼ばれてしまったときは、仕事で質問したいことがあるとこっちに呼び戻したり、あとからフォローしてあげたりするような環境を一緒に作るのもおすすめです。
マンスプレイングをうまく交わしてストレスから回避しよう
男尊女卑の考えや男性のなかにある先入観によって迷惑を被る機会の多い女性という立場。少しずつ男女平等になりつつあるものの、まだまだ女性に対して高圧的な態度を取ったり自慢げに話したりする男性は多いです。マンスプレイニングする男性はそういう環境でしか生きてこなかった可能性や、誰も話を聞いてくれない可能性、味方や仲間がおらず孤独を感じている可能性を考慮し、適当な相づちを打ってその場を後にするのが最適です。自分の心を守るためにも今回紹介した対処法をうまく活用し、職場の環境をダメージの少ない環境へ変えてみてくださいね。
