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試用期間とは?試用期間の延長や解雇について徹底解説

試用期間中という言葉は労働条件や求人内容で目にしたことがあるでしょう。

試用期間中の労働規則や労働条件は、通常の雇用時と若干の違いがあります。

しかし、この違いについてはあまり知られてはいないのが現状です。

この記事にたどりついたあなたもその中の一人かもしれませんね。

そこで今回の記事では、試用期間の意味や注意すべき試用期間の延長や労働者を解雇したい場合について、解説していきます。ぜひ参考にしてくださいね。

目次

試用期間とは?研修期間との違いについて

試用期間とは

  • 入社した社員の業務を遂行するスキルをもっているか
  • 社風や企業理念を理解し会社の戦力となり得る人材か

などを企業側が判断する期間のことです。

逆の立場で考えると企業に採用された労働者が

  • 実際の業務内容や社風が自分の希望に合っているか
  • 入社した企業で勤務し続けることができるか

を判断するための期間だともいえます。

試用期間の終了後、企業と労働者の双方が問題ないと判断すれば本採用という流れになります。

試用期間とは本採用が前提の期間であり、労働契約も締結しています。

そのため、客観的に理解できる明確な事由なく、「本採用されないこと=解雇されること」はありません。

それでは、試用期間とよく目にする研修期間の違いは何なのでしょうか。

「研修期間」とは、入社後に会社の業務を行うにあたって必要な知識や技術を習得するための期間のことです。

講義などの座学にとどまらず、OJTによる実際の業務を行いながら覚えていくものも含まれます。

OJTとは「On-the-Job Training」の略で、経験豊富な職場の上司や先輩が新人につき、実践を通じて業務知識を身につけさせる育成手法のことです。

ほかにも、研修機関など社外で行うケースもあります。

つまり、試用期間は主に仕事に対する適性を見極めるのに対し、研修期間は仕事の技術を習得したり学んだりするための期間、といえます。

このように、厳密には研修期間と試用期間の意味は違いますが、企業によっては「試用期間」と同じような意味で解釈し、労働者への説明に使っていることもあるでしょう。

試用期間は何のためにあるのか

それでは、試用期間は何のためにあるのか、企業視点でのメリット・デメリットを紹介していきます。

試用期間のメリット

企業の多くは、履歴書や職務経歴書での書類審査や面接をしたうえで人材を採用します。

そのため、採用した人物が本当に会社の戦力となるのかわからないのが実情です。

そこで、試用期間を設ければ業務への適性を見極めることができる、というわけです。

さらに、社風や組織における人間関係への適応力なども見ることができるため、より自社にマッチした人材を採用しやすくなるでしょう。

試用期間のデメリット

試用期間を設けることにはデメリットもあります。

企業側だけでなく、採用された労働者も「この会社でやっていけるのか」を実務を通してで判断することができます。

つまり、試用期間の終了時に会社側が本採用を希望しても、労働者側が合わない、やっていけないと判断し、本採用に至らないケースもあるのです。

中途採用の場合は。求職者の中には試用期間なしを条件に入れている方もいます。

その場合、試用期間があることで求職者が転職活動の候補から予め除外することもあるでしょう。

ほかにも、優秀な採用予定者は複数の企業から内定が出ていることも少なくありません。

その場合、試用期間の有無や試用期間の長さが、内定辞退につながってしまう恐れもあるのです。

試用期間の長さについて

実は、試用期間の長さについて法律上の決まりはありません。とはいえ、内定後、いつまでも試用期間ということはありません。

ここでは、試用期間の一般的な長さや延長の可否についてお伝えしていきます。

試用期間は3カ月が一般的

試用期間は一般的に3ヶ月が多いです。

試用期間という名目なので、なんとなく労働者側としては立場が弱いように感じられるでしょう。

しかしながら、試用期間でもきちんと労働基準法は適用されます。

試用期間が3ヶ月の場合、3ヶ月後に労働者の能力や適正が認められなければ解雇ということもあります。

また、労働者側も試用期間中に仕事や社風が合わないと感じれば、試用期間終了後に退職することもできます。

しかしながら、試用期間の3ヶ月が終わったからといってそのまま退職や解雇というわけではありません。前述した通り、試用期間中も労働基準法が適用されているため、試用期間であっても然るべき手続きは踏まなくてはなりません。

試用期間は延長可能

予め試用期間が3ヶ月と定められていても、企業側は延長など期限を自由に変更することができます。

一見、労働者の権利が害されるように思いますが、試用期間を延長することは違法ではないのです。

ただ、労働者の同意なく試用期間を延長するためには、次の4点を満たしておく必要があります。

  1. 就業規則において試用期間の延長があることを明示していること
  2. 合理的な理由があること
  3. 社会通念上妥当な長さの延長期間を定めていること
  4. 試用期間の延長を事前に告知していること

たとえば、合理的な理由にあてはまるものとして

  • 勤務態度が著しく悪い
  • 指導・注意をしても改善されない
  • 無断での欠勤・遅刻が多い

などがあげられます。

とはいえ、一方的に試用期間を延長することはできません。企業側は事前に試用期間延長の告知だけではなく、試用期間延長に合意する旨の書面に署名捺印といったエビデンスをとっておかなくてはなりません。

この場合、契約書に記載すべき情報としては、労働者を雇用した際、企業は労働者に対して雇用条件を記載した「労働条件通知書(一般的には契約書を兼ねた「労働条件通知書兼雇入通知書」)」を作成し、交付しなければならない、と定められています。(労働基準法第15条より)

試用期間中に解雇されることはあるのか

前段で、合理的な理由があれば試用期間中に解雇することは可能であるとお伝えしました。

ここでは、具体的に該当事例を深堀っていきます。

これから試用期間を向かえる方は、しっかりおさえておいてくださいね。

勤務態度が著しく悪い

上司の指示に従わない、業務をサボっているなど、試用期間中の勤務態度が著しく悪いケースは解雇が認められます。

客観的に見て解雇に合理性があり、社会通念上も解雇が相当だと認められるレベルです。

そのため、正当な理由なく反抗的な態度をとったり、職場の規律を乱したりするような方でも、解雇が認められるでしょう。

欠席や遅刻を繰り返す場合

正当な理由がなく遅刻、欠席が多いケースも解雇が認められます。

試用期間とはいえ、始業時刻を守って勤務を行うのは社会人として最低限守るべきルール。

そのため、体調不良や交通機関の遅延といった正当な理由なく遅刻や欠席を繰り返す場合、社会人としての最低限のルールを守れない人と解釈され、解雇が認められる可能性があります。

健康上の理由で就業困難になった

病気や怪我などで業務が困難になった場合は、解雇が認められます。

このケースは、試用期間中でなくても普通解雇として解雇が認められることもあるのです。

ただ、就業規則としてその内容を記載している必要があります。

多くの会社では就業規則の解雇事由に、精神や身体の障害によって業務に耐えられない場合に解雇できる、と記載されています。

職務経歴書などに経歴詐称があった

面接や採用時に提出された、職務経歴書などに虚偽があった場合も解雇が認められます。

労働者は、採用の過程で履歴書や職務経歴書などでこれまでの経歴を申告します。

もし、その内容に虚偽があれば、もともと採用にあたって企業が求めていた人材やスキルを満たしていない危険性があるのです。

内定欲しさに経歴を詐称していた場合は、試用期間中でも解雇が認められる可能性が高いです。

試用期間の社会保険や残業代などの待遇について

試用期間中は、本採用時より賃金が低く設定されているケースもあります。

そのため、同じ業務をこなしているのに、やはり正規社員より弱い立場に立たされている気持ちになる方もいるでしょう。

しかしながら、法律で定められた最低賃金を下回らない範囲であれば違法にはあたりません。

基本賃金は低く設定されていたとしても、労働時間は既存の労働者と扱いが同じなので、残業が発生したら残業代の支払いもされます。

また、労働保険(労災保険、雇用保険)と社会保険(健康保険、厚生年金)などは、本採用後からではなく試用期間中、つまり入社直後から加入が必須です。そのため、試用期間中かどうかにかかわらず、被雇用者全員の労災保険の加入は必須になります。

中でも、従業員を労災保険や健康保険などの社会保険に加入させないで、試用期間中に事故が発生するなどといったトラブルに発展することが多いです。

未加入のものがあると法律に抵触するおそれがあるため、企業側も注意しましょう。

試用期間に退職したい場合

冒頭でお伝えしたとおり、試用期間は本採用を前提とした企業・労働者双方の見極め期間です。

そのため、試用期間中の労働者と企業の間では「解約権留保付労働契約」が締結されています。

あくまで、本採用が前提なので正当な理由なく一方的に契約を解除したり、試用期間満了後の本採用を拒否したりすることはできません。

強行した場合は不当解雇と見なされ、トラブルに発展する可能性が高いです。

それでは、労働者側が「この会社ではやっていけない」と判断した場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。

最後に、試用期間中に退職を決意する理由とその後の手順を紹介していきます。

退職を決める理由

まずは、試用期間中にもかかわらず、会社をやめたいと思った理由をみていきましょう。

人間関係が合わない

試用期間中に配属された部署で、上司と合わない、職場の人間関係が辛いということで退職する方も多いようです。

異動の可能性もありますが、入社直後の人間関係は、この先仕事を円滑に楽しくできるかどうかに大きく影響を与えます。

そのため、早めに見切りをつけるのも一つの方法です。

求めていた仕事と違う

試用期間中、仕事をしていく中で「自分には合っていない」「自分がやりたいと思っていたものと違った」など、自分の思い描いていた内容と実際の仕事内容へのギャップが退職理由になることがあります。

試用期間が終わり、本採用になると辞めにくくなることも。

また、合わない仕事にストレスを抱えていると、心身に不調が発生することもあります。

そのため、ストレスからの解放をのぞんで早めに退職を考える方は多いです。

退職を決めてからやること

続いては、退職を決意した後に何をすべきかを紹介していきます。

就業規則を確認し、日数に余裕を持って上司に退職意思を申し出るのが社会人としてのマナーです。

それではみていきましょう。

上司にアポイントをとって口頭で伝える

退職を決意したら直属の上司にアポイントを取って、相談の時間を設けてもらいましょう。

退職の意思を伝えるときは、まず直属の上司から。

あなたの退職が周囲から上司の耳に入れば、自分を差し置いて…と、トラブルの原因になる危険性もあります。

また、試用期間中であっても、就業規則で退職のルールが設けられているので、即日退職することはできません。できれば、退職希望日の2週間前には退職したい旨を申し出るのがベターです。

退職届を提出する

形式や体裁は企業によって異なりますが、試用期間でも退職届の提出が必要です。

指定のフォーマットがなければ、自分で退職届を作成しましょう。ネットからダウンロードすることも可能です。

確実に退職の旨を伝えた証拠を残すためにも、退職届の提出は重要。退職に必要な手続きについても事前に人事に確認しておくと安心です。

まとめ

今回の記事では、試用期間をテーマに研修期間との違いや期間の延長、解雇や退職について説明してきました。

選考にあたっては適性試験や面接が設定されています。とはいえ、それだけでは求職者の能力や適性など全てを把握し評価することは極めて難しいですよね。

そのため、企業は試用期間を設けて、実際の業務を一定の期間やってもらって適性を図るのです。

この期間は、労働者にとっても企業との相性や仕事への適正を見極める重要な時間ともいえます。

企業も労働基準法も、試用期間が何のために設定された期間であるかを理解し、双方の未来をしっかり見極めるために使いましょう。

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