「年間休日って何?」「有給休暇は含まれる?」「年間休日の計算方法と最低ラインは?」と、年間休日についてはわかっているようでわかっていない人が大多数です。
本記事では、年間休日に祝日や有給は含まれるのかやその計算方法について紹介します。
また年間休日120日、115日、105日の場合のそれぞれのスケジュールについても解説します。年間休日について詳しく知りたい方必見です。
目次
年間休日とは?祝日や有給は含まれる?
年間休日とは?
年間休日とは、会社が定める1年間の休日の合計のことで、平均は120日前後です。
有給休暇や特別休暇は含まれず、土日の休みや夏季休暇、年末年始の休暇は年間休日に含まれます。
日本では「休日はこの日にすべきである」という決まりは特にありません。年間休日は企業が独自に定めることができます。そのため年間の休日数や曜日は会社ごとに異なります。
ゴールデンウィーク休暇や夏季休暇、年末年始休暇を何日取るかは会社ごとに異なりますよね。このように会社に所属する人全員が一斉に休みになる日を「年間休日」と呼びます。
休日と休暇の違い
休日とは「労働者の労働義務がない日」のことです。つまり、休日は当然休む権利があります。
一方で休暇とは「労働者が労働の義務がある日に、会社が労働義務を免除する日」のこと。休暇には「法定休暇」と「特別休暇」という種類があります。
法定休日と法定外休日を合わせて年間休日と呼ぶ
法定休日とは、労働基準法で定められている休日のことで、週に1日以上の休日または4週4日以上は休日を取らなければならないと定められています。
「法定休日」と「法定外休日」を合わせて年間休日と呼びます。
1日8時間労働、週5日勤務、土日休みの週休2日制の場合は、土曜日が年間休日、日曜日が法定休日に分類されることが多いです。
労働基準法上では法定休日をいつ設定するかは決められていませんが、日曜日に設定している会社が多いです。
ちなみに「所定労働日数」とは365日から年間休日を引いた日数のことです。所定労働日数がわかっていてば、年間休日を算出することができます。
年間休日の最低ラインは105日
企業の年間休日数は120日、115日、105日の場合が多いです。年間休日の計算方法は以下の通りです。
1年間における週数:365日÷7日=52.1週 1週間で労働できる時間:8時間×5日=40時間 1年間で労働できる時間:40時間×52.1週=2084時間 1年間で労働できる日数:2084時間÷8時間=260.5日 年間休日:365日-260日=105日 |
年間休日が105日というのは、労働基準上の最低ラインに該当します。年間休日105日は、週休2日休みでそれ以外の休みは全くないという意味です。
年間休日105日以下、つまり年間で260日以上働かなければいけない企業はブラック企業に分類されるでしょう。
\ブラック企業を見抜く方法とは?/
年間休日の平均日数
年間休日の平均日数は以下の通りです。
・労働者1人当たり=114.7日
・1企業当たり=108.9日
年間休日の割合としては、100〜109日の割合が最も多く、次に120〜129日が多いという結果になっています。
年間休日に有給は含まれる?
年間休日に有給休暇は含まれません。年間休日とは、全員に適用される休日休暇を指します。
それに対し有給休暇は、勤務日数や勤務条件によって、人それぞれ取得できる日数が異なります。
有給休暇とは、条件を満たした労働者全員に付与される休日であり、全員が同じ日に取得することはありません。そのため、人それぞれ取得できる日数や取得する日程が異なる有給休暇は年間休日に含まれないのです。
年間休日に国民の祝日は含まれる?
国民の祝日を必ずしも年間休日にしなければならないという規定はないため、基本的には年間休日に国民の祝日は含まれません。
ただ、会社が就業規則で国民の祝日を休日と定めている場合は夏季休暇や年末年始休暇などは年間休日に含まれます。
年間休日の平均日数が多い業種ランキング
基本的に企業規模の大きい会社の方が年間休日数が多い傾向にあります。
ランキングは以下の通りです。
1位:情報通信業・学術研究【118.8日】
1位:専門・技術サービス業【118.8日】
3位:学術研究、専門・技術サービス業【118.4日】
4位:電気・ガス・熱供給・水道業【116.8日】
5位:教育、学習支援業【116.8日】
上位5位までの業種は、116日以上の年間休日数が取得可能なことがわかります。
年間休日115日が多い業種
・金融・保険業界
・学術研究・専門サービス業
・インフラ業界
金融や保険系の業界は、給与や休日、福利厚生が安定している企業が多い業界です。ただし、職種や社外、社内勤務かによって勤務形態が異なることもあります。
電気・ガス・熱供給・水道業などのインフラ系は年間休日115日以上の企業が多い業種です。これらの業種は需要が絶えない業界のため、給与や休日が安定している企業が多いのです。
年間休日が少ない業界
・宿泊業・飲食サービス
・建設業
・鉱業・採石業・砂利採取業
サービス業や建設業などの業界は、年間休日が少ない傾向です。特に宿泊業や飲食サービス業界は、年間休日の取得率が低く、2018年の労働者一人当たりの平均休日取得数が102.9日と他の業界に比べても低いです。また、休日が少ないだけではなく、平日休みのためプライベートの充実が難しいのもデメリットです。
建設業や鉱業・採石業・砂利採取業などの業界は、肉体労働がメインかつ年間休日が少なめなのが特徴。また、祝休日が不定期で平日休みのためプライベートの充実が難しいことが、退職者が多い理由の一つです。
年間休日115日はホワイト企業?
年間休日115日は、ホワイト企業とブラック企業どちらとも言えません。ホワイト企業の基準は年間休日120日年間休日115日は、平均よりも上の休日日数であり、
年間休日の多さは、企業規模に左右されます。大企業の年間休日は120日以上のことが多く、中小企業であれば105日以上のことが多いです。つまり中小企業で年間休日115日以上ならば、ホワイト企業と言えます。年間休日115日というのは、大企業の平均よりも少なく、中小企業の平均よりも多いです。
年間休日を計算する式とそれぞれの休みのスケジュールは?
ここからは、年間休日を計算する式と120日、115日、105日のそれぞれの休みのスケジュールの計算の仕方について紹介します。2021年はうるう年ではないため、1年が365日あります。2021年の年間休日を計算していきます。
年間休日を計算する際に「完全週休2日制」という言葉が出てきます。「完全週休2日制」は、1年のうち毎週2日の休みが必ず設けられているという意味です。
つまり毎週安定して2日間の休みを取ることができます。ただ、曜日の指定はされていないので、土日休みとは限りません。
休日が火曜と日曜だったり火曜と水曜だったりと、休みの曜日が必ずしも土日というわけではありません。
年間休日120日の場合
年間休日120日は平均的な日数です。完全週休2日制で土日休みの場合、105日の休みに加えて15日間の休みを取ることができます。
そのため土日休み以外に夏季休暇や年末年始休暇、ゴールデンウィーク休暇などを取ることができます。それぞれ5日程度の休みが取れる計算です。
カレンダー通りに休むことができるため、プライベートも充実させやすいでしょう。
《年間休日120日の休みの例》
・土日休み:105日
・夏季休暇:5日間
・年末年始休暇:5日間
・その他の祝日:5日間
年間休日115日の場合
週休2日制であれば、年間で10日間程度休むことができます。完全週休2日制で土日休みの場合の年間休日は104日になります。土日休み以外に夏季休暇や冬季休暇、ゴールデンウィーク休暇にそれぞれ3日程度休むことができる計算ですね。土日休みにプラスして、11日分の休日が取得できる計算です。
《年間休日115日の休みの例》
・土日休み:105日
・夏季休暇:3日間
・年末年始休暇:5日間
・その他の祝日:2日間
年間休日115日の詳しい内訳
年間休日115日の場合の休日の内訳パターンを紹介します。
①土日休み・休日出勤
完全土日休みの場合は、たまに祝日出勤しなければなりません。土日休みで104日の休日なので、残りが11日になります。お盆やお正月の休暇を入れると、祝日出勤しなければならない時があります。祝日の振替休日がないという計算になります。
②原則土日休み・時々土曜出勤
原則土日休みで時々土曜か日曜出勤というパターンもあります。祝日の日数が増えると、その休日の代わりとして土曜出勤が必要になります。土曜出勤の際は、その週だけ週6日出勤ということも。つまり月に1〜2回、週6日出勤になるということですね。
③シフト制
次にシフト制というパターンもあります。月の休みが9〜10日かつ、1日の労働時間は大体8時間程度になるでしょう。サービス業でシフト制の場合は、1日8時間労働で週2日休み、さらに長期休暇を得られます。
シフト制の場合は、繁忙期を避けて長期休暇を取得することも多いため、一般的な長期休暇の日時とは休日がずれることも。周りの人と休日がずれることを考慮しなければいけませんね。
年間休日115日のメリット
土日に休める
休日の日数の調整のために土曜日の出勤が求められることもありますが、基本的には週休2日で土日休みの企業が多いです。休日が土日だと、家族や友人と休みを合わせやすいため、プライベートと仕事の両立がしやすいと言えます。
そこそこ休める
年間休日115日は、平均の休日日数よりも休むことができます。労働基準局は最低の年間休日を105日と定めています。その最低の年間休日よりも10日間多く休みを取得可能です。つまり年間休日115日というのは、平均よりも休息を取ることができるのです。プライベートも充実させられるというメリットがあります。
年間休日115日のデメリット
年間休日115日のデメリットはほとんどないですが、デメリットもお伝えします。
連休を取得しにくい
勤務形態によりますが、連休を取得しづらい可能性があります。完全土日休みではなく、シフト制の場合はより連休が取得しにくくなるでしょう。
年間休日105日の場合
年間休日105日は労働基準法で定められた休日の最低ラインの働き方で、週2日だけの休みの取り方です。
土日が完全に休日な場合は、祝日やゴールデンウィーク休暇、夏季休暇、年末年始休暇などは一切ないスケジュールです。
ただ、夏季休暇や年末年始休暇が一切ないスケジュールは現実的ではありません。月に2回土日の休みがある隔週土曜日出勤。
つまり日曜日しか休めない週が月に2回あるということですね。祝日と夏季休暇、年末年始の休暇がカレンダー通りにある感じになります。
《年間休日105日の休みの例》
・土曜隔週休み:85日程度
・夏季休暇:5日間程度
・年末年始休暇:5日間程度
・その他の休み:5日間程度
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年間休日が120日の場合は、夏季休暇や年末年始休暇などプライベートを充実させられる時間を取れる。だが年間休日105日の場合、週の休み以外には基本的に休みがない。プライベートも充実させるには年間休日120日の企業を選ぶのがいい。
年間休日が少ない会社の対処方法
年間休日が少ない会社に勤務している場合はどうすればよいでしょうか?実は法律上、年間休日についての規定は存在しません。
ただし、会社は労働者に週に1度以上の休日を与えなければいけないという規定(=法定休日)があります。
労働基準法によると、年間で52〜53日間の休日は与えなければいけないと規定がありますが、その他の休日には規定がありません。そのため、週休1日制、祝日の勤務は法律的には問題がなく、会社の判断に任されているのです。
ここからは、年間休日を増やすための方法を紹介します。
年間休日を増やしてもらえないか交渉する
年間休日が少ない会社に勤めている場合は、会社に年間休日を増やすように交渉してみましょう。上司や労働組合などに相談して一緒に交渉するのがおすすめです。
代休・割増賃金が貰えないのか交渉する
年間休日数が少ないと、時間外労働をしている可能性があります。労働日数を確認して割増賃金や代休を貰えないのか交渉するといいでしょう。
労働基準監督署に報告する
年間休日を増やしてもらなえないかの交渉や代休、割増賃金の交渉をしても改善されなかった場合には、労働基準監督署に報告するのも手です。労働基準監督署に報告することで、企業が改善してくれることもあります。
転職する
年間休日が少ない場合の対処方法を紹介しました。一人で会社の仕組みを変えるのは非常に難しく、上司や同僚だけではなく弁護士に相談しなければなりません。
周囲の協力を得たとしても非常に時間と労力がかかるため、仕事に集中できない可能性があります。
不満のある職場で長年働き続けるよりも、自分の納得できる新たな場所で働く方が自分のためになるでしょう。
また、体力があるうちは休みがない働き詰めの状態でも気力で頑張れるかもしれません。
ですが、激務を続ければ続けるほど体力的にも精神的にも辛くなってきます。転職をして働きやすい環境で働くのも一つの選択肢ですよ。
年間休日が少ない会社の対処方法
・年間休日を増やしてもらえないか交渉する
・代休・割増賃金が貰えないのか交渉する
・労働基準監督署に報告する
・転職する
転職時に休日数を見る時に注意すべきこと
ここからは転職活動時に年間休日を見る際に注意すべきことをお伝えします。入社してから「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、先にポイントをチェックしておきましょう。
休日数に有給が含まれていないか
休日数を多く見せようと、有給休暇を年間休日数に含めている場合があります。年間休日115日の場合、有給休暇を20日しっかりと取得できるのであれば、1年間で135日休日を取得できます。しかし、転職時の応募要項に「休日120日」と記載し、実際は年間休日115日で、あとの5日は有給取得による休日だと、わかりにくく補足している企業も。
応募要項をチェックする時には、補足の説明がないかをよく見ることが大切です。応募要項は隅々までチェックしましょうね。
有給休暇の取得のしやすさ
有給休暇がしっかりと消化できる職場なのかをチェックすべきです。有給が取りにくい職場だと、「有給が取れるのに、消化しきれない…」という状況になることも。年間休日数と合わせて有給休暇消化率もチェックしてくださいね。面接時に有給所得率を尋ねるのも一つの手ですよ。
転職時には給与だけでなく休日数も把握すべき
この年間休日数は、転職サイトや企業のホームページの求人の募集欄に記載されています。どれくらい休みが取れるのかを把握したい時にチェックすべき項目です。
給与アップを目指して転職活動をする時、年収ばかり気にしてしまいますが、休日の日数も把握する必要があります。前職よりも給与が高く、年収アップしていても、休日が前職よりも少ない場合があります。
年収がアップしていても時給計算すると前職よりも給与が低いという場合もありえるのです。転職時には給与だけではなく、年間休日数も把握すべきなのです。
ただし、面接時の転職理由や志望動機に「年間休日の多い会社だから」と答えるのは避けましょう。勤務条件だけで選んでいると、意欲の低い人だと思われてしまう可能性があります。
年間休日とは、法定休日と法定外休日を合わせた休みで、会社が定める1年間の休日の合計こと。年間休日には有給休暇や特別休暇は含まれない。
まとめ
年間休日の計算方法やそれぞれの年間スケジュールについて説明してきました。
「年間休日が少ない」「毎日激務で休みを取る時間がない」と今の働き方に不満を持っている方は是非キャリチェンのキャリアコンサルタントにご相談ください。
キャリチェンのキャリアコンサルタントは丁寧なカウンセリングをもとに、あなたの希望にあった仕事や職場をご紹介します。是非お気軽にご相談ください。
年間休日についてのよくある質問
Q1:年間休日の定義を教えてください。
年間休日とは、会社が定めている年間の休日日数の合計です。労働基準法で定められた法定休日の他に、会社が独自に定める休日のことを指します。
会社が独自に定めていいため、独立記念日を祝日と定めている会社もあります。
Q2:年間休日に有給は含まれますか?
年間休日に有給は含まれません。年間休日は会社が定めた休日であり、社員全員が同じ日に休日を取得する日です。有給休暇は人それぞれ取得日や取得条件が異なるため、年間休日とは異なります。
Q3:年間休日に国民の祝日は含まれますか?
国民の祝日は必ずしも年間休日に含まれるとは限りません。
会社が国民の祝日を年間休日に指定している場合は休日になりますが、指定していない場合は休日にはなりません。
Q4:年間休日105日の会社より、120日の会社の方が労働条件はいいですか?
年間休日の日数だけで労働条件を比較することは難しいと言えます。
季節や時期によって業務量が大きく異なる業界や業種の場合は、繁忙期を乗り切るために閑散期にまとめて休日を取得してバランスをたもっている可能性もあります。
労働条件を見る際に年間休日を参考にするのはいいですが、年間休日が少ないからといって必ずしも労働条件が悪いとは言えません。年間休日が少ない場合はその理由を面接時に確認しておくのがおすすめです。
Q5:年間休日が多いのは完全週休2日で土日休みという意味ですか?
年間休日が多くても、完全週休2日制で土日休みとは限りません。年間休日は、会社ごとに就業規則で定められているため、休みの曜日や日数も異なります。自分に合った休み方ができるのか注意しましょう。