「時短勤務で働きたいけど、給料はどのくらいになるの?」「どんな人が時短勤務を利用できるの?」などと気になっている方も多いのではないでしょうか?
育児や介護との両立などで、仕事とのバランスから時短勤務を考える人もいらっしゃるでしょう。しかし、時短勤務に変更すると、どれくらい給料が減額されるのかは選ぶ際に大事なポイントとなりますよね。
今記事では、時短勤務の働き方や適用条件、時短勤務で変化する給料、注意点について紹介します。時短勤務の理解を深め、うまく活用しましょう。
目次
時短勤務とはどんな働き方?
時短勤務とは、定められている1日の労働時間を短縮して働く制度のことです。会社によって勤務時間は異なりますが、所定労働時間8時間を6時間に変更するのが主流になっています。
仕事と並行して育児や介護を行う場合、フルタイム勤務では厳しいケースが出てきます。
制度ができる以前は育児・介護と両立して仕事をすることが難しく、「介護離職」という言葉が生まれました。
しかし、近年は夫婦ともに仕事をする共働き世帯が一般的となり、女性の社会進出が進んでいます。
このような価値観や働き方の変化を受け、仕事と家庭とのバランスを取りやすくするため、時短勤務制度を設けることになったのです。
また、時短勤務制度は「育児・介護休業法」によって定められている法律に基づく制度です。この法律に基づき、事業主は時短勤務の導入が義務化されています。2021年6月の改正では男性の育児休業を取得しやすくなり、ヨーロッパのように育児は男女で行うのが普通になっていくでしょう。
時短勤務とは、1日の労働時間を短縮して働く働き方のこと。
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時短勤務の適用条件
時短勤務は、希望すれば誰でも取得可能なわけではありません。では、どのような条件を満たせば時短勤務を利用できるのでしょうか。
時短勤務を利用する場合に満たさなくてはいけない5つの条件を紹介します。
・3歳未満の子供を養育する労働者であること。
・1日の所定労働時間が6時間以下ではないこと。
・日々雇用される者でないこと。
・短時間勤務制度が適用される期間に育児休業を取得していないこと。
・労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
(参照:https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/navi/manual/doc/attention.pdf)
上記5つの条件を満たしていれば、正社員だけでなく、アルバイトや契約社員などの雇用形態の労働者も時短勤務制度を利用することができます。
たとえば、1日6時間以上、週3日以上の勤務をしているアルバイトで、3歳未満の子供を育て、1年以上継続して勤務していれば時短勤務を利用できる可能性があります。
また、介護を目的とする場合にも、時短勤務は利用可能です。要介護状態の家族の介護を行う労働者であれば、時短勤務の対象となります。
時短勤務の給料はフルタイム正社員よりいくら下がる?
時短勤務制度を利用する場合、ほとんどの労働者は給料が下がってしまいます。基本的には、8時間から6時間勤務に変更となると基本給は25%カットとなる場合が多いです。
詳しい金額については、所属する会社の就業規則に定められているため、一概には言えません。まずは所属する会社の就業規則を確認してみましょう。
ただし、歩合給を採用している企業では、成果や出来高で給料が決定するので、時短勤務でも給料が減らない場合もあります。
時短勤務の給与計算方法
実際に時短勤務制度を利用する場合、給与はどのように計算すればいいのでしょうか。計算方法について事例を用いて紹介します。
事例)通常の所定労働時間が8時間の労働者が、時短勤務制度を利用し、実労働時間が6時間となった場合の給与計算方法は以下の通りです。
時短勤務制度を活用する時には、以下にある計算方法にて時短勤務中の月額基本給を計算します。
計算式基本給(月額) × 月の実労働時間 ÷ 月の所定労働時間 |
・時短勤務の給与例
基本給:30万円/月
所定勤務日数:20日
所定労働時間:8時間/日(月の所定労働時間は160時間)
実労働時間:6時間/日(月の実労働時間は120時間)
計算式
30万円 ÷ 160時間 × 120時間 = 22.5万円
上記の計算式のように、通常1日8時間勤務し基本給が30万円の労働者は、時短勤務で1ヶ月(20日間)勤務した場合、基本給は22.5万円です。
実労働時間が25%減った分、基本給も25%減ったということになります。
実際の計算式は、勤務する会社によって異なります。時短勤務制度を利用する際の正確な給料を把握したい場合は、まず勤務する会社の就業規則を確認すると良いでしょう。
また上記は、基本給の計算のみを行なっています。他に手当が出ている場合は受給資格が満たせず、受給できなくなる可能性があります。給与の減額と合わせると家計の痛手になるかもしれませんので、就業規則を細かくチェックしておくと良いでしょう。
時短勤務はいつまで利用できる?
時短勤務はずっと利用できるわけではなく、適用される期限があります。期限は子育ての場合と介護の場合で異なります。それぞれ時短勤務制度を利用できる期限について紹介します。
子育ての場合
時短勤務制度を利用する目的が子育ての場合、対象は「3歳未満の子どもを養育する労働者」と定められています。具体的には、「子どもの3歳の誕生日の前日」までが時短勤務制度を利用できる期限となります。
介護の場合
時短勤務制度を利用する目的が介護の場合、対象期間は「対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間」です。これは事業主の義務となっています。また、介護を目的にする時短勤務制度の利用は、2回以上取得することもできます。
時短勤務の注意点
時短勤務制度を利用する場合、減額される基本給以外にも注意すべき点がいくつかあります。
ここでは、時短勤務制度を利用する際、基本給以外に注意すべき3つのポイントを紹介します。
時短勤務制度の利用を検討する際にチェックし、家計に影響がないか確認しておきましょう。
残業代がなくなる
1つめの注意点は、残業代がなくなってしまう点です。時短勤務制度を利用する前は、1日8時間以上勤務して残業代を得ていた場合、その分が無くなるので注意しましょう。
また、固定残業代や営業手当などの手当を支給されていた場合、職責の変更や労働時間の短縮で減額や支給がなくなる可能性もあります。
ボーナスも減る場合が多い
時短勤務制度を利用している場合、賞与(ボーナス)も基本給同様に減額されることがほとんどです。勤務時間が短縮した分が、賞与も減額されます。
また、時短勤務にあたり役職や職責が変更になった場合は、短縮された勤務時間以上に支給額が少なくなることもあるので注意しましょう。
社会保険料は高いまま
見逃してしまいがちな注意点は、社会保険料です。社会保険料は前年の4〜6月の給与をもとに算出されます。そのため、何も手続きをしないとフルタイムで働いていた期間での社会保険料を徴収されてしまいます。
育児休業から復帰して時短勤務となった場合、「育児休業等終了時報酬月額変更届」の手続きを行いましょう。手続き後、時短勤務で支給される給与に見合った社会保険料へ変更してくれます。
時短勤務を利用する際は、残業代がなくなること、ボーナスが減ることのデメリットがあることに加、「育児休業等終了時報酬月額変更届」の手続きを行うことに忘れないように注意しましょう。
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まとめ
時短勤務とはどんな働きなのか、時短勤務の適用条件、時短勤務の給料はどれぐらい減額されるのか、計算方法、利用できる期限、利用の注意点など、時短勤務について詳しく紹介しました。
いかがでしたでしょうか?時短制度は育児や介護を行っている方を対象とした制度です。働くワーママにとって、活用することで子育てや介護とのバランスを取ることができる魅力的な制度です。
しかし、単純にメリットだけではなく、その分の給料の減額やボーナスが減ることなどのデメリットがあります。ご自身でどちらが自分には良いのか判断してみてくださいね。