職場で目上の方に助けてもらったとき、つい「助かります」と言ってしまう方はいませんか?
実はこれ、言葉遣いに厳しい先輩や上司から注意される可能性があるのです。
なぜなら、「助かります」という言葉は少し上から目線と感じられる表現だからです。
せっかく助けてもらったのに、人間関係に影響を及ぼしてしまうなんてイヤですよね。
このように敬語だと思って使っていたら実は違っていた、なんて言葉は実は多いのです。
そこで本記事では、「助かります」という言葉の意味や正しい使い方、別の言い方について具体例を交えて解説します。
本記事を読んでいただければ様々なシチュエーションでの使い方を知ることができ、今後正しい使い方ができるようになるでしょう。ぜひ参考にしてくださいね。
目次
「助かります」は敬語?
「助かります」は「助かる」という動詞に丁寧語である「ます」がついているので、基本的には問題なく使える言葉です。
しかし、「助かる」という言葉を正確に理解しておかなければ、使うシーンや相手を間違う可能性も。
「助かる」には「相手が自分を助ける役目である」といった意味が含まれています。
つまり、相手に労いの言葉を伝えていることになるのです。
目上の人に労いの言葉をかけるのはおかしいので、伝える相手は同僚・後輩に限ります。
敬語であっても目上の方に使うべき言葉ではないことを覚えておいてください。
「助かります」は丁寧語
「助かります」は「助かる」の丁寧語であることはすでに説明した通りです。
丁寧語はその名の通り聞き手に対して丁寧に述べる敬語で、相手に対して敬意をもって話すときに使われます。そのため、「助かります」を会話の中で使うのは問題ありませんが、 自分より立場の高い方や上司に対して使うことは失礼です。
繰り返しになりますが、「助かります」は自分と同等の地位である人や後輩と会話をする際に使うようにしましょう。
「助かります」の意味は?
「助かります」は「助かる」という動詞の丁寧語なので、意味は「助かる」でみていきます。
1.死や危険な状態から免れる
・この怪我では助かるまい
・奇跡的に助かる
2.被害・災害に遭わなくて済む
・物置が焼けただけで母屋は助かった
3.労力・費用・負担などが少なくて済む
・手伝ってくれるので助かる
・物価が安くて助かる
このような意味合いをもつ「助かる」にです・ますがついたことで「助かります」は丁寧な表現にはなっていますが、「助かる」は自分が主語になる言葉であり、相手が補佐に回るという意味になります。そのため、目上の人に使う敬語としてはふさわしくないのです。
「助かります」の使い方
続いて「助かります」の正しい使い方を解説していきます。シチュエーションに応じた使い方を知り、日ごろのコミュニケーションに積極的に取り入れてみてくださいね。
依頼やお願いをするとき
相手に依頼やお願いをするときは、誠実な人だと思ってもらうことが重要です。
丁寧な言葉遣いを心掛け、相手への配慮を忘れないように。
また、唐突に「お願いします」や「してください」のような言い回しは避けたほうが無難です。
丁寧に聞こえるので使いやすい表現ではありますが、依頼の目的や理由を伝える前に使ってしまうと命令口調で上から目線と受けとられる可能性があります。
そこで「助かります」を使った例文を紹介します。
例文「~いただけると助かります」
「部長、本日中にこちらの資料を確認していただけると助かります。」
「来月の新年会は〇〇さんに幹事をお引き受けていただけると助かります。」
感謝やお礼をするとき
人から親切にしてもらった時、きちんとお礼をすることはとても大切です。「ありがとう」という言葉は言うまでもなく、感謝やお礼の伝え方には様々な表現があります。「助かります」を上手に使って感謝やお礼の仕方をマスターしてください。
例文「大変助かります」
「◯◯さんはいつもメールのお返事が早いので、非常に助かります。」
「部長は会議での説明がわかりやすいので大変助かります。」
例文 「非常に助かります」
「駅まで送って頂き、非常に助かります。」
「重たい荷物を持ってくださり、非常に助かります。」
「助かりました」は終わったことに対して使う
「助かりました」はすでに終わったことに対して使います。
あわせて感謝の気持ちを込めることでより誠実さが伝わります。
「非常事態で焦りましたが、先輩がいてくださり助かりました。ありがとうございました。」といったようにしっかりと感謝の気持ちを伝えるときは、「助かりました」だけではなく「ありがとうございました」も言いましょうね。
注意|上から目線に感じられることもある
すでに説明したとおり「助かります」は「助かる」に丁寧語の「ます」が付いているため、正しい敬語です。
そして、友人や同僚、目下の人に対して使うのは問題ありませんが、お願いするときや感謝するときには目上の人に使うべきではないことも理解していただけましたよね?
「助かります」を目上の人に使うべきでない理由は「助かる」という言葉に主従関係のニュアンスが含まれているからです。
例えば、上司に「プレゼン資料が完成しましたので、お手すきの際に確認していただけると助かります。」とお願いしたとしましょう。
これは「私は上司が資料を確認してくれると助かる」という意味になり、「上司が私のために確認すると私は助かる」に言い換えることがでます。
このように「助かる」と使うと、自分が主、相手を従としてしまうのです。
上から目線は相手を不快にさせ、今後の人間関係に影響を及ぼしかねません。
「助かります」の代わりに使える言い回し
目上の方や上司に対してお願いすることやお礼を言う場面はよくありますよね。
「助かります」を使いたいけれど失礼になってしまうと感じたときには、別の言い回しを使いましょう。
ここでは、 「助かります」とお願いやお礼を伝えるときの、言い換え表現を3つ紹介します。
「幸いです」
「幸いです」は「そのようにしてくれると嬉しいです」「ありがたいです」という意味をもちます。特にビジネスでは重宝される言葉で、目上の人に依頼をする際に、「してもらえると嬉しいです」という印象を与えることができます。
また、語尾に「です」が付いた丁寧語であることから目上の方へも使える言葉です。
「幸いです」の類語には「幸甚です」もあります。
「幸甚」とは「非常に幸いなこと」という意味で、「幸いです」よりも改まった表現であることから、かしこまった場面での発言やビジネスメールで使うことができます。
例えば、顧客や目上の方に対して「連絡して頂けたら嬉しいです」を伝えたい場合は、「お忙しい中恐れ入りますが、ご連絡いただければ幸甚です」と表現することができます。
「お願いできますでしょうか」
実は「お願いできますでしょうか」は二重敬語です。
「お願いできます」の「ます」と「でしょうか」の「です」という二つの丁寧語が混ざった重複表現です。そのため、文法上は誤った表現ということになります。
しかしながら、多くの方にとって自然な日本語として受け入れられているのも事実。
そのため、実社会では容認される傾向にあるため、ビジネスの場で「助かります」の代わりに使ったとしても大きな誤りではないので安心してください。
「していただけますでしょうか」
「していただけますでしょうか」という言葉をビジネスではよく耳にしますが、この「いただけますでしょうか」も二重敬語です。
丁寧語である「ます」と「です」を二重で使用しているのです。
相手へ配慮する心から、「いただけますでしょうか」といった通常の敬語よりもへりくだった言い方が生まれたと考えられており、厳密には敬語としては間違いですが、「助かります」の言い換えとして使うことは一般的には問題ありません。
ただし、敬語に神経質な人の場合、間違った敬語は良い印象を与えません。そのため「していただけますでしょうか」よりも「幸いです」の方が目上の方には確実かもしれません。
「助かります」への返事の仕方
依頼や感謝で使われる「助かります」を自分が相手に言われたときは、どのように返事をしたら良いかご存じでしょうか。
「わかりました」「いえいえ」などとぶっきらぼうなお返事はしていませんか?
目上の人などに言われた際には、返事もしっかりした方がよいです。
続いては、誰かに「助かります」と言われたときの返事の仕方として、よく使える2つの例を紹介しますね。
感謝に対して「とんでもございません」「お役に立てて光栄です」
「とんでもございません」には2つの意味があります。
1つ目は「全くそんなことはない」と相手を強く否定する意味。
2つ目は誰かに感謝されたときに「それほどには及びません」「めっそうもありません」のような謙遜的な意味です。「助かります」に対しては2の意味で使えますね。
また「お役に立てて光栄です」もおすすめです。「光栄です」には感謝の気持ちが強く込められているので、ビジネスの場にはとても適しています。
依頼に対して「かしこまりました」
「かしこまりました」はビジネスでよく使う「承知致しました」と同じ意味です。
ただ、両方の意味を比べたとき、「かしこまりました」の方がより敬意を表していることから、目上の方には「かしこまりました」の方が丁寧な表現です。
「助かります」を言い換えたビジネスメールの例文
最後に「助かります」を使ったビジネスメールの文面を紹介します。
正しい言葉遣いが求められるビジネスの場では、上司や目上の人に「助かりました」を使うべきでないことはもうご理解頂けましたね?
ビジネスメールで知らず知らずのうちに上司や先輩、顧客に対して失礼な文面を送る取ったことがないよう、ぜひ参考にしてくださいね。
「連絡していただけると助かります」は?
目上の方に「連絡していただけると助かります」を言い換えた表現は下記のようなものになります。
- ご連絡いただけると幸いです。
- 恐れ入りますが、連絡していただけますでしょうか。
- お手数をおかけしますが、連絡していただけますでしょうか。
「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」はビジネスでは、クッション言葉として多く使われています。
このクッション言葉を添えるだけで、相手にはより丁寧さが伝わります。
「早めにご確認いただけると助かります」は?
上司や先輩に資料やメールを早めに確認してもらいたいときの言い換えは下記のようなものがおすすめです。
ご多忙のところ誠に恐れ入りますが、早めにご確認いただけますと幸いです。
お手数をおかけしますが、早めにご確認していただけると光栄です。
いくら早めに確認してもらいたいとはいえ、目上の方は忙しいことが多いです。
その状況に配慮した「ご多忙のところ誠に恐れ入りますが」は効果的なクッション言葉なのでぜひ活用しましょう。
まとめ
本記事では「助かります」を正しい敬語で言い換えたときの使い方や相手に言われたときの返事の仕方、ビジネスメールで使える表現を紹介しました。
目上の方との会話では常に細心の注意を払うもの。
この「助かります」は、敬語であっても目上の方に対しては上から目線になる失礼な意味となることが理解できたと思います。
日本語の敬語は様々な表現方法があり、二重敬語のように誤った表現も広く使われているので、「え?敬語だと思ってたけど間違っていたの?」と驚くこともあると思います。
今回の「助かります」も代表的な例です。
「助かります」は使いやすい言葉であるため、今回の記事で紹介した「助かります」の正しい意味と使い方、言い換え表現をスムーズに使えるようになっていて損はありませんよ。
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