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「お気になさらないでください」の使い方や言い換え表現を覚えてビジネスシーンに活用しよう

「お気になさらないでください」はビジネスシーンなどで見聞きする言葉のひとつです。相手のミスなどに対して必死に謝罪してくれたときなどに使い、「大丈夫ですよ、気にしないでくださいね」といったニュアンスを持っています。一見、「気にしないでください」といった言葉でも問題なさそうですが、「お気になさらないでください」は日本語として正しい表現なのでしょうか?今回は「お気になさらないでください」の意味と使い方を紐解きながら、言い換え表現や英語表現についても解説します。

目次

「お気になさらないでください」の意味

「お気になさらないでください」とは「気にしなくて大丈夫ですよ」「平気ですから気にしないでください」など、こちらとしては特に大きなダメージもなく、そこまで気にしないで欲しいときに発する言葉です。自分を気に掛けてくれた人に対して、遠慮や謙遜などの意を込めて使うのが主な使用シーンになります。

「お気になさらないでください」はどんな相手にも使える敬語表現のひとつ

「お気になさらないでください」は複数の敬語で成り立っています。

尊敬の意を持つ接頭語「お」
「する」の尊敬語「なさる」
丁寧な意味を持つ言葉「ください」

どんな人にも使うことのできる丁寧な敬語であることから、まだ慣れ親しんでいない同僚や上司、お客様や取引先などに対して使えるため、あらゆるシーンで活躍します。「お気になさらないでください」のひと言を聞くだけでも丁寧な印象を受け、二重敬語に該当するのではないか?と感じる方も多いはず。しかしながら、どの言葉もそれぞれ別な意味を持った敬語であるため二重敬語には該当しません。

「心配しないで」「大丈夫」

冒頭でもお話ししたように、「お気になさらないでください」は「心配しないでください」「大丈夫です」「お気遣いありがとうございます」などといった言葉の敬語表現です。ほかにも親切心でよくしてくれる方への遠慮としても使えるため、幅広いシーンで活用できます。 

「お気になさらないでください」の主な使い方

あらゆるシーンで活用できる言葉ですが、具体的にどういったシーンで使うのが正しい使い方なのでしょうか。一般的には相手が自分に対して気を遣ってくれているときに使う言葉ですから、こちらから相手に対して使うのが誤った使い方であることは理解できます。ここではシーンごとに分けた使い方について解説します。

気を遣わないでほしいとき

上述してきたように、「お気になさらないでください」の主な使い方は相手に気を遣わないでほしいときです。「私のことは大丈夫ですから気にしないでくださいね」という言葉を直接伝えてしまうと距離があまりにも近すぎてしまうため、「お気になさらないでくださいね」などとして使うことが多いです。お客様のご自宅や取引先に訪問した際、コーヒーやお茶、お菓子などを出してくれることがあります。そういった場合に「ありがとうございます」という言葉を使ってしまうと遠慮が欠けた印象に受け取られてしまいます。そういった場合に「お気になさらないでください」を使うことで「気に掛けていただきありがとうございます。ですが私には気を遣わないでください」といったやわらかいニュアンスで、相手の気持ちを汲みつつも遠慮という自分の意思を伝えることができます。

『中に入っても構いませんよ』「いえ、こちらで大丈夫ですからどうぞお気になさらないでください」『先に出掛けています』「どうぞお気になさらず先に出掛けていてください」 など

干渉させないようにしたいとき

たとえば隣の家の人が親切心で自宅前の除雪もしてくれたとしましょう。確かにうれしいことではありますが、かえって気を遣わせてしまって申し訳ないといった気持ちになるでしょう。相手の干渉を遠慮したい場合にも使用可能です。相手が『お宅、あまり除雪しないから気になって除雪したわよ』と言ってきた場合には「仕事が忙しくてなかなか手つかずになってしまい申し訳ありません。お気持ちはありがたいのですが、のちほどやりますからお気になさらないでください」と伝えることで、ぶっきらぼうなイメージを与えずに「私のミスで気を遣わせてしまってごめんなさい。でも私がやりますから大丈夫ですよ」と遠慮した気持ちを伝えられるようになります。

『体調が悪そうですが大丈夫ですか?』「ただの花粉症ですからどうぞお気になさらないでください」「私のことはお気になさらずゆっくりしてきてください」 など

誰かを慰めるとき

誰かが仕事でミスをしてしまったときなどに慰める意味として「お気になさらないでください」を使うことができます。たとえば取引先の担当者が誤った資料をメールで送付してきたとしましょう。『先ほど誤った資料を送付してしまいました!大変申し訳ございません!』と謝罪のメールや連絡があった場合などに「お気になさらないでください」を使います。この場合「誤った資料であることをすぐに察知しすみやかに破棄いたしました」など、相手の誤った行為に対してひと言添えることで、資料がどうなったのか気になる部分も解消でき、気にしなくて大丈夫であることも同時に伝えられます。

『先ほど誤って電話を掛けてしまいました。大変申し訳ございません』「全く問題ございません。どうかお気になさらないでください」『担当者のミスが原因となってしまい大変申し訳ございません』「私の方でもチェックしなかったのも原因の1つですから、どうかお気になさらないでください」 など

「お気になさらないでください」の言い換え表現

主な使い方がわかったところで、今度は言い換え表現について学んでいきましょう。たくさんの言い換え表現をマスターすることで、あらゆるシーンにふさわしい言葉を使えるようになります。また、言葉を知っていることで社会人としてだけでなく、企業にとっても心強い味方となりますからおさえておきましょう。

お気遣いなさらないでください
使用例:何の問題もありませんからお気遣いなさらないでください(お茶などをすすめられた状況の中で)お気遣いなさらないでください など
意味:気を遣わないでくださいをより丁寧な表現にした言葉です。目上の方だけでなく、お客様にも使うことができるため、覚えておくと非常に便利です。また「お気遣いなく」に縮小してしまうと親近感が湧いてしまい丁寧さに欠けてしまうので「お気遣いなさらないでください」と伝えましょう。

お気に留められませんよう
使用例:全くもって問題ございませんから、どうかお気に留められませんようお願い申し上げます など
意味:気に留めないでほしいといった意味を持つため、より丁寧な表現として使うことができます。距離のある上司や大切なお客様などに使うのがマストです。

お気持ちだけ頂戴します
使用例:ご丁寧にありがとうございます。しかしながらお気持ちだけ頂戴いたします など
意味:相手の行為や気持ちを受け取りつつも、丁寧に断るための文言として使います。こちらも丁寧な表現であり、断る場合にもやんわりと伝えられますから、お客様の行為や取引先の気遣いなどに対して使います。

お構いなく
使用例:ありがとうございます。お構いなくどうぞお構いなく など
意味:「お気になさらないでください」よりも直接的で近い距離の方に使うことの多い言葉です。ビジネスシーンで使う場合は仲の良い同僚などに使うことがありますが、ほとんど使いません。どちらかというと親戚や祖父母などに対して使ったり、両親に対して干渉されたくない場合に嫌味を込めて「お構いなく」と言ったりすることが多い言葉と言えます。
*ご心配なく
よりカジュアルな状況や親しい間柄での使用に適しています。直接的で、親しみやすいニュアンスを持ちます。
お気遣い無用です
相手に余計な心配をかけさせたくないときに適した表現です。ビジネスの場面でも使える、ややフォーマルなニュアンスを持っています。
*お構いなく
日常会話や比較的カジュアルなビジネスシーンで使える表現です。相手に気を遣わせないよう、リラックスしてもらいたい時に適しています。
*お気持ちだけ頂戴します
物理的な贈り物やサービスを辞退する際に使う表現です。相手の思いやりに感謝を示しつつ、具体的な受け取りを遠慮する姿勢を表します。

【使用する際のポイント】

類語や言い換え表現を選ぶ際は、相手との関係性、コミュニケーションの場のフォーマリティ、そして伝えたい感情のニュアンスを考慮することが重要です。状況に応じて最適な表現を選ぶことで、相手に敬意を示し、より良い関係を築くことができます。

「お気になさらないでください」のシーン別使い分け:ビジネス、プライベート、SNSでの使い方の違い

「お気になさらないでください」というフレーズは、敬語としてのニュアンスを持ち、相手に対する配慮や尊敬の意を表す日本語の表現です。ここからは、ビジネスシーン、家族や友人とのコミュニケーション、そしてSNSでの使用時における、この表現の適切な使い分け方を解説します。

 1. ビジネスシーンでの使い分け

ビジネスの世界では、正しい敬語の使用が非常に重要です。「お気になさらないでください」は、上司やクライアント、同僚に対して何かをお断りする場合や、謝罪する際に用いられます。

たとえば、上司からの提案に対してすぐに答えられない時には、「ご提案いただきありがとうございます。詳細を検討させていただきますので、少々お時間をいただけますでしょうか。お気になさらないでください」という表現が適切です。このように、ビジネスメールや会議での応用方法を理解することは、プロフェッショナルなコミュニケーションにおいて必須です。

 2. 友人や家族とのコミュニケーション

家族や友人との間では、通常よりもカジュアルな言葉遣いが用いられますが、「お気になさらないでください」を使うことで、心遣いや尊敬の気持ちを表現することができます。

例えば、友人が何か手伝いを申し出た時に、「大丈夫だよ、お気になさらないで」と返すことで、その申し出に感謝しつつも、無理をさせたくないという思いやりを示すことができます。親しい関係でも、敬意を忘れずに相手に接することが、良好な関係を維持する鍵となります。

 3. SNSでの表現の違い

SNSでは、日常的なコミュニケーションが短いテキストや絵文字で行われるため、言葉遣いはさらにカジュアルになりがちです。

しかし、公開コメントやメッセージで「お気になさらないでください」という表現を用いることで、フォロワーや友人に対して敬意を表すことが可能です。

特に、誤解を招く可能性のある状況や、誰かを気遣う場面では、このフレーズが役立ちます。例えば、誰かの投稿に誤って否定的なコメントをしてしまった場合、「誤解を招いてしまい申し訳ありません。お気になさらないでください」と返信することで、状況を穏やかに収めることができます。

「お気になさらないでください」という表現は、ビジネスシーン、家族や友人とのコミュニケーション、SNSのやりとりなど、さまざまな文脈で活用することができます。

「お気になさらないでください」に対する返答例

相手から「お気になさらないでください」を伝えられた場合はどういった言葉を持って返答するのが正しいのでしょうか。「いえいえこちらこそお気になさらないでください」を使うと堂々巡りとなってしまい収集が付かなくなってしまいます。ここでは「お気になさらないでください」を言われたときに使いたい返答表現について解説します。

ありがとうございます

自分のミスから相手に『お気になさらないでください』と言われた場合には、素直に「ありがとうございます」と返すのがマストです。「●●様の寛大な対応、誠にありがとうございます」などとすることで、相手の気持ちをくみ取った上で感謝の意思を述べることができます。

ご遠慮なさらず

対してこちらの気遣いが相手に対してやや踏み込みすぎだと感じられ『お気になさらず』と遠慮した意思を伝えてきた場合には、「ご遠慮なさらず」と伝えたうえで再度提案するなどの返し方があります。自分が顧客の立場で相手に飲み物やお茶菓子などを出す場合に、『お気になさらないでください』と言われた場合には「ご遠慮なさらず、ごゆっくりなさってください」などとひと言申し出てお茶やお茶菓子などを出すなどの方法があります。

また、何度かそのやりとりを経て、それでも遠慮された場合には、「ご遠慮なさらないでくださいね。何かあればおっしゃってください」と返答することで、しつこいやりとりを終えつつも、何か必要であれば話してくださいといった気持ちを伝えることができます。

「お気になさらないでください」という表現は、ビジネスの場でも非常に有効なフレーズです。この敬語は、相手に過度な心配をかけないよう促したり、軽いお詫びを表したりする際に使います。

「お気になさらないでください」の返答具体的な例文

また、相手の提案や意見に対して礼儀正しく受け入れる姿勢を示すのにも役立ちます。以下に、ビジネスシーンで「お気になさらないでください」を使う具体的な例文をいくつか紹介します。

1. 遅延やミスの謝罪に対する返答

例文: 「プロジェクトの遅れについては、全て私の責任です。」

 返答: 「ご心配なさらず、こちらも状況を理解していますので、お気になさらないでください。一緒に解決策を探しましょう。」

2. お礼や気遣いに対して

例文: 「昨日は遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました。」

返答: 「いえいえ、私も楽しい時間を過ごさせていただきました。お気になさらないでください。」

3. 相手の提案を丁寧に断る場合

例文: 「このプランで進めさせていただけないでしょうか?」

返答: 「ご提案いただき、ありがとうございます。今回は別の方向性で考えておりますので、お気になさらないでください。」

4. 相手に余計な手間をかけさせた時

例文: 「書類の再作成をお願いすることになり、申し訳ありません。」

返答: 「問題ありません、これも仕事の一環です。お気になさらないでください。」

5. ビジネスミーティングでのフォローアップ

例文: 「今日は多くの質問を投げかけてしまいました。」

 返答: 「良い質問はプロジェクトを前進させます。お気になさらないでください。」

これらの例文は、「お気になさらないでください」をビジネスのコミュニケーションで上手に使う方法を示しています。この表現は、相手に対する敬意と配慮を表すため、ビジネスシーンでの関係構築に非常に有効です。自然で礼儀正しいコミュニケーションを心がけることが、良好なビジネス関係の基盤を築く鍵となります。

「お気になさらないでください」の英文

「お気になさらないでください」を英語表現にするとどういった言葉になるのでしょうか。英語表現もマスターすることで、海外出張の際や海外の取引先が相手でも、丁寧な印象を持ってビジネスを進められるようになります。英語に自信がない方でもこの部分をおさえることですぐに使えますから、しっかりチェックしておきましょう。

Don’t be concerned about that(どうかお気になさらずに)
Not at all(気にしないで下さい)You are welcome(気にしないで下さい)
I don’t mind it(気にしないで下さい)I’m fine(気にしないで下さい)
I’m OK(気にしないで下さい)
Don’t let it bother you(気にしないで下さい)
Don’t worry about it(気にしないで下さい)
No problem(気にしないで下さい)
It’s nothing(気にしないで下さい)
Don’t worry about it(気にしないで下さい)
Don’t bother(お構いなく!(カジュアル)
)It’s all right(気にしないで下さい)
It’s water under the bridge(気にしないで下さい)
Don’t sweat it(気にしないで下さい(カジュアル)
)It’s no problem at all(全然気にしないで下さい)
It’s absolutely no problem(全く気にしないで下さい)
Don’t mention it. It’s not a thing(気にしないでください、たいしたことではないですから)
You’re very welcome((喜んでお手伝いさせていただいたことですし)
気にしないでくださいなどの意味)
You’re more than welcome((喜んでお手伝いさせていただいたことですし)気にしないでくださいなどの意味)

「お気になさらないでください」のあらゆる言い換え表現を覚えて状況に合わせた言葉を使おう

「お気になさらないでください」は「気にしないで大丈夫です」「心配しないで」といった意味のほかにも「お気遣いは結構です」といった遠慮の気持ちを伝える際にも活躍することがわかってもらえたと思います。しかし、「お気になさらないでください」を使う場合は、状況に合わせたひと言を添えたり、言い換えたりすることで、より丁寧な印象を持って相手に伝えられるようになります。この記事を通じて日本語をしっかりマスターし、ビジネスシーンだけでなく社会でも活躍できる大人として成長しましょう。