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「ご多幸」の意味と正しい使い方とは 使うべき状況や類語についても詳しく解説

「ご多幸」という言葉を見たことがある方も多いのではないでしょうか。ビジネスメールなどで見かける言葉であり、送り主から先方へ「たくさんの幸せを願っています」といった意味を持っています。では、この「ご多幸」という言葉。具体的にどういったシーンで使うのが正しいのでしょうか?また、ほかの言葉に言い換えることは可能なのでしょうか?この記事を通じて、言葉の正しい使い方とこれからの語彙力をしっかり養っていきましょう。

目次

「ご多幸」とは

「ご多幸」とは読んで字の如く「あなたにたくさんの幸せが訪れますように」といった意味を持っており、送り主から先方に対して使います。日常会話ではあまり使うことはなく、ビジネスシーンでのメールや手紙、チャットツールなどの文章で使うことがほとんど。文章でのやりとりの締めくくりで「●●様のご多幸をお祈り申し上げます」のように使います。今までお世話になっていた先方と長期間会えなくなる、または自分や相手が異動となり、関わることがなくなってしまうといった場合に使うため、まだまだ仕事で関わることがある相手や、直近で会うことがわかっている取引先などには使いませんから、使う状況をしっかりと見極めることが重要です。

「ご多幸」に似た言葉との違いを知ろう

「あなたにたくさんの幸せが訪れますように」と、相手を思いやる気持ちが込められた「ご多幸」。しかし、似たような言葉が複数あるため、いざ使おうと思っても、どの言葉がふさわしいのか困惑する方も少なくないでしょう。ここでは「ご多幸」と似た使い方をする言葉として「ご健勝」「ご活躍」について解説します。どれも語尾が「お祈りします」で終わるため困惑する可能性の高い言葉ですから、しっかりと意味を理解し、ふさわしい使い方を学んでおきましょう。

「ご健勝」

「ご健勝」も文末に「お祈りします」を付けて使いますが、具体的になにをお祈りしているのでしょうか。辞書で「健勝」について調べて見ると、

健勝(けんしょう)
[手紙文で]相手の健康を祝する挨拶の言葉。
引用:新明解国語辞典

と記載されています。つまり、「ご多幸」同様、手紙などでのやりとりの締めくくりに、「あなたの健康をお祈りしています」と、先方の健康に対して思いやる言葉をかけているのです。「皆様のご健勝をお祈りいたします」「○○様のご健勝をお祈りします」など、宛先は対人、対チーム、組織などさまざまです。ただし、「○○様のご健勝、ご多幸をお祈りいたします」のように複数使い合わせることも。非常に良くしてくれた方、迷惑を掛けたけれどもいつも優しく丁寧に対応してくれた方などに対しては、複数使い合わせることもあります。先方の年齢や立場などは気にする必要がなく、健康や幸せが訪れることを素直に祈りたい方に向けて使いましょう。

「ご活躍」

「ご活躍」も文末に使用する言葉のひとつ。「活躍」は見聞きすることが多いため、意味を理解して使っている人も多いでしょう。活躍の意味には、

活躍
注目を浴びるような、素晴らしい活動をして業績や成果を上げること。
引用:新明解国語辞典

と記載されているため、「ご活躍お祈りいたします」は「あなたの人生がより素晴らしいものになるようお祈りしています」といった意味で使います。こちらも相手の年齢や立場などは問わず、こちらがお世話になったと感じる人や、どうか活躍することを祈っていたいと感じる人に使用して問題ありません。

「ご多幸」「ご健勝」「ご活躍」はどんな状況で使うの?

「ご多幸お祈りします」と似たニュアンスを持っている「ご健勝」「ご活躍」の2種類。使用シーンで注意すべきことはあるのでしょうか。それぞれの言葉の使うべき状況について解説します。

ご多幸

「ご多幸」の場合は「あなたの幸せをお祈りしています」といった意味を持ち、あらゆるシーンで活用可能です。幸せを祈りたいと思う相手に送ることが可能で、年齢や立場などは気にする必要はありません。会話や電話対応などでは使わず、しばらく会えなくなる人への文章の締めくくりに使います。

ご健勝

「ご健勝」の場合は「あなたの健康をお祈りしています」といった意味を持っています。文章のあらゆる場面で使うことができ、立場や年齢を気にする必要もありません。健康を祈りたい方に対して、自分の気持ちを伝えたいときに使いましょう。なお、「ご健勝」と類似した意味を持つ「ご清栄」ですが、この言葉はどちらかというと企業など大きなものが対象となります。「ご健勝」は個人に対して伝える言葉ですから、使う状況に注意しなければなりません。

ご活躍

「ご活躍をお祈りしています」も、立場や年齢を気にする必要なく使うことが可能です。ただし、「お祈りしています」ではなく「ご期待しています」となった場合は上から目線として捉えられ、相手に不快感を与えてしまう可能性があります。面接を受けた就活生に対してのメールや手紙、チャットツールなどでの文末に使用するに留め、立場が上の人や年齢が上の人には「ご健勝」「ご多幸」を使うのがマストです。

社会人なら知っておくべき「ご多幸」の使い方

「ご多幸」の意味と使うべき相手について理解したところで、次は具体的にどういった状況で使うのかについて見ていきましょう。「ご多幸」は一般的にあらゆる状況で使うことが可能ですが、ここぞという状況があるのも確か。ここでは社会人として「ご多幸」を使うべき状況について解説します。

年賀状を書く場合

取引先でお世話になった方や、異動となり会えなくなる会社関係者などへ年賀状を送る場合に挨拶の締めくくりに「ご多幸」を使うと、社会人としてしっかりとした印象を与えます。また、「ご多幸」の前に「皆様」とひと言つければ、取引先の家族や企業全員の幸せを祈る言葉となります。

<例文>
①○○様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
②皆様のご多幸をお祈り申し上げます。本年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。 など

退職時の挨拶の場合

自分が退職する場合、または取引先や社内の人が辞める場合の挨拶として使うことで、社会人としてしっかりとした印象を与えることができます。

<例文>
①○○様 ○月○日付で退職となります。長きにわたり皆様の温かいご指導に深く感謝申し上げます。
 ○○様を含め皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
②○○様 ○月○日付で退職となり、最後の挨拶を申し上げたくご連絡いたしました。
 長きにわたり皆様の温かいご指導に深く感謝申し上げます。
 ○○様のさらなるご多幸とご活躍を心よりお祈り申し上げます。 など

メールや手紙などを差し出す場合

メールや手紙で使用することが主な「ご多幸」。上述したように、文章の締めくくりに使用します。また、企業採用が見送られた(または見送った)場合などに使われることもあります。「お祈りメール」と揶揄されることもあるため、多く見かける使い方です。

<例文>
①○○様のさらなるご多幸をお祈り申し上げます。
②○○様の今後のご活躍、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。 など

結婚式のスピーチの場合

「ご多幸」は同僚などの結婚式などに使うことも可能です。結婚した同僚と伴侶、そしてその家族や出席した方の幸せを祈る意味を込めて使います。

<例文>
①○○様と●●さんのさらなるご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。 
②最後に両家の皆様のご多幸、ご健勝をお祈りするとともに、私の挨拶を終わりたいと思います。 など

「ご多幸」の類語や言い換え表現

「ご多幸」を別の言葉に言い換えて使うことも可能です。ここでは9つの類語とその意味について解説します。語彙力を高めてどこでも通用する社会人として自分をレベルアップさせましょう。

ご多祥

「ご多幸」の代わりに「ご多祥」を使うことも可能です。辞書で「多祥」を調べてみると、

多祥(たしょう)
「多幸」の意の漢語的表現。
引用:新明解国語辞典

と記載されており、「多幸」「多福」といった意味を持っていることがわかります。「ご多幸」と同じ意味として使うことは可能なものの、あまり見かけることのない言葉であるため、受取手からするとやや堅い印象を受けることも少なくありません。「ご多幸だとありきたりだな」「もう少し引き締まる言葉を使いたいな」と思うときは「ご多祥」に変えて使うと良いでしょう。

ご清栄

「ご清栄」といった言葉を見かけることも少なくないでしょう。「清栄」を辞書で調べてみると、

清栄(せいえい)
[手紙文で]相手の健在を祝う挨拶の言葉。
引用:新明解国語辞典

と記載されており、手紙などの文章内で、相手の健在を祝う挨拶として使うとされています。「ご多幸」と異なる点は「ご多幸」は「相手の幸せを祈る場合」に使いますが、「ご清栄」は「相手の健康や繁栄を喜ぶこと」。使用の場合は「祈る」か「喜ぶ」かによって状況が違いますから注意が必要です。なお、「ご清祥」の場合は健康や繁栄を喜ぶ意味を持ちますから、個人だけに留まらず、企業やチームに対しても使うことができます。

ご健康

ストレートに「ご健康」という言葉に変えて使うのも問題ありません。「健康」の意味は、

健康
[肉体的・精神的な異常がなく]日常の社会生活や積極的な行動に堪え得るからだの状態。
引用:新明解国語辞典

といった意味があるため、「ご健康お祈り申し上げます」であれば「あなたの健康を祈っています」「あなたの心身が健やかであるようお祈りしています」といったニュアンスで使うことが可能です。「ご多幸」は「幸せを祈ること」であるのに対し「ご健康」は「心身の健やかさを祈ること」を指していますから、こちらも使う状況を考える必要があります。

ご健闘

「ご健闘お祈りいたします」といった文章を見たことがある方も多いでしょう。「健闘」とは、

健闘
全力を出して元気一杯戦うこと。
引用:新明解国語辞典

といった意味があり、「ご健闘お祈りいたします」には「全力を出して元気に戦えることを祈っています」といった意味になります。もう少しかみ砕いて解説すると「頑張って下さい」「困難に立ち向かって努力を惜しまないでください」といった意味となります。同僚が転職する場合や、退職する場合、新しい役職に就くなど、応援したい気持ちを伝える場合に使いましょう。「ご多幸」とは違い「頑張って下さい」と「応援する気持ち」が込められているため、使う状況を誤らないよう注意しましょう。

ご繁栄

「ご繁栄」といった言葉もビジネスシーンで見ることの多い言葉。「繁栄」には、

繁栄(はんえい)
[国・家などが]栄えて発展すること。
引用:新明解国語辞典

といった意味があり、「ご繁栄お祈りいたします」と表現することで「商売繁盛で豊かに過ごせるよう祈っています」といった意味となります。会社に対してや取引先の社長など、個人・企業どちらに対しても使用可能です。「ご多幸」とは違い、「繁栄を祈っていること」を伝える言葉なので使用状況には注意が必要です。

ご盛栄

「ご盛栄」はあまり見かけることがなく、具体的な意味がわからない方も少なくないのではないでしょうか。「盛栄」とは、

盛栄(せいえい)
商売などが栄えること。[手紙文などで相手の会社などの繁栄を祝う挨拶言葉にも用いられる。]
引用:新明解国語辞典

と記載されており、商売繁盛を祝う言葉として使います。「ご多幸」と違い「企業が繁盛しおめでたい気持ちを伝えたい」といった場合に使うため、文末は「お祈りします」ではなく、「お慶び(およろこび)申し上げます」に変えて気持ちを伝えましょう。

ご清祥

「ご清祥」もあまり見かけることの少ない言葉のひとつ。「清祥」とは、

清祥(せいしょう)
[手紙文で]相手が健康で幸福であることを喜ぶ意味の挨拶言葉。
引用:新明解国語辞典

といった意味があり、「相手が健康で幸福であることを喜ぶ挨拶」として使います。ですから「ご盛栄」同様、文末は「お慶び申し上げます」に変えて使う必要があります。

ご発展

「ご発展」はビジネスシーンで見かけることの多い言葉のひとつ。「発展」とは、

発展
広い範囲に広がり、より進んだ段階に進むこと。
引用:新明解国語辞典

といった意味があり、「今よりもどんどんよくなっていくことをお祈りします」といった気持ちを伝えたいときに使用します。「ご多幸」同様縁起の良い言葉のひとつですから、セットで覚えてくと良いでしょう。

ご隆昌

「ご隆昌」という言葉もあまり見かけることのない言葉のひとつ。「隆昌」とは

隆昌(りゅうしょう)
大いに栄えること。隆盛。
引用:新明解国語辞典

といった意味があり、「大いに栄えていることを祝う挨拶」として使うのが一般的です。祝うための挨拶言葉ですから「お祈りいたします」ではなく「お慶び申し上げます」に変えて使用しましょう。

まとめ

「ご多幸」の意味を深く理解できたでしょうか。使い方や類語などを解説しましたが、使う状況をイメージすることで言葉の意味を理解しやすくなります。この記事を通じて「ご多幸」の意味、類語についてマスターし、これからのビジネスシーンに大いに役立てて下さいね。