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「小職」は平社員が使えない?正しい使い方を徹底解説!

ビジネスシーンで「小職」という言葉を見たことがありませんか?「小さい職…?」と不思議に思っている方も多いはず。今回は「小職」の正しい使い方や、「小職」を使うことで持たれるイメージ、そして同じように自分自身を呼ぶときに使える類語などを徹底解説していきます。実は平社員は使えない「小職」、そして人によっては「気持ち悪い」という印象持っており、使い方には注意したい言葉の1つなんです!

目次

「小職」とはどんな意味?

「小職」の意味と読み方

「小職」には2つの意味があります。

1つは地位の低い官職のこと、もう1つは官職についている人が自分のことをへりくだって呼ぶときに使う呼称です。官職とは国家公務員に割り当てられる職のことです。そのため「小職」はもともと、国家公務員のなかで使われる言葉でしたが、いつからか民間企業の中でも使われるようになったのです。

読み方としては「しょうしょく」となり、同音異義語で「少食」と同じになりますが、イントネーションが少し違います。「小職」の場合は「小」の語尾が上がり、「職」の語尾が下がります。「しょう↗しょく↘」です。

実はうざい⁉「小職」の使い方とそのイメージ

「小職」の使い方

今回ビジネスシーンで使われる「小職」の解説としては、2つめの「自分のことをへりくだって呼ぶときに使う呼称」としての使い方です。

日本語は敬語として「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があり、これら3つの種類に分けられます。

まず相手の呼称や相手がする動作を表す言葉を上げることで敬う「尊敬語」、次に自分の呼称や自分がする動作を表す言葉を下げることで、事実上相手の立場を上げて敬う「謙譲語」、最後に言葉を丁寧に表す「丁寧語」です。

「小職」は自分のことをへりくだる、つまり自分の呼称を下げて、相手の立場を上げることで相手に対して敬いの気持ちがあることを表す言葉です。

使い方としては、自分のことを呼ぶときに使います。「職」とついているので、自分が属する職種のくくりとして使ってしまう人もいますが、それは間違いです。

また、もともと国家公務員である官職に就いている人が自分のことをへりくだっていうときに使う言葉だったため、民間企業の管理職についている人が使うのが一般的です。平社員が「小職」を使うのは避けたほうがいいでしょう。

「小職」が持つイメージ

民間企業の管理職についている人が自分のことを呼ぶ際に使うことがわかりましたが、「小職」を使うと「うざい」「気持ち悪い」と思う人が一定数いると言われています。インターネット上では「メールで小職を使う人は面倒くさい」というつぶやきが一時話題となりました。

というのも「小職」は自分のことをへりくだっていう言葉ですが、平社員ではなく「管理職に就く人間が」自分のことをへりくだっていう言葉であるため、少なからずその人自身が管理職であることを自負しているのが見え隠れするわけです。そういった点から「偉そう」と思われたり、「うざい」「気持ち悪い」「面倒くさそう」というイメージがついているのでしょう。

女性でも使える?「小職」を使うときの注意点とポイント

①男女関係なく使える

ビジネスシーンで使う呼称の中には男性にしか使えないものなどもありますが、「小職」の場合は女性が使っても問題ありません。

「小職」という言葉からなんとなく男性が使うイメージが出てくるのは、もともと小職という言葉を使う官職(国家公務員)に就く女性が少なく、男性が官職に就くイメージがあるからです。また、男性が自分をへりくだって呼ぶときに使う「小生(しょうせい)」と響きが似ているため、「小職」が男性を指す言葉であるイメージが生まれているのでしょう。

②目上の人に対する連絡でも使える

「小職」は自分の役職や立場を低くして相手を上げる言葉であるため、目上の人と連絡を取る中で自分のことを呼ぶときに使うことはできます。言葉の意味としては失礼には当たりません。

しかし、前述したように「小職」は「ある程度の地位に自分はいる」という自負が見え隠れする言葉であるために、人によっては「偉そう」と捉えてしまう場合があります。そのため目上の人とコミュニケーションを取る際に、わざわざ自分のことを「小職」と呼ぶ必要はあまりないでしょう。むしろ「私」と読んだ方が無難です。

③平社員は使わない

よく間違えて使う人が多い点ですが、民間企業のビジネスパーソンが使う場合、役職についていない平社員は使えません。また企業によってはある程度の年次になると、全員に「係長」などの役職がつくケースもありますが、こういう場合も「小職」が使える立場とはいえません。そして管理職になったからといって、まだ日が浅いうちに使うのも「偉そう」と思われる要因になるので避けましょう。

④メールなどの文章で使うことが多い

「小職」は「少食」「小食」「昇職」「消色」など同音異義語が多いため、会話の中で使うとわかりにくいという点があります。そのためメールなどの文面で使われることが多いです。

⑤場合によってはビジネスシーンでは不向きなことも

民間企業にも広まってきている「小職」の呼び方ですが、辞書はいまだ「官職についている人が自分をへりくだって呼ぶときに使う言葉」としています。そのため、企業や人によっては「小職」を官職でない民間企業の社員が使うのは誤用と判断している場合があり、進んで使うような呼称ではないと言えるでしょう。

【例あり】正しく「小職」を使うとどんな感じ?

では実際に、どのような場面で「小職」を使うのか見ていきましょう。

①郵便物を送ってほしいとき

よく使われるのが、郵便物などを自分宛てに送ってほしいときです。

「自分宛て」ではなく、自分を下げて「小職宛」ということでへりくだった表現にします。郵便物のみならずFAXやメールなどにも使えます。自分は使わなくても、相手が「小職宛にお送りください」と連絡をしてくる可能性がありますから、覚えておきましょう。

【例】

・来週の会議で使用予定の資料は、小職宛に郵送ください。

・先ほど送付いたしました資料を確認いただき、小職宛にご回答のご返信をお願いいたします。

②連絡事項があるとき

自分は会議に出られないなど、自分の事情を誰かに伝えるときに、へりくだって使うことで低姿勢である雰囲気が伝わります。ただ、目上の人に対して連絡するときに「小職」は進んで使わないほうがいいため、あくまでも自分と同等の人、もしくは目下の人に対して使うことを想定しましょう。

もし目上の人が自分自身を「小職」と呼んで丁寧に部下である自分に連絡してくれら、その人に対して「部下に対しても丁寧に接してくれる人なんだな」と思うかもしれません。敬語にはそうした円滑にコミュニケーションをするための効果があるわけです。

【例】

・小職からお渡しした資料に関しまして、お目通しいただけましたか。

・本日午後から出張のため、小職はこちらの会議を不参加とさせていただきます。

・来月の小職の出社予定は次のとおりです。

・小職体調不良のため、午後から休みをいただきます。

③自己紹介

異動先や転勤先などの社内でのあいさつや、取引先の新しい担当者になった際のあいさつなどでも使えます。特に「小職」を主に使う公務員の職場では、見かけることが多いでしょう。

【例】

・小職は、この度4月より地域安全課に転属になりました〇〇と申します。

・半人前な小職ではございますが、今後ともよろしくお願いいたします。

④締めの挨拶

メールの締めの言葉は相手との関係性を構築する上で、重要なポイントです。

やり取りの最後に「私はあなたに対してこういう風に頑張っていきたいです」と述べると、相手に対する積極性が伝わります。その際、自分を指す言葉として「小職」が使えます。

【例】

・小職も貴社のお役に立てるよう尽力してまいりますので、引き続きご協力を賜りたくお願い申し上げます。

「小職」を言い換えたい!自分を指すときの言葉とは?

「小職」が官職についている人の間で使われる言葉であり、民間企業のビジネスシーンではあまり好まれて使われないことがわかりました。では、ビジネスシーンで自分を指すときにどんな言葉が使えるのか押さえていきましょう。

「私共」

読み方は「わたくしども」で、自分、もしくは自分が属する集団をへりくだって指す言葉です。

「共」がついていますが、これはへりくだった気持ちを表す言葉であるため、自分自身を指す一人称としても使えます。男女関係なく、役職関係なく、そして誰もが理解できる言葉なのでビジネスシーンで呼称する際に使える便利な言葉の1つです。

【例】

何かございましたら、私共にご依頼くださいませ。

「私」

読み方は「わたし」もしくは「わたくし」で、男女関係なく自分自身を指すときに使える言葉です。「わたくし」の読み方になると、改まった雰囲気になり、目上の人とのコミュニケーションの際に使いやすいです。役職や官民を問わないため、ビジネスシーンでは「私」呼びがおすすめです。

【例】

今回は私が担当させていただきます。

「弊社」

読み方は「へいしゃ」で、自分が所属する会社をへりくだって指すときに使う言葉です。

取引先で自分の会社の話をするときによく使われる表現です。

【例】

弊社からはこちらのプランを提案させていただきます。

「当方」

読み方は「とうほう」で、自分の属している方、自分の方という意味があります。

一人称でも使えますが、イメージとしては「自分が属しているグループや組織のほうへ」という雰囲気が強いです。「小職」のようなへりくだった表現はありません。

【例】

ご不明点やご相談などございましたら、当方までご連絡ください。

「下名」

読み方は「かめい」で、自分をへりくだって指すときに使う言葉です。

男女問わず使うことができ、メールなどの文章でよく使われます。少し堅苦しい雰囲気になりますが「私」などの一人称が使いづらい場面で活躍する言葉です。しかし「以下に記した氏名」という意味もあるため意味を混同してしまうこと、そしてあまり一般的に浸透して使われている言葉ではないため、積極的に使わないほうがいいかもしれません。

【例】

先日発生した件につきましては、下名が対応させていただきます。

「弊職」

読み方は「へいしょく」で、自分のことや自分が属しているものを謙遜するときに付ける「弊」と、自分の職務を表す「職」を合わせて出来た言葉と言われています。そのため辞典などには載っていません。使い方としては自分が属する職種や職務を指すときに使います。しかし一般的な言葉ではないので、使用するのはあまりおすすめではありません。

「小生」

読み方は「しょうせい」で、男性が自分をへりくだって指すときに使う言葉です。

口語としてはあまり使われず、主に手紙やメールなどで使います。また「小職」と違って役職についている・ついていないに関わらず使えますが、基本的には自分と同等の立場の人か目下の人とコミュニケーションを取るときに使うため、目上の人や取引先の人とのやり取りの際に自分のことを「小生」と呼ぶのは不適切です。

【例】

退職後は臨時の職員として、小生も変わらず充実した日々を過ごしております。

「当職」

読み方は「とうしょく」で、この職業、この職務という意味を持つ言葉です。

しかしビジネスシーンでは、弁護士や税理士、行政書士など「士業」と呼ばれる職業に就く人が自分自身や自分の職務を指すときに使うことが多いです。そのため民間企業の社員や公務員はあまり使いません。「小職」のようにへりくだった表現はなく誰でも使える言葉です。

【例】

当職の慣例では、現時点での報酬は発生いたしません。

「本職」

読み方は「ほんしょく」で、「本職は医者です」のようにその人が主とする職業のことを指したり、「これは本職に任せよう」のように何かを専門とする人のことを指すときに使います。また公務員が自分のことを指すときにも使う言葉です。「小職」とは違い、役職のあるなしは関係ありません。

なお、イントネーションの違いで①職業を指す「本職」か、②公務員が自分を指す「本職」かに分かれます。一般的によく使う①は平坦、もしくは「しょく」にアクセントを置きます。一方②の場合は「小職」と同じように「ほん↗しょく↘」の読み方になります。

まとめ

自分をへりくだって呼ぶときに使う「小職」について解説してきましたが、いかがでしたか。民間企業の管理職の間で使われるようになっているものの、まだ「官職」のイメージがついていたり、人によっては「偉そう」に聞こえてしまう言葉であることがわかりました。ビジネスで積極的に使える言葉ではありませんが、「小職」という言葉を目にした時には、その人自身を指す言葉であるということを覚えておきましょう。