エクセルでは、セルを結合することで表示する文字を増やしたり、視認性を上げられます。結合と分割が使われる機会は多く、エクセル初心者の方が真っ先に覚えておいて損のない機能です。
この記事では、エクセルでセルを結合・分割・削除する方法を解説します。記事の後半では、表の視認性を上げる罫線の引き方や、印刷の際に図表のレイアウトがずれてしまう場合の対処法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
セルを結合・分割・削除する方法
ここでは、セルを結合・分割・削除する方法を解説します。エクセルの画面を載せているので、マネしながら実行してみましょう。
セルを結合する方法
セルの結合とは、縦や横に隣接するセルを結合して、1つのセルとして扱う機能です。表の罫線を引く際は、特に役立ちます。下記のように、取扱店舗の一覧をまとめた表があったとします。「取扱い店舗一覧」という見出しが、左寄り、かつ中途半端に罫線がかかっているため、視認性が悪いですよね。これはセルを結合していないから起こる問題です。
そこで、セルを結合してみましょう。C3からE3セルまでを選択して、「ホームタブ」→「配置」→「セルを結合して中央揃え」と進んでいき、右横の矢印をクリックしてみましょう。下記の4つの選択肢がリストとして表示されます。
・セルを結合して中央揃え
・横方向に結合
・セルを結合
・セル結合の解除
試しに「セルを結合」を選択してみましょう。
3つのセルが結合されて1つになりました。すると、見出しを囲うように罫線が引かれ、視認性が向上します。この見出しを中央揃えにしてみると、より見出しに近くなりました。
「セルを結合して中央揃え」を選択すると、上記の作業がワンクリックで行えます。
「横方向に結合」というのは、言葉通り、横方向に結合するものです。普通のセル結合と何が違うのか気になる方もいるでしょう。下記のような表を見てください。
解説文のセルの結合を行いたい場合に、解説文の全範囲を選択して「セルの結合」をクリックすると、下記のような警告ポップアップが表示されます。
「セルを結合すると、左上の値のみが保持され、他のセルの値は破棄されます。」
ここで「OK」を押してしまうと、左上のセル以外は全て入力した内容が消えてしまうため、キャンセルを押しましょう。
次に「横方向に結合」という選択肢をクリックすると、解説文1行ごとに、横方向に結合できます。
セルを分割する方法
結合したセルを元の状態に戻したい場合は、セルの解除を行います。「ホームタブ」→「配置」と進んでいき、「セルを結合して中央揃え」の右側にある矢印をクリックしましょう。「セル結合の解除」という選択肢をクリックすると、セルの結合が解除されます。
セルを削除する方法
セルを削除する方法は非常に簡単で、削除したいセルを右クリックして、「削除」を選択するだけです。
セルを削除する場合に気をつけたいのが、結合セルを削除すると、結合したセルが丸ごと消えるので表のレイアウトが崩れる可能性がある点です。
もしレイアウトが崩れてしまったら、CtrlキーとZを同時押しして、やり直しましょう。
視認性向上のために罫線を引こう
エクセルでは、表の視認性を上げるために使われる「罫線(けいせん)」というものがあります。簡単に設定できる上、自分の好きなようにレイアウトを調整可能です。ここでは、罫線の設定方法と上手くいかない時の対処法を解説します。範囲を選択して、ボタンをクリックするだけの簡単作業なので、実際に手順を見ていきましょう。
罫線を引く方法
はじめに罫線を引きたいセルの範囲を選択します。次に「ホームタブ」の「フォントメニュー」にある「罫線▼」をクリックして、中央部にある「格子」を選んでみましょう。格子状に罫線を引くことができます。この格子状の罫線は、最もスタンダードな罫線で、使われる機会が多いので覚えておきましょう。
罫線は任意のスタイルにカスタマイズできる
罫線の太さやスタイルは自由にカスタマイズできます。下記の表では、設定できる罫線の種類をまとめました。
罫線の種類 | 特徴 |
下罫線 | 選択範囲の最下部に罫線を引く |
上罫線 | 選択範囲の最上部に罫線を引く |
左罫線 | 選択範囲の最左部に罫線を引く |
右罫線 | 選択範囲の最右部に罫線を引く |
枠なし | 選択範囲にかかっている罫線を外す |
格子 | 格子常にセルに罫線を引く |
外枠 | 選択範囲の周囲に罫線を引く |
太い外枠 | 選択範囲の周囲に太い罫線を引く |
下二重罫線 | 選択範囲の最下部に二重の罫線を引く |
下太罫線 | 選択範囲の最下部に太い罫線を引く |
上罫線+下罫線 | 選択範囲の最上部と最下部に罫線を引く |
上罫線+下太罫線 | 選択範囲の最上部に罫線、最下部に太い罫線を引く |
上罫線+下二重罫線 | 選択範囲の最上部に罫線、最下部に二重の罫線を引く |
カスタマイズ | 特徴 |
罫線の作成 | マウスで範囲を選択して外周の罫線を引く |
罫線グリッドの作成 | マウスで範囲を選択して格子状に罫線を引く |
罫線の削除 | 設定した罫線を削除する |
線の色 | 罫線の色を自由に設定する |
線のスタイル | 罫線の種類を変更する(通常や太線、点線、二重線など) |
その他の罫線 | 線のスタイル、色、縦、横、斜めの書式を自由に配置できる |
罫線を引くときの5つのコツ
罫線は表の視認性を上げられる反面、セルの中身をback spaceやdeleteキーで消しただけでは、修正ができません。また、罫線が引いてあるセルをコピペする際に、書式までコピーしてしまうこともあるため、貼り付けた先の表のレイアウトが崩れてしまうケースがあります。時間をかけて罫線のレイアウトを作成したのに、コピペしただけで崩れてしまうのは、悔しいですよね。ここでは、修正を可能な限り無くして罫線を引くコツを5つ紹介します。
基本はシンプルな線を使う
罫線は凝ろうと思えばいくらでもデザインを工夫できますが、シンプルな罫線でも、十分視認性は向上します。上司や先輩社員などに見せるとなったら表のデザインを凝りたい気持ちはわかりますが、本来優先すべきなのは中身のデータです。よほど時間が余っていない限りは、シンプルな罫線を使うのがおすすめです。格子状の罫線は、ボタンワンクリックで作成できるので、作業効率は向上します。
デザインの凝った罫線は最後に引く
罫線はセルの挿入や削除によってずれることがあるため、修正作業が大変です。表の形が四角形であれば良いですが、セルが1つ2つとはみ出すような表の形では、最悪の場合、1から罫線を引き直さなければなりません。表が完成してから最後に罫線を引くようにしましょう。
コピペする際は”罫線なし貼り付け”が便利
表に罫線を引いた後で、表中のセルを別のセルやシートへコピペすると、コピー元の罫線が一緒に貼り付けられてしまいます。セルの中身だけ転記したい場合は余計な修正作業が必要なので不便ですよね。この場合は、貼り付けた後にセルの右側に表示される「貼り付けオプション」から「罫線なし」を選択しましょう。(貼り付けの下段左端)罫線を外してセルの中身だけを貼り付けられます。
テーブルを使えば大幅に時間短縮
エクセルのテーブル機能を知っていますか?「ホームタブ」→「スタイル」→「テーブルとして書式設定」を順に選択していくと表示される項目で、既存のレイアウトを反映させられます。
色や線の異なるテンプレートが複数用意されているため、表のデザインにかける時間がない場合は、テーブル機能を活用してみましょう。
太い外枠は1番最後に引く
罫線は常に上書きをしてしまいます。せっかく外枠を太い線に設定しても、表全体を選択して格子の罫線を設定してしまうと、太線が格子の細い線に上書きされて消えてしまいます。
罫線を固定して誤入力を防止する
セルのロックとシートの保護機能を活用すると、罫線を固定して、罫線のかかった範囲のセルは入力できないように設定できます。重要書類を作成する際によく使われるので、ぜひ覚えておきましょう。
シートの全範囲を選択してセルの書式設定からロックを外す
まずは、A1セルの左上にある三角形マークをクリックするか、Ctrl+Aを同時押しして、シート内のセルを全て選択しましょう。任意の位置で右クリックして「セルの書式設定」を開きます。「保護タブ」を開いて「ロック」という項目のチェックを外しましょう。ロックが外れたら「OK」を押下します。
罫線の範囲だけ選択してロックをかける
今度は罫線のかかった範囲だけを選択して、ロックをかけましょう。セルを範囲選択して右クリック→「セルの書式設定」→「保護タブ」へとたどっていき、今度は「ロック」にチェックを入れます。
校閲タブからシートの保護を選択
まずは、「校閲」タブから「シートの保護」を選択しましょう。
「シートとロックされたセルの内容を保護する」にチェックを入れる
シート保護に関するポップアップメニューが表示されたら、一番上の「シートとロックされたセルの内容を保護する」と「ロックされたセル範囲の選択」、「ロックされていないセル範囲の選択」にチェックを入れましょう。パスワードに関しては後ほど解説するので、ここではかけなくて構いません。
設定完了
罫線のかかったセルをダブルクリックして文字を入力しようとすると、上記の画像のように「変更しようとしているセルやグラフは保護されているシート上にあります。変更するには、シートの保護を解除してください。パスワードの入力が必要な場合もあります。」というポップアップが出ます。このポップアップが表示されたら設定完了です。
保護する際にパスワードをかける
シートの保護はパスワードをかけていないと簡単に解除されてしまい、入力制限ができなくなります。そこで、パスワードを設定しましょう。「校閲タブ」にシートの保護を解除するボタンがあるので、事前にそちらをクリックしてシートの保護を解除しておきましょう。
もう一度罫線のかかったセルを範囲選択して「シートの保護」をクリックし、パスワードをかけます。ここでは半角数字で「1234」としました。OKを押すと下記のような確認画面が表示されるので、もう一度パスワードを入力してOKを選択しましょう。
試しに罫線のかかったセルに入力しようとすると、エラーのポップアップが出ます。
シートの保護を解除しようとすると、パスワードが求められるようになりました。ちなみに、一度シートの保護を解除してしまうと、パスワード設定からやり直しになります。
罫線を引く際に使えるショートカット
罫線を引く時は、マウスカーソルをたくさん動かすイメージがあるかもしれません。しかし、罫線を引く作業を大幅に効率化する便利なショートカットが存在します。ここでは、罫線を引く、消す、書式設定を開くといった、汎用的なショートカットを解説するので、ぜひ参考にしてください。
罫線を引くショートカット
罫線を引く場合は、事前に罫線を引きたい範囲を選択して、Alt→H→Bの順番でキーボードを押下すると、罫線メニューが開きます。同時押しではなく、順に押しましょう。「Alt→H→B」と押したその次に押すキーによって、引く罫線の種類が変わります。例えば、選択したセル範囲に外枠を引きたい場合は、「Alt→H→B→S」となります。
罫線の種類 | キー | 罫線の種類 | キー |
下罫線 | Alt→H→B→O | 太い外枠 | Alt→H→B→T |
上罫線 | Alt→H→B→P | 下二重罫線 | Alt→H→B→B |
左罫線 | Alt→H→B→L | 下太罫線 | Alt→H→B→H |
右罫線 | Alt→H→B→R | 上罫線+下罫線 | Alt→H→B→D |
枠なし | Alt→H→B→N | 上罫線+下太罫線 | Alt→H→B→C |
格子 | Alt→H→B→A | 上罫線+下二重罫線 | Alt→H→B→U |
外枠 | Alt→H→B→S |
罫線を消すショートカット
罫線を消したい場合は、消去する範囲を選択して、「Alt→H→B→N」を順に押すと罫線だけを削除できます。罫線を消したい範囲を正しく指定しないと、思わぬ罫線を消してしまう場合があるので、注意しましょう。
「Ctrl+Shift+_」(コントロール+シフト+アンダーバー)の同時押しで、さらに早く消すこともできます。
罫線の書式設定を開くショートカット
罫線の種類だけでなく、下記のような罫線の作成に関わるメニューを表示したい場合にも、ショートカットで効率良く作業ができます。例えば、「その他の罫線」から書式設定へ遷移するには「Alt→H→B→M」を押しましょう。
罫線のメニュー | キー | 罫線のメニュー | キー |
罫線の作成 | Alt→H→B→W | 線の色 | Alt→H→B→I |
罫線グリッドの作成 | Alt→H→B→G | 線のスタイル | Alt→H→B→Y |
罫線の削除 | Alt→H→B→E | その他の罫線 | Alt→H→B→M |
まとめ
エクセルでセルを結合、分割する方法は非常に簡単です。ホームタブの配置から行えます。セルを適切に結合、分割することで、綺麗で見やすい表を作れるので、ぜひマスターしましょう。エクセルには入力を楽にするショートカットがいくつも用意されているので、ぜひ利用しましょう。