グローバル化した現在、翻訳の仕事は私たちの社会にとって必要不可欠な存在です。
私たちの生活に一番身近わかりやすい例は、貿易です。
海外の商品を輸入したり、日本の商品を輸出したりするには、お互いに説明書を母国語に変換する必要がありますし、そうした商品の輸出入をするには、お互いに交渉する必要があります。
今回は、翻訳の仕事の内容や、翻訳家として求められるスキル、やりがいなどについてご紹介したいと思います。
目次
翻訳の仕事を始めるなら何から始めるべき?
翻訳といっても、色々な言語の翻訳がありますね。英語、中国語、韓国語、フランス語、タイ語、アラビア語・・・・。
どの言語でも、基本的な手法は同じです。未経験の場合は、翻訳の仕事を始める際には、以下の手順を踏むのが一般的です。
⑴語学力をつける
⑵語学力を証明する資格を取る
⑶働く場所を決める
語学力が必要なのは言うまでもありませんが、翻訳の仕事は未経験でも挑戦することができ、長く携わっていける、まさに「手に職」系の仕事ですね。
翻訳家になるには、高い言語能力が必要です。
興味はあるけど・・・という感じであれば、大学の外国語学部か翻訳の専門学校に通う必要があります。
言語の習得がある程度できたら、英語の場合は、英検やTOEICを受験したり、また、日本翻訳協会が主催している「JTA公認翻訳専門職資格試験」という試験を受験したりして、言語能力を証明するものを用意しておきます。
その後、仕事に就くのにはいろいろな方法があります。
①就職
翻訳会社は通常、トライアル試験というのがあり、その試験を合格すると就職することができます。
その他には、編集プロダクションや制作会社など翻訳業務がある企業で、アルバイトをして、そこから就職するという方法もあります。
②フリーランス
もっと時間を自由に使いたい!一人でコツコツ仕事したい!という場合は、フリーランスという選択肢もあります。自由度が高い反面、仕事は自分でとってくる必要があるので、信頼されるための高い能力と実績作りが重要になります。
③応募型
主に文芸の分野の翻訳においては、出版物の持ち込み、コンテストへの応募をして、翻訳家としてデビューするという方法もあります。
翻訳の仕事で求められるスキル
翻訳家になるには、単純に言語を知っているというだけでなく、「読解力」「リサーチ力」「翻訳力」など様々なスキルが必要とされます。
「翻訳」は、同じく言語を変換する「通訳」と混同されがちですが、実は大きな違いがあります。
通訳は、即時的に「話し言葉」を変換するのに対し、翻訳は、「書き言葉」である文章を非即時的に変換します。
通訳は、瞬時に、その場の聞き手にきちんと伝わるように変換することが重要なのに対し、翻訳は時間がかけられる分、より正確に、きめ細かく、丁寧に作業する必要があります。
ここでは、翻訳家に必要とされる主な3つのスキル、「読解力」、「リサーチ力」、「翻訳力」にわけてご紹介します。
読解力
まず大前提として、書かれた原文を正確に読み込み、理解する力が重要です。文字通りの理解ではなく、文脈の中での原文の正確な理解が求められます。
分野にもよりますが、専門的な知識を多く求められる分野もあるため、予め得意とするジャンルを決めて、その分野での知識を深めておくと、より正確に読解することができます。
リサーチ力
翻訳をする際には、より正確に理解するために、単語の意味だけでなく、その文章に書かれている内容の文化的背景、歴史を調べたり、事象の事実関係を調べたりと、より入念に情報収集をする必要があります。
専門分野に対する知識だけでなく、日々更新される専門用語への理解を深めるためにも、最新の技術情報などについて自ら学ぶなど、高いリサーチ力が求められます。
翻訳力
原文への理解を深めることができたら、今度はそれを正確に、わかりやすく表現するスキルが必要になります。
そのためには、日本語のスキルも重要で、日本語の表現力が豊かであればあるほど、外国語の表現もより豊かに翻訳することができます。翻訳力は、翻訳の質、作品の質に関わってくるので、とても重要です。
その他、昨今では、通常の翻訳作業はパソコンで行うことがほとんどなので、最低限、基本的なWord、Excelなどのパソコンのスキルも必要とされます。
翻訳家の仕事内容とジャンル
一口に翻訳家といっても、様々なジャンルがあり、ジャンルによって仕事内容や求められるスキルが変わってきます。ここでは、主な3つのジャンル、「文芸翻訳」「実務翻訳」「映像翻訳」に分けて、ご紹介します。
文芸翻訳
文芸翻訳とは、海外小説や、ノンフィクション作品、雑誌から、児童書、歌詞までと、多岐に渡る文芸作品を翻訳するお仕事です。
単純に直訳するのではなく、作品のテーマや、作者の意図に沿って翻訳をするスキルが求められます。
日本語の文体、表現の仕方次第で、作品の雰囲気や芸術性が大きく変わってしまうので、作者の意図をしっかり汲んで、ふさわしい表現で日本語に翻訳することが求められます。
昨今では、AI翻訳の技術の発展とともに、翻訳の仕事はなくなるのではないか、という議論もありますが、特に文芸翻訳に象徴されるような微妙なニュアンスの違いや、深みのある表現を求められるものは、やはり、まだ機械に依存することはできず、人間が行う必要があります。
\AIの発展でなくなる仕事は?/
実務翻訳
実務翻訳は、最も正確さが求められる翻訳です。例えば、製品や機械などのマニュアル、企業内外の契約書、技術文書、学術書などがあげられます。
業界毎に、知識や専門用語が異なるので、通常は、自分の得意な分野に特化します。専門分野に特化することで、その分野の知識を深めることができ、より質の高い翻訳をしていくことができます。
また、実務翻訳の分野は、技術や学問の進歩により、日に日に新しい知識が必要となっていく分野なので、原文の言語に触れるだけではなく、日本語でも色々な文献や書物を読んで情報収集をし、知識をアップデートしておくことが重要になります。
映像翻訳
映像翻訳とは、海外の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどのあらすじやセリフを翻訳していく業務です。
特に、映画やドラマは、会話を多く含むので、その言語特有の言い回し、セリフの裏にある文化的背景に精通していないと、原文理解が難しくなります。そのため、単語の意味だけでなく、翻訳する言語の文化や特有の言い回しなどを広く学んでいる必要があります。
また、映像作品の翻訳は、納品後は日本語の字幕となることが多いので、視聴者が画面で見ていて、パッとわかるような、短文でわかりやすい表現に翻訳していくことが求められます。
翻訳家の仕事のやりがい
翻訳の仕事は、単純に原文を日本語へ訳すということでなく、最先端の情報に触れることができたり、海外の文化を発信できたりなど、様々なやりがいがあります。
最先端の情報に触れられる
特に、技術、金融経済、医療などの分野では、技術や手法が進歩していくので、常に最先端の技術や情報に触れることができます。
同時に、その分野の質の高い翻訳をしていくために、常に最新の情報を収集していくので、自分の専門の分野については、いち早く知識をアップデートしていくことができます。
また、雑誌や商品を扱う分野でも、時の流れとともに流行りや新商品の開発で、最新のトレンドが変わってきます。こうした分野の専門になると、当該分野の流行や売れ筋には誰よりも早く精通することができます。
海外の文化を発信できる
翻訳を通して、背景にある原文の文化圏の文化を知り、季節ごとのイベントであればそれをいち早く、文字を通して味わうこともできます。
特に、文芸翻訳や、映像翻訳の場合は、文化、慣習、宗教などに関連する歴史にも触れる機会が多いです。翻訳の仕事を通して、深めた文化的知識を、今度は日本の読者や視聴者に広めることができるというのも、醍醐味の一つです。
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まとめ
いかがでしたか?
以上、翻訳の仕事の詳しい内容と、求められるスキルをご紹介してきました。
未経験でも、いくつか始める方法があることがわかりました。
また、ジャンルが多岐に渡るので、興味・関心や今までのキャリア経験を活かして、自分が専門とする分野を選んでいくこともできます。
仕事をしながら、新しい知識をインプットでき、常に業界の最先端の情報に触れていられるということも大きな魅力ですね。
翻訳の仕事は、在宅でもできる案件も多く、コロナ禍で外出しにくい時代でも継続してやっていける業種の一つです。
もし、少しでもご興味をもたれ、転職をお考えであれば、是非プロのキャリアコンサルタントである「キャリチェン」にお気軽に相談くださいね。