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退職したいと思ったら 何ヶ月前が理想なの?退職における「?」を解決

今の会社から退職しようと決心できたら、会社にはどれくらいの期間で申し出る必要があるのでしょうか。会社の就業規則によっては1ヵ月前や3ヵ月前、まれに6ヵ月前からといった場合もあり、どのタイミングで申し出れば良いのか不透明でよくわからないという方も居ると思います。退職の申し出に対して、法律で決められていることはあるのか、また、どのような内容なのかについて紹介します。ほかにも、退職を申し出る前に留意したい点についても解説。社会人としてのルールを知り、常識に則った退職をするためのヒントに役立ててください。

目次

退職する前に知っておきたい3つのこと

心に決めた退職。でも、就業規則に則った期間内に申し出るだけで本当に退職できるものなのでしょうか。ここでは退職する際に知っておいてほしい3つの項目について解説します。

退職までに必要な手続きがあることを知る

退職をするまでに必要な項目を図にしてみたので見ていきましょう。

退職の意思を伝えたら、退職願の提出、そして現在の仕事の引き継ぎ作業を行う必要があります。会社に返却しなければならないもの、提出するものがあればその都度対応し、あわせて会社から受け取るべきものを受け取ったあと、退職をするといった流れになります。この時系列を見るだけでも、1ヵ月で終わるようなものではないことがわかります。会社側で用意すべき書類や健康保険の解除などの手続きの関係から、やはり3か月以上前の申告は必要であることが見て取れるでしょう。

会社に返却・提出するものがないかをチェック

上図にある会社に返却・提出しなければならないものは以下の通りです。

退職願
健康保険証被保険者証
会社より支給された備品
業務に関わる全ての資料
パソコン
ハンコ
携帯電話
社員証
社章
名刺
制服

社費で購入したものは、消しゴムやノート、ボールペンなどの文房具でも、返却する必要があります。どれだけ中途半端な残量のものでも自分で費用を出したもの出ない場合は、必ず返却するようにしましょう。健康保険被保険証については退職日まで使用可能です。ただし、退職した翌日からは健康保険被保険者証は使用できない決まりになっています。退職日の夕方までには郵送などを使って速やかに返却するようにしましょう。扶養している家族がいる場合は、家族の健康保険被保険者証も忘れずに同封しましょう。

会社から受け取るものをチェック

同様に上図にある会社から受け取るものは以下の通りです。

離職票
退職証明書
源泉徴収票
雇用保険被保険者証
年金手帳

離職票

失業保険や失業手当を申請する際にハローワークに提出するための書類です。離職票の発行は公的機関を通して発行します。そのため早めに会社に申し出ておくことでスムーズに発行できます。くわえて退職後の失業手当の手続きも行えるようになりますから、発行に日数が掛かることをあらかじめ考慮して申請しましょう。

退職証明書

退職を証明する書類です。転職活動で次回企業へ面接・就職する際に必要になる場合があります。会社が独自に発行する書類であるため、すぐに受け取ることができます。

源泉徴収票

源泉徴収票とは1年間の給与総額とそのために支払った税額が記載された書類を指します。源泉徴収票の交付は退職日から1ヵ月以内が主です。年内に退職をする場合は1年間の給与総額が未確定なため、源泉徴収票を会社から受け取り転職先へ提出します。新しい職場に入社する際、年をまたいでいる場合は、自分で確定申告をする必要があります。その際も、源泉徴収票が必要になりますから、紛失しないように大切に保管しましょう。

雇用保険被保険者証

雇用保険に加入していることを証明するための書類を雇用保険被保険者証と言います。従業員の手に渡り、紛失してしまうことがないよう会社が保管していることが多いため、受け取り忘れのないようにしっかりとチェックすることが重要です。

年金手帳

年金手帳は厚生年金に加入していることを証明するための手帳(書類)です。年金手帳は本人が保管することもありますが、紛失などを予防するため企業側で保管するケースもあります。自宅や自分の手元に確認できない場合は会社に確認しましょう、

退職における規約を確認する

雇用期間に定めのない従業員に関する自己都合退職においては、民法第627条1項により以下のように定められています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する

引用URL:ベリーベスト法律事務所 新潟オフィス

わかりやすく解説すると、雇用期間に定めがない従業員の自己都合退職の場合は、労働者の退職日の2週間前までに申告することで就業規則に関係なく退職できると言えるのです。

民法に限ることなく、法律は個社(企業それぞれ)によって就業規則に優先することになっています。要するに、企業の就業規則に『退職する場合は3ヶ月前までに申し出る必要がある』などの記載があったとしても、それらは基本的には無効になると考えられるのです。実際の話として、

「退職の申し出は1ヶ月前まで」と明記した就業規則は無効とし、2週間前までの申し出により退職できるとした裁判例もあります。

引用URL:ベリーベスト法律事務所 新潟オフィス

このような事例もあることから、就業規則にはしっかりと目を通す必要がありますが、退職に関する月数は、基本的に2週間前と認識して良いと言えます。ただし、これは雇用期間に定めのない従業員に関する自己都合退職に対して規定したものです。

期間の報酬が定められた従業員、いわゆる給料制の従業員の場合はどうなるのでしょうか。民法第627条3項には、

6ヶ月以上の期間によって報酬を定められている場合の解約の申し入れは、3ヶ月前にしなければならない

引用URL:ベリーベスト法律事務所 新潟オフィス

と規定しています。このことからもわかるように、6ヶ月にわたって給料制として規約を交わした従業員が退職をする場合については、就業規則が有効となるのです。そのため、就業規則が『退職の3ヶ月前までに申し出る必要がある』と規定されていれば、その規約を遵守しなければなりません。

退職を申し出る際に気を付けること

社会人の一人として退職の手続きを円滑に進めるためにはどのような注意点があるのでしょうか。ここでは、

  • 会社に退職を引き止められたとき
  • ライバル企業や同ジャンルの企業へ転職をするとき
  • 退職の申し出を拒否されたとき
  • 退職理由をしつこく聞かれたとき

と、退職する際に見られる4つのシーンの対処法について解説します。できることなら円満に行いたい退職ですが、こういった注意点を知ることで、スムーズに対処できるようになります。

会社に退職を引き止められたとき

意を決して退職の申し出をしたのにもかかわらず、会社側から「辞めてほしくない」「もう少しいてほしい」と引き留められることがあります。稀に「給料をアップさせるよう上に伝えるから」など、おいしい話を持ち出してでも引き留めようとするケースも少なくありません。このように、お世話になった会社から退職を引き留められると、今までの思い出などがよみがえり、「退職、もう少しだけ待った方が良いかな・・・・・・」と思い直してしまうこともあるでしょう。けれども、意を決して退職を申し出たことには、必ずそれなりの深い理由があることを忘れてはなりません。退職を考えた理由を今一度しっかりと思い出し、そのうえで引き留めてくれたことに感謝を伝えつつも、自分の意思は固いことを伝えましょう。たとえ引き留められた場合に退職を取り消し残留したとしても、一度退職を申し出たことによって周囲や上司への印象良くありません。引き留められる=上司の一時のやさしさであることを受け止め、丁寧な対応で退職を伝えましょう。

ライバル企業や同ジャンルの企業へ転職をするとき

次回の転職先が決まったうえで退職を申し出た場合、「次はどの職に就くのか」「どの企業に属すのか」を聞かれることがあります。次回の転職先が現在のライバル企業や同ジャンルの企業だった場合は、なかなか言い出せないものがあり、かえって印象を悪くするのではないかと気にかける人も少なくないでしょう。同業種の場合やライバル企業に転職が決まったとしても、誰にも公言せず、「まだ決まっていません」「これからじっくり探していきたいと思っている」といったように、うまくはぐらかすことが重要です。というのも、同業種やライバル企業に転職が決まったことが周囲に知られてしまうと、現企業の作業内容や機密事項を漏らすのではないかといった疑惑をかけられることがあるからです。本人としてはそのつもりが一切なくても、そのように悪い方向に捉えられかねない内容であるのです。同業種ではなくても転職先がすでに決まっている場合は、同僚や上司には一切公言しないことがトラブル回避につながると言えます。

退職の申し出を拒否されたとき

長きにわたって働き、そのうえで自分には合わないと感じ退職を申し出たとしても、拒否されてしまうこともあります。上述したように「給料をアップさせるように上に掛け合ってみるから」といったメリットとなるような文言で引き留められることもあれば、「キミがいなくなることによって他の人の作業が増える。残業代を出さなければならない。キミが辞めるによって大きな損失を被る」などといった脅しのような文言で引き留めてくることもあります。しかしながら退職も労働者の権利のひとつであるため、どのような文言で退職の申し出を拒否されたとしても、動じる必要はありません。どちらかと言えば、脅しのような文言や実現しようもないポジティブな文言によって、退職をいつまでも拒否される場合はさらに上の上司、または人事部へ相談しましょう。それでも拒否されてしまうのであれば、拒否されている状況が確認できるあらゆる証拠を持って労働基準監督署へ向かいましょう。ただ、労働基準監督署へ証拠を持って出掛け、さらに詳しい話をしたり伺ったりすることによって、必要以上の時間が掛かってしまいます。できるだけ速やかに退職を希望するのであれば、退職代行サービスの利用を考慮しても良いでしょう。退職代行サービスの利用相場は3万円~5万円と言われています。退職に対してなかなか理解が得られず、精神的に疲弊している場合は退職代行サービスに相談することをおすすめします。

退職理由をしつこく聞かれたとき

退職の意思を伝えた際に「どうしてそう思ったのか」についてしつこく聞かれる場合もあります。たとえば退職の理由が人間関係や作業など、会社に対してのネガティブなものが起因となっている場合は伝える必要はありません。その理由は、退職するまでの数か月の間、同僚や上司との関係が最悪なものとなり、居心地が悪くなってしまうからです。もっというと、物の返却や受け取りの際、上司から嫌味を言われる可能性も0ではありません。業務の引き継ぎを行わなければならないときに、同僚の態度が気になってしまい、スムーズに引継ぎできなくなってしまう可能性も生まれてしまうのです。退職を申し出る場合は、「一身上の都合」「これからの将来を見据え、スキルアップできる場所を見つけたい」など、ch苦節的な理由が会社にはないと思ってもらえるような文言で伝えるのがマストです。ほかにも、「会社で身に付けたスキルをいかし独立してみたい」など、会社にとってもポジティブに感じられる理由であれば、伝えても問題ないと言えます。

社会人としてのマナーを知り、スマートな退職を心掛けよう

雇用条件によって退職の申し出は異なることがわかってもらえたかと思います。ほかにも、退職に際し、返却しなければならないもの、受け取らなければならないもの、やらなければならないことなどがあることも理解してもらえたかと思います。さまざまな事由によって退職を決めたのであれば、自分の意思を尊重し、しっかりと意思を伝えることが需要です。しかし、会社内部の原因からの退職については、退職までの数か月の間、ストレスの原因にならないためにも、その理由は話さない方が賢明と言えるでしょう。この記事を通じて、社会人としてのルールを把握し、スマートな退職ができるよう応援しています。