大学生や社会人になると、先輩社員、他企業の重役や、組織の幹部など、様々な人との出会いが待っています。自分よりも年齢、立場が上の人と当たり前のように連絡を取らなくてはいけません。この記事ではビジネスメールでよく使われる「これを機に」と「これを期に」の違いを解説していきます。誤用を指摘される前に、正しい日本語を学んでいきましょう。
目次
「これを機に」と「これを期に」の違いは?
社会人の方とメールのやり取りをする際、「これを機に」というフレーズを使ったことがある人は多いのではないでしょうか?この「これを機に」というフレーズを書く際、予測変換で「これを期に」という表現も出てきますよね。一体これら2つの表現にどのような差があるのでしょうか?意味と併せて解説していきます。
「これを機に」の意味と使い方
「これを機に」は「これを機会に」という言葉の略語です。今回のタイミングで、このタイミングを良い機会としてといった意味になります。
“これを機に”は、ある出来事を契機として変化を起こすことを意味します。生活や仕事での転機に使われ、ポジティブな変化や決断を促すフレーズです。
「これを期に」は誤用
「これを機に」と並んでよく見受けられるフレーズとして「これを期に」という言葉があります。実はこの「これを期に」という言葉は誤用なのです。期という漢字は、限られた「時間」や「日数」の終わりを指すため、タイミング、機会を指す「これを機に」の言い換え表現にはなりえません。これまで「これを期に」という言葉を使っていた方は、よく覚えておきましょう。
「これを機に」の使い方・例文
ここからは「これを機に」を使った例文をご紹介します。ビジネスメールで「これを機に」をどのように使うべきかが分かりますので、ぜひ参考にしてください。
次に繋がるきっかけが起きた(状況が変化した)場合
「これを機に」の「機」はタイミング、機会を指すと冒頭で述べました。
なので、次に繋がる何かのきっかけが起きた時や、状況が大きく変化したときに「これを機に」が使われることが多いです。
例文
「先日は船釣りに連れて行っていただきありがとうございました。磯釣りとはまた違った楽しさがあり、とても魅力的でした。これを機に船釣り用の竿を購入することを検討しています。また機会があればお誘いください。」
「先日はありがとうございました。おかげさまで大変有意義な時間を過ごすことができました。これを機に弊社とのお取引を願えたらと思います。」
「これを機に私は安全運転を心がけることになりました。」
【営業向け】もう少しで契約に漕ぎ着ける場合
「先日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございました。〇〇様のお話を聞かせていただき、最適なプランをご用意しました。これを機に弊社とお取引願えると幸いです。」
今後も関係性を保っていきたいとき
「先日はご契約いただき、誠にありがとうございました。〇〇様のご希望に沿えるよう努めて参る所存でございます。これを機に、今後ともご愛顧くださいますようお願い申し上げます。」
ビジネスシーンでの「これを機に」
ビジネスでは、「これを機に」は目標達成や業務改善の動機づけに使われます。例文を通じて、具体的なシナリオでの適切な使い方を紹介します。
異文化間コミュニケーションでの「これを機に」
このセクションでは、「これを機に」を英語、韓国語、中国語でどう表現するかを解説し、文化間コミュニケーションのコツを提供します。
人間関係での「これを機に」の使い方
「これを機に仲良く」や「これを機に末永く」など、人間関係の築き方や改善方法を探る際のフレーズとしての活用法を掘り下げます。
たとえば、何かの出来事をきっかけに「これを機に仲良くなろう」と相手に提案することで、以前よりも親密な関係を築くことができます。また、「これを機に末永く」と言うことで、長期的な関係を目指し、その意思を相手に伝えることができます。このように使うことで、人との繋がりを深め、よりポジティブな関係を構築するきっかけにすることができます。
「これを機に」の類語とその使い分け
「これを機に」と似た意味を持つ言葉や、微妙なニュアンスの違いを解説。正確なコミュニケーションのための言葉の選び方を提案します。
「これを機に」を生活の中で活かす
悪い習慣をやめたり、新しいことを始めるきっかけとして「これを機に」を使います。例えば、健康のために悪い習慣をやめる、新しいスキルを学ぶ、あるいは人間関係を見直すなど、さまざまな形で実践できます。このフレーズを使うことで、自分自身に変化を促すための意識的な決断を下すきっかけを作ることができます。重要なのは、小さな一歩から始めること。たとえば、「これを機に」早寝早起きをする、健康的な食生活を心がけるなど、具体的なアクションプランを立てることが成功への鍵となります。
「これを機に」を使う際の注意点
ここからは「これを機に」を使う際の注意点について解説していきます。注意点を知らずに使ってしまうと、損する可能性が大きいので最後まで読むことをおすすめします。
大前提!これを期にとは書かない
冒頭でも述べたように「これを期に」という表現は間違った日本語です。「期」という漢字には限定された時間や日付の終わりのことを指すため、機会、タイミング、チャンスという意味の「これを機に」として使うには不適切だからです。
口頭で「これを機に(これを機会に)」と言うなら良いですが、メールや手紙など、文字に起こす際は必ず「これを機に」と書くようにしましょう。
「これを期に」を別の言い方に言い換える
「この機会に」という使い方ではなく、「この期間内に」と表現したいのであれば、下記のような言い回しに変えて使うことができます。例えば「2月1日から5日の間に応募してください」という風に直接日付を指定したり、「これから3時間以内にタスク」を終わらせてくださいなど、時間を指定することで、「この期間内に」という意味で「期」という漢字を使うことができます。
「これを機に」は敬語ではない
ビジネスメールで多用される「これを機に」というフレーズですが、実は敬語ではありません。丁寧な言い回しをしているだけなのです。
「これを機に」を用いた文を書く際は、続く文章に敬語表現を使うよう注意しましょう。
例文「これを機に今後ともご愛顧賜りますようお願い申し上げます」
「これを機に」の類義語、言い換え表現を紹介
いつもメールで「これを機に」と打っているあなたであれば、別の表現はないかなと思うこともあるでしょう。ここからは「これを機に」の類義語、言い換え表現を紹介していきます。
「これを機会に」
「これを機に」の類義語1つ目は「これを機会に」です。省略前の、もととなった表現がこの「これを機会に」というフレーズです。ですので「これを機に」と同じように使うことができます。
省略せずに、きちんと「機会」と表現することで、「これを機に」よりも少し丁寧な言い回しになります。
例文「本日はありがとうございました。これを機会にご契約検討していただけると幸いです。」
「この機会に」
「これを機に」の類義語2つ目は「この機会に」です。何かを相手に提案する際は「この機会に」というフレーズを使うことができます。状況が変わったことを表す場合は「この機会に」はあまり使われません。
例文「この機会に自動車産業に参入してみてはいかがでしょうか?」
「これを転機に」
「これを機に」の類義語3つ目は「これを転機(てんき)に」です。「転機」という「これまでと状況が変わる」ことを指す言葉を含んだこのフレーズは、これから状況が変わるという場面で使うことができます。
例文「これを転機に、職を変えてみてはいかがでしょうか?」
「これを契機に」
「これを期に」の類義語4つ目は「これを契機(けいき)に」です。きっかけや機会と同義の「契機」という言葉を使いますので、「これを機に」と同じように使うことができます。「これを機に」がテンプレートになってきた方は、たまに「これを契機に」と表現するのも良いでしょう。
例文「先日標準型攻撃メールが届いたんですよね。なので、これを契機にセキュリティソフトを導入することにしました。」
「これを機縁に」
「これを機に」の類義語5つ目は「これを機縁(きえん)に」です。機縁という言葉はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、きっかけと同義と捉えてもらって構いません。機縁という言葉は「きえん」と読み、仏教に由来する言葉です。
例文「先日はお足元の悪い中ご足労いただき、誠に御礼申し上げます。これを機縁に、ぜひご検討いただけたらと存じます。」
「これを好機と捉えて」
「これを機に」の類義語6つ目は「これを好機(こうき)と捉えて」です。少し長いフレーズですが、提案、営業用に使える表現になります。
例文「これを好機と捉えて、管理職への昇格を検討してみてはいかがでしょうか?」
「これにて」
「これを機に」の類義語
「これを機に」の類義語7つ目は「これにて」です。少し砕けた言い方ですが、続く言葉を敬語にすれば丁寧な表現として使えます。ただ「これにて」の次に繋げる文章は表現が限られるので、使い所を選ぶことが注意点です。
例文「これにて、我が社は食品事業から撤退いたします。」
「これにてお開きとさせていただきます」
「これを機に」の英語表現
近年海外の方と仕事をする機会が増えてきましたよね。言語の壁に阻まれて中々伝えたいことが伝えられないという経験がある方は多いのではないでしょうか?
ここからは世界共通の言語である英語で「これを機に」を表現する方法を紹介します。
on this occasion
「これを機に」の英語表現1つ目はon this occcasion(オンディスオケーション)です。機会という意味を持つ「occasion」という単語を使います。
先頭にOn this cccasionと置いて、カンマの後に文章を続けます。
例文
On this occasion,I will get a driver’s license.
読み方「オンディスオケーション、アイウィルゲットアドライバーライセンス」
意味「これを機に運転免許を取るつもりです」
Taking this opportunity
「これを機に」の英語表現2つ目はTaking this opportunity(テイキングディスオポチュニティ)です。こちらもまた機会という意味を持つ「opportunity」という単語を使います。
先頭にTaking this opportunityと置いて、カンマの後に文章を続けます。
例文
Taking this opportunity,the highway was built.
読み方「テイキングディスオポチュニティ、ザハイウェイワズビルト」
意味「これを機に高速道路が造られました」
I took this opportunity to
「これを機に」の英語表現3つ目はI took this opportunity to(アイトゥックディスオポチュニティトゥ)です。toの後に動詞の原形を置くことで文が続いていきます。
例文
I took this opportunity to visit my parents.
読み方「アイトゥックディスオポチュニティトゥビジットマイペアレンツ」 visit my parents.
読み方「アイトゥックディスオポチュニティトゥビジットマイペアレンツ」
意味「これを機に実家に帰ります」
With this
「これを機に」の英語表現4つ目はWith this(ウィズディス)です。類義語の項で解説した「これにて」という意味を持つ英語のフレーズです。冒頭に置いてカンマで文章を繋げるのも良いですし、文末に持ってくることもできます。
例文
With this,the maker pulled the plug on the electric car.
読み方「ウィズディス、ザメーカープルドザプラグオジエレクトリックカー」
意味「これを機にそのメーカーは電気自動車事業から撤退した」
まとめ
いかがだったでしょうか?「これを機に」とは「これを機会に」という言葉を省略した表現です。これをきっかけに、今回のタイミングで、これを良い契機としてといった意味になります。似た表現に「これを期に」という言葉がありますが、こちらは限られた時間や日付を指す「期」という漢字が使われているため、「この機会に」という意味で使うことはできず、間違った日本語になります。ですので「これを機に」と「これを期に」で何が違うのかと言うと、「機」という表現が正しい漢字かどうかです。
話し言葉として「これを機に」と言う際は意識しなくても問題ありませんが、メールや手紙など、文章に書き起こす際は、必ず機会の機を使う「これを機に」と表現することを心がけましょう。
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