営業事務の仕事には、営業担当からの依頼通りに業務を進めるだけでなく、判断力やMicrosoft OfficeやGoogleスプレッドシートなど、処理能力に必要な高いスキルが求められます。
そのため、仕事の進め方は個人の能力に依存しがちでなかなか一元化できない側面もあり、企業として業務効率化に着手しにくいのが実態です。
しかしながら、営業事務の仕事を効率化できれば、個人の負担を減らせるだけでなく、コスト削減や顧客満足度の向上など、得られるメリットは多岐にわたります。
今回の記事では、営業事務を効率化することで得られるメリット、必要な準備や営業事務の業務を効率化する具体例について解説していきます。
目次
営業事務の仕事を効率化するメリット
営業事務の仕事内容を紐解いていくと、効率化するメリットがみえてきます。
ここでは具体的な営業事務の仕事と効率化がもたらすメリットをご紹介していきます。
営業事務の仕事内容とは
そもそも営業事務の業務とはどのようなものがあるのでしょうか。
営業事務とは、営業担当が取引先とスムーズに業務を遂行するためのバックアップをする仕事。
たとえば、営業担当とのやり取りだけでなく、取引先との電話やメールによるコミュニケーション、データ入力や書類の作成業務、必要なときには社内でも他部署との連携を担うなど、業務は多岐にわたります。
営業担当、取引先など社内外とのコミュニケーションをおこない、多くの書類やデータを扱うため、コミュニケーション能力や状況に応じた判断力、対応力や管理能力などに高いスキルが求められます。
営業業務は、取引先に関する情報処理や営業担当への共有スピードも重要となるため、スピード感だけでなく正確さが求められる場面も多くあるでしょう。
その一方、仕事の進め方は個人がやりやすい方法でおこなわれている場合が多く、属人化してるケースが多いです。
個人のスキルに一任されているタスクも多いので、業務効率化やマニュアル化に着手しにくいという側面があります。
会社の規模によっては営業事務がひとりしかいない場合もあります。
もし、営業事務の方が体調不良や家庭の事情による欠勤により、業務の進捗に影響が出ると、営業担当の仕事や会社の売上に影響を及ぼす可能性もあります。
営業事務の業務の遅れは企業にとっても大きなリスク。
安定して業績を伸ばしていくためには、営業事務の効率化は非常に大切なことなのです。
営業事務を効率化する3つのメリット
営業事務の仕事を効率化すると、長時間労働の是正につながるだけでなく、営業事務の方の仕事に対するモチベーションの向上や離職率の低下にもつながります。
ここでは、営業事務を効率化するメリットを3つご紹介していきます。
1.負担軽減
営業事務の業務を効率化することは、書類作成やデータ管理に要していた長時間労働の削減につながり、従業員の体力や心的負担を軽減します。
その結果、営業事務の方のモチベーションとワークライフバランスにもつながるのです。
会社に対する従業員の満足度が向上し、定着率があがることから、長期の雇用継続が可能になるでしょう。また、企業そのもののイメージアップにつながることから、スキルが高い有能な社員の雇用もしやすくなります。
2.コスト削減
営業事務の業務効率化は、コスト削減など金銭面にも大きな好影響をもたらします。
たとえば、業務の効率化によって、残業時間が短縮されるので人件費のカットが期待できます。
その結果、自ずと利益率が向上しますし、無理のない働き方で従業員の定着率が上がると、中途採用や研修・教育にかかるコストを下げることも可能になるのです。
3.顧客満足度の向上
営業事務の効率化は、従業員の負荷削減や企業のコスト削減にとどまりません。
労働時間の短縮によって生まれた労働時間を、顧客サービスの時間に充てることも可能にします。
顧客満足度を高めることができ、営業担当が担っている業務を営業事務に任せることで、さらに営業担当は仕事に集中することができます。
その結果、売上の向上が期待できたり、新規提案や中長期的な戦略に取り組む余裕もでてくるでしょう。また、顧客課題解決に一緒に取り組んだり、先を見すえた新規提案への時間を十分に取ることもできます。
営業事務の仕事を効率化するために必要な3つのこと
営業事務を効率化していくには、まず何からすべきか解説していきます。
1.業務の棚卸
営業事務の方が日頃遂行している業務の棚卸をしましょう。
ルーティンワークとイレギュラー対応のものを、業務内容・頻度・工数などをリスト化していくのです。
営業事務の方がそれぞれ共有しながら書き込めるGoogleスプレッドシートがおすすめ。
毎日当たり前におこなってきた業務を可視化して、客観的に見ることで、重要性の低い業務や頻度を減らせる業務があることに気づけるでしょう。
また、リスト化とあわせて作業フローもメモしておくと、マニュアル作成する際や引継ぎなどに活用することもできます。
特にイレギュラーで発生する業務や、工数のかかるメインタスクに付随する細かな作業も忘れずに書き出しておきましょうね。
ほかにも、業務棚卸は何の仕事にどれぐらいの時間をかけているのか把握するのに役立ちます。
特に、「ルーティンワーク=定型化しやすい業務・繰り返し行われる業務」などは効率化しやすい仕事に該当します。
これを機に、「それって本当に必要な仕事?」と精査するのもよいでしょう。
他の部署から見ると不要な業務や無くせるものが出てくるかもしれません。
2.アウトソーシング
業務上の緊急度や重要性が低いものや、意思決定が必要のないものはアウトソーシングにしてしまうのも、おすすめです。
アウトソーシング(outsourcing)とは、社外から必要な部品や製品を調達したり、業務の一部を一括して他社に任せたりする経営手法のこと。
元々は、開発や運用など情報システムの関連業務を外部委託する際に使われていましたが、開発・生産・物流・人事・経理・購買などあらゆる業務の外部委託についてアウトソーシングという言葉が用いられています。
日本語訳は「外部委託」です。
たとえば、データ入力や受発注入力、記帳が必要な業務、データ集計などもアウトソーシングに向く業務です。
ほかにも、パワーポイントを使った資料作成、電話応対業務、会議室の予約から応接室までの案内などの受付業務についても外注することが可能です。
このように、ルーティンワークとして発生する単純作業や専門的な作業を外部委託することによって、従業員の作業時間を減少させるだけでなく、本来重要視しなければならない業務の生産性を上げることができます。
昨今の企業も、全て自社でまかなうのではなくアウトソーシングを専門としている会社に任せることで、業務改善・業務改革に乗り出す傾向にあります。
(参考:PERSOL|アウトソーシングとは?人材派遣との違いとPERSOL|)
3.書類などのデジタル化
業務の棚卸をしたことで、人の手でおこなっていたタスクの多さを目の当たりにすることになるでしょう。営業事務の効率化では、まさにそれらの自動化やデジタル化は避けて通れない道です。
たとえば、現在アナログで保管している紙の書類をデジタル化するには、スキャナで取り込む方法と、再度文字に起こしてデータを作り直す方法があります。
いずれも、会社にあるすべての書類をデジタル化すると膨大な作業が必要です。
ここでも優先順位を考え、参照する頻度の高いものなどデジタル化→クラウド保存すると便利なものから着手していきましょう。
スキャナから書類を取り込む際には、文字情報をテキストとして読み込むOCR(Optical Character Reader)機能があるツールを活用すれば、文字起こしをする必要がなく検索やコピーが容易になります。
ただし、営業事務は社外秘や個人情報を扱うこともあるため、データの保管場所やセキュリティは万全にしておきましょう。
営業事務の仕事を効率化した事例5選
最後に、営業事務の仕事を効率化した具体例を紹介していきます。
どこから着手するか、何を導入すべきか、などの参考にお役立てください。
1.データの可視化
営業事務の方が作成していたグラフ・図・表などを自動でデータ可視化するツールの導入は、データ分析に専門的な知識と経験がいらないため、属人的なスキルへの依存の解消に効果的です。
最近は自動でデータ可視化できる製品も販売されており、だれでもデータ分析ができます。
有名なところだと、「Tablebu」「salesforce」などのツールがあげられます。
(参考:公式|Tablebu)
企業に蓄積されたデータを分かりやすく表現することで、売上推移などから見えてくる改善点の把握が容易になり、意思決定を迅速に行えることも大きなメリット。
期間をまたがって複数の状況やトレンドも比較検証しやすいため、営業担当が問題の原因を特定するスピードもあがります。
2.マニュアル化
外部ツールに頼らなくてもできるのが、業務のマニュアル化です。
営業事務の仕事に付随するルールやフローをマニュアル化することで、業務の効率化を図ることができます。
マニュアルというのは、後任の方など新たに仕事を引き受ける読み手が業務を理解するために作られているため、読みやすければ読みやすいほど良いマニュアルといえます。
そのため、マニュアル作成者は知識だけを書くのではなく、読み手が理解しやすい図や表を用いながら、見やすさを意識して作成しましょう。
また、業務や情報のマニュアル化を推し進めることで、特定の人しか知らないようなノウハウであっても、詳しい説明や引継ぎが不要になります。
特定の人だけでなく他の人でも仕事ができるようになると、有給休暇の取得率も高まり、従業員のワークライフバランスも期待できるでしょう。
3.コミュニケーションツールの導入
感染症対策の一環としてリモートワークが普及してきた昨今、新たなコミュニケーションツールを導入した企業も多いです。
代表的なチャットツールだと、「Slack」や「Chatwork」といったビジネスでの利用に特化したものも増えてきました。
メールからチャットに切り替えることで、ビジネスにおけるコミュニケーションのスピードと効率を向上できます。
ほかにも、チャットツールに加え、「Zoom」や「GoogleMeet」、「Teams」といったオンライン会議やセミナーを行えるツールも普及してきました。
離れた場所にいながら同じ会議に参加することができるため、会場代や移動時間にかかっていたコストの削減も見込めます。
4.営業支援システムの導入
営業支援システムの導入は、営業事務だけでなく営業担当の業務効率化に一躍買います。
営業活動データを分析し、効率的な次の営業アクションを促すことができたり、営業事務が作成・管理していたデータを自動で集約したりします。
営業支援システムにはさまざまな機能が搭載されていますが、以下のようなサービスが代表的です。
- 顧客管理
- 案件管理
- 提案管理
- 活動管理
- 予実管理
- 売上管理
- スケジュール管理
- 勤怠管理
5.データベースの作成
データベースとは、今まで取引や受発注で使われてきたデータを蓄積したシステムをいいます。
データベースが完成されていることで、新たなデータを蓄積するだけでなく、過去分も取り出すことが可能です。
たとえば、今まで取引をしてきた顧客の情報だけでなく、契約情報や商品の在庫情報なども知ることができます。
ほかにも、顧客満足度調査を実施した際の質問や回答、どのような意見があったのかなど、定性情報も蓄積することができます。
そのため、過去に起こった事象や当時の対応などを知ることができるのも大きなメリットでしょう。
まとめ
今回の記事では、営業事務の業務効率化にフォーカスし、メリットや事例をご紹介してきました。
営業事務の仕事における「ムリ・ムラ・ムダ」を省いた業務効率化を図ることは、個人や企業の負荷削減だけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。
また、営業事務の方がもつスキルに依存せずに業務の均一化を実現することで、質の担保もかなえることが可能です。
アウトソーシングや営業支援ツールの導入は、営業事務を効率化する重要なカギとなります。
本記事を参考に、売上増加やコスト削減、顧客満足度向上につながる営業事務の効率化に着手していきましょう。
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