会社を退職する理由に「自己都合退職」と「会社都合退職」の2つを聞いたことがある人は多いと思います。
しかし、聞いたことがあったとしても「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いを詳しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。
また、退職する時に会社側から「自己都合退職」で大丈夫かどうかを強く問われるケースもあります。
では、なぜ会社側は「自己都合退職」を強く勧めてくるのか分かりますか?
この記事を読むことで、このような「自己都合退職」と「会社都合退職」のよく分からない点を詳しく解説していきます。
記事を読むことで、以下のことが分かります。
・「会社都合退職」について
・「自己都合退職」と「会社都合退職」の違い
・会社側が「会社都合退職」にしたくない理由
・「会社都合退職」のメリットデメリット
目次
会社都合退職とは
「会社都合退職」とは、本人は働く意思があるにもかかわらず、会社側の都合により退職にいたることを言います。
例えば、業績悪化による人員削減や倒産などの会社判断による従業員の解雇のことです。
また、パワハラなどのハラスメントで働くことができなくなってしまった場合や、会社の人員整理による希望退職者を募り、それに応じて退職した従業員も「会社都合退職」に入ります。
自己都合退職と会社都合退職の違いとは
会社の退職は「自己都合退職」と「会社都合退職」の2パターンです。
転職など会社を退職する理由が自分の都合の場合は、「自己都合退職」に入ります。
そして、「自己都合退職」と「会社都合退職」では、退職後に受けることができる待遇の違いや履歴書での書き方が異なります。
「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いは、以下のとおりです。
・失業保険が受け取れるまでの期間
・退職金の額
・経歴の記載内容
2つの退職方法の違いを詳しく解説していきます。
失業保険が受け取れるまでの期間
自己都合退職と会社都合退職では、失業保険が受けとれるまでの期間が変わります。
自己都合退職であれば、会社を退職してから失業保険を受け取れるまでに最短でも2カ月間かかり、失業保険が給付される日数に関しても90〜150日間と決まっています。
それに対して、会社都合退職では会社を退職した7日後から失業保険を受け取ることができ、失業保険が給付される日数も90〜330日と最大給付日数は2倍以上違うのです。
退職金の額
退職金の受け取れる額も自己都合退職と会社都合退職で違うケースがあります。
自己都合退職の場合は、会社によって退職金が減額されてしまう可能性が高く、基本的に勤続年数が長いほど減額される額は減っていきます。
会社によって異なりますが、勤続年数が数年と短い場合は20〜30%の減額、勤続年数が数十年と長い場合は10%の減額となることが多いです。
それに対して、会社都合退職の場合は退職金は全額受け取ることできます。
なぜなら、本人に働く意思があるにも関わらず退職となるからです。
一つ注意点として、勤続年数が3年以内の人は、そもそも退職金を受け取ることができないかもしれません。
なぜなら、ほとんどの会社が退職金を勤続年数3年以上の人に限定しているからです。
経歴の記載内容
履歴書に記入する経歴の記載内容が自己都合退職と会社都合退職で違います。
自己都合退職の場合は「一身上の都合により退職」と記入しますが、会社都合退職の場合は
「会社都合退職により退職」と記入します。
面接の際に重要になるのが前職の退職理由です。
自己都合退職であれば、より詳細に前向きな退職理由を答えなければなりませんが、会社都合退職の場合は、なにかしらの理由がすでにあるので、退職理由を詳細に聞かれることはないでしょう。
しかし、会社都合退職の理由として面接官が懸念しているのは「懲戒解雇」です。
会社都合の場合、その人が原因で会社から解雇を命じられている可能性があります。
そのため、自分が原因ではない会社都合退職の理由の場合は、事前に履歴書の備考欄に退職理由を明記しておくと面接をスムーズに進めることができます。
会社都合退職になるケース
会社都合退職になるケースは、基本的には会社側になにかしらの原因があり退職をすることになった場合です。
今回は、会社都合退職でよくある退職理由を4つ紹介します。
・会社が倒産してしまった場合
・移転により通勤が困難になった場合
・退職勧奨での退職
・ハラスメント等の会社側に原因がある場合
それぞれ詳しく解説していきます。
会社が倒産してしまった場合
会社の業績が悪化してしまい会社が倒産した場合は、会社都合退職の扱いとなります。
また、同じように会社の業績悪化による人員整理により、解雇や希望退職者を募って退職した場合も会社都合退職です。
移転などにより通勤が困難になった場合
勤務地が移転して、自宅からの通勤が困難となった場合も会社都合退職の扱いになります。
逆に、従業員が自己都合で引っ越し勤務先が遠くなってしまい退職する場合は、自己都合退職となるので注意しましょう。
移転に伴う通勤困難の基準ですが、片道の通勤時間が2時間以上を超える場合は通勤が困難と判断されるケースが多いです。
移転などに伴い通勤が困難となった場合は、一度ハローワークに事情を説明し確認すると良いでしょう。
退職勧奨での退職
退職勧奨とは、会社側から退職について促されることを意味します。
会社側から退職をしてほしいと伝えられて自発的に退職することになったとしても会社都合退職として認められるケースが多いです。
会社によっては、退職勧奨を自己都合退職で処理しようとするところもあるので、半ば強引に自己都合退職にさせられてしまった場合はハローワークに相談してみましょう。
ハラスメント等の会社側に原因がある場合
会社内で上司や同僚からのハラスメントを受け退職にいたったのであれば、原則として会社都合退職が認められます。
また、ハラスメントを受けており、それが原因で会社を退職したくないという場合は、各都道府県の「雇用・環境均等部(室)」でハラスメントに関する相談を受けてくれるので、電話で相談してみましょう。
会社側が会社都合退職にしたくない理由
会社側が会社都合退職にしたくない理由は、「助成金」が関係しています。
「助成金」とは、厚生労働省が民間企業に対して支援金を送る制度のことです。
民間企業が「助成金」を受け取るためには、一定の条件を満たさなければなりません。その条件の中に直近半年以内で会社都合退職者が出ていないとあります。
そのため、「助成金」を受け取っている会社は、会社都合退職を認めてしまうと受け取れなくなってしまうため、意地でも退職するときに自己都合退職で大丈夫か念入りに聞いてくるのです。
一方で、「助成金」を受け取る予定がない会社に関しては、会社都合退職でも自己都合退職でも差ほど関係はありません。
会社都合退職のメリット
会社都合退職には、いくつかのメリットがあります。
会社都合退職は、退職意思がない従業員が退職する場合に認められます。そのため、退職した後の待遇などに大きなメリットがあるのです。
メリットは、以下のとおりです。
・退職理由が明確となる
・失業保険が早くもらえる
それぞれ説明していきます。
退職理由が明確となる
会社都合退職の場合は退職理由が明確になるため、転職先の面接で前職の退職理由について深堀されなく、また退職理由で悩む必要もありません。
さらに、会社都合退職のほとんどの場合が従業員に非はない退職のため、短期離職だとしても面接でマイナス評価されるケースは少ないです。
失業保険が早くもらえる
会社都合退職の場合、退職後の失業保険をすぐに貰うことができるので、次の転職先が決まるまでの生活費に困る心配が少ないこともメリットの一つです。
自己都合退職の場合は、失業保険を受け取るまでに最低でも2カ月以上はお金が入らない期間がありますが、会社都合退職の場合は退職から最短で7日後に失業保険が支給開始されます。
また、失業保険が受け取れる日数も自己都合退職に比べて最大給付日数が2倍以上あるので、失業保険の恩恵は大きく受け取ることができます。
会社都合退職のデメリット
会社都合退職では、メリットだけではなくデメリットもあります。
会社都合退職を検討している場合は、デメリットもしっかりと理解したうえで会社都合退職を選ぶようにしましょう。
デメリットは、以下のとおりです。
・退職理由によっては転職に不利になる
・転職先が決まらないまま無職となってしまう
それぞれ解説していきます。
退職理由によっては転職に不利になる
会社都合退職は、退職理由によって転職が不利になってしまう可能性があります。
退職理由が会社の業績悪化の場合であれば問題ないです。
しかし、懲戒解雇などのリストラであれば本人が原因の退職となるので、転職では不利になってしまいます。
懲戒解雇でのリストラの場合、本人の能力不足や何かしらの原因があると疑われてしまい、入社後に、同じようなミスを起こすのではないかと心配されてしまいます。
転職先が決まらないまま無職となってしまう
会社都合退職の最大のデメリットともいえるのが、次の転職先が決まらないまま退職をすることになった時です。
いくら失業保険を退職してからすぐに受け取ることができるとしても、会社員の給料と比べると額は少ないです。
失業保険の給付金額ですが、直近半年間の給料を180日で割り、その額に応じて50%〜80%になります。
また、1日の給付上限額も決まっており、1日に貰える支給最高額は8000円程となります。受け取れる失業手当は人によって異なるので、自分の支給額が気になる方はお近くのハローワークに問い合わせてみましょう。
そのため、すぐに転職先を見つけなければ貯金を崩しながら生活をすることになるので、転職先を早い段階で見つける必要があります。
会社都合退職にするためには
自己都合退職よりも会社都合退職の方が失業保険の恩恵を受け取ることができます。
そのため、会社都合退職で退職できるのであれば、そちらのほうが断然おすすめです。
では、会社都合退職のような条件にするにはどのようにしたら良いのか説明します。
自己都合退職の中でも条件を満たすことで「特定理由離職者」という扱いを受けることができます。
「特定理由離職者」の認定がされると失業保険が会社都合退職と同じ条件で受け取ることができます。
条件は以下の通りです。
◎労働契約が満了、かつ労働契約の更新がないことによって離職した人
◎病気や心身の障害によって離職した人
◎妊娠・出産・育児等を理由として離職し、受給期間延長措置を受けた人
◎結婚に伴って住所を変更した人
◎事業所が通勤困難な場所に移転した人
(引用:エン転職)
また、自己都合退職でも理由によっては会社都合退職に変更できる可能性もあるので、会社都合で退職したと思った場合は、一度ハローワークに問い合わせてみましょう。
会社都合退職についてのまとめ
今回は、会社都合退職についてまとめました。
会社都合退職とは、従業員には、働く意思があるにも関わらず、会社側の都合で退職することになった際に適用されます。
逆に自己都合退職は、転職など従業員側の判断によって退職をする場合のことです。
「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いは、以下のとおりです。
・失業保険が受け取れるまでの期間
・退職金の額
・経歴の記載内容
自己都合退職よりも会社都合退職の方が失業保険等での恩恵が大きいため、会社都合による退職の場合に自己都合退職で処理をされてしまった場合は、ハローワークに相談することで会社都合退職に変えることもできる可能性があるので相談してみましょう。
会社都合退職のメリットは、以下のとおりです。
・退職理由が明確となる
・失業保険が早くもらえる
会社都合退職のデメリットは、以下のとおりです。
・退職理由によっては転職に不利になる
・転職先が決まらないまま無職となってしまう
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