企業にはさまざまな部署がある中で、会社全体や、社員ごとにサポートする業務を担うのが、人事と総務です。社員数の多い大企業では人事と総務がそれぞれ部署として確立されているかもしれませんが、社員数の少ない中・小企業では、ひとまとめに人事総務として仕事を請け負うこともあります。この記事では、人事と総務の違いや、人事総務の仕事内容について解説します。
就活や転職活動で人事と総務を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
人事と総務はどう違う?
はじめに人事と総務の違いを解説します。仕事内容をメインに解説していくので、それぞれの職種でどのような仕事内容をこなすのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
人事の仕事内容
人事の仕事内容は「ヒト」に関する業務が中心です。社内の従業員もそうですが、内定者、選考の応募者といった、さまざまな人と関わります。人事に重要とされるのは、優秀な人材を採用・教育して最適な部署に配置することです。
人・採用に関わること
人事はその名の通り、人に関わる仕事を中心に行います。応募者との連絡や応募書類の管理といった仕事は想像するに容易いでしょう。また、面接の担当者と応募者の日程調整の役目も担います。求人サイトに掲載する企業の情報を考えて自分で執筆する、外部のライターに委託するといった仕事もします。社外の多くの方に会社のことを知ってもらえるようにブログ・SNSを更新することもあるため、広報も仕事になる可能性があるでしょう。
労務管理
社員の給料や、税金、保険に関する手続きも人事の担当です。具体的に下記のような仕事を担当します。
・給与の計算と支払い
・入社・退職・休職の手続き
・社員情報の管理
・福利厚生の管理
社員の労働時間や残業、土日出勤、夜勤、基本給といった情報をもとに、給与の計算をします。給与計算をする際は、所得税や法人税、社会保険料、年末調整といった税金の計算も行うので、ある程度のお金に関する知識があった方が、業務がしやすくなります。
新入社員が入社する際に用意しておく社員証や貸与物、名刺などの準備や諸々の手続き、既存社員の休職・退職に関する手続き、結婚や離婚による社員情報の更新も業務に含まれます。
場合によっては、福利厚生に関する管理・運用も仕事に含まれる可能性があります。福利厚生は、大きく分けて自社で用意するパターンと、福利厚生サービスを提供する会社に利用料を支払って、各種割引を利用するパターンの2つです。自社で用意する場合は、社員の意見を聞きながら維持・改善をして行きます。外部企業の福利厚生サービスを利用する場合は、コストパフォーマンスを意識して、どの企業を選ぶのか慎重に選びましょう。
人材育成
人事は既存社員の教育や研修、キャリア相談、評価といった人材育成に関する業務も担当します。社内の人間だけでなく、これから入社する内定者に向けて、どのような研修・イベントを用意すべきか検討したり、当日の準備をしたり、業務範囲は広いのが特徴です。社員数や部署数など、企業の規模によっては、係長や主任といった階級ごとに、研修を用意・運営することもあります。もちろん、研修を外部の企業に委託する場合は、予算内に収まるように、委託会社を選ばなければなりません。
社内制度・環境の整備
社内の制度・環境を整備することも人事の仕事です。社内制度・環境が良好だと社員のモチベーションが向上し、社内の雰囲気が良くなります。例えば、特定の資格を取得・合格した際に与えられる報奨金を見直したり、評価・昇進制度を見直して、社内に周知します。会社を好きになってもらい、退職率を下げるには、これらの社内制度・環境整備が重要になるので覚えておきましょう。
総務の仕事内容
人事の仕事内容が「ヒト」中心だったのに対し、総務は「モノ」に関する業務を中心に行います。会社(組織)のサポートをメインに行うため、縁の下の力持ちと称されることもあります。
社内の備品管理
ふと、オフィスを脳裏に浮かべて身の回りのものを思い出してみましょう。社内には椅子、机、ロッカーといったオフィス家具に、コピー機、コピー用紙、インク、ホワイトボード、マーカー、デスクトップPC、電球、貸与PC、貸与携帯といった備品で満ち溢れていますよね。これら備品の管理・補充は総務の仕事になります。備品が故障した時には自分で修理するか、メーカーに修理を依頼します。新入社員や中途社員が入社したことによって備品が足らなくなるのであれば、不足分の補充(受注)も行わなければなりません。
イベント・会議の企画と運営
総務の主な仕事には。イベント・会議の企画と運営があります。例えば、株主総会や入社式、内定式、キックオフミーティング、社員旅行、納会などです。これらのイベントを1年のうち、どの時期に行うか決めて年間イベントスケジュールを作成したり、会場手配、社内・社外への告知、当日の運営も総務が担当する仕事になります。
来客・イレギュラー対応
人事が社内の従業員をメインに担当する一方で、総務は取引先の方や、面接を受けにきた応募者といった来客の対応をメインに行います。また電話対応や、郵便物の受け取り、作成も総務の仕事です。また、社員や社員の家族に不幸があった際はイレギュラーな対応が求められます。
建物の管理・清掃
建物の中や入口、化粧室などの清掃・管理も総務の仕事です。特にオフィスビルに自社のオフィスが入っている場合は、そのビルの規則に従わなければならないので、社内の人間全員が知っているように周知する必要があります。特に入館証の管理は会社のセキュリティ意識に関わるため、非常に重要です。
人事総務という職種もある
社員数が少ない中小企業では、人事、総務といった部署に別れておらず、ひとまとめに「人事総務」という職務が用意されていることもあります。
どちらの作業も経験できる
人事総務は、名前の通り人事と総務、どちらの仕事も請け負うようになります。一見すると大変なように思えますが、あまりにも社員数が多く、タスクが処理仕切れない場合は、最初から部署が分かれているので、十分業務が遂行できる人数の場合に人事総務という形になることが多いです。
人事総務は分割すべき?統合すべき?
人事総務を人事と総務に分割した場合は、個人情報の秘匿性を高められます。例えば10人の人事総務がいるところを人事5人、総務5人に分けるのです。社員の住所や電話番号、家族構成、基本給、人事評価など、会社にはさまざまな個人情報で溢れかえっています。個人情報の流出・データの入ったメディアファイルが紛失したというニュースをよく聞くように、どれだけ注意しても、ヒューマンエラーは起こってしまうのです。社外へ情報が流出するのも恐ろしいですが、社内の人間の昇格・異動の情報が一人歩きしてしまうのもあってはならないことです。
以上のことから、情報の秘匿性を高めたい場合は、人事と総務を分割すべきでしょう。
逆に、人事総務を統合すると、効率的に人材を活用できます。例えば、人事は月末や年末といった、給与計算の作業が発生する時期に特に忙しくなります。人事と総務が5人ずつ分かれているよりも、統合して10人の人事総務でいた方が、タスクをバランスよく振れます。ただ、忙しい時期に総務から人を借りる方法や、ITツールを使って、時間のかかる作業を効率化できる場合があるため、ケースバイケースと言えるでしょう。
人事と総務の役割と求められるスキル
ここでは、人事と総務それぞれの役割と求められるスキルを解説します。デスクワーク系に就職・転職しようと考えている方は、人事と総務の差別化を図るためにも、ぜひ参考にしてください。
人事はより良い人材を募集・育成して組織を発展させる
人事の目的・役割は、より良い人材を募集・育成して組織を発展させることです。そのために採用活動に力を入れて、社内の評価制度や待遇の改善に勤しみます。人事総務に求められるスキルとしては、コミュニケーション能力、ヒアリング力、文書作成スキルが挙げられます。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、数多くの人と話す機会のある人事に必須のスキルです。採用(応募〜採用・不採用)・研修・教育・相談と、さまざまな機会で人と対話することになるため、話すことが得意な方には向いているでしょう。応募者にとって、面接を担当する人事は会社の顔だと判断することもあるため、凛とした態度で面接に臨まなければなりません。
ヒアリング力
話すことに慣れているだけでは、人事は務まりません。相手の言いたいこと、求めていることを的確に感じ取る、ヒアリング能力も必要になります。採用活動では、応募者が嘘をついているのか、本質的な部分を探る必要があります。また、社内の従業員からキャリアに関する相談や、トラブルに関する相談を受けることがあるため、傾聴できる力は必須です。働きやすい環境を作っていくには、従業員の不満が小さいうちに、要望を的確に汲み取って、社内の制度・環境に反映する努力をしなければなりません。
キャリアコンサルタントの資格
ヒアリング力やアドバイスの仕方を学ぶには、キャリアコンサルタントの資格取得がおすすめです。キャリアコンサルタントとは何かというと、将来設計、能力の開発向上に関する相談に対し、専門的な知識を用いて、適切な指導・アドバイスを行うことを指します。国家資格の1つで社会的信用も高く、守秘義務に関して専門的な知識を有するため、信頼感があります。
この資格を取得するには、厚生労働省から認可を受けたJCDA(日本キャリア開発教会)とCC協議会(キャリアコンサルティング)という2つの団体のうち、どちらかの受験(筆記と実技)が必要です。
社員の将来設計の相談を受けることがある人事は、キャリアコンサルタントの資格を持っていれば、自信を持って業務に当たれるでしょう。
文書作成スキル
現代の日本企業において、ビジネス文書を手書きで作成する機会はほとんどありません。基本的にはパソコンで作成することになります。また、郵便物よりもメールのやり取りの方が、圧倒的に多いので、最低限パソコンの操作はできるようにしておきましょう。
MOSは必須級のスキル
マイクロソフト製品に関する国際資格である「MOS(モス:Microsoft Office Specialist)」という資格は、人事が持っておくと良いものの1つです。MOSの試験は、Word、Excel、PowerPointといったソフトごとに分かれており、それぞれ操作方法が試されます。難易度は通常と上級(エキスパート)の2つが設置されており、通常のMOSを取得するだけでも、業務の効率が変わってきます。人事として働くのであれば、必ずといって良いほど、Word、Excelを使用するからです。
試験は、2013、2016、2019といったバージョンごとに用意されており、バージョンによって問題の内容が異なります。自分の使っているバージョンで練習することになるので、受験するバージョンは間違えのないようにしましょう。
総務は業務の効率化・問い合わせ対応が主となる
総務は、会社全体がうまく回るようにサポートするイメージを持つとわかりやすいでしょう。社外からの問い合わせ対応も仕事に含まれます。総務に求められるのはコミュニケーションスキルとマルチタスクです。
コミュニケーション能力
人事と同じく総務もコミュニケーションの能力が求められます。ただ話せるだけではなくヒアリング力(傾聴力)も兼ね備えているのが重要です。
マルチタスクをこなす
総務は、備品管理から問い合わせ対応、イベントの企画・運営など、並行して複数のタスクが振られることがあるため、マルチタスクができるか、タスクの優先度付けが適切にできるか、スケジュール管理が行えるかが重要になります。
人のために働ける
総務は、会社の全体的なサポートに回る縁の下の力持ち的なポジションです。営業のように数字で結果が見える訳ではないので、やりがいを感じにくいかもしれません。人前に出るより裏側でサポートに回りたい、人の役にたつことにやりがいを感じる方は、総務に向いていると言えます。
まとめ
人事総務とは、人事と総務をひとまとめにした総称です。人事と総務は分割と統合のどちらも一長一短なので、会社の規模間によって変わるでしょう。人事は主に「ヒト」に関することを、総務は主に「モノ」に関する業務に携わります。
人事・総務ともにコミュニケーション能力が必須になってくるので、就活・転職で狙っている方は、会話に慣れておくことをおすすめします。
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