転職をするということは、今勤務している職場を退職することになることは当然です。
転職先が決まった人の多くは、「余った有給を消化して退職しよう」「有給がもったいない」という考えを持っており、退職日前まで有給消化をする場合があります。
私自身も、1年勤務した職場を辞める際に、2週間分の有給を消化した経験があります。
この有給消化は企業側が素直に取得させてくれない場合もあります。
そして、「有給期間も稼ぎたい」「すぐに転職したい」という人もいます。
私自身も「すぐにでも転職先に行きたい」と強く思ったことがあります。
しかし、実際は有給期間中の転職は簡単ではなく、退職日を過ぎてから転職をしています。
それは何故なのか?今回は、有給消化の方法や有給取得の企業とのトラブルと有給期間の転職について紹介していきたいと思います。
目次
そもそも有給消化とは何か?
有給消化とは、「有給休暇も消化」の略語を言います。
意味は言葉のとおり、使っていない有給休暇や溜まってしまった有給休暇を全部使って、仕事をお休みすることをいいます。
有給消化をする目的は「療養」「親の介護」「子供の看病」など医療的な問題で使用する場合がありますが「転職」「退職」など、企業を辞める場合に使用する人がほとんどといわれています。
しかし、この有給消化に企業側が素直に許可を出す場合もありますが、その逆もあるということを覚えておく必要があります。
有給消化する際のトラブルと対策方法
次に、有給消化をする際に企業側と起きてしまうトラブルとそのトラブルの対策方法を紹介します。
企業自体が有給消化をさせてくれない場合がある
企業側全てが有給消化に協力的で「どんどん使ってください」「有給取得は社員の自由です」という考えであればよいのですが、その逆の場合もあります。
「有給取ったら、誰がこの業務するの?」「困るんだよね!!」「業務がまわらないから有給消化は無いから!!」という企業側中心の考えで、有給消化を拒否される場合もあります。
私自身もその経験があり、転職先が決まって退職する際に有給消化申請を企業側に話した際に、「誰が早番や遅番するんですか?」「まわらないから難しい」と断られそうになったことがあります。
有給消化はできましたが、「有給消化させてやった」「周りの職員に御礼と謝罪しろ!!」と企業側から話されたことがあります。
このような有給消化させない企業は、あきらかに問題がありブラック企業といってもよいと思います。
有給を取得するのは社員の権利であり企業側は拒否権はない
有給自体は、社員一人一人に取得する権利があります。
そして、その権利がある社員が有給消化申請を企業に依頼した場合、企業側は拒否することはできないのです。
しかし社員側に問題があり、「休みがち」「8割以上出勤していない」となれば、企業側から拒否され有給消化できない場合もあります。
もし有給消化を企業から拒否された場合
「休まずに出勤していた」「勤務も変わってあげたり、残業もしていた」など、企業が貢献し、真面目に勤務していたのに、企業側から拒否されてしまい有給消化ができない場合は、企業側の違法行為となります。
すぐに、企業の人事部や社内コンプライアンス部門に相談することをおススメします。
そこに相談することで、直属の上司に適切な指示を出してくれる場合があります。
企業側全体が、有給消化に反対している場合は、「労働基準監督署」に相談することがよいと思われます。
労働基準監督署は、無料で相談対応してくれ、企業へ指導や勧告をしてもらえる可能性があります。
企業側に「労働監督署に相談しました」と話すことで、企業側も「いつ勧告が来るのか?」「労働監査をされるかもしれない」とヒヤヒヤした気分になります。
それぐらい、労働監督署という専門部署は企業側からすると「怖い部署」「関わりたくない」所でもあるのです。
このように専門部署に相談することで、有給消化に企業が応じてくれます。
有給消化期間は転職出来ない理由と落とし穴
有給消化期間が長いと「何か仕事をしたい」「転職先にすぐにでも行きたい」という考えを持ってしまう人が多いです。
しかし、そのように有給消化期間中に仕事をすることは、禁止されている場合があります。
また、有給消化期間中に別の仕事をすることは、難しいと思ってもよいかもしれません。
次に何故、有給消化期間中に、別の仕事が出来ないのか?その理由と、有給消化期間中に別の仕事が出来る方法を紹介します。
別の仕事が出来ない理由は雇用保険が理由!
会社に入社が決まれば、必ず会社の保険「雇用保険」に入る必要があります。
雇用保険の加入条件は、月に31日以上勤務する可能性が高い社員と週20時間以上勤務する社員と決まっています。
そして雇用保険は、もし企業が休業してしまった場合や倒産してしまった場合による退職や自身や家族などが急病で退職が必要となった場合に失業してしまった社員の給料を保障するための保険でもあります。
退職や失業保障以外にも会社に復帰する条件で、育休や産休保障もあり給料の6割が給付されます。
このように社員の生活を守る為に雇用保険制度が存在しますが、人は雇用保険は1つの会社でしか加入することが出来ないという決まりがあります。
もし、雇用保険を2カ所の会社で加入してしまうと「雇用保険2重加入」となってしまい、大変なことになってしまいます。
有給消化期間で転職してしまうと大変な事に!!
有給消化期間中は、まだ雇用保険に加入している状態であります。
会社の医療健康保険証も使用可能で、私自身も「有給消化期間中に、歯医者で歯石取りでもしようかな」と思って、保険証を使っていたものです。
しかし、この有給消化期間中に「転職先ですぐにでも働きたいから、入社しちゃおうかな」という軽い考えで、入社をしてしまうと大変なことになります。
転職先は、数日で雇用保険に加入させて医療健康保険証も渡して来ます。
そうなると、前の勤務先の雇用保険と転職先の雇用保険の2つに加入している状態になります。
雇用保険2重加入、または2重交付となります。
雇用保険は、1人につき雇用保険番号が与えられますが、この番号は仕事に就いて転職を繰り返しても変わる事はありません。
そして、もし転職しないで失業給付を受ける場合、給付の手続きが必要となります。
その手続きで必要なものが、雇用保険番号となります。
手続きはハローワークで行いますが、この番号は簡単に検索して失業期間を確認し失業給付金の額が決まっていきます。
しかし、何らかの理由で2つの番号を持ってしまうと、どちらかの番号が失業給付手続きとして使用されてしまう場合があります。
例えば1年間勤務して雇用保険に加入していましたが、他にも別な会社の仕事を在宅で1年前からしていて、そこでも別な雇用保険番号で雇用保険に加入してしまった場合だと、短い期間で勤務した方の雇用保険番号を優先されてしまい、失業給付も少なくなってしまうということになります。
そうしてしまうと、長く勤務していた方の雇用保険番号は無視されてしまい、失業給付を加算されない可能性が高くなってしまいます。
「失業給付2重取りしよう」「楽してお金をもらおう」という考えを持ってしまうと、かえって損をしてしまうということに繋がっていきます。
もし転職先から出勤申し出があった場合
もし、転職先から「有給消化中に研修受けませんか?」「給料が発生しますが、働きに来ませんか?」と連絡がきたら、「必要とされてる。嬉しい」「給料出るの!?ヤッタ!!」という気持ちになってしまい「はい!!行きます」と返事をしてしまう人がいると思います。
そこで早まってはいけません。
次に、有給消化期間中に転職先から出勤の申し出があった場合の対処方法を紹介します。
転職先が2重就業、ダブルワーク可能か?聞く
まず、まだ有給消化期間中であり雇用保険に加入中であることと、まだ前の勤務先に席があることを転職先に伝えることが大切です。
多くの企業はその場合、「雇用保険未加入で、その日だけ短時間パートという扱いになります」「アルバイトと同じ感じで」と話して、2重加入を避けるようにする場合があります。
しかし、「雇用保険加入させます」「手続きして、有給期間も仕事をお願いしたい」となってしまった場合は違ってきます。
このようになってしまった場合は、「ダブルワーク可能か?」「2つ仕事を掛け持ちしている状態である」ということを話し、許可を得ることが重要になります。
転職先から許可を得る事ができれば、その企業は副業や他のアルバイトが可能な企業と言っても良いと思われます。
現在勤務している企業へも2重就業、ダブルワーク可能か?聞く
転職先から2重就業許可が出された後は、現在まだ席がある企業にも許可を得る必要があります。
転職先と同様に、「ダブルワーク可能か?」「転職先と掛け持ちとなる期間がある」ということを企業に伝えて許可を得ます。
両企業が可能となれば転職可能!!片方がNGの場合
転職先と現在席がある企業から許可があれば、有給消化期間中も、転職先で勤務が可能となります。
しかし片方が許可を出さない場合は、転職先での有給消化期間中の勤務は不可能となります。
もし、転職先が有給消化期間中に勤務の申し出があり、現在席がある企業から許可が得られなかった場合、転職先の担当者にそのことを説明をし、雇用保険2重加入を避けるように対応して頂くように相談してみても良いかもしれません。
有給消化期間を楽しく過ごす方法
有給消化期間がある人、全ての人が「仕事しましょう」「働いてみましょう」という決まりはありません。
折角の有給消化期間です。
今まで、取得出来なかった有給を自分のために使ってみると良いと思います。
次に、有給消化期間をどのように過ごした方がよいか?おススメな過ごし方を紹介します。
まずは有給消化期間に入る前に、引き継ぎは終わらせておく
有給消化期間は、「のんびりしたい」「自分の時間をやっと作れる」と感じている人が多いと思います。
そのように有給消化期間を過ごしたい人は、まずは引き継ぎを早めに終わらせておくことが重要になります。
有給消化期間に入る1週間前には、完璧に後任の社員に引き継ぎをしておきましょう。
引き継ぎが上手く出来ないと、後任の社員も困りますが企業自体も困ってしまいます。
困って動けなくなってしまえば、確実に有給消化期間に「どうしたらいいの?」「困っているから今すぐ来て!」と呼び出しの連絡が来る可能性もあります。
このようなことが起こらないように、引き継ぎは早めに行って有給消化期間は自分の時間にしましょう。
また、まれに「業務が出来ないから勤務してよ」「やっぱりあなたじゃないとダメで」といった企業の自己中心的な理由で、有給消化期間中に連絡がくる場合もあります。
このような連絡は1回対応したら、無視してもよいと思われます。
何度も対応していたら、タダ働きさせられてしまう場合もあり、企業自身があなたに依存して成長しない可能性もあります。
有給消化期間に入る前の、引き継ぎが重要となります。
転職先が決まっていない場合は転職活動継続
有給消化期間中の全ての人が転職先が決まっているということはありません。
まだ、転職先が決まっていない人は、転職活動を継続している人もいるのです。
一番よい方法は、有給消化期間に入る前に転職先が決まっているといった状態です。
しかし実際に、仕事をしながらの転職活動はとても難しいと言えます。
最近では、新型コロナウイルス対策や転職活動をする時間がない人達のためにオンライン面接を行う企業も存在します。
有給消化期間中でも、自宅で転職活動が出来るようになっております。
労力や時間を掛けずに転職活動が出来る為、自宅にいないといけない理由がある育児中の女性でも安心して転職活動ができると思います。
今まで時間がなくて出来なかったことをしてみる
今まで企業のために、朝から夜遅くまで頑張ってきた人もいると思います。
「休みなのに会社から呼び出されて、休日出勤した」「美容院の予定をいれていたのに、同僚が急に休んで予定がキャンセルして出勤した」とイライラしてしまう理由で、自分の時間を企業のために捧げてきた人もいると思います。
有給消化期間に入ったら、この時間を自分のために使ってみてもよいと私は思います。
私の場合、「なかなか友人と会えなかったからランチに誘ってみようかな」「歯列矯正したいから歯医者に行こうかな」と自分のために有給消化期間を楽しんでいたことがあります。
今まで頑張ってきた、ご褒美と思っても良いかもしれません。
有給消化期間を楽しんでみましょう。
転職先の近くに引っ越しするのもおススメ
もし転職先が今の自宅から遠いと感じている場合、近くに引っ越してもよいかもしれません。
「転職先に1時間掛けて行くよりも、20分くらいで着く所に引っ越してみようかな」「朝の通勤ラッシュや渋滞を避けたい」と感じている人は、物件を探してみるのもよいでしょう。
また、有給消化期間が2週間以上ある人は、物件探しと引っ越しもしてしまうという方法もあります。
転職する前に、有給消化期間を使って引っ越しをして次の職場には近くから出勤ができることは、環境も変わるので気分転換にも繋がります。
帰省してのんびり過ごす
仕事が忙しくて、なかなか地元に帰れなかった人も多いと思います。
「たまには、お母さんの料理が食べたい」「実家の愛犬にあいたい」「地元の友人にあいたい」と感じている人は、この有給消化期間を使って、地元でのんびり過ごしてみても良いかもしれません。
その際、両親や地元の友人に「転職する」「今、こんな感じで生活している」という近況報告をしてみると良いでしょう。
まとめ
有給消化期間の転職や過ごし方について知って頂けたでしょうか?
すぐにでも転職先に行きたいという気持ちが強いことは、とても良いことだと私自身思います。
のんびり過ごして自分の時間にするといった方法も良いと思います。
有給消化期間は自分自身へのご褒美、プレゼントだと思って時間を自由に使ってみてください。
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