転職活動をするうえで、企業による筆記試験を行う場合があります。筆記試験と聞くと少し構えてしまいますが、具体的にどのような目的を持って行っているのでしょうか。この記事では企業による筆記試験の導入率や筆記試験の内容、理由や対策法について解説します。転職活動における筆記試験の知識を深めるための参考資料としてご活用してください。
目次
企業が行う筆記試験 導入企業率は【約半数】
筆記試験を導入する企業はdodaによるアンケート結果を確認すると、募集企業の中の約半数であることが分かりました。職種別に見ていくと、筆記試験が最も多いのが「技術系(機械/電気)」で66%、2位が「技術系(化学/食品)」で63%という結果。一方で筆記試験が少ない職種には「クリエイティブ系」で38%、「医療系専門職」で39%といった結果であることが分かりました。その背景には、技術職では専門領域に特化したスキル、知識などを段階的に習得する必要があるといったことが理由と言えます。段階的に知識などを習得すると言うことは、中長期的にキャリアを積まなければならない傾向があるということ。だからこそ、筆記試験を導入して、スキルの理解力や知識の応用力を把握すると考えられます。これに対してクリエイティブ系や医療系専門職といった職種は、選考時に保有するスキルや資格が重視される傾向が強くあるため、筆記試験を実施する企業が少ないと考えられます。
筆記試験の内容はその9割が【適性検査】
筆記試験の内容についてdodaによるアンケート結果を見てみると、「性格適性検査」と「能力適性検査」を実施する企業が59%、「性格適性検査」が24%、「能力適性検査」が10%と、企業に対しての適性を調査する試験が9割を占めていることが分かりました。それぞれの検査について解説しましょう。
性格適性検査
性格適性検査とは応募者の行動、志向、情緒などを判断するための検査のことを指します。応募者の特徴や理解、仕事内容や職場との相性などを総合的に判断する試験であるため、面接時では判断しにくい部分までを細かく把握することが可能になります。
能力適性検査
能力適性検査とは、知的能力、作業能力を測定する検査のことを指します。日本語に対する理解能力や数滴理解能力、倫理的推理能力など、仕事における日常的に必要な物について把握したい婆に実施します。どの職種にも共通して必要な要素を測ることができ、同時に一定の水準に達しているかを判断しやすいため、多くの企業が導入する検査です。新卒採用だけでなく、これまでの職種で培ってきたスキルや経験を重視する中途採用においても、筆記試験を用いることで採否の規準が出しやすくなりますから、9割以上の企業が導入している理由もうなずけるでしょう。
企業が筆記試験を行う理由
上記でも触れましたが、2種類の筆記試験を用いる理由は企業に最適な能力を持っているか否かを判断するためと紹介しました。
適正・能力 | 適性を判断するため |
一般常識 | 日常的に使うことの多い基礎学力や知識を問うため |
論文・専門領域 | 実務上で必要な経験や能力、スキルを判断するため |
このように、筆記試験の内容は上記3種類の項目について把握するために行われることが一般的です。面接でどれだけ良い印象を与えようとしても、筆記試験の導入によって経験やスキルが活用できるかを問われてしまいますから、取り繕った面接も意味が無いと言えるでしょう。
筆記試験は約40分~1時間が一般的
企業によって異なるものの、筆記試験に要する時間はおよそ40分から1時間程度と言われています。一般常識、知識問題といった内容がほとんどであるものの、問題数が多い試験を行う企業もあるため、時間配分をあらかじめ決めてから取り掛かることがマストです。
【転職者必見】面接時に行う筆記試験の内容
新卒入社以外にも、職務経歴やスキルなどを重視する必要がある中途採用者。応募者によって異なる状況の場合でも、適性検査を行うことで企業にマッチした人材を見つけやすくなります。ここでは、そんな適性検査の具体的な内容についてご紹介します。
性格適性検査
性格適性検査は、打たれ強さ、責任感、仕事に対する意欲や積極性など、面接では知ることのできない応募者の中身を把握するために実施します。設問に対して「はい」「いいえ」または、「どちらでもない」や「あてはまる」といった項目から適宜選んで回答する形式が一般的です。複数の設問によって応募者の人格が浮き彫りになる検査ですから、ウソなどをつくことなく、素直に感じたままの回答を行うことが大切です。
クレペリン検査
クレペリン検査とは性格適性検査、心理テストのうちのひとつであり、1列に並べられた数字を左から繰り返し足していき、合計数の下1桁を足した数字の間に記載していく検査です。クレペリン検査によって応募者の処理能力、性格、長所や短所について把握することができます。
玉手箱
日本エス・エイチ・エル株式会社では玉手箱と呼ばれるWebテストを実施します。自宅受験型のテストであり、日本国内の大手企業でも導入がさかんになっている適性検査です。玉手箱は「能力」と「性格」で構成されています。「能力」では「言語」「計数」「英語」の3種類があり、各企業がそれぞれ自社にマッチした問題を組み合わせて実施します。このような背景から、どういった内容が出るかを事前に把握することは難しく、さらに問題数も多いという傾向にあるため、短時間で回答しなければならないといった特徴もあります。
SPI
「適性検査」の2種類を合わせた適性検査がSPIです。能力検査では計測処理をはじめ、論理思考力を計測する「非言語分野」と、文章や言葉の意味など日常会話などへの理解を図る「言語分野」の2種類があります。応募者の考える力やコミュニケーション能力、判断力や応用力など、作業を遂行していくうえで必須となる基礎能力について調べます。
時事問題
時事問題は文字の通り、時事に関する内容が出題されます。国家予算額や芥川賞、ノーベル賞などを受賞した作者名を回答するテストが一般的です。
専門知識に関する問題
技術職へ応募する場合は、専門知識に関する検査を受けることもあります。業界、職種によって内容は異なるものの、ITエンジニアであればプログラミングなどのスキルを把握するために実施します。
企業による専門的な試験
企業によって専門的な試験を行うこともあります。たとえば企業について答える設問や、入社後にやってみたいと考えている業務、今後の目標や抱負などさまざまです。ほかにも、時事問題を取り扱いながら、世界で問題となっている内容や課題とされる内容について論文形式で回答する試験もあります。論文形式の答案では、企業、業界に関する知識や論理的思考力、文章力など日常的に使うことの多い内容も盛り込まれているため、企業にとってどのようなスキルや能力を活かせるのかを把握する筆記試験とも言えるでしょう。こういった企業独自の試験においては企業や世界情勢に関する事前リサーチが必須となります。どういった試験が行われても対応できるように、あらゆる情報を網羅的に把握しておくことが重要です。
筆記試験の対策
企業が独自に作成した筆記試験であれば、対策として世界で起きている事柄や日本国内に関する話題、国家資産やその他あらゆる情報リサーチを行うことが大切です。ここでは、適性試験においてどのような対策をするべきかについて説明します。
適性/性格検査
適性検査や性格検査は、自分自身の性格を企業側が把握する試験です。良い印象を与えたい、企業にマッチしている人材であることをアピールしたいと考え、ウソをついて回答しても、その結果が適性検査によって分かる仕組みになっています。ですから、良い印象を与えたいばかりに集中して試験を受けてしまえば、かえってウソが発覚し、信用できない人として採否に影響を与えます。このようにならないためにも、面接時と適性検査には一貫性を持って回答するよう努めましょう。
一般常識
一般常識への対策としては、日ごとから世界情勢を意識した暮らし方をしているか、ニュースを見て考えることができるかなどが重要です。一般常識ではニュースに取り上げられる事柄が多く出題されることがあるため、スマホアプリなどのニュースなどを手軽にチェックする時間を設けることで、何気ない時間でも筆記試験の対策が行えるようになります。また、世界情勢に関するニュースについて、あなたなりの意見を求められることもあります。「●●についてどう考えますか?」といった質問があってもいいように、日頃のニュースにある程度の関心を持ちながら見ることが大切です。
論文
論文の対策としては、論文のテーマになりそうな内容をあらかじめイメージして文章を書く練習を行うのがベストです。たとえば、最近話題になっているSDGsに関する内容も、SDGsを題材にして、自分はどのようなアクションを取っているか、今後どういった活動が望ましいかなどを起承転結を用いて作成することが大切です。とはいえ、筆記試験では時間制限があり、イメージしていた論文対策とは異なる場合もあるでしょう。そうならないように、日頃から文章を書くクセを付けたり、日記を付ける、ブログを運営したりなど、1つのテーマに対して起承転結に沿って文章を書く工夫を取り入れるのも方法として望ましいといえるでしょう。
専門的な試験
経歴実績のなかに専門職として身につけたスキルや知識などがある場合は、学んだことをすべて洗い出してみるのがおすすめです。IT企業やクリエイティブ関係、WebライターやWebデザインなどさまざまな専門職がありますが、それぞれの職種に就いたことでどんなスキルを身につけたのか、どんな知識を得たのかをリストアップしましょう。そうすることで、自分が学んできたことを客観的に確認できるようになり、自分が得意とすることを明確にすることが可能になります。専門職に就いていたとしても、重要と思える項目がまだ理解できていないといった不得意分野についても明確にするチャンスとなりますから、これまでの実績に対して自信を持つだけでなく、具体的になにができるのか、なにが得意であり、どういった知識を持っているのかについて明確にしておくと良いでしょう。異業種にチャレンジする場合は、異業種求人から求められる人材を洗い出す方法があります。前職は事務員だったけれど、人とのつながりを意識した仕事に就きたいと考え、営業職を選んだとしましょう。事務職であればパソコンを使う仕事がメインでしたが、営業職ではフットワークの軽さや高いコミュニケーション能力、志望する企業はどのようなサービス、商品を販売しているのかをリサーチする必要があります。このように、異業種にキャリアチェンジしたいと考えている場合は、希望が求める人材や、その他専門用語などを徹底的に把握することが大切です。
筆記試験の内容は企業によって違う 日頃の生活に工夫を取り入れ対策を行おう
転職活動のなかには今後を望める企業を見つけたり、書類作成、面接だけでなく、筆記試験を受けたりすることも多い昨今。企業の9割が実施しているといったデータから分かるように、面接だけでは把握しきれない、応募者の性格や適性を知りたいと考えていることが理由であることが分かってもらえたのではないでしょうか。筆記試験や適性検査によって人間性や思考、行動力などすべてが見えてしまうため、面接時にどれだけ好印象を取り繕っていてもムダであることも理解できたと思います。ウソをついて「信用に値しない存在」といった印象を与えないよう、面接と適性検査では一貫性を持って応えることが大切です。この点に留意して、筆記試験をクリアしてくださいね。
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