エクセル(Excel)では、棒グラフや折れ線グラフといったさまざまなグラフが用意されています。それぞれ特徴の違うグラフなので、基本的には使い分けが必要です。
しかし、異なるグラフを組み合わせることで、1つのグラフエリア内で2つの事象を分析できる場合もあります。
この記事では、エクセルのグラフを2軸にして作成する方法を紹介します。記事の後半では、各グラフの特徴について解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
エクセルの単位が違う2軸グラフの作り方
エクセルのグラフは基本的に1つの軸で、1種類のグラフを作成しますが、稀に複数のグラフが組み合わさったグラフを見ることがあるでしょう。ここでは、エクセルで2つの軸を持つグラフの作り方を見ていきましょう。
単位が違う2軸グラフの作り方
単位が違う2軸とは、何を指しているのでしょうか?下記の画像を見てください。
平均気温が青色の棒グラフ、平均降水量がオレンジ色の折れ線グラフで表されています。それぞれ単位が「℃」と「ml」となっており、軸が2つあるグラフとは、上記のようなグラフを指しています。ここでは、単位が違う2軸グラフの作り方を解説します。
グラフにしたいデータの範囲を選択する
まずは、グラフのもととなるデータを範囲選択しましょう。
「挿入」タブから「おすすめグラフ」を選択
セルを範囲選択したら、「挿入」タブから「おすすめグラフ」を選択しましょう。
折れ線グラフを選ぶ
おすすめグラフを開いたら、折れ線グラフを選んでみましょう。後々片方を別のグラフに変更するので、縦棒グラフでも構いません。
どちらかの要素を右クリック
青色の平均気温、またはオレンジ色の平均降水量を右クリックして「系列グラフの種類の変更」を選択しましょう。ここでは青色の平均気温を右クリックします。
片方のグラフの種類を変えてみる
「ユーザー設定の組み合わせ」という画面が表示されるので、片方を「集合縦棒」にしてみましょう。ここでは、青色の平均気温を集合縦棒に変更します。ただ、このままでは軸が1つしかないので、すぐ右側にある「第2軸」というボックスにチェックを入れましょう。
第2軸にチェックを入れてOKを押下すると、上記のように、折れ線グラフと縦棒グラフの2つで構成されたグラフが作成されます。
最初から複合グラフを作成する方法
上述した方法では、グラフの中の要素を変更して2軸のグラフを作成しましたが、最初から複合グラフを作成することができます。
グラフにしたいデータの範囲を選択する
まずは、グラフのもととなるデータを範囲選択しましょう。
「挿入」タブから「おすすめグラフ」を選択
セルを範囲選択したら、「挿入」タブからグラフメニューにある「複合グラフの挿入」を選択しましょう。ポップアップが出るので、真ん中のグラフを選ぶと、下記のように、一括で複合グラフを作成できます。
複合グラフ(2軸グラフ)の編集方法
複合グラフは、ただ作成しただけの状態では単位も付いておらず、文字色やフォントの大きさが適さない場合があるため、編集方法を確認しておきましょう。
色の変更
デフォルトのままでは平均気温の縦棒グラフが青色、平均降水量の折れ線グラフがオレンジ色になっています。降水量を表すなら、青系統の色にしたいという場合もあるでしょう。そのような場合は、色を変えたいグラフを右クリックして、「塗りつぶし」と「枠線」の色を変えてみましょう。
軸名の追加
複合グラフを作成したばかりの状態では、軸ラベル(軸名)が作成されません。グラフを1回クリックすると、右側に+マークが表示されるので、その中の「軸ラベル」を選択してみましょう。そこから自由に配置や内容、文字色、大きさを変更できます。
また、単位を入れるだけであればテキストボックスを作ってしまうのもおすすめです。
組み合わせられるグラフ
複合グラフは、さまざまなグラフを組み合わせて使うため、どのグラフを使えるのか把握するのは必須です。そこで、「ユーザー設定の組み合わせ」から組み合わせが可能なグラフは下記のとおりです。
縦棒 | 集合縦棒 | 積み上げ縦棒 | 100%積み上げ縦棒 |
横棒 | 集合横棒 | 積み上げ横棒 | 100%積み上げ横棒 |
折れ線 | 折れ線 | 積み上げ折れ線 | 100%積み上げ折れ線 |
マーカー付き折れ線 | マーカー付き積み上げ折れ線 | マーカー付き100%積み上げ折れ線 | |
面 | 面 | 積み上げ面 | 100%積み上げ面 |
円 | 円 | ドーナツ | 補助円グラフ付き円 |
補助縦棒付き円 | ー | ー | |
散布図 | 散布図 | 散布図(平滑線とマーカー) | 散布図(直線とマーカー) |
散布図(平滑線) | 散布図(直線) | ||
レーダー | レーダー | マーカー付きレーダー | 塗りつぶしレーダー |
エクセルでよく使われるグラフの種類と特徴
上記で紹介したように、エクセルには棒グラフや折れ線グラフ、円グラフといったさまざまなグラフがあります。大枠のグラフの種別の中には、集合〇〇、マーカー付き〇〇など、多種多様なグラフを選べるのが、エクセルでグラフを作るメリットです。しかも、選択したセル範囲に基づいて、自動でデータを読み込み簡単にグラフを作成できます。
ただし、選ぶべきグラフを間違えると、データを表示するのに不適切なグラフが出来上がってしまうため、注意が必要です。
ここでは、エクセルでよく使われるグラフの種類と、それぞれの特徴を解説します。各グラフ、何を表現する際に向いているのかも解説するので、ぜひ参考にしてください。
棒グラフ
棒グラフは、複数のデータの大小を比較する際に使われるグラフです。縦棒グラフと横棒グラフが存在します。同じ観点で数値の大小を比較する際に有効で、例えば都道府県別の人口や担当部署ごとの売上や教科の平均点などです。縦棒グラフには、下記のような種類があります。
棒グラフの種類 | 特徴 |
集合縦棒 | 最もスタンダードな形。データが多すぎると見づらくなるため注意 |
積み上げ縦棒 | 合計と内訳を1本の棒で表現。棒を複数並べて比較ができる |
100%積み上げ縦棒 | 各項目の内訳の割合を表示。全て100%表示されるため値で比較できない点は注意 |
3-D集合縦棒 | 集合縦棒を立体的に表示したもの。項目は2つまでがおすすめ |
3-D積み上げ縦棒 | 積み上げ縦棒を立体的に表示したもの。基本的には2-Dを使う |
3-D 100% 積み上げ縦棒 | 100% 積み上げ縦棒を立体的に表示したもの。基本的には2-Dを使う |
3-D縦棒 | 縦棒を立体的に表示したもの。基本的には2-Dを使う |
円グラフ
円グラフは、各項目の割合を比較する際に使われるグラフです。アンケート結果や人口比率などを比較する場面で多く使われます。円グラフには下記のようなバリエーションがあります。
円グラフの種類 | 特徴 |
2-D円 | 最も使われるスタンダードな円グラフ。基本的には2D円を選べば問題ない。「補助円グラフ付き円」と「補助縦棒付き円」の2種類の派生系がある。派生形は元の円グラフの中の要素を詳細に見ていくために使う。 |
3-D円 | 2D円を立体化(3D化)したもの。手前が大きく、奥が縮んだ楕円形に見えることから、グラフの割合を正しく読みとりにくい。手前が大きく膨張して見えることから、多数派を強調したい場合に有効。 |
ドーナツ円 | ドーナツの形を模した、真ん中が大きく空いた円。円グラフを2つ重ねられるため、2種の円グラフを比較したい時に有効。 |
円グラフはあくまで割合を示すものです。人口100万人の国の人種比率と、人口1億人の人種比率といったあまりにも総数に差が出るものは、数値でなく割合を比較すると強く意識しましょう。
折れ線グラフ
折れ線グラフは、時系列に沿って、データがどのように変化したのかを調査したいときに有効なグラフです。例えば人口の変遷や平均気温、株価など、あらゆる変化を視覚的にわかりやすくします。折れ線グラフには、下記のような種類があります。
棒グラフの種類 | 特徴 |
折れ線 | 最もスタンダードな形。データの推移を見る際に使う。 |
積み上げ折れ線 | 各項目を縦に並べて表示する。面グラフの方がわかりやすいため、あまり使われない。 |
100%積み上げ折れ線 | 各項目の内訳の割合を縦に並べて表示する。全て100%表示されるため、値は比較できない。面グラフの方がわかりやすいため、あまり使われない。 |
マーカー付き折れ線 | 横軸と縦軸がクロスする地点に1つずつマーカーが付く。 |
マーカー付き積み上げ折れ線 | 横軸1つ1つにマーカー付きで、各項目を縦に並べて表示する。面グラフの方がわかりやすいため、あまり使われない。 |
マーカー付き 100% 積み上げ縦棒 | 横軸1つ1つにマーカー付きで、各項目を縦に並べて割合を表示する。面グラフの方がわかりやすいため、あまり使われない。 |
3-D折れ線 | 折れ線グラフを立体的に表示したもの。視認性は良くないため、基本的には2-Dを使う。 |
面グラフ
面グラフは、各要素の変化を積み重ねて表示するグラフです。データ総数と各要素の変化を一度で比較できます。上記の表では、1991年〜2005年の間で自動車、バイク、自転車の数量がどう変化したのかを示しています。自転車と自動車が増加傾向にあるものの、バイクは減少傾向にあることが一目でわかります。
散布図
散布図は、データに隠された相関関係を調べたい時に使われるグラフです。年齢が上がると年収は増えるのか、身長が伸びれば体重も増えるのかといった、別々のデータの関係性を立証する際に有効です。
散布図で記した点を結んでいくと、多くの場合は折れ線になり、その折れ線が直線に近いほど強い相関が、折れ線のブレ幅が大きいほど相関性が薄いことをさします。散布図を分析すると、「正の相関」「負の相関」「相関なし」という3つに分類することができます。それぞれの特徴を下記にまとめました。
相関の種類 | 特徴 |
正の相関 | 横軸と縦軸が比例するように、ともに増加する状態。楕円形が直線に近くなり、右上がりになる。 |
負の相関 | 横軸と縦軸が比例するように、ともに減少する状態。楕円形が直線に近くなり、右下がりになる。 |
相関なし(無相関) | 点が散らばって楕円が直線にはなっていない状態。 |
レーダーチャート
レーダーチャートは、複数の項目を線で結び比較するグラフの1種です。上記の表では、操作性、デザイン、価格、拡張性、防水・防塵といった項目を、視認性の良いチャートにしています。
どのグラフを選ぶか迷ったら
エクセルには、上記で紹介した以外にも「マップ」や「サンバースト」「じょうご」といったさまざまなグラフの種類があるため、どのグラフを使うべきか悩むことが多くあります。そのような場合は、データ範囲を選択したあと、「挿入」タブの「おすすめグラフ」をクリックしてみましょう。
上記の図のように、選択したデータに基づいた、最適なグラフが提案されます。基本的には1番上のグラフを選ぶのが最もおすすめです。他のグラフも見てみたい場合は、「すべてのグラフ」を選んで、上下にスクロールしてサンプル画面を参考にしましょう。
まとめ
エクセルで2軸のグラフを作成するには、「1度作成したグラフから系列を変更する方法」と「複合グラフを選ぶ方法」の2つがあります。基本的には、早くて便利な「複合グラフ」で作成しましょう。複合グラフは異なるグラフが1つのエリア内に収まる形になるので、折れ線グラフと縦棒グラフのように、お互い視覚的に干渉しにくい組み合わせを選ぶのが重要です。