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「ご相伴にあずかる」の意味や使い方を正しく理解しよう

社会人になってから「ご相伴にあずかる」という言葉を何度か見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。ビジネスシーンで使うことの多い言葉で「ごしょうばん」と読みます。この記事では「ご相伴にあずかる」の意味とルーツ、類語や英語表現について解説します。

この記事を通じて、これからのビジネスシーンで正しい言葉が使えるよう、そして、言葉の意味をしっかりと理解し、相手へ自分の気持ちを正しく伝えられるよう、社会人としての言葉使いについて学んでいきましょう。

目次

「ご相伴」の意味

「ご相伴」は具体的にどのような意味を持っているのでしょうか。日常生活で見聞きする機会が少ないため、意味をよく理解していない方も少なくないでしょう。言葉の意味を理解したいときは漢字を分解することでよくわかるようになります。

「相伴」とは

漢字を分解し言葉の意味を紐解いて見ていきましょう。

漢字音読み訓読み
ソウ、ショウあい、ありさま、さが
ハン、バンともな(う)、とも

それぞれの漢字を音読み・訓読みで分けて解釈すると、”誰かのお供や同行する”といった意味になります。ビジネスシーンや社会人になってから見聞きすることの多い「ご相伴にあずかる」という言葉に寄せて解釈すると、”誰かと連れ立ち、なにかしらに同席し、もてなしを受けること”や”他人の行動に付き合い食事などをいただくこと”を意味します。

つまり、「相伴」という言葉に

  • 「尊敬を表す接頭語」の「ご」
  • 語尾に「あずかる(与る)」

を付けることで、

  • 「上司の連れとして同席し、同等のもてなしを受けます」
  • 「あなたと同行させていただきます」

といった意味になります。

「ご相伴にあずかる」という表現は、日本文化において社交の場で用いられる敬語の一つで、主に食事を一緒にすることを意味します。このフレーズは、招待された食事に参加する際に使われ、共に食事をすることで相互の関係が深まるという意味合いが込められています。適切な発音と文脈で使用することが重要であり、これを間違えると礼儀を欠くと見なされることもあります。この表現の文化的背景には、日本の礼節や敬意を示す深い価値観が反映されており、それを理解することが、効果的なコミュニケーションにつながります。

「お相伴」は誤用ではない

「ご相伴」は本来「御相伴」と記します。「御相伴」と書くと堅苦しい印象を受けるため、やわらかい表現となるよう「ご」を「ひらがな」に表記します。もともとが「御相伴」という使い方であったために、「御」の読み方として「ごしょうばん」「おしょうばん」のどちらも問題なく使用できます。「おしょうばん」という読み方も誤りではないものの、どちらかというと「ごしょうばん」がより広く使われています。

「ご相伴にあずかる」と「ご相伴に預かる」という表現は、共に日本の敬語であり、主に食事を共にする際に使われる表現ですが、それぞれに微妙なニュアンスの違いがあります。「ご相伴にあずかる」は、招待された食事や会に参加する際に使用され、招待を受けた側が感謝の意を示す表現として使います。一方、「ご相伴に預かる」は、食事以外にも様々な場で使われることがあり、共に時間を過ごす、何かを共有するというより広い意味を持っています。

「ご相伴」のルーツは室町時代

「ご相伴」は今から約700年前。1336年から1573年までと237年も続いた室町時代に誕生した言葉と言われています。当時は宴会などに出掛ける際に、将軍様とお供する人のことを「御相伴衆」と呼んでいたとされています。同時代の茶道でも招待客の代表を「正客」と呼び、それ以外の招待客のことを「相伴客」と呼んでいました。このような背景けら、日本でも古くから「ご相伴」は使用されていたことがわかっています。

「ご相伴」の使い方

「ご相伴」は誰かと一緒になにかをするという意味合いがあります。具体的にどのようなシーンで使うのかについて例文を用いて紹介します。「ご相伴」に語尾をパターン別で使い分けることで、4つのシーンで使えることがわかります。

ご相伴にあずかる

「ご相伴にあずかる」の一般的な使い方は以下の通りです。

*●●さんのご厚意に甘えてご相伴にあずかります など

「ご相伴」を使うなかでも最もポピュラーであるため、ビジネスシーンでも見かけることの多い使い方です。「ご相伴にあずかる」は誰かと一緒になにかをすることによっておもてなしや利益を得たいといった意味を持っています。上司や目上の人から会食などに誘われた際に、「ご厚意に甘えてご相伴にあずかります」と一言添えて伝えることで、「ご一緒させていただきます」よりも控えめでありつつも「お言葉に甘えて一緒になっておもてなしを受けさせていただきます」といった丁寧なニュアンスで気持ちを伝えられるようになります。

「ご相伴にあずかる」と「ご相伴に預かる」という表現は、共に日本の敬語であり、主に食事を共にする際に使われる表現ですが、それぞれに微妙なニュアンスの違いがあります。「ご相伴にあずかる」は、招待された食事や会に参加する際に使用され、招待を受けた側が感謝の意を示す表現として使います。一方、「ご相伴に預かる」は、食事以外にも様々な場で使われることがあり、共に時間を過ごす、何かを共有するというより広い意味を持っています。

ご相伴にあずかりたい

「ご相伴にあずかりたい」を使った例文を見ていきましょう。

*●●様も釣りが好きとのことで。ぜひ私も今度ご相伴に預かりたく存じます など

「ご相伴」を使う場合、「ぜひお供させていただきたい」といったニュアンスとして「ご相伴にあずかりたい」といった使い方をすることもあります。「ご相伴」が使われていたとされる室町時代の茶道と同じように、「部長(正客)と同じようなもてなしをぜひ受けてみたいです」といった意味で使うこともできるので、お誘いを受けた場合などに積極的に出掛けたい気持ちをアピールすることができます。

ご相伴いたします

「ご相伴いたします」を使った例文を見ていきましょう。

*本日ご相伴いたします●●と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます

「ご相伴いたします」は丁寧な表現であるため二重敬語を疑いがちですが二重敬語にはなりません。「ご~いただく」の定型文であることから、正しい敬語表現となります。

ご相伴させていただきます

「ご相伴させていただきます」についての使用例について見ていきましょう。

*○月○日11時からのミーティングは私がご相伴させていただきます

*●●様がよければ私もご相伴させていただきたく存じます など

こちらも「ご~させていただく」の定型文に当てはまることから二重敬語には該当せず、正しい敬語表現であることがわかります。

「ご相伴」の言い換え表現

「ご相伴」を別の言葉に言い換える方法はいくつか存在します。言い換え表現の種類を覚えておくことで、使う状況や相手によって臨機応変に変えるとができますから、しっかりおさえておきましょう。

お供例文:ぜひ私もお供させていただきたく思います私もお供してよろしいでしょうか? など
意味:付き添って従うこと、付きそう人のことを指します。
「ご相伴」はおもてなしや利益を得ることも含んだ意味を持っていますが、「お供」は純粋に一緒に行動することや行動する人のことを指します。

饗応を受ける(饗応に預かる)例文:先日CEOからの饗応を受けた尊敬する●●氏の饗応に預かり貴重な体験をさせていただいた など
意味:お酒や食事を出して人をもてなすことを意味する「饗応」という言葉。
「ご相伴」と同じようなニュアンスで使うことができます。あまり使わない言葉であるため漢字が書けない方も多いかもしれませんが、最近では「供応」と代用表記されることもあるのでどちらか覚えやすい方を覚えておくと良いでしょう。

ご馳走になる
使用例:昨日はご馳走になりました。ありがとうございました。 など
意味:目上の人や顧客など、自分よりも距離が離れている人や大切な人に食事などをふるまってもらった場合に使用します。

随伴(随行)
使用例:●●部長に随伴してアメリカへ渡る や ●●部長の外交に随行する など
意味:随伴は誰か目上の人のお供として付き従うこと、または自分が目上の立場であり、一緒に連れていくことを指します。
対して随行は目上の人のお供として付き従うことを指します。使い方や状況によって言葉の選び方が重要になります。

付き添い
使用例:本日は●●様の付き添いとしてお供します、佐藤と申します。よろしくお願い申し上げます。 など
意味:誰かの付き添いとなりお世話やエスコートをすることを指します。
「付き添います」の表現だけでは直接的なニュアンスとなり丁寧さに欠けてしまうので例文のように使いましょう。

ご相伴を使う際の注意点

「ご相伴にあずかる」など、「ご相伴」を使う際に注意しなければならない点があります。ここでは使い方に関する注意点として、

  • 「ご相伴」は自分を主語に使うこと
  • 「ご相伴」を使うべきではないシーンは
  • 「ご相伴」に「預かる」or 「与る」?

の3つについて解説します。「ご相伴」の使い方に際しての注意点をしっかりと熟読し、丁寧で正しい日本語を使いましょう。

「ご相伴」は自分を主語に使うこと

「ご相伴」を使う場合は一般的に自分を主語にして使い、他人に対して使うことはありません。例えば後輩のAさんが先輩のBさんに食事に誘ったとしましょう。そのときにBさんが後輩のAさんに対して「ご相伴にあずかりたいです」というのは誤用になってしまいます。目上の人の付き添い、または同席して同じもてなしを受けたいといったニュアンスで使うため、後輩に使うのは嫌味として受け取られかねません。近しい後輩やとても仲の良い間柄の人が可愛いと感じ、皮肉って使うのは誤用ではありませんが、正しい使い方ではないことは理解しておきましょう。

「ご相伴」に「預かる」or 「与る」?

「ご相伴にあずかる」と聞くと「預かる」を思い浮かべ変換してしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、結論から言うと「預かる」は誤用であり、正確には「与る」と表記します。「与る」には目上の人からの恩恵やもてなしを受けるといった意味があります。「あずかる」はそのほとんどが「ひらがな」で表記されていますが、漢字で表記する場合は「ご相伴」の意味にふさわしい「与る」を使いましょう。

「ご相伴」を使った各国の表現方法

英語や中国語などを用いて「ご相伴」を使った文書を作成することはできるのでしょうか。海外出張や海外企業が取引先である場合に、メールやチャットなどで会食のお誘いが合った場合に、「ご相伴にあずかりたい」といった意思を伝えるためには知っておきたい言葉の一つですよね。しかしながら、各国の言葉でも「ご相伴」という直接的な言葉はかなり少ないのが現状です。そこで「ご相伴」の意味をかみ砕き、「おもてなし」というニュアンスが伝わる単語を使うことで、取引先に失礼なくこちらの気持ちを伝えられるようになります。ここでは英語と中国語の「ご相伴」と「おもてなし」を用いた言葉を中心に紹介していきます。

英語

sharing a meal(お相伴)
share [take part、participate] in(お相伴にあずかる)
I partook of the repast(ご馳走のお相伴にあずかった)
to partake of a repast(ご馳走のお相伴に与る)
I partook of the repast(僕もご馳走のお相伴に与った)
to sit at table with the guest of honour(正客のお相伴をする)
to sit at table with the guest of honour(正客のお相伴する)
I want 「to share in [a share of] the profits, too(私も(利益の)お相伴にあずかりたい)〔彼のおごりで〕
I dined with Mr. Tanaka at his expense(田中氏の夕食のお相伴にあずかった)
I should like to share in the profits(僕も利益のお相伴に与りたいものだ)
They welcome me with warm hospitality(おもてなしを受ける)
They treat me very well(おもてなしを受ける)
They hosted me so warmly(おもてなしを受ける)

中国語

跟随(相伴)
陪伴(相伴)
伴随(相伴)
伴同做某行动(行動を共にする)
麻烦请您多多陪伴(お付き合いのほどよろしくお願いいたします)
麻烦请您多陪伴我(お付き合い頂きますようお願いいたします)

社会人のひとりとして正しい言葉を使おう

「ご相伴」と書いて「ごしょうばん」と読むことが理解できたのではないでしょうか。言葉のルーツは今から約700年前の室町時代から来ているということもわかり、言葉の意味だけでなく、日本人として古くから使う「ご相伴」の大切さについて触れることができたのではないでしょうか。ずっと昔から「人を立てること」に重きを置いてきた日本だからこそ、今でも「ご相伴」が広く使われていることがわかります。主な使い方としては目上の人や上司などの会食に誘われた場合に「同席したい」「一緒に出掛けて同じおもてなしを受けたいです」といった気持ちを伝える場合です。後輩や自分よりも目下の人に使うことは嫌味に取られてしまいかねませんから、使い方に気を付けることが大切です。