Excelで作業する際、小数点以下や10円未満の端数をどのように処理するか悩むことがあると思います。
このようなときには、数値の「四捨五入」や切り上げ・切り捨てという方法を使いますよね。
関数ではROUND関数が主力で、ROUNDUP関数やROUNDDOWN関数が同様の方法で「切り捨て」「切り上げ」することができます。
そこで今回の記事では、ROUNDDOWN関数の使い方や類似する関数など、まとめてお伝えしていきます。
ぜひ、参考にしてくださいね。
目次
ROUNDDOWN関数の書き方
Excelで切り捨てに用いられる関数は様々ありますが、最もメジャーなのがROUNDDOWN関数です。
引数も2つしかありませんので、簡単に活用することができます。構文は次の通りです。
ROUNDDOWN(数値, 桁数) |
ROUNDDOWN関数の構成要素には、次の引数があります。
数値
切り捨ての対象となる実数値を必ず指定してください。
桁数
数値を切り上げた結果の桁数を必ず指定してください。
ROUNDDOWN関数の使い方
ROUNDDOWN関数を使いこなすポイントは「桁数」の指定です。
たとえば、「6.87」という数値を小数点第一位までに切り下げる場合と整数に切り下げる場合をみてみましょう。
「B2」セルに小数点第一位で切り下げた結果を表示するには、「数値」に「6.87」が入力された「B1」と記載し、「桁数」には「1」と入力しますよね。
するとB2セルには「6.8」と表示され、一方のB3セルに整数に切り下げた場合を表示するには、「桁数」を「0」と指定します。
つまり、「桁数を0にすると整数になる」ということ、それを基準に小数点は1、2、3…と増えていき、整数側にいくと-1、-2となっていくことを覚えておけばよいのです。
基本的な使い方は四捨五入のROUND関数、切り上げのROUNDUP関数と同じなので、後ほど解説していきますね。
まず、ここまでの内容をまとめると
ROUNDDOWN関数の機能はROUND関数に似ていますが、常に数値が切り捨てられる点が異なります。桁数に正の数を指定すると数値の小数点以下は指定した桁数の右側が切り捨てられます。桁数に0を指定すると数値は最も近い整数として切り捨てられます。桁数に負の数を指定すると、数値の小数点の左側の整数部分が切り捨てられます。 |
以上の4つが基本的な構文の仕様です。
ROUNDUP関数の使い方
それではROUNDDOWN関数の逆の機能を持っている、ROUNDDOWN関数について解説していきます。ROUNDUP関数は数値を指定された桁数に切り上げる関数で、構文は次の通りです。
ROUNDUP(数値, 桁数) |
ROUNDUP関数の構成要素には、次の引数があります。2つしかなく、いずれも必須入力項目です。
数値
切り上げの対象となる実数値を指定します。
桁数
数値を切り上げた結果の桁数を指定します。
ROUNDUP関数はROUND関数の仲間で、常に数値が切り上げられる機能をもっています。
桁数に正の数を指定すると、数値の小数点以下について、指定した桁数の右側が切り上げられます。ですが、桁数に0を指定すると、数値は最も近い整数として切り上げられます。
また、桁数に負の数を指定すると、数値の小数点の左側 (整数部分) が切り上げられます。
ROUND関数の使い方
冒頭でROUNDUP関数の仲間と紹介した、ROUND関数もこれを機に覚えておくとよいでしょう。
ROUND関数は四捨五入する関数です。
たとえば請求書の金額で端数処理をしなければならない際に、指定した桁数で端数を四捨五入すると思います。そのようなときにROUND関数は便利です。
ROUND関数の構文と引数は次の通りです。
ROUND(数値,桁数) |
数値
四捨五入したい数値または、セルの位置を指定します。
桁数
四捨五入したい桁数を指定します。桁数を指定するには、整数で指定します。
1 の位を「0」とし、小数点以下第一位は「1」、小数点以下第二位は「2」というように、小数点以下の桁数が増えるごとに正数が増えます。また、十の位を指定したい場合は「-1」、百の位を指定したい場合は「-2」というように、桁が大きくなるごとに負の数が増えます。ここで注意すべきは、指定した桁数にある数値を四捨五入するのではなく、指定した桁数の 1 つ下の桁の数値を四捨五入するということです。
参考:Microsoftサポート|Excel の四捨五入はこんなに簡単! 便利な切り捨て、切り上げも解説
ポイント|ROUND・ROUNDUP・ROUNDDOWN関数の使い方
ここまでお伝えした通り、切り上げのROUNDUP関数、切り下げのROUNDDOWN関数、そして四捨五入のROUN関数も、基本の使い方は一緒です。
ROUND ( 数値 , 桁数 )ROUNDUP ( 数値 , 桁数 )ROUNDDOWN ( 数値 , 桁数 ) |
3つとも式の構成は「数値」と「桁数」の2つ。
「数値」は四捨五入したいセルを指定し、「桁数」には、上記のように四捨五入したい桁数に対応する値を入力するだけです。
なお、桁数に入力する数字は、小数第二位以降で「1,2,3…」、逆に1の位以上は「-1,-2,-3…」という決まりになっています。この決まりはROUNDUP関数でも、ROUNDDOWN関数でも同じです。
切り上げ・切り下げしたい数値と、それをおこなう桁数を指定すれば、ROUND関数と同じように使用することができます。しっかり覚えておきましょう。
実践|ROUNDDOWN関数の結果をみてみよう
次の関数のカッコ内と結果をみて、実際はどのように数字が表示されるのか、確認してみましょう。
関数の数式 | 内容の意味 | 結果 |
=ROUNDDOWN(3.2, 0) | 3.2 の小数点以下を切り捨てます | 3 |
=ROUNDDOWN(76.9,0) | 76.9 の小数点以下を切り捨てます | 76 |
=ROUNDDOWN(3.14159, 3) | 3.14159 の小数点第 3 位より右を切り捨てます | 3.141 |
=ROUNDDOWN(-3.14159, 1) | -3.14159 を小数点第 1 位まで四捨五入します。 | -3.1 |
=ROUNDDOWN(31415.92654, -2) | 31415.92654 の小数点の左側 2 桁で切り捨てます | 31400 |
ROUNDDOWN関数に似た関数
切り下げの機能をもつROUNDDOWN関数には、似た関数がほかにもあります。
ここでは2つの関数を解説していくので、使いやすいものから選んでぜひ実践に役立ててみてください。
1.INT関数
小数点以下第n位を切り捨てたいという場合はROUNDDOWN関数を使用しますが、整数だけにしたいという場合はINT関数が便利です。
第2引数に0を指定したROUNDDOWN関数とINT関数の違いは次の通りです。
ROUNDDOWN関数 = 引数に指定された数値の小数点以下を切り捨てる
INT関数 = 引数に指定された数値を超えない最大の整数を返す
また、正の数の場合は第2引数に0を指定したROUNDDOWNとINTは同じです。
正の数値・プラスの数値を指定したときには、第2引数に0を指定したROUNDDOWN関数とINT関数に違いはありません。
たとえば、
=ROUNDDOWN(1.5, 0)
=INT(1.5)
いずれも「1」です。
ですが、負の数値・マイナスの数値を指定したときには、違ってきます。
=ROUNDDOWN(-1.5, 0)
は「-1」ですが
=INT(-1.5)
は「-2」となります。
このように、小数点以下を切り捨てるという処理が必要なときに、負の数値・マイナスの数値を扱うケースがあるのか、あるのならどう処理しなければならないのかで、入力内容は変わってきます。
正の数値・プラスの数値しか扱わないという場合、ROUNDDOWN関数とINT関数はどう使い分けるのかですが、一般的には引数の数が少ないINT関数のほうが簡単でしょう。
特に金銭のやり取りで、マイナスのお金というのは物理的に存在しないため、INT関数が役立ちますよ。
2.TRUNC関数
TRUNC関数とは数値の小数部分を削除する関数です。
1つ前に解説したINT関数は、数値の小数部分の値に基づいて数値を最も近い整数に切り下ろします。
そのため、INT関数とTRUNC関数は負の数を使用する場合にのみ異なります。
たとえば、TRUNC(-4.3) は -4 を返しますが、-5 は小さい数値なので、INT(-4.3) は -5 を返します。構文は次の通りです。
TRUNC(数値, [桁数]) |
TRUNC関数の構成要素には次の引数があります。
数値
小数部分を切り捨てる数値を必ず指定します。
桁数
切り捨てを行った後の桁数を任意で指定します。 桁数の既定値は 0 (ゼロ) です。
具体的にどのように結果が反映されるか、下の表で確認してみましょう。
関数の数式 | 内容の意味 | 結果 |
=TRUNC(8.9) | 8.9 の小数部を切り捨て、その整数部分を返します (8) | 8 |
=TRUNC(-8.9) | 負数の小数部を切り捨て、その整数部分を返します (-8) | -8 |
=TRUNC(0.45) | 0 と 1 の間の数の小数部を切り捨て、その整数部分を返します (0) | 0 |
あわせて読みたい|ROUNDUP関数に似た関数
ROUNDDOWN関数の逆の機能をもつROUNDUP関数にも、似た関数があります。
こちらも3つの関数を解説していくので、これを機に身につけると切り上げ・切り捨てに関しては鬼に金棒になりますよ。
1.CEILING関数
CEILING関数とは基準値の倍数のうち、絶対値に換算して最も近い値に切り上げられた数値を返す関数です。
たとえば、価格が742円の製品に価格を設定するときに1円単位の端数を出さないようにするには、数式 =CEILING(742,5) を使用して5円単位に最も近い価格に切り上げることができます。構文は次の通りです。
CEILING(数値, 基準値) |
CEILING関数の構成要素には、次の引数があります。ROUNDDOWN関数同様に2つしかなく、いずれも必須入力項目です。
数値
丸めの対象となる数値を必ず指定します。
基準値
倍数の基準となる数値を必ず指定します。
引数に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
なお、数値の大小に関係なく切り上げられた値の絶対値は、数値より大きくなります。
指定された数値が基準値の倍数と等しい場合数値は丸められずにその値が返されます 数値と基準値がどちらも負の数である場合値は小さい方 (0 から遠い方) の数値に切り上げられます 数値が負の数で基準値が正の数である場合値は大きい方 (0 に近い方) の数値に切り上げられます |
2.ODD関数
ODD関数は、数値を切り上げて、最も近い奇数にする関数です。また、元の数値の絶対値より大きい数値に切り上げます。構文は次の通りで非常にシンプルです。
ODD(数値) |
ODD関数の書式には次の引数があります。
- 数値は丸めの対象となる数値を必ず指定します。
- 数値に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
- 数値の符号に関係なく、切り上げられた値の絶対値は、数値より大きくなります。
- 数値が既に奇数の値になっている場合、切り上げは行われません。
3.EVEN関数
EVEN関数とは指定した数値を、最も近い偶数に切り上げた数値を返す関数です。
この関数は、2個単位で扱われるアイテムを処理する場合に使用できます。
たとえば、1 つまたは 2 つのアイテムを並べて入れられる梱包用の箱があるとします。 この場合、アイテム数を偶数に切り上げると、アイテム数と箱の容量が一致するときに箱はいっぱいになることがイメージできるでしょう。
EVEN関数の構文は次の通りで、非常にシンプルです。
EVEN(数値) |
EVEN関数の構成要素には、次の引数があります。
- 数値は丸めの対象となる数値を必ず指定します。
- 数値に数値以外の値を指定すると、エラー値 #VALUE! が返されます。
- 数値の符号に関係なく、切り上げられた値の絶対値は、数値より大きくなります。
- 数値が偶数の場合、切り上げは行われません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、ROUNDDOWN関数の使い方にあわせてROUNDUP、ROUND関数についても解説してきました。
小数点以下の切り上げ・切り捨てに迷うことがなくなると、事務処理が正確かつスピードもあがります。ぜひ本記事を参考に、実践にお役立てくださいね。