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夏季休暇は有給?就業における休暇の種類を徹底解説!

「夏季休暇で有給を取れって言われたけど、これって法律的にありなの?」と疑問に思っている人は多いと思います。今回は就業における休暇の種類や、夏季休暇の特徴、夏季休暇を取るときの注意点などを徹底解説していきます。それぞれの会社で就業規則があるものの、うやむやになりがちな「有給」や夏季休暇などの「特別休暇」。しかし転職や働くうえで、その企業の休暇の扱い方を理解しておくことはとても大切です。

目次

夏季休暇を理解する前に!法律が定める「休暇」とは?

夏季休暇が有給扱いにできるのかを知る前に、そもそも法律が「労働者の休み」についてどう定めているのかを確認していきましょう。

まず「労働者の休み」には、「休日」と「休暇」の2種類があります。

「休日」とはもともと労働をすることが定められていない日です。一方で「休暇」とは、もとは労働をする日であるにもかかわらず、労働者の申し出により労働義務が免除され、休みになる日です。

例えば、忌引きのために休むことは「休暇」に含まれます。労働者側から休みにしたいことを申し出て、勤務予定日が休日になるからです。そのため、会社が冠婚葬祭のために用意した休みは「慶弔【休暇】」と呼ばれます。

労働者の休みとしては主に4つがあり、労働基準法で定められている「法定休日」と「法定休暇」、会社側が独自に定める「法定外休日」と「法定外休暇」があります。それぞれの内容を把握していきましょう。

法定休日とは?

法定休日とは、労働基準法という法律で定められている休日です。

具体的には1週間に1日、もしくは4週間の間に4日以上を休日にしなけらばならないとなっています。シフト制などの変形労働制をおこなっている会社は、この「4週間の間に休日4日以上」を基にシフトを組んでいることが多いです。

法定休暇とは?

法定休暇とは、法律で定められている休暇です。

具体的には次のようなものがあり、休暇によって定められている法律が異なります。

【労働基準法によって定められているもの】

・年次有給休暇

・産前休業

・産後休業

・生理休暇

【育児介護休業法によって定められているもの】

・育児休業

・子どもの看護休暇

・介護休暇

・介護休業

労働者として一番気になるのは「年次有給休暇」でしょう。

年次有給休暇は入社から6か月が経過し、全労働日の8割以上を出勤している人に対して与えられる休暇です。6か月目に10労働日の年次有給休暇、その後、1年経つとさらに11労働日の年次有給休暇が発生します。休暇ですから「労働日」に対して休むことが付与されているのが特徴です。

ちなみに、2年経つと与えられた年次有給休暇はなくなります。

年次有給休暇はその名の通り、休んでも給与が発生する休暇です。一方、その他の法定休暇は有給か無給かは法律で決められていません。

そのため、企業によっては育児休業が有給になったりならなかったりということが発生します。会社を決めるときには、この部分を確かめると「従業員を大切にしている会社」「育児や介護に対して理解のある会社」であることがわかるでしょう。

法定外休日とは?

法定外休日とは法律では定められていない、会社が定める休日のことです。

労働時間は労働基準法で「1週40時間」となっているため、それを踏まえたうえで定められる、そして法定休日以外の休日が法定外休日となります。

「1週40時間」ですから、1日8時間労働にすると労働日は5日間、それ以外の2日間が休日となり、そのうち1日は法定休日、もう1日は法定外休日という考え方ができます。つまりこのような完全週休二日制をとっている企業は、法定外休日を設定しているということです。

法定外休暇とは?

法定外休暇とは法律では定められていない、会社が定める休暇のことです。

法定外休暇は「特別休暇」とも呼ばれ、夏季休暇はこちらに含まれます。会社の就業規則に記載があるので、自分の会社が定める法定外休暇にどんなものがあるのかを見てみましょう。

よくある法定外休暇は次のとおりです。

・慶弔休暇

・夏季休暇

・冬季休暇(年末年始休暇)

・リフレッシュ休暇

その他にも、各個人の誕生日を休みとする「誕生日休暇」や、ボランティアへの参加を促すために設定された「ボランティア休暇」などがあります。会社の特徴がよくあらわれる部分でしょう。

「法定外」になるため、給与が出るか出ないかは会社の就業規則によってきます。

なぜ夏季休暇が有給扱いになってくるのか?

夏季休暇は会社が定める「法定外休暇」、有給休暇は法律が定める「法定休暇」であることがわかりましたが、会社によっては夏季休暇が有給扱いになっているところも多いです。これらは一体なぜ起きているのでしょうか?

「有給休暇の時季指定義務」がおこなわれている

年次有給休暇は基本的に、労働者が申し出た時期に休暇を与えるものです。雇い主側はその時期や期間などを指定することはできません。

しかし日本では休みを取ることへの後ろめたさを感じる人が多く、年次有給休暇が設定されていても、きちんと消化できない風潮がありました。そこで2019年に労働基準法が改正され、年10日以上の年次有給休暇を持っている労働者に対して、企業側はそのうちの5日間の取得時季を指定し、年次有給休暇を取得させなければいけないという決まりが出来ました。

これにより、多くの企業が休業となる「夏」を指定して、年次有給休暇のうちの5日間を夏の休暇にあて、「夏季休暇」という名前の有給休暇を取得させる、ということが生まれます。

有給休暇の時季指定をおこなう場合に必要な手続き

しかし労働者に何も知らせずに、年次有給休暇の時季指定をおこなうことは違法です。

時季指定をおこなうには、その旨を就業規則に記載する必要があります。もし「夏に有給休暇を〇日取ってください」と言われたら、就業規則に年次有給休暇の時季指定の規定が書かれている可能性が高いです。

なお、企業側から時季を決められるものの、基本的にはできるだけそれぞれの意向を組んで有給休暇を消化させるように定められています。そのため、休暇を取りたい期間の希望がある場合はそれを伝え、会社側と調整を図りましょう。

「有給休暇の計画的付与」がおこなわれている可能性もあり

「年次有給休暇の時季指定義務」の他に、「年次有給休暇の計画的付与」というものもあります。

これは、労使協定を結んだうえで、年次有給休暇の自由取得が保証されている5日間以外の日数を、企業側が使用する時期や日時を指定できるものです。「計画年休」とも呼ばれます。

「せっかくの有給休暇なのに…」と思うかもしれませんが、労働者の有給休暇の消化率が悪い企業はこれを使って、夏や冬の休みを有給休暇にあてている可能性が高いです。もしくは夏季休暇の前後に有給休暇を取ることを指示して、夏に大型休暇を取らせる場合もあります。「あの会社は夏休みが長いな」と思っても、実際は「法定外休暇としての夏季休暇3日間」+「法定休暇としての有給休暇3日間」という構成になっているかもしれません。

時季指定は企業側の義務ですが、計画的付与はやらなくても問題ありません。会社の実情にそって導入するものです。またおこなうためには就業規則に書くだけではなく、労働者側との協定を結ばなければいけません。労働者の許可が必要なのです。

有給休暇の消化の仕方に注目しよう

会社を選ぶ際、有給休暇の消化率に注目することも大切ですが、実際どのような形で取れるのかを把握するといいでしょう。自由に自分が希望するタイミングで取れるのか、それとも時季の指定はあるもののその条件の中で自由に取れるのか、もしくは会社から指定された日程で消化しているかもしれません。

夏季休暇の日数ってどのくらい?夏季休暇の実態をご紹介

夏季休暇を導入している企業はどのくらい?

有給休暇のからくりを使った「夏季休暇みたいなもの」が存在することがわかりましたが、実際に会社が定める「法定外休暇」としての夏季休暇を設定している企業はどのくらいいるのでしょうか。

厚生労働省の「就労条件総合調査報告」によると、2019年時点で夏季休暇を導入している企業は、調査対象企業のうちの41.3%となっています。イメージよりも少ないのではないでしょうか。もし企業の募集要項の休暇欄に「夏季休暇」がなくても、そこまで少数派ではないことがわかります。

夏季休暇っていつ取るもの?

「夏季」であることから7月~8月にとる休暇のイメージがありますが、企業によって設定期間はさまざまです。

夏に休みをとる習慣は、学生の場合は夏の暑さを避けて快適に学習をするためなどの理由が挙げられます。一方で、社会人の場合は古くからある「お盆休み」の名残や、夏が旅行・帰省シーズンであることが関連していると考えられます。また夏に休む必要がない会社でも、取引先が休業になることから夏季休暇を取るという会社もあります。

反対にあえて夏季に休みを取らない業界もあります。

例えばホテル業界や旅行業界など、レジャーが盛んになる夏に多くの売り上げを出す業界は、9月~11月などオフピーク期に夏季休暇を取っていきます。

最近では事業内容に関わらず、夏季休暇取得期間を長く設け、その中で順番に休暇を取らせていく企業も増えてきています。多くの企業が休む夏に休めないというデメリットはありますが、従業員にとってはピーク期を避けて旅行が出来たり、自分が好きなタイミングで長期の休暇を取得できます。

また企業側にとっても従業員を少しずつ休ませるため、会社を休業とする時期が無くなり、休むことなくサービスや事業を稼働させることができます。

夏季休暇の日数はどのくらい?

夏季休暇の平均日数は4.4日です。お盆が8月13日から15日のため、その前後を夏季休暇としていることが多いようです。

なお、国家公務員の夏季休暇が3日間であるため、それに合わせている会社もあります。メーカーの製造工場などでは部分的な停止が難しいため、工場全体で1週間の休業にすることもあります。

「夏季休暇」と「夏期休暇」の違いとは?

夏休みを意味する「かききゅうか」ですが、「夏季休暇」と「夏期休暇」という2つの書き方があります。どのような違いがあるのでしょうか。

「夏季」とは「夏の季節」という意味です。夏という「季節」に重きが置かれています。つまり夏季休暇は、「夏という季節に取得する」ことを強調する休暇です。一般的にはこちらの「夏季休暇」という表記を採用することが多く、法律でもこの書き方をしています。

一方で「夏期」は「夏の期間」という意味です。「夏期講習」や「夏期研修」など、夏だから開催するのではなく「夏の期間に開かれる」講習、研修であることを伝えたいときに使われます。「かききゅうか」が夏の期間の休暇であることを表現したいときには、「夏期休暇」を使うといいでしょう。

どちらが正しい・正しくないというわけではないため、自分は何を相手に伝えたいのかによって変えれば問題ないでしょう。

引継ぎはしっかりと!夏季休暇前に必要なこと

実際に夏季休暇に入る場合、やらなければならないことがたくさんあります。

ただ休暇が来るのを待つだけではいけないのが、社会人の夏季休暇です。

担当のお客様に連絡をする

会社全体が夏季休暇に入る場合は、会社としてアナウンスをしているため、個人的に休みの連絡をすることはあまり必要ありません。

しかし、夏季休暇に追加して有給休暇を取っている場合などは、自分が担当するお客様にいつまで休暇をとっているのかを伝える必要があります。連絡をしておかないと、返答ができないのに相手に無駄に連絡をする時間を作らせてしまいます。

また休暇がいつまでかということに加えて、自分が不在の際にはどこに連絡をすればいいのかも伝えましょう。

自分の仕事の引継ぎをおこなう

自分でしかわからない案件、引き継ぐのが難しい仕事については、できるだけ休暇前に処理をしておくことが大事です。万が一、休暇中に連絡が来そうな仕事がある場合は、他の人にきちんと引き継ぐようにしましょう。

引継ぎがうまくできていないと、自分の代わりに対応をしてくれる人に迷惑がかかるほか、それ以上にお客様に迷惑をかけてしまいます。

まとめ

「夏季休暇」について、その実態や言葉の使い方、そもそもの休暇についての制度を解説してきましたが、いかがでしたか。夏季休暇は有給休暇とは違い、会社が独自に定める休暇であり、導入している企業も約4割とそこまで多くないことがわかりました。夏季休暇はないものの、年次有給休暇のさまざまな決まりを使って「給与が発生する夏休み」を設定している企業もあることがわかりました。就業における休日や休暇の決まりをしっかりと理解して、会社の実態を踏まえて転職活動や就業をしていきましょう。

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