あなたは年収について、人から聞かれたことはあるでしょうか。
社会人になると、友人や仕事の仲間同士で年収の話になることも珍しくはありません。
年収について聞かれたときに「年収って毎月もらっている手取り金額の合計のことかな?」「賞与って年収に含めるのかな?」とさまざまな疑問が出てくると思います。
今回は年収とは何を指しているのか、また年収に含めるもの含めないものについて詳しく解説していきます。
目次
年収とは総支給額のこと
一般的に年収とは、年間の総支給額のことを指します。
総支給額とは、毎月引かれている社会保険料や所得税などの税金を含めた年間の給料です。
なので、面接で希望年収や前職の年収を聞かれた際には、毎月の振り込まれる給料ではなく、税金などが引かれる前の給料を面接官に伝えるようにしましょう。
企業から雇われて給料をもらい、かつ副業で稼いでいる人は副業で得た収入も年収の中に入れても問題ありません。
また個人事業主などの企業に属さずにお金を稼いでいる人は、売上高から経費を引いた金額が年収と考えていいでしょう。
次に、年収の中に含んでよいものと含んではいけないものを説明します。
年収に含んでもよいもの
年収に含んでよいものは以下のとおりです。
・賞与
・基本給
・時間外労働
・深夜勤務手当
・休日出勤手当
・その他各種手当
・副業で稼いだお金
会社から貰える給料は、基本的に年収の中に含まれます。
なので、各種手当の多さや副業による他の収入源があると年収が上がる傾向があります。
年収に含んではいけないもの
年収に含んではいけないものは、以下のとおりです。
・経費全般
・通勤手当(交通費)
・出張などの旅費
・結婚や出産などの祝い金
・傷病や慶弔なぢび見舞金
年収に含んではいけないものとして、通勤手当や経費などがあります。
一度自分でお金を立て替え、後日給料と一緒に支払われるものは年収の中には含みません。
年収の確認方法
年収の確認方法は、2通りあります。
・源泉徴収で確認する方法
・給料明細と賞与明細を確認する方法
自分の現在の年収を知りたいときは、この2通りから調べることができます。
源泉徴収を確認する
自分の年収を調べる1つ目の方法が、源泉徴収を確認する方法です。
源泉徴収は12月の中旬〜1月の中旬ごろに会社から配られるもので、その年に稼いだ自分の給料や社会保険料、また税金などが確認できます。
源泉徴収で年収を確認したい場合は、源泉徴収の上段にある「支払金額」という項目で確認しましょう。
そこに書かれている「支払金額」が、その年での年収となる金額です。
給料明細と賞与明細で確認する
自分の年収を調べる2つ目の方法が、給料明細と賞与明細を確認することです。
毎月の給料明細と年に数回ある賞与明細の「総支給額」を足すことで、おおまかな年収を確認することができます。
気を付けるポイントは、「総支給額」には通勤手当や経費などの金額もすべて含まれていることです。そのため、給料明細と賞与明細を合算した金額は、正確な年収ではないので注意しましょう。
正確な年収を給料明細と賞与明細で確認したい場合は、それぞれの「総支給額」から年収に含んではいけない項目を引くと正確な年収を知ることができます。
年収に含んではいけないものは、以下のとおりです。
・通勤手当(交通費)
・経費全般
・出張などの旅費
・結婚や出産などの祝い金
・傷病や慶弔なぢび見舞金
年収と手取り年収の違いとは
年収と手取り年収の違いは、税金が引かれているのかどうかの違いです。
年収は会社から通勤手当などを除いた給料と賞与をそのまま足した金額です。
しかし、手取り年収とは年収から社会保険・所得税・住民税・雇用保険料などを引いた後の銀行口座に振り込まれる金額のことを指します。
手取り年収を計算したい場合は、銀行に振り込まれる給料と賞与を足すことで、おおまかな金額が分かります。
年収から引かれるお金
次に、一般的に年収から引かれているものを紹介します。
年収から引かれているものは、以下のとおりです。
・所得税
・住民税
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険
所得税
所得税とは、収入から経費を引いた所得に対しての税金です。
課税方法は累進課税を採用しています。累進課税とは給料所得が増えれば増えるほど所得税の税率が上がっていく仕組みです。
税率は所得課税が195万円以下で5%〜、所得が4000万円以上で最大45%と決められています。
さらに、現在では復興所得税として、所得税が2.1%加算されて徴収されています。
住民税
住民税とは、国や地域で活躍している救急車・消防・福祉などのサービスをまかなうために徴収している税金です。
所得税とは異なり、累進課税方式ではなく、税率は一定の10%です。
また他にも「均等割」という項目もあり、基本的には市町村民税3,500円と道府県民税1,500円の計5,000円が別で加算されます。
しかし、「均等割」は住んでいる自治体によって支払う金額が変わる可能性があるため、気になる方は担当の自治体に問い合わせしてみると良いでしょう。
健康保険料
健康保険料は病院の診察代・薬代・治療費などが3割負担で受けられる保険料です。
健康保険料は毎月納める義務があるため、会社の給料から勝手に差し引かれます。
通常の保険料率は給料の10%ですが、会社側では半分を支払う義務があるため、個人で負担するのは実質5%になります。
また健康保険料の他にも介護保険料というものがあります。
これは40歳から64歳までの人が対象で保険料率は1.5%です。
しかし、健康保険料と同じく会社側が半分負担するので、個人の保険料率は0.75%です。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は将来年金を受け取るために、支払う必要がある保険料です。
この保険料は毎月支払う義務があり、支払いを滞納してしまうと催促状が自宅に届く可能性があります。
会社から給料を支給されている場合は、毎月の給料から勝手に差し引かれます。
厚生年金の保険料率は18%ほどで、給料や賞与にかけて算出するのですが、法律で会社側が半分負担する必要があるため、実際に負担する保険料率は9%ほどです。
保険料率は給料に応じて上がることはありません。
そのため、給料や賞与から厚生年金保険料を算出したい場合は、給料に9%をかけて計算しましょう。
雇用保険料
雇用保険料とは、会社を退職した際に失業保険など国からの支援を受け取るための保険料です。
他の保険料と比べると保険料率は低く、月の給料に対して0.3%〜0.4%ほどです。
支払い上限はなく、給料が高ければ高いほど雇用保険料も上がっていきます。
年収と所得の違いとは
所得とは、一般的に売上から経費を引いた金額とされています。
会社員の場合、自分の所得は源泉徴収から確認することが可能です。源泉徴収の上段にある「給与所得控除後の金額」に記載されている金額が自分の所得となります。
ここで、「経費は会社で使ったことないよ?」と思う人もいるかもしれません。
会社員の所得では計算方法が決まっており、年収によって必要経費の計算方法は変わります。
一般的な平均給料の180万円以上360万円以下の人は、「収入の30%+ 18万円」が必要経費として認められるので、この金額を引いた額が所得となります。
源泉徴収に所得が記載されている理由は、所得税や住民税が経費を除いた所得から計算されているからです。
まとめると、年収は税金等が何も引かれていない金額で、所得は必要経費が引かれた後の金額ということになります。
年収の平均を年代別で解説
世代別での平均年収を紹介します。
今回紹介するのは、以下の年代です。
・20代の平均年収
・30代の平均年収
・40代の平均年収
・50代以上の平均年収
20代の平均年収
20代の平均年収は以下のとおりです。
全体:341万円
男性:363万円
女性:317万円
20代の平均年収は341万円となります。
男女別の場合、男性が363万円、女性が317万円と46万円ほど男性の方が年収は高いです。
男性よりも女性の方が若干給料が低い傾向にありますが、男女ともに一人暮らしは不自由なくできるぐらいの年収です。
また入社して間もなく経験が少ないことで、20歳の全体平均年収が271万円です。
そして、経験をある程度積んだ29歳の全体の平均年収が398万円なので、20代では128万円ほど平均年収がアップしていると分かります。
(参照:doda『年代・年齢別でみる平均年収』)
30代の平均年収
30代の平均年収は以下のとおりです。
全体:437万円
男性:474万円
女性:378万円
20代の平均年収は341万円となります。
男女別の場合、男性が363万円、女性が317万円と46万円ほど男性の方が年収は高いです。
また30歳全体の平均年収が407万円で、39歳全体の平均年収が474万円と67万円の差があります。
30歳になると仕事の経験も豊富になり、ある程度の管理職まで登りつめることが可能です。
そのため、昇進枠も徐々に少なくなってくるため、給料アップの幅も20代と比べると狭くなっています。
(参照:doda『年代・年齢別でみる平均年収』)
40代の平均年収
40代の平均年収は以下のとおりです。
全体:502万円
男性:563万円
女性:402万円
40代の平均年収は502万円となります。
男女別の場合、男性が563万円、女性が402万円と161万円ほど男性の方が年収は高いです。
男性と女性の年収格差の要因は、女性の主婦層が増加しているからです。
40代となると、夫が管理職につき経済的に安定することで、妻がアルバイト・パートに移行する人が増えます。
その結果、女性の平均年収が下がり男性と女性で大きな差が生まれるのです。
また40歳全体の平均年収は485万円で、49歳の平均年収は533万円となり、40歳と49歳の差は48万円となります。
40代になると現在の管理職に落ち着き、さほど大きな年収アップはしない傾向にあります。
(参照:doda『年代・年齢別でみる平均年収』)
50代以上の平均年収
50代以上の平均年収は以下のとおりです。
全体:613万円
男性:664万円
女性:435万円
50代の平均年収は613万円となります。
男女別の場合、男性が664万円、女性が435万円と229万円ほど男性の方が年収は高いです。
50代になると、課長や部長などの会社でも上位の役職者となり年収も大きく上がります。
50代以上の年収でも主婦でいる女性が多くなるため、男女での年収の差は大きく開いています。
また50代全体の平均年収が557万円に対し、65歳の全体平均年収が534万円と年収は若干下がります。
ちなみに50〜65歳の中で一番平均年収が高い年は、59歳で731万円です。
ピークを過ぎると、定年まで徐々に年収が下がっていく傾向にあります。
(参照:doda『年代・年齢別でみる平均年収』)
個人事業主の年収の計算方法
個人事業主の年収は、売上金額から業務上で使用した経費全般を差し引く前の金額が年収です。
そのため、個人事業主や自営業で生計を立てている人が年収を聞かれた場合は、1年間の売上額を伝えると良いです。
また個人事業主の所得は、売上から経費全般を引いた金額のことを指しますので、間違えないように注意しましょう。
年収についてのまとめ
今回は、年収についてまとめました。
年収とは、会社から支給される「総支給額」のことを指します。
年収に含まれるもの
・基本給
・賞与
・時間外労働
・深夜勤務手当
・休日出勤手当
・その他各種手当
・副業で稼いだお金
年収に含まれないもの
・通勤手当(交通費)
・経費全般
・出張などの旅費
・結婚や出産などの祝い金
・傷病や慶弔なぢび見舞金
面接で年収を聞かれた際に、年収に含まれるもの含まれないものを理解した上で伝えるようにしましょう。
また今の自分の年収を確認する方法は2通りあります。
・源泉徴収で確認する方法
・給料明細と賞与明細を確認する方法
給料明細と賞与明細では、年収に含んではいけない項目も含まれているので、注意しましょう。