突然ですが、あなたは目上の方に了解の意を伝えたい場合にどう表現しますか?学生の間であれば「わかりました」「了解しました」で良いかもしれませんが、実は目上の方にそれらの言葉を用いるのは間違いなのです。この記事では知らないと恥ずかしい”わかりました”の正しい敬語表現を解説していきます。社会人の方はもちろん、就活生のあなたもすぐに活かせるのでぜひ最後まで見てみてください。
目次
「了解」の正しい敬語
一般的に目上の方に了解の意を伝えたければ「かしこまりました」「承知いたしました」という言葉を使います。
あなたはこれまで了解の意を敬語で表すのであればどう表現してきましたか?「わかりました」「了解です」と言っていたあなたは要注意です。
そもそも日本語には”尊敬語”、”謙譲語”、”丁寧語”という3つの敬語が存在します。相手を高める”尊敬語”と自分が謙る(へりくだる)”謙譲語”は敬意の度合いが高いのですが、「です・ます」を付与するだけの”丁寧語”は敬意の度合いが低いのです。
「わかりました」は敬意の低い丁寧語
上記の補足として「わかりました」と「了解しました(了解です)」の品詞に着目してみましょう。
まず「わかりました」は動詞「わかる」に丁寧語の「ます(ました)」を組み合わせた言葉です。敬意表現のない動詞「わかる」に敬意の低い「ます」をつけているだけなので目上の方に用いる敬語としては不適切です。
「了解しました」も避けた方がいい
「了解しました」は動詞「了解する」と丁寧語「ます(ました)」を組み合わせた言葉です。「了解する」と「わかる」はほぼ同義なので、「了解しました」という言葉は敬意が低いことがわかります。また語尾を変えて「了解いたしました」と表現してもさほど敬意の度合いが変わることはありませんが、「承知いたしました」の方が使いやすく、敬意の度合いも高いのであまり適していないとされています。
了解の正しい敬語は?
冒頭でも述べたように、了解の意を目上の方に伝える際は「かしこまりました」または「承知しました」を用います。それぞれ品詞分解してみましょう。
「かしこまりました」
動詞「かしこまります」と丁寧語「ました」を組み合わせた言葉です。「かしこまる」という動詞には”つつしんで目上の人の言葉を承る”という意味があります。敬意を含む「かしこまる」と丁寧語「ます」が連なり、高い敬意を表現することができます。
「承知しました(承知いたしました)」
なぜ「了解しました」がダメで「承知しました」が適切なのでしょうか。実は「承知する」という言葉に敬語表現が含まれているからなのです。「承知する」は「わかる(了解する)」の謙譲語です。ですので謙譲語の「承知する」と丁寧語の「ます」からなる「承知しました」は高位の敬語表現なのです。語尾をさらに丁寧にして「承知いたしました」という風に表現すればより丁寧になります。
場面に合わせて使い分ける
了解の意を伝える敬語を複数紹介しました。敬意の度合いが低い順に並べると以下のようになります。
敬意の度合い | 語句 |
低 | わかりました了解です了解しました |
高 | 承知しました承知いたしましたかしこまりました |
場面によって使い分けることで違和感のないコミュニケーションを取ることができます。ここで大事なのが敬語の程度を関係性に合わせることです。
例えば新入社員が雲の上のような存在の役員に「わかりました」と言うのは失礼に当たりますし、歳の差が1つしかない親しいアルバイトの先輩に「かしこまりました」と言うのも間違いではないですが少し堅苦しいですよね。ここからは様々なシーンによって最適な敬語表現をご紹介します。
アルバイトの先輩、歳の近い先輩、やりとりの多い上司
アルバイト中の学生や、社会人の方で歳の近い先輩、上司とやりとりする際は「わかりました」というカジュアルな敬語表現で大丈夫でしょう。もちろん「かしこまりました」「承知いたしました」と高い敬語表現を使う分には間違いではないので、そちらでも問題ありません。その先輩との関係性が深ければカジュアルに砕けた表現を、礼儀を大切にする方なのであればかしこまった表現を用いましょう。
「了解です」は立場が上の人が使う敬語表現
社会人として働いていると、地位や年齢が上がっていくに連れて発言への注目度が高まります。正しい言葉遣い、言葉の重み、選び方など様々な面で自分の発言に気を使わなければなりません。ここでしっかり敬語の使い分けを覚えておきましょう。
先ほどから何種類か了解の意を伝える表現を紹介していますが、「了解です」という表現は実は上の立場から下の立場への敬語表現なのです。近年後輩社員にも”さん”付けで呼称したり敬語を使う会社も増えています。ですので上から下の立場へは「了解です」、下から上の場合は「わかりました」「承知しました」「かしこまりました」と覚えておきましょう。
立場が圧倒的に上の方、重要な商談、初対面の相手
立場が圧倒的に上の方とのやりとりや、重要な会談、初対面の人など、印象が重要になる場面では最上位の敬意表現である「かしこまりました」を用いる方が良いでしょう。了解の意を伝える最上位の敬語ですので、まず印象を悪くすることはありません。
どんな場面でも使えるのは「承知しました(いたしました)」
「承知しました」はどんな場面にでも使える便利な敬語表現です。「かしこまりました」より少し敬意は低くなりますが、十分敬意のこもった表現ですので、何と言おうか迷った際は「承知しました」を使うのが良いでしょう。「承知しました」では敬意が足りないと思った場合は「承知いたしました」と語尾を変えることで対応できるので、社会人、学生関わらず覚えておいて損はない表現です。
よく使う例文集
ここからは了解の意を表す言葉の例文集をご紹介します。
「わかりました」の例文
わかりましたは歳の近い先輩や、親しい間柄の上司、学生同士のアルバイトで用いられます。例えば以下のようなケースです。
ケース①
アルバイトの先輩「4名あの席に通したら向こうの注文取ってきてくれる?」
自分「わかりました」
ケース②
歳の近い先輩「今度の飲み会なんだけど、〇〇さんも誘っておいてくれない?」
自分「わかりました、今日メールを送って、明日直接誘っておきます。」
「了解です」の例文
「了解です」は立場が上の人から下の人へ向かって使われる言葉です。「了解です」と口にしてしまう新入社員は使い方を間違えているのです。本来の意味で考えるのであれば、口頭よりもメールなどの文章ベースで使われることが多い表現です。
ケース①
後輩「勤務表を作成いたしました。お手数ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。」
自分「了解です、確認しておきます。」
ケース②
後輩「資料の準備が完了しましたので本日はこれにて帰宅します。お疲れ様でした。」
自分「了解しました。お疲れ様です。」
「承知しました(いたしました)」の例文
「承知しました」はどのような場面にも対応できる便利な敬語表現です。特にここぞという使いどころはありませんが、無難にどのシーンでも使うことができます。
ケース①
上司「プレゼン資料30部刷っておいて」
自分「はい、承知しました」
ケース②
取引先「今日の17時までに〇〇の発送お願いできますか?」
自分「今日の17時ですね、承知いたしました」
「かしこまりました」の例文
「かしこまりました」は了解の意を表す最上位の敬語表現です。商談や立場が圧倒的に上の方へなど、印象を絶対に損ないたくない場面で使われることが多いです。
ケース①
役員「今日の会議の内容、議事録にまとめておいてくれ」
自分「かしこまりました」
ケース①
取引先重役「御社のAプランと年間契約をばせていただきたい。」
自分「かしこまりました。誠に御礼申し上げます。」
「わかりました」の英語表現
「わかりました」を英語で表現するにはどうすれば良いのでしょうか?「わかりました」「承知いたしました」「かしこまりました」などの意味をもつ代表的なフレーズをいくつかご紹介します。
”わかりました”の英語表現
日本語の「わかりました」に近いカジュアルな英語表現をするのであれば以下のフレーズがおすすめです。
・OK(オーケー)
・Sure(シュア)
・Will do(ウィルドゥ)
・Understood(アンダーストゥッド)
・I’m on it.(アイムオンイット)
学校の授業をはじめ、日常生活で一度は聞いたことのある「OK」「Sure」といったフレーズが並んでいます。これらはカジュアルな場面で使われるフレーズですので、よりかしこまったシーンで使いたい場合は以下の項を参照してください。
”かしこまりました”の英語表現
上記の「OK」や「Sure」とは異なり、かしこまった英語表現をしたいのであれば以下のフレーズがおすすめです。
・Certainly(サーテンリー)
・No problem(ノープロブレム)
・Absolutely(アブソリュートリー)
”承知しました”の英語表現
「OK」ほどカジュアルな表現は避けたいが、「Certainly」ほどフォーマルじゃなくても良い場合は以下の表現がおすすめです。
・I understand(アイアンダースタンド)
・I accept (アイアクセプト)
・I acknowledge(アイアクノウリッジ)
・Of course(オフコース)
相手に賛同する際の返事
日本語の「わかりました」「承知しました」「かしこまりました」という表現は、賛成なのか、反対なのか、意図が汲み取りづらいですよね。英語では相手の意見に賛同する際に以下のようなフレーズを用いて表現します。
・I agree with you(アイアグリーウィズユー)
・I agree to your proposal(アイアグリートゥユアプロポーザル)
ビジネスシーンにおける間違えやすい敬語を紹介
「わかりました」に含まれる尊敬の意味合いが低かったり、「了解です」が上の立場からの敬意表現であったり、知らず識らずのうちに誤用している日本語がビジネスシーンではよく見受けられます。ここからは「わかりました」「了解です」のような間違いやすい敬語をご紹介します。
「ご苦労さまです」「お疲れさまです」
退勤時、ついつい言ってしまうのが「ご苦労さまです」というフレーズです。実は「了解です」と同様、上の立場の人から下の立場に向けて使われることが正しい日本語です。下の立場から上の立場の方へは「お疲れ様です」が適しています。新人のうちは「お疲れ様です」を使うように意識しましょう。
「ご一緒します」と「お供させていただきます」
先輩と外回りに行く際、「ご一緒します」というフレーズを使っていませんか?こちらは対等の立場の人に向けて使われることが正しいので誤用になります。下の立場から上の立場の方へは「お供させていただきます」が適しています。
「大変参考になりました」と「大変勉強になりました」
”参考”という言葉は自分の意見を決める際の足しにするという表現が含まれているため、目上の方に向かって「大変参考になりました」と言うのは失礼に当たります。下の立場から上の立場の方へは「大変勉強になりました」が適しています。
まとめ
いかがでしたか?「わかりました」をより丁寧な言葉(敬語)にしたい場合は、「承知いたしました」「かしこまりました」と言い換えましょう。「わかりました」という言葉自体にそこまで敬意が含まれていないため、場面に合わせて適切な言葉を使用する必要があります。適切な言葉選びをするだけで上司や取引先など、相手から自身に対するの評価が上がりますので意識してみましょう。意外と知られていませんが、同様の意味をもつ「了解です」というフレーズは立場が上の人から下の人に向けて使う言葉ですので注意しましょう。