履歴書を書いている時に『賞罰』という項目を見ることがあると思います。
「賞罰って何を書けばいいの?」「どんな賞から書けるの?」「空白だとダメ?」などいろんな疑問を持つ人は少なくありません。
そこでこの記事では、『賞罰』とは何か、『賞罰』の書き方や記入欄がない場合などを分かりやすく解説していきたいと思います。ぜひ、『賞罰』の疑問を解決させて完璧な履歴書にしましょう。
目次
履歴書の賞罰欄とは?
履歴書にある賞罰とは、「賞」は受賞歴や表彰歴のことで、これまでの自身の実績を企業にアピールすることができます。一方「罰」は刑法犯罪の有罪歴のことで、犯罪歴の有無を企業に伝えるためのものです。
「賞」と「罰」では、履歴書に書く目的はそれぞれ異なります。2つの違いをきちんと理解しておきましょう。
【履歴書の賞罰欄】告知義務はある?
そもそも賞罰を書かないといけないのでしょうか。書かなくていいのであれば書きたくない…という人もいますよね。
結論からいうと必ずしも書く必要はないです。賞罰欄がない履歴書であれば、わざわざ書く必要はありません。しかし、賞罰欄がある履歴書や会社から賞罰を書くように指示されている場合は、書く義務があります。
会社が入社希望者の採用を決定する時の判断材料の1つが、履歴書です。労働契約を結ぶに当たって、会社と従業員との間には信頼関係が必要です。その信頼関係を築くためには、正確に真実を伝えましょう。
また、『罰』は要注意です。書かないといけない犯罪歴があるのに関わらず、正しく犯罪歴を書いていないと『告知義務違反』になってしまいます。ほとんどの会社は就業規則で「経歴に偽りがあった場合、懲戒解雇する」と定められています。最悪の場合、経歴詐称として内定の取り消しや解雇になってしまう恐れがあります。罰の欄に何か記入することに気が引けるかもしれませんが、犯罪歴はきちんと記入しましょう。
履歴書に賞罰欄がない場合
実は、現在のJIS規格に準拠した履歴書には、賞罰欄がありません。賞罰欄が設けられていない理由は「前科や犯罪歴は名誉、信用なので、みだりに公開されないという法律上の保護に値する」という最高裁判所の判決(1981年4月14日「前科照会事件」)があったからです。また、賞罰の記入を義務付けると、犯罪歴のある人が就職しにくくなってしまうことを防ぐためでもあります。
なので、JIS規格の履歴書を使用する場合は、賞罰を記入する項目がないので記入する必要はありません。しかし、以下の場合は記入する必要があります。賞罰欄が設けられている履歴書を買うか自分で「賞罰」と記入して、正直に伝えましょう。
【賞罰を記入する必要があるとき】
*会社が賞罰を記入するように指示されているとき
*会社指定の履歴書等に賞罰欄があるとき
*賞罰欄に記入すべき犯罪歴があるとき
*自己アピールしたい賞があるとき
【履歴書の賞罰欄】『賞』について
書く基準
『賞』は自己アピールになるため、何か書きたいと思う人がいるのではないでしょうか。しかし、なんでも書いていいというわけではありません。
賞罰欄に書く賞の範囲に明確な基準はありませんが、開催規模が大きかったり社会的知名度が高い大会で入賞以上を書くのが望ましいです。例えば「国際大会では入賞以上」「国内大会では準優勝以上」などです。また、消防署から人命救助などの感謝状なども官公庁からの表彰ですので賞として記入することができます。できるだけ仕事に活かすことができる賞を書きましょう。
書き方
具体的な「年月」と「賞の正確な名前」を書きましょう。受賞歴が複数ある場合は、時系列に沿って古い順に記入します。
*20〇〇年〇月 第〇回 〇〇全国大会 優勝
*20〇〇年〇月 国際〇〇競技大会(WorldSkills Competition) 金メダル
*20〇〇年〇月 科学技術分野の文部科学大臣表彰〇〇部門受賞
*20〇〇年〇月 〇〇消防署長より感謝状(人命救助により)
【履歴書の賞罰欄】『賞』についてNGなもの
開催規模が小さい大会や古い受賞・表彰歴
開催規模が小さい大会の受賞歴は書かない方がいいでしょう。大きくない大会の受賞歴を書いても自己アピールになりません。しかし、知名度があまりなくても全国大会や国際大会が開かれる大会の受賞歴であれば、自己アピールになるので書きましょう。
また、10年前や20年前といった古い受賞歴も書かない方がいいです。「過去の栄光に執着している」という印象を与えてしまい、むしろマイナス評価になってしまう恐れがあるので、気をつけましょう。
社内表彰や皆勤賞
社内表彰や皆勤賞も賞罰欄に書かない方がいいです。ですが、応募した企業での業務に役に立つ場合や自己アピールをしたい場合は賞罰欄ではなく、『趣味・特徴』欄や『職歴証明書』に書きましょう。
NG一例
第〇回 〇〇株式会社 社長賞
第〇回 〇〇県大会 優勝
第〇回 全国高校生読書感想文コンクール優秀賞
【履歴書の賞罰欄】『罰』について
書く基準
『罰』も賞と同じように記入する明確な基準はありません。しかし、一般的に『刑事罰』を書く必要があります。刑事罰とは、刑法犯を犯して「有罪判決を受けて科された罰」のことで、『懲役刑』『禁固刑』『罰金刑』などです。
無免許運転や酒気帯び運転など減点6点以上のいわゆる「赤切符」を切られるような重大な交通違反があった場合は、刑事罰となるので、履歴書に書く必要があります。また、罰が複数ある場合は、古いものから順番に記入しましょう。
ドライバーを応募する場合
基本的に駐車違反・スピード違反・一次不停止・運転中の携帯電話使用など減点6点未満のいわゆる「青切符」を切られるような軽い交通違反は行政罰なので、履歴書の賞罰欄に書く必要はないですが、ドライバーを応募する場合は「青切符」でも記入する必要があります。
ドライバーという業務上、1点の軽い交通違反でも起こす問題になってしまうので、面接時に『運転記録証明書』の提出が求められる場合がほとんどです。運転記録証明書とは、過去1、3、5年間の交通違反歴、交通事故歴、行政処分前歴回数、累積点数などが記載されている証明書のことなので、秘匿することはできません。
特にバス・タクシー・トラックのドライバーを応募する場合、この証明書の提出が求められるので、過去の1点の軽い交通違反でもバレてしまいます。
このように職種によって、軽い交通違反の経歴も書く必要があるので注意しておきましょう。
書き方
罰の場合も賞と同じように具体的な「年月」と「該当する罰」を省略せずに書きましょう。また刑期を終えた場合は「刑期終了」と記入します。
*20〇〇年〇月 〇〇罪 懲役〇年 執行猶予〇年 終了
*20〇〇年〇月 道路交通法違反 速度超過50キロ以上で罰金刑
【履歴書の賞罰欄】『罰』について書く必要がないもの
不起訴になった事件
もし告訴されたとしても示談などで不起訴になった場合は、有罪判決を受けていないので賞罰欄に書く必要はありません。
裁判中の事件
有罪が確定しているわけではないので、書く必要はありません。
少年犯罪歴
未成年の時に犯した犯罪は、書く必要はありません。
執行猶予期間が終わった事件
猶予を取り消されることなく期間が過ぎた場合、書く必要はありません。猶予期間が経過すれば、刑は消滅します。
6点未満の軽い交通事故・交通違反
駐車違反・スピード違反・一次不停止・運転中の携帯電話使用など、交通違反点数が6点未満のいわゆる「青切符」を切られるような軽い交通違反は「行政処分」に該当し前科にならないので、賞罰欄に書く必要はありません。行政罰とは、行政法のうえでの義務を履行しなかった際に科される罰のことです。
懲戒解雇
履歴書に書く「罰」は刑事罰なので、過去に勤務していた会社を懲戒解雇になったとしても、それを書く必要はありません。
効力が消滅した前科・前歴
効力が消滅した前科・前歴は、履歴書の賞罰欄に書いたり、面接時に聞かれても答える義務はありません。刑の効力が消滅する時期は以下の通りです。
*懲役刑……服役し、刑期が満了してから10年以上経った時
*罰金刑……支払って5年以上経った時
【履歴書の賞罰欄】書くことがない場合
「賞」も「罰」もこれといって書くことがない場合は何も書かなくて大丈夫です。賞罰欄に何も書かない人がほとんどなので、何もなくても採用に影響しません。しかし、空欄のままだと記載漏れと思われてしまいます。きちんと「なし」と書き、次の行の左寄せに「以上」と書きましょう。
履歴書の賞罰欄に書くほどではないが、自己アピールしたい内容がある場合
「賞罰欄に書くほど立派な賞ではないけど、自己アピールしたい!」という場合は履歴書の『特技・趣味』欄または『職務経歴書』に書きましょう。
例えば、前に勤務していた会社で受賞した『社長賞』や『営業部のMVPを受賞』『業界主催のコンテストで優勝』などは、自分を強くアピールすることができます。
【趣味・特技】
プログラミングが得意です。学生時代に「第〇回 〇〇プログラミングコンテスト」に挑戦し、〇〇賞を受賞しました。最近では「〇〇」という無料のゲームアプリを開発し、ダウンロード数は〇〇件を超えました。
【職務経歴書に書く場合】
*期間
20〇〇年〇月~20〇〇年〇月
*業務内容
大手企業から中小企業まで幅広い企業を対象に事務関係の派遣スタッフの提案営業を行いました。派遣スタッフの就業フォローや派遣契約管理などをしました。
・営業スタイル:新規開拓100%(全て飛び込み営業、40社/日)
・取引顧客:担当社数常時約20~30社
・実績:20〇〇年度:売上1億2千万円 達成率:100.5% ※10月度 新人賞を獲得
20〇〇年度:売上3億1千万円 達成率:120.0% ※上半期 支店内MVPを獲得
まとめ
今回は『賞罰』とは何か、『賞罰』の書き方や記入欄がない場合などを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
賞罰の「賞」は規模の大きい大会や感謝状などの受賞歴のことで、「罰」は懲役刑や禁固刑、罰金刑など刑事罰の犯罪歴のことです。また、「賞」はすべて書いていいわけではなく、規模が小さい大会や古い受賞歴は書くべきではないとわかりました。「罰」もすべて書く必要はなく、駐車違反・スピード違反などの軽い交通違反は賞罰欄に書く必要はないことはわかりました。しかし、ドライバーを応募する場合は軽い交通違反でも書く必要があり、職種によって書くべき罰が異なってきます。
会社と従業員は信頼関係が大切です。記入せず「経歴詐称」や「告知義務違反」で内定を取り消しや解雇にならないためにも、履歴書の賞罰欄にきちんと記入しましょう。