働きすぎだと言われる日本人ですが、なぜ海外からみると働きすぎだと言われてしまうのでしょうか?本記事では、海外と日本を比べた仕事観・労働状況の問題点を紹介します。
またコロナウイルスの影響によって浮き彫りになった日本ならではの問題点も解説。さらに働きすぎを改善するための方法も紹介しています。日本人って働きすぎなの?と疑問に感じている方必見です。
目次
日本人は働きすぎなのか?海外と比べた労働状況の問題点
よく「日本人は働きすぎ」と言われます。仕事上のストレスや過労が引き起こす「過労死」は日本で生まれた言葉です。海外には「過労死」という概念はなく、今では英語圏でも「karoushi」と伝わる言葉になっているほどです。
過労死問題や長時間労働は数年前に比べて見直されてきているとはいえ、海外と比べた場合の仕事観や労働状況の問題点はどのようなものでしょうか?ここからは、海外と比べた日本の仕事観・労働状況の問題点について解説します。
祝日と有給を合わせると世界各国と変わらない
日本人は働きすぎだと言われますが実は、有給と祝日を合わせた休める日数は、他の国と変わりません。他の国と比べると有給を取得できる日数は少ないものの、その分祝日が多いという特徴があります。つまり、労働日数とその休日数は他の国と変わらないのです。
日本人は有給を取らない
本来、労働日数的な観点から考えると日本も海外もほとんど違いがありません。ではその差はどこにあるのでしょうか。実は、日本人が働きすぎだと言われる理由は、有給取得率が低いからです。
エクスペディアが発表した、世界19カ国を対象に実施した有給休暇に関する国際比較調査の結果では、日本人の有給休暇取得率は19カ国中で最下位の50%。そして、上司が有給の取得に協力的と回答した割合も53%と最下位だったというデータがあります。
取得可能な有給があるにも関わらず、取得しにくい環境にある人が多いことが、日本人が働きすぎだと言われている理由の一つです。
「仕事が忙しいから有給をとっている暇はない」「有給を取ると上司や同僚に迷惑がかかる」「上司や部下が休暇をとっていないから自分だけ有給を取れる雰囲気ではない」のような理由から、なかなか有給を消化できず、そのまま使わずにしてしまう人も多くいるようです。
また、日本人は仕事に対する責任感が高いです。そのため、仕事を個人で抱え込み、仕事をしすぎてしまう傾向があります。日本では仕事を「人」に任せる考え方をしますが、他の国では仕事を「会社」に任せるという考え方をします。
日本人は「人」に仕事を任せる考え方が多いため、業務を担当していた人が業務を休むと、仕事が滞ってしまいます。しかし海外では「会社」に仕事を任せる考え方が一般的なので、担当者が不在でも会社で仕事が回るようになっていることが多いです。
個人に仕事が一任されていることも、日本人が働きすぎてしまう原因の一つです。
日本人はダラダラと仕事をしやすい
日本人はダラダラと仕事をする傾向があります。というのも、日本企業では長い時間、頑張って働くことが良いと評価されやすいからです。日本は残業をして長い時間働いたり時間をかけて作り上げたりすることに価値や仕事観を感じやすい環境があるため、ダラダラと仕事をしてしまうのです。
また「時間をかけなければ成果を出せない」という風潮があります。仕事の成果が出せなかった場合に「残業せずに仕事に本気になれていなかったから結果が出せなかった」「頑張っていなかったから成果が出せなかった」のように、仕事に時間をかけていなかったことが成果を出せなかった原因だと責められてしまう場合もあります。
時間をかけることが頑張っている証と評価されることが多いために、ダラダラと仕事をしてしまう傾向にあるのです。
さらに、ダラダラ仕事をしてしまう原因の一つに、日本人は海外の方と比べて、働くこと以外の趣味を持っている人が少ない風潮があります。海外では、仕事が終われば自分のスキルアップや趣味の時間に割り当て、自分の世界観や経験の幅を広げる方も多いです。
もちろんすべての日本人に趣味がないわけではないのですが、仕事以外の楽しみ方を知らない人が海外に比べて多いと言われています。「仕事以外にすることがない」と感じている人が多いこともダラダラと仕事をしてしまう原因なのかもしれませんね。
ただ日本人は、一つのことにたっぷりと時間をかけて仕事をするからこそ、細やかなサービスを提供できたり、繊細な商品を作り上げたりするのが得意だといういい部分もあります。
「特に意味もないけれど残業してしまう」「長く働くことが頑張っている証拠」という価値観や仕事観をなくすことが大切なのかもしれませんね。
サービス残業が多い
ダラダラと仕事をしやすいことにも関連しているのですが、日本人は他の国と比べてサービス残業が多い傾向にあります。仕事量が多いから残業している人もいますが、上司が残業していて帰宅しにくいから一緒に残業する、仕事が終わってもなんとなく残業しているという方も多いです。無駄な会議や作業が多く、時間を取られやすいために、必要のない残業を強いられている方もいるのです。
嫌な仕事をやらされている感が強い
日本人は「我慢することが偉い」「辛い思いをするからこそ上手くいく」という風潮があり、嫌な仕事も請け負う人が海外と比べると多いです。嫌な仕事をやらされてしまうと、なかなかはかどらず、仕事が進まない場合もあります。
特に、嫌な仕事を断らずに引き受けてしまうと、いっぱいいっぱいになってしまって、仕事が終わらないという事態にも。自分では難しい仕事や忙しくてできそうもない仕事は他の人に任せるなどして、調節しましょう。
日本人は働きすぎなのか?海外と比べた労働状況の問題点
・労働日数は世界と変わらないが有給が取りづらい
・ダラダラと仕事をしてしまいやすい
・サービス残業が多い
・嫌な仕事をやらされている感が強い
世界と比べた日本の働き方
ドイツ:長期休暇が多い
日本では、病欠は有給扱いになりますが、ドイツでは病欠と有給を別々に取得可能です。また、ドイツでは長期休暇取得が一般的で、1ヶ月の長期休暇を取得することもあります。
さらに、日本は個人の責任が高く、個人に対して仕事の責任が集中しがち。自分の仕事ではなくても引き受けることも多いですよね。それに対してドイツは、自分の仕事以外は断る人が多いです。そのため、人に依頼された仕事が溜まって残業が増えてしまう、という日本のような働き方になりにくいことが特徴です。
スウェーデン:働き方改革の先進国
スウェーデンは世界の中でも働き方改革が進んでいる国として有名です。サービス休暇制度があり、介護が必要な親の面倒を見る、キャリアアップのための勉強をする、自分でビジネスを起こす、のような理由でも長期休暇制度を利用できるのです。また子どもを仕事場に連れて行くことも珍しくないため、子育てをしながらでも働きやすいです。
さらに、スウェーデンは残業をせず、6時間勤務の導入も進んでいます。時短勤務を導入しても業務効率が優れているため、労働時間が短いからと言って、国の経済が停滞するとは言えないと判断できます。
アメリカ:個人の仕事の専門性が高い
一人で幅広く仕事をこなす日本と異なり、アメリカは明確に個人の仕事が決められていて、自分の仕事に集中しやすいのが特徴です。そのため自分の仕事が終われば帰宅する人が多いため、残業なしで帰宅する人も多いのです。
働きすぎ問題もコロナによって変わった?日本ならではの問題とは
私たちの生活に様々な影響を及ぼしたコロナウイルス。仕事にも様々な影響を及ぼしました。リモートワークの普及や会社の飲み会、取引先との会食の減少などいい影響もあった反面、日本の職場ならでは問題点も浮き彫りになりました。ここからは、コロナによって浮き彫りになった日本ならではの問題点を紹介します。
在宅勤務ができたのは一部の企業
在宅勤務、リモートワークが推奨されていますが、実際に在宅勤務ができるようになったのは、一部の企業に限られています。もちろん、サービス業や建設業のように出勤しなければ仕事ができない業種もありますが、在宅勤務は可能ははずなのに導入しない企業も多く、結局在宅勤務が可能になったのは一部の企業に限られました。
働く時間と休む時間のメリハリがなくなりやすい
在宅勤務になった方の中には、仕事とプライベートの切り替えが上手くできず、家の中でも常に仕事モード。在宅勤務が始まってから寝れなくなった、家でリラックスできなくなってしまったという方も多いようです。
日本の労働環境へのコロナの影響とは
・在宅勤務ができたのは一部の企業
・働く時間と休む時間のメリハリがなくなりやすい
働きすぎを改善するにはどうすればいい?その方法
ここからは、働きすぎを改善するための改善策を紹介します。
生産性の向上を目指す
生産性を向上させ、仕事時間の短縮を目指すのがいいでしょう。スケジュール管理をする、無駄な会議に出席するのを辞める、無駄な話をするのを辞めるなどを行って、生産性の向上を目せば、同じ労働時間でも効率よく業務をこなせるはずです。日々少しずつ無駄を見つけて、改善していきましょう。
特に在宅勤務の場合は会社で働くのと違い、仕事の全てを自分で管理しなければいけません。スケジュール管理、タスク管理をしっかりと行い、計画的に仕事を終わらせることが大切です。毎日明確なタスク管理をすることで、ダラダラ仕事を続けてしまうのも避けられます。
なんとなく残業をするのを辞める
「上司が残業しているから」「なんとなく帰りにくいから」「残業していた方が頑張っている気がするから」など、なんとなく残業している方もいるかもしれません。なんとなく残業したところで、時間の無駄になってしまいます。業務時間に業務を終わらせられるよう、工夫することが大切です。
会社に交渉する
働きすぎてしまう原因として、そもそも与えられた業務量が多すぎる場合があります。そのような場合は、業務量を減らしてもらえないか、また他の人にその業務をお願いできないかと上司に交渉するのも手です。
また日本人は、タスク消化量よりも、タスクにかけた時間が長い方が評価されがちだとも言われています。時代の流れもあり、変わってきていますが、会社の評価軸にも変化が求められます。
働きすぎを改善する方法
・生産性の向上を目指す
・なんとなく残業をするのを辞める
・会社に交渉する
長時間労働になりやすい職場の場合は転職するのもおすすめ
働き方は働く業界や職種によって左右されやすく、労働時間が長くなりがちな業種も存在します。そのため、個人が生産性を向上させようと努力しても、そもそも業務量が多いためになかなか仕事が終わらないことも。
そのような業界や職種で働いている方は、自分にあった業務量の業界や職場に転職するのもおすすめです。キャリチェンのカウンセラーはあなたにあった働きやすい職場をご紹介します。是非お気軽にご相談くださいね。