皆さんはExcel(エクセル)の条件付き書式という機能をご存じでしょうか?Excel(エクセル)を日々の業務で使う中で、見かけたことはあるが使ったことはないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
Excel(エクセル)の条件付き書式は、表の作成などでよく活用される機能で、活用すると非常に便利なツールです。
今回は、Excel(エクセル)の条件付き書式関連のスキルで覚えておくと便利な、条件付き書式で「複数の条件」を適用させる方法について、詳しく解説していきます。
この機能を活用することで、Excel(エクセル)で作成する表や資料などが格段に見やすくなりますので、ぜひ本記事を参考に実践してみてくださいね。
目次
Excel(エクセル)の条件付き書式とは
Excel(エクセル)の条件付き書式とは、指定した文字列を含むセルを強調したり、「〇以上、〇以下の数字を大きい順にグラデーションをつける」というようなルールを指定したりできる、Excel(エクセル)の便利な機能です。
例えば、下記の画像をご覧ください。条件付き書式で「『田』を含むセルを濃い黄色の文字、黄色の背景にする」と指定しているため、「田中」「本田」「山田」のセルに指定した条件が適用されていますよね。
他にも、範囲を選択してしまえば、以下の例のように「済」という文字列が入力されたセルだけを、一括でグレーアウトできます。
また、指定できるのはひとつの条件だけではありません。
例として
・日付の欄が11月となっているセル
・確認の欄に「済」と入力されているセル
などの複数の条件を設定し、それぞれの選択範囲内で適用させたり、指定した複数の条件すべてに当てはまるセルのみを色付けしたりすることも可能です。複数条件の設定に関しては、後ほど詳しく解説していきます。
Excel(エクセル)で条件付き書式を設定するための基本手順
まずは、条件付き書式を設定するための、基本的な手順からおさらいをしていきましょう。
条件付き書式は、「ホーム」タブ内にある「条件付き書式」をクリックすることで、様々な設定が選べます。
事前に範囲を選択しておくと、設定した条件は選択範囲内のみに適用されます。
今回は、E3セルからE10セルの中で、「済」と入力されたセルのみに色を付ける設定にしてみましょう。手順を解説していきます。
まず、「条件付き書式」の中にある「セルの強調表示ルール」から「文字列」を選択します。
そうすると、下記の画像のような設定画面が出てくるので、赤く囲われた部分に「済」と入力します。
このボックス内では、デフォルトで用意された色の組み合わせからの選択が可能です。
任意の書式を選択したら、「OK」をクリックします。
そうすると、指定した条件に合わせて書式が変更されます。
「済」が赤の文字、赤の背景に変更しており、書式が指定されたことが分かりますね。
詳細な設定やルールの変更・追加をする方法
先ほどは「条件付き書式」のボタンから「文字列」を選びましたが、同じボタン内にある「ルールの管理」を開くと、詳細な設定やルールの変更・追加ができます。
さっそく、「ルールの管理」から詳細な設定をする手順をみてみましょう。
「ルールの管理」をクリックすると、下記の画像のような画面が表示されます。
この中の「ルールの編集」から、先ほど設定した条件や書式を変更します。
ボックスの下部にある「書式」をクリックすると、条件に当てはまるセルをどのように表示させるか、お好きなようにカスタマイズすることが可能です。
「フォント」タブや「塗りつぶし」タブから、簡単に任意の書式を設定できますので、ぜひ試してみてくださいね。
Excel(エクセル)で条件付き書式を設定する|複数条件の場合
少し前置きが長くなってしまいましたが、ここから条件付き書式に複数の条件を適用させる手順をご紹介していきます。
今回は、サンプルとして簡易的なテストの成績表を作成しました。こちらを例に解説をしていきます。
条件付き書式で複数の条件を適用するには、「ルールの管理」から新しいルールを追加していきますが、関数を活用した条件指定も可能です。
まずは、基本的な設定方法を解説していきます。手順としてはとても簡単です。
はじめに「ルールの管理」をクリックし、次に「新規ルール」をクリックしましょう。
ルールの種類(画像の①)を選択し、ルールの内容(画像の②)とその条件に当てはまるセルの書式(画像の③)を設定します。
この方法を活用すれば、「70点以下は赤」「80点以上は緑」といったような、2つ以上の条件を指定し、書式を変更することが可能です。
もちろん「〇点以上〇点以下」のような、指定した数値の間のセルに指定することもできますよ。
関数を利用して複数の条件を指定する場合は、主に以下3種類の関数を活用するのがわかりやすいでしょう。
・IF関数
・AND関数
・OR関数
それでは、それぞれの関数を使った、複数の条件を指定する方法について詳しく解説していきます。
条件付き書式と「IF関数」を利用して複数条件を指定する
まずはじめに紹介するのは、IF関数を利用した方法です。
そもそもIF関数とは、「もし〇〇だったら▲▲を表示、違ったら××を表示」というように、条件に一致するときとしない時で、別の値を表示させることができる便利な関数です。
IF関数はどのように記述するのかおさらいしておくと、
=IF(条件,一致した時の処理,不一致だった時の処理)
このように記述します。
それでは、IF関数を利用して「理科の点数が80点未満の場合、赤に塗りつぶす」という指定をしてみましょう。
まず、書式を設定したいセルの範囲を選択し、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「ルールの管理」を開きます。
「新規ルール」のボタンから新しいルール(条件)を追加しましょう。
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、数式を入力します。
ここでは「=IF(G3<80,TRUE)」と入力しました。
これは「指定した範囲(G3セルの列)の中で、80未満のセルがあった場合に”TRUE”と返してください。」という意味です。
条件を指定するだけであればIF関数だけを利用しますが、「赤く塗りつぶす」という設定までできるのが「条件付き書式」の機能ですので、最後に忘れず書式も設定しましょう。
今回は書式を「赤い背景」に設定しました。
【OK】を押すと、「TRUE」として認識されたセルが赤く塗りつぶされるようになりましたね。
条件付き書式と「AND関数」を利用して複数条件を指定する
AND関数は「条件①、条件②、条件③…」と、複数の条件すべてにあてはまることを指定できる方法です。つまり、条件はいくつでも指定することができ、すべての条件が成立した場合のみ正解とします。複数の条件に対応させたい場合は、下記のように条件をカンマ区切りにして書き足していきます。
=AND(条件1, 条件2, 条件3,・・・)
ここでは、AND関数で、「国語、数学、英語すべてで60点以上をとっている行を緑に塗りつぶす」という指定をしてみます。
さっそく手順を解説していきます。
IF関数の時と同様に、書式を設定したいセルを範囲選択した状態で、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「ルールの管理」を開きましょう。
次に「新規ルール」ボタンをクリックします。
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、数式を入力しましょう。
ここで入力する数式は「=AND($D3>=60,$F3>=60,$H3>=60)」となります。
ポイントとなるのは以下の3点です。
・D3(国語)の列、F3(数学)の列、H3(英語)の列名の前に「$」をつけて列を固定
・「>=」の記号を使い、60以上を指定
・「,(カンマ)」で条件ごとに区切る
ちなみに、比較演算子の意味は下記の通りです。
『>』…より大きい
『<』…より小さい
『>=』…以上
『<=』…以下
『=』…等しい
『<>』…等しくない(~ではない)
任意の書式を選んで【OK】を押します。そうすると、国語、数学、英語すべての点数が60点以上の行が、自動的に緑に塗りつぶされるようになりましたね。
条件付き書式と「OR関数」を利用して複数条件を指定する
最後に紹介するOR関数は、「国語または数学で60点未満」というような条件指定を適用できる関数です。つまり、OR関数は複数指定した条件のうち、どれかの条件が成立すれば正解とします。AND関数のときと同様、複数の条件に対応させたい場合は、下記のように条件をカンマ区切りにして書き足していきます。
=OR(条件1, 条件2, 条件3,・・・)
条件付き書式とOR関数を組み合わせると、「国語または数学で60点未満の場合、行を赤に塗りつぶす」といった設定が可能になります。
さっそく実践してみましょう。
まずは、これまでと同じように、書式を設定したいセルの範囲を選択して、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「ルールの管理」を開きます。
条件付き書式ルールの管理ダイアログボックス内の「新規ルール」をクリックしましょう。
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択して、数式を入力します。
OR関数で「国語または数学で60点未満」と指定するので、数式は「=OR($D3<60,$F3<60))」となります。
「$」で国語と数学の列(D3セルとF3セル)を固定するのは、AND関数のときと同じですね。
任意の書式を選んで【OK】を押します。そうすると、国語、もしくは数学の点数が60点未満のセルを含む行が赤く塗りつぶされました。
条件付き書式と「AND関数」と「OR関数」を組み合わせて複数条件を指定する
AND関数とOR関数を組み合わせて、より複雑な条件を指定することもできます。
例えば、「国語と数学の点数が80点以上で、英語または理科が80点以上」を色付けしたい場合は、「国語と数学の点数が80点以上」という条件をAND関数、「英語または理科が80点以上」という条件をOR関数を使って以下のように表現しましょう。
=AND(AND($D3>=80,$F3>=80),OR($G3>=80,$H3>=80))
このようにAND関数とOR関数を駆使すれば、より高度な条件式をつくることができます。
条件付き書式の複数条件を利用して空白セルを分ける
ランダムに空白のセルを含んだ表を例に、条件付き書式を適用している場合に「空白のセル」をルールから除外する方法をご紹介します。
もちろん、複数条件を利用している場合にも有効です。
さっそく手順を解説していきます。
まず、セルを範囲選択した状態で、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「ルールの管理」を開き、「新規ルール」をクリックします。
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択しましょう。
数式の入力欄には、「=$D3=””」と入力をしますが、少しわかりにくいので順を追ってみていきましょう。
まず、「=(イコール)」を入力したら、選択した範囲の先頭をクリックします。
そうすると「=$D$3」と入力されるので、2つめの「$」を外します。「F4キー」を2回押すことでも同じ動きが可能です。
続いて「=””」と入力します。「””」ダブルクォーテーションは間に表示したい文字を記入するものです。今回は何も記入していないため、空欄を意味する記号です。
書式は何も設定せずに「OK」をクリックしたら、「条件を満たす場合は停止」に必ずチェックを入れましょう。
「適用」「OK」をクリックして完了です。
ルールの管理には、空白を除くというルールと、そのほかの条件付き書式のルールの2つ以上のルールが並ぶかたちになります。
そのほかのルールはランダムに設定してみましたが、空白セルがきちんと除かれていることがわかります。
まとめ
今回は、条件付き書式で複数の条件を適用する方法をご紹介しました。
条件付き書式や関数と聞くと、難しそうなイメージがを思い浮かべるかもしれませんが、意外と簡単だったのではないでしょうか。
条件にあてはまるセルの書式を変更したい場合は「IF関数」、複数の条件すべてにあてはまるセルの書式を変更したい場合は「AND関数」、複数の条件のうち、どれかにあてはまるセルの書式を変更したい場合は「OR関数」のように、用途によって関数を使い分けましょう。
条件付き書式は、表を作成するうえでもよく使う機能です。
ぜひ使い方をマスターして、お仕事などで活用してみてくださいね。