転職するとき、多くの人は退職した理由を正直に話せない傾向にあります。そういった理由から、面接時、採用担当者の前になると、つい建前である退職理由を話す傾向にあります。退職理由である本音と、採用されるためについ話してしまう建前の狭間に揺れてしまえば、採用担当者に対して、誤解を与えかねない志望動機を話してしまう可能性があります。そればかりか、採用までも遠ざけてしまう可能性があります。この記事では、転職理由について本音を話すべき理由と、本音の理由を上手に伝える5つの方法について解説します。
目次
転職者の【2人に1人】は転職した本当の理由を話せていない
『人事のミカタ』公式サイトによると、『ミドルの転職』を利用する転職コンサルタントを調査対象に『転職者が企業に伝える転職理由と本当の転職理由が異なるケースはありますか?』といった設問内容でアンケートを取ったところ、2人に1人の転職者が、本音の転職理由を伝えていないという結果であることが分かりました。面接回数に置き換えて考えると、2回に1回の面接で本音を伝えていないということになります。そこで、転職理由の本音と建前について詳しく調査すると、リクナビのアンケート結果では、
1位 | 「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」 |
2位 | 「労働時間・環境に不満があった」 |
3位 | 「同僚・先輩、後輩とうまくかなかった」 |
といった内容であることが分かりました。この回答のほかにも、
- 「給与が低かった」
- 「仕事内容が面白く感じられなかった」
- 「社風がミスマッチしていた」
- 「昇進・評価に対して不満があった」
など、転職理由としては”正直に話しにくい内容”であることが分かりました。上記の結果からも分かるように、転職した本当の理由は、採用担当者にとってはネガティブな印象を与えかねないため、建前である理由を話してしまうのです。
【転職理由は本音で】4つの理由
労働環境や感情などで辞めるケースが多く、面接時は本音で話すことを避けがちな転職理由。採用に直結する可能性を秘めていることから、やむを得ず建前の転職理由を話してしまう人も多いのです。それでも、転職理由は本音で答えた方がいい確たる理由があります。ここでは、転職理由は本音で答えた方がいい理由について解説します。
ウソはいつか発覚する
転職理由が採用に直結するといった懸念から、建前である転職理由を答えてしまう人もたくさんいます。冒頭でも話したように、面接の2回に1回は建前、つまり虚偽の転職理由を話している傾向にあるといったデータもあるため、非常に多くの人が採用のために建前の答えを採用担当者に話していることが分かります。しかし、採用担当者は面接のプロ。答え方や答えている仕草、転職理由と志望動機にブレがあればすぐにウソだと見抜いてしまいます。さらに、転職理由について建前である内容を話し、採用・入社となった場合、建前である転職理由がひたすらつきまとうことになります。つまり、入社後も、建前の転職理由を意識しながら働かなければ、どこかでウソが発覚する危険性があるのです。慣れない仕事をしていれば、建前で話した転職理由について意識が低くなり、つい本当の転職理由を話してしまう可能性もあるのです。そういった可能性を考えて、転職理由は本音で伝えた方が良いのです。
すぐ辞めてしまうのでは?という懸念を払拭できる
採用担当者が転職理由を尋ねる多くの理由は、応募者が転職した理由を把握し、入社後も同じ理由から辞めてしまう可能性がないかについて確認するためといった意味もあります。そのため、建前の転職理由を話すよりも、本音の転職理由を話した方が、採用担当者も自社と応募者の相性がイメージしやすくなります。
正直に話すことは印象が良い
採用担当者によっては「正直に話してくれる方が素直で良い」と好感を持つ人もいます。本来であれば、応募者と企業の相性をチェックし、そのうえで転職理由やスキルなどを踏まえて選考を行いますが、「言いにくいことも正直に話してくれるなら、信頼できる」と感じる人も少なくありません。正直に話すと言うことは、万が一作業中にトラブルがあっても、素直に話してくれる可能性があると言うこと。トラブルを最小限に抑えられる可能性があり、そのうえでしっかりと育てていくことができるといった判断もできます。
誠実な人であるかを見極められる
「転職理由を正直に話してくれる人には好感が持てる」といった理由のほかにも、誠実な人であるかを見極められるといった理由もあります。仕事上の些細なミスでも、正直に話してくれた方が誠実さを感じ、上司にとっても応援したくなる存在となります。こそこそと隠したり細かいウソをついたりするような人であれば、重要な作業を任せることにも不安を抱くでしょう。このように、転職理由を本音で話すことは、入社後の応募者のビジョンをより明確にするといった可能性もあるのです。
【転職理由は本音で】3つの注意点
転職理由は本音で話すべき、と言っても、「給料が良かったからです!」と自信を持って答えてしまっても、誠実さだけでなく、入社後のビジョンが不明確であるため、転職理由としてはぼんやりしています。このように、転職理由は本音で伝えるべきであっても、以下の3つの注意点に留意して回答するようにしましょう。
自分の持つスキルや能力が、企業の戦力になることを伝える
採用担当者は応募者の転職理由から自社の企業理念や働き方に馴染めるかどうかについてCチェックします。そのため、転職理由は本音で話したうえで、自分がどれだけ企業にとって有力なスキルを持っていて、戦力になるかを伝えることが重要です。ただし、スキルを誇示した答え方では企業との相性をチェックすることができませんから、自分自身をアピールできるような答え方をすることがベストです。
企業に入社したい熱意を伝える
採用担当者は、志望動機や転職理由、応募者との相性を見ながら、自社に対する熱意についても知りたいと考えています。そういった理由を考慮し、事前に企業を徹底的にリサーチし、どういった人材を求めているのか、どういった働き方を導入しているのか、どのような商品開発(サービス展開)を行い、どのいった人をサポートしているのかなどについて明確に答えられるよう準備することも大切です。
前職の悪い部分は絶対に言わない
企業に応募した転職理由が、「残業が少なそうだったから」「休日出勤が少なそうだったから」などの理由であれば、採用担当者に対して「前職ではこの2点がネックで転職したのでは?」と感じさせる理由になります。前職に対しての悪い部分は伝える必要はありません。転職を企業や人間関係を理由にするような言い方にならないよう注意しましょう。
【転職理由は本音で】上手に伝える3つの方法
企業に対して「ここに転職したい!」と思った理由は、正直に話すことが大きな成果に繋がります。しかし、上手に伝える方法を知っておくことで、採用担当者を納得させる答え方ができるようになります。
志望動機を伝える
企業に入社したい、そう思った動機についてしっかり考慮しましょう。志望動機はあらゆる企業に通じる内容ではなく、企業それぞれのリサーチ結果を踏まえたうえで回答内容を絞ることが重要です。「これまでの経験を活かせそうだと思ったから」といった回答内容ではなく、「企業の●●について常に進化を求める姿勢に、現在保有するスキルが活かせるだけでなく、常に自分自身もスキルアップを目指しながら働けると感じた」などといった内容にしましょう。
本当の転職理由から前向きな理由を構築する
転職理由となった本当の内容から、前向きな理由へと構築させることも重要です。「残業が少なそうで働きやすい環境だと感じたから」といった理由では、残業に不満を持っていること、できる限り無駄な残業は避けたいといった感情が表立って伝わってしまいます。そうならないよう、転職理由を本音で伝えながらも前向きに伝えられるようにしましょう。先ほどの理由を言い換えるなら、「より効率よくスムーズに作業が進められるよう、日頃から自分のなかで作業効率を重視した活動を行いたいと考えています」など、前向きな回答を行うようにしましょう。
転職理由と志望動機を一本化させる
応募した企業なら転職するに至った理由が解決できると感じているといった流れになるよう、転職理由と志望動機を複合した内容にすることがベスト。さらに、転職理由と志望動機を一本化して、ブレのない意思をアピールできれば、採用担当者による応募者が入社したあとのイメージが湧きやすくなります。
【理由別】ネガティブな内容をポジティブに言い換える5つの方法
ここでは、転職理由別にネガティブに聞こえてしまう転職理由を、ポジティブに言い換える方法について解説します。転職に至った理由と志望動機を絡めてみても、ネガティブに聞こえてしまいそうな場合には、以下5つの回答例を応用してみましょう。
残業が転職理由の場合
残業が多く、拘束時間が長かったといった理由が転職理由になった場合は、以下のように答えると良いでしょう。
例 前職では残業などといった会社での拘束時間が長く、スキルアップに繋がる活動をできずにいました。御社では残業時間は月○時間と決められている、といった内容を見て、スキルアップの時間をしっかりと確保できそうだと感じ、志望しました。 |
このように、前職では勤務時間、拘束時間の長さが転職理由ではあったものの、志望する企業では月の残業時間が決められているといった具体的な数字、さらに残業時間が従来よりも減ったことで、どのような活動ができるのかについてもアピールできます。そのため、採用担当者から見てもポジティブな印象として受け止めることができます。
給与が転職理由の場合
給与に対して不満を感じ、転職した場合は以下のように答えると良いでしょう。
例 前職では部長といった役職を務めており、社内間でもトップの業績を維持していたのですが、実績やポジションがどれだけ上がっても、年功序列で給与が決まる社風でした。自分の実力を評価してくれる企業に勤めたいと考え、御社を希望しました。 |
上記のように、どれだけ努力をしても、古くから残っている社風によって実力を認められなかったといった内容にすることで、ポジションや実績をアピールしつつ、明確な理由によって評価が得られない環境だったという具体的な回答になります。さらに、希望企業であれば正当な評価を得られると感じたといった企業へのアピールもできるため、採用担当者も前向きに検討しやすくなります。
作業ボリュームが多く、心身共に潰れたことが理由の場合
作業ボリュームが多く、心身共に潰れてしまったことが理由であっても、そのまま伝えてしまえばだらけ癖があるのではないかと受け取られます。以下の内容に変えることでポジティブな印象に切り替えることができます。
例 前職では非常に高いノルマがあり、日々の作業ボリュームもその分多くありました。しかし、作業ボリュームが多いことで、顧客と関わり合う時間が取れず、営業成績もダウンしてしまうといった状況に陥ることが多々ありました。そういった前職の内容を鑑み、じっくりと顧客と向き合った仕事に就きたいと考え、御社を希望しました。 |
前職には多くの作業ボリュームがあったことによって、営業回りへの時間が取れず、結果的にノルマを達成することが困難な時期があったことを伝えています。そのうえで、希望企業には顧客のニーズを意識した働き方を導入していることをアピールできているため、企業リサーチができていること、顧客との関わり合い、つまりコミュニケーションが大切だということを知っているといったアプローチができます。
複数回転職をしている場合
短い期間で転職を繰り返していたり、長きにわたって多くの会社を転々としたりしていると、採用担当者から見ても、長続きしないのではないか?といった疑念が残ります。そういった経歴を持つ人は、以下のように答えると良いでしょう。
例 前職では事務員として志望し、入社しましたが、実際は営業職でした。営業職の魅力を実感し、今ではどちらも好きな仕事として認識していますが、改めて事務職を志望しましたが叶わなかったため、御社を希望しました。 |
このように、志望した職種と実際の配属が異なり、転職に至ったことを伝えています。しかし、違う職種に就いたことで自分の可能性が広がったことを前面にアピールできています。苦手意識を持ちながら仕事をしたのではなく、営業職にも魅力を感じたこと、そのうえで事務職と営業職のどちらも対応できると感じた企業を志望した、といった内容がうまくまとめられているため、臨機応変に対応できる人材であると判断されやすくなります。
会社都合で退職した場合
世界情勢など避けられない原因によってリストラを経験した場合、働くことを維持していかなければならないといった理由が表立って出てしまいます。しかし、そのままの理由を話せば、採用担当者は「自社でなくても良いのでは?」といじわるに思ってしまうこともあります。そうならないよう、以下のような答えを用いると良いでしょう。
例 前職では世界情勢によるダメージを受けた結果、会社自体がなくなってしまうといった理由からリストラに至りました。しかし、良い機会だと捉え、以前から趣味であるアパレルに関する仕事がしたいと思い、御社を希望しました。 |
このように、やむを得ないリストラに遭ったものの、この機会をチャンスと考えているといった内容にすることで、リストラを困難だと感じるのではなく、自分にとって良い機会だと受け止めたといった前向きな気持ちが前面に溢れています。
まとめ
多くの人が転職理由の本音と建前で悩んでいることが分かりました。本当の理由を話してしまえば、ずるい人、だらしない人と思われないかといったたくさんの懸念を抱きながら迷っているのです。しかし、採用担当者は数々の面接を経て、その目、心で面接を行います。建前であるウソを話したとしても、発覚してしまう可能性もゼロではありません。そういった可能性を減らすべく、転職理由は本音で話すことが重要です。本音で話すときには、今期時出も紹介した注意点、ポイントをもとに応用して、ポジティブな印象を与える答え方を行うようにしましょう。
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