正社員ではなく派遣社員として働く選択をしようとした時に、「もし子どもができたら派遣だと産休・育休は取れるのかな?」と先を見通して不安な気持ちになることがあるかと思います。子どもを望んでいる女性にとって、産休・育休などの制度はとても重要なものです。
今回は、派遣社員の産休・育休は可能なのか、取得可能な期間や条件、産休育休中の保険や手当など紹介します。今記事を参考に、派遣社員として働く場合の、今後のキャリアプランを練ってみてください。
目次
派遣でも産休や育休は取得可能?
結論から言うと、派遣社員でも産休や育休を取得することは可能です。ただし、取得には一定の条件を満たす必要があります。
2005年の法改正により、産休や育休は、法律で全ての労働者に認められている休暇制度です。正社員・契約社員などの雇用形態にも定めはありません。そのため、派遣社員でも取得することができます。この法律により、企業は、妊娠・出産、産休や育休の取得を理由に解雇したり異動させたりすることは禁止されています。
また、労働基準法でも、産休期間とその前後30日間に解雇することは禁じられているため、安心して産休を取得することができます。
ただし、派遣社員は契約期間があらかじめ定められています。もしも、元々契約が終了する予定なら、企業側は更新を行わなくても問題はありません。そのため、法律上は取得可能でも、契約末期の場合には、産休や育休の取得が難しいケースがあります。
派遣社員の産休・育休は取得可能だが、契約期間の決まっている派遣社員は正社員と比べて気を付けなければいけないことが多くあります。休暇を取得することで、解雇される心配はありませんが、もし妊娠が発覚した場合には、早めに派遣会社に相談し、産休・育休の対応を考えた方が良いでしょう。
産休や育休の取得可能な期間
まず、産休・育休とはどのくらいの期間休めるものなのでしょうか。それぞれの期間を見てみましょう。
産休
産休とは、労働基準法で全ての労働者に認められている休業制度です。正式には「産前産後休業」と言います。厳密には、出産前に取得できる「産前休業」と、出産した後に取得する「産後休業」に分かれています。
・産前休業
産前休業は、出産予定日の6週間前から出産当日まで休める制度です。もし出産予定日を過ぎても子どもが生まれず、産前休業が6週間以上になっても、産前休業とみなされます。(双子や三つ子なら14週間前から出産当日まで休むことができます。)
産前休業は母親となる本人が請求することで、取得できる制度です。企業が強制的に休業させる制度ではないので、申請を忘れないようにしましょう。休業開始日は、産前6週間前から本人の意思で決めることができます。
\産前休暇を取得できる条件を詳しく知りたい/
・産後休業
産後休業は、出産当日から8週間までを休める制度です。法律でも、出産してから8週間は働いてはいけないと定められています。ただし、労働者本人が希望する場合には、医師の許可が下りれば6週間に短縮できます。
育休
育休は、子どもが1歳になるまで(1歳の誕生日の前日まで)の期間、休むことのできる制度です。正式には「育児休業」と言い、こちらは男女関係なく取得することが可能です。育休を延長できるケースは2つあります。
1つ目は、「パパ・ママ育休プラス」です。パパとママが一緒に育休を取得した場合、子どもが1歳2カ月になるまで、育休を延長できる特例の制度です。
2つ目は、職場に復帰することが難しい場合です。子どもが1歳になるまでに認可保育園に入れない場合や、子どもが1歳になるまでにパパかママが病気やケガ、死別、離別したなどの理由で職場復帰が難しい場合、子どもが1歳6カ月になるまで育休を延長することができます。
また、復帰の難しい状況が続く場合は、最長2年まで延長することができます。
派遣が産休・育休を取得できる条件
派遣社員が産休を取得する時に必要な条件は、出産予定日の6週間前、多胎の場合は14週間前に派遣契約中であることが挙げられます。既に派遣先で働き始めていて、契約期間が産休の開始日までに終わっていなければ、母子手帳のコピーなどの書類を提出することで誰でも取得することができます。
一方で、派遣社員が育休を取得する場合は以下の2つの条件を全て満たさなくてはなりません。
・育休を取得し始める日時点で、同じ派遣会社に1年以上続けて働いている。
・子どもが1歳6カ月になる前日までに派遣契約の期間が終わらない。
派遣社員が雇用関係にあるのは、派遣元の会社です。同じ派遣会社で1年以上、仕事を紹介されて働いていることで、条件を満たすことができます。派遣会社で働き始めたばかりですと、産休を取得することができても、その後は復帰しなくてはなりません。
育休取得は復帰が前提なので、子どもが1歳6カ月になった時に派遣契約の期間が終了していないかが、育休取得の条件となります。契約が終了していると、復帰をする場所がないため、育休が成り立たないことになります。
また、育休は、先ほど説明した通り延長することができます。育休を延長したい場合は、子どもが認可保育園に入れなかったことを理由にするとよいでしょう。希望する保育園(人気で入れなさそうな園)を1つに絞り自治体に保育園の申し込みをします。入れなかった場合に「不承諾通知書」が発行されるので、それにより2歳まで育休を取得することが可能になります。
派遣の産休・育休中の各種保険は免除可能
では、産休・育休中の保険はどうなっているのか見ていきましょう。
産休
産休中は、手続きをすることで社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除されます。産休中に、派遣会社から給与をもらっていなければ、所得税や雇用保険料もかかりません。もちろん、保険料の免除ですから保険制度の恩恵は受けることができます。
育休
育休中も、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除されます。社会保険料が免除となる期間は、厳密にいうと育児休業を開始した日の属する月からその育児休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間となっています。
簡単に言えば、育休の開始月から終了前月までです。この制度によって、育休中は月々の保険料が免除されます。派遣社員はあまりないですが、ボーナスが支給される月であれば、ボーナスから控除される社会保険料も免除されます。
ポイント
産休・育休中は、社会保険料の免除がありますが、住民税はその対象外です。住民税は、前年の1月1日から12月31日までの給料で計算されます。産休や育休中で収入がなくても、前年に収入がある場合は納める必要があるため、注意が必要です。
派遣の産休・育休中にもらえる手当
最後に産休・育休中にもらうことのできる手当を2つ紹介します。
出産育児一時金
出産育児一時金は、出産にかかった費用を軽減する制度です。健康保険に加入していれば、子ども1人の出産につき42万円が支払われます。もし、産科医療保障制度に未加入の場合、子ども1人につき40.4万円が支払われます。
健康保険に加入していることが条件ですが、日本国民はすべての人が健康保険に加入しているため、誰でも出産育児一時金を受け取ることができます。申請するためには、産院で所定の「出産育児一時金等内払金支払請求書」をもらい、必要事項を記入して提出しましょう。
出産手当金
出産手当金は、産前・産後の休暇中に、健康保険組合から支給される手当てです。給付されるための条件は3つあります。
1.申請者本人の出産であること
2.出産を理由に仕事を休まねばならないこと
3.出産により給与が支払われていないこと
支給額は、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3という計算で決まります。申請すると、健康保険組合・健康保険協会が認定し、給付されます。
まとめ
派遣でも産休や育休は取得可なのか、取得可能な期間や条件、産休育休中の保険や手当などについて紹介しました。
産休や育休は、法律で全ての労働者に認められている休暇制度です。なので、派遣だとしても同様に取得可能です。
しかし、派遣社員の場合契約期間が予め決まっています。そのため、法律上は取得可能でも、取得できるかどうかはタイミングが重要です。
それぞれの状況や条件によって異なるため、実際に取得する際は自身の派遣会社に相談してみましょう。
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