企業に応募した際の履歴書は、その後どうなってしまうのでしょうか。「面接後、不採用となった場合は返却」など、応募事項などに記載されている企業も少なからず存在しますが、基本的には企業が保有する形になります。本記事では、不採用になった場合、履歴書を返却してもらうことは可能なのか、また、返却をしない企業の理由や返却してもらうための方法について解説します。
目次
そもそも一度提出した履歴書は返却可能なのか
企業に応募する際に必要な履歴書。採用になった場合は必要な点も理解できますが、不採用が決定した場合は特に必要はないと考えられます。「使う用事が無いのなら返却してほしい」と考える方も少なくないでしょう。では、一度提出した履歴書は返却に対応しているのでしょうか。
一般的には採否にかかわらず返却不可
結論から言うと、一般的に履歴書は採否にかかわらず返却しません。その理由は、返却しなければならないといった決まりがないからです。応募者からすれば「個人情報が記載されているのに」と感じるでしょう。しかし、一度提出した履歴書の所有権は企業へと移り、企業側の所有物と見なされます。そのため、取り扱いも企業側が判断します。ただ、応募者の大切な個人情報が記載されていることを受け止め、大切に保護する義務が生じます。所有権が企業側に移ったとはいえ、応募者の個人情報が記載されていることから、履歴書の取り扱いには細心の注意を払ったうえで保管しているのが一般的です。
応募者が履歴書を返却してほしいケース
不採用となった場合、別企業に提出したいため、または、どのような履歴書を作成したのか模範にするために返却してほしいと考える応募者も少なくありません。また、「個人情報の取り扱いに不安」「個人情報が記載されているため、速やかに返してほしい」など、応募者によってそれぞれの理由があるでしょう。不採用となった際に履歴書を返却してほしい場合は、
- 応募事項を確認する
- 面接の際に履歴書の返却をひと言伝える
などの工夫を取り入れることで返却に対応する場合があります。ただし、原則として返却しなければならないといった決まりはないため、速やかに対応するのか、または拒まれてしまうかは、企業それぞれの言い分から対応不可能といった可能性も考慮しなければなりません。
履歴書を返却する企業・しない企業の理由
一度提出した履歴書の所有権は企業側へと移るため返却対応には応じません。しかし、なかには履歴書を返却する企業も少なからず存在します。では、履歴書を返却する企業と返却しない企業にはどのような理由があるのでしょうか。
返却する理由
履歴書を返却する企業には、
- 個人情報保護の負担を減らすため
- 万が一のトラブルを避けるため
の2つが理由であると考えられます。
個人情報保護の負担を減らすため
個人情報保護法内には、個人情報が記載された書類などは第三者の目に触れないよう厳重に保管し、一定期間経過後は削除・または破棄といった適切な方法を用いて手放さなければならないと定められています。しかし、どれだけ厳重に保管していたとしてもヒューマンエラーリスクなどを考慮し、応募者とのトラブルをできるだけ避けるために、不採用となった応募者、または希望者に履歴書を返却していると考えられます。
万が一のトラブルを避けるため
「履歴書の返却は不可」と伝えてしまうことにより、履歴書の返却を望む応募者とのトラブルに発展することも少なくありません。そういった可能性を考慮して、応募者、または希望者に履歴書を返却するケースもあります。
返却しない理由
履歴書を返送しない企業側としては以下3つのデメリットが背景にあります。
- 返却時の費用負担を避けるため
- 郵送事故などによる紛失を避けるため
- 履歴書・職務経歴書などに書き込みをしているため
また、履歴書を再度応募があった場合の参考資料として保管したいといった考えから、返却しない企業も存在します。
返却時の費用負担を避けるため
履歴書の返却には企業側が別途費用を負担しなければならないといったデメリットがあります。郵送する際の切手代、履歴書を送付するための封筒や書類代、返送作業を行う人件費などが必要になるため、大手であればあるほどその費用は膨らみ、あらゆる状況で経費が掛かってしまいます。不採用になった応募者に対して費用を掛けたくない。その一点が多くの企業に存在しているため、返却不可としているのです。
郵送事故などによる紛失を避けるため
万が一の可能性ではあるものの、郵便事故などによって紛失を避けるために履歴書を返却しない企業もあります。郵便配達員による故意の破棄といったニュースを見たことがあるかと思います。郵便事故にあうということは、その分個人情報漏洩の可能性が高まってしまうということです。そういった事故に巻き込まれないために、あらかじめ企業で管理し、しかるべき時期に破棄するといった理由もあります。
履歴書・職務経歴書などに書き込みをしているため
書類選考時、または面接の際に履歴書そのものに採用担当者が書き込みをしているケースも少なくありません。どういった印象を持ったのか、どのようなことが向いているかなど、履歴書を通じて受けた応募者の印象を細かく書き込んでいる場合もあります。そういった内容を見られないようにするために、返却に応じない企業もあります。
再度応募があった場合の参考資料として保管したい
企業としては、応募者が再度自社に応募したときのために、情報や特徴などを書き込んだうえ、参考資料のひとつとして保管しておきたいと考える場合もあります。
企業に送った履歴書 その後はどうなっているのか
不採用となった応募者の履歴書は、企業でどのように保管しているのでしょうか。返却しないことはわかっても、個人情報漏洩の事件が発生することから、不安を抱く方も多いはず。ここでは個人情報を記載した書類の取り扱いについてご紹介します。
法律に従った取り扱いを実施
厚生労働省では履歴書の管理は所有権が移動した側、つまり企業側が行うとし、採用担当者を含む面接に直接関わりのない第三者の目に触れないように保管するよう提示しています。採用担当者を含む面接に関わる人は、厳重な管理を取り入れたうえで個人情報を保護しなければなりません。用事も無いのに履歴書をデスク上に放置したり離席したりといったことがないよう、取り扱いに細心の注意を払います。また、履歴書を面接・採用活動以外で使用することが禁じられているため、ほかの用途などで開き、確認するなどといったこともしません。
一定期間保管した後に破棄している
履歴書を一定期間保管したあとは、しかるべき対応で破棄しています。不採用が決定した場合は、おおよそ1ヵ月~2ヵ月の間にシュレッダーを用いて裁断、溶解処理を取り入れるなどして破棄しています。また、企業によって保管期間や処理方法が異なるため、企業それぞれの規則に基づき、しかるべき対応で破棄するのが一般的です。
履歴書の返却を求める前に確認すべき2つのこと
不採用が決まり、履歴書を返却してほしい場合はどのような方法で返却を促せば良いのでしょうか。必ずしも対応するといったわけではありませんが、必要な場合は念のため以下の方法を取り入れてみましょう。
募集事項内の「履歴書の取り扱い」について確認する
企業に応募する前に、募集事項などから「履歴書の取り扱い」について確認してみましょう。応募事項や特記事項などから「履歴書の返却は不可です」とひと言記載がある場合は、返却対応は不可能です。また、そうとわかっていても、面接の際にこちらから「履歴書を返却してほしい」と伝えてしまっても、「募集事項をしっかり読んでいない」といったネガティブな印象を与えかねません。面接の際、あなたの印象に影響しないためにも、事前に確認することが重要です。
あらかじめ返却を申し出る
応募や面接の際、履歴書について「不要になった場合は返却してほしいのですが可能でしょうか?」と採用担当者に確認してみると良いでしょう。一般的にはあらゆる費用が掛かることから、返却対応はしておらず、また、返却しなければならないといった決まりもありません。ですから、スムーズに返却に応じてくれる可能性は極めて低いものの、理由と共に返却してほしい旨を伝えておくと良いでしょう。
履歴書・返却におけるよくある質問
ここでは履歴書の返却に関するよくある質問をご紹介します。これから企業との面接を控えている方や、履歴書の取り扱いはどのようにしているのかが気になる方は、しっかりチェックしてください。
履歴書を受理した企業はどのくらい保管しているの?
労働基準法109条では、履歴書の保管期間は3年間と定められています。つまり、3年間は企業側で履歴書を大切に管理しなければならないことが義務づけられています。ただしこの決まりは在職中の応募者に限ります。不採用となった場合は、企業側の定められた期間保管し、適宜定められた規則によって破棄することが一般的とされています。
履歴書は誰が保管するの?
応募者の履歴書や応募書類のすべては採用担当者に保管義務があります。応募者が入社になった場合は3年、不採用になった場合は企業の定める期間保管し、破棄することが一般的です。在職中の応募者の履歴書を3年という期間保管しなければならない理由には、万が一経歴詐称が見つかった場合の重要な証拠となり得ます。そういった背景を鑑み、大切に保管しなければならないと決められています。
履歴書を返却する企業は全体のどのくらいの割合?
リクルートエージェントが実施した『不採用になった応募者に履歴書を返却していますか?』というアンケートでは、全体の39%が「返却に応じる」と回答しています。また、38%が「要望があれば返却する」と回答していることから、アンケート全体の77%が、応募者が不採用になった場合、希望があれば返却に応じる、または自主的に返却していることが分かります。ただし、上述したように応募書類一式は一度受理されれば企業側に所有権が移りますから、基本的には返却しないことを理解し、必要に応じて相談することが重要だと言えるでしょう。
履歴書の返却を申し出たい場合のベストなタイミングはいつ?
応募者側の意向で履歴書や応募書類一式を返却してもらいたい場合は、あくまでも不採用が確定した段階が望ましいと言えるでしょう。その理由は、面接を受けた段階、または面接を受ける前の段階で「履歴書の返却」について質問すると、「最初から落ちる気で面接を受けるのか」といったネガティブな印象を与えてしまうからです。どれだけ完璧にできた履歴書、応募書類であっても、返却を申し出る場合はさらにネガティブな印象を与えかねないことに留意して申し出ましょう。完璧に仕上がった履歴書や応募書類は、企業に提出する前にコピーを取って、いつでも確認できるようにしておくと安心です。
履歴書は返却されないと考えよう
本記事のなかで最も重要なことは、一度提出した履歴書は、受け取った企業側に所有権が移るということ。つまり、採用・不採用にかかわらず、提出した書類は企業側が所有する権利を持ち、保管する義務が生じるということです。そういった理由からも理解できるように、履歴書の返却に関する細かな決まりがないことから、不採用になったからと言って返却をお願いすることは難しいと言えます。履歴書を返却してほしい応募者の理由には、「今後の履歴書の作成にヒントとして活用したい」という理由も少なくないはずです。万が一、今後履歴書を作成する上でひとつの資料として役立てたい場合は、履歴書の原本をコピーして資料用としてコピーしたものを保管し、活用する方法があります。採用担当者にあなたの印象をネガティブなものにしないためにも、できることはご自身で取り入れるなど、対策したうえで履歴書を提出しましょう。
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