多くの会社で総務や経理、労務といった部署があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、総務・経理・労務の業務内容の違いとそれぞれのキャリアビジョン、求められる適性について解説します。これらの部署に配属される可能性のある方、または配属を希望する方は、ぜひ参考にしてください。
目次
総務・経理・労務の違いとは?
総務・経理・労務はそれぞれ独立した部署であり、業務内容が異なります。会社の規模が小さく、社員数が少ない場合は、ひとまとめにされて総務が全ての業務を担当する可能性もあります。
総務の仕事内容
総務は、組織の総合的なサポートです。企業によってどこまで仕事の裁量があるかは変わりますが、備品の管理・調達や会議の司会進行、書類作成など、「なんでも屋」といって良いほど業務内容は幅広いです。総務は基本的には会社の「モノ」を管理することになります。
会社で必要な備品の管理
総務は会社に必要な備品・什器の管理と補充をします。ふとオフィスを思い返してみてください。ドアからオフィスに入ると、ボールペンやホワイトボード、マーカー、コピー用紙、インク、電球、掃除機、机、椅子といった備品が存在しますよね。オフィス家具、コピー機、固定電話、デスクトップPCといった据え置き型の大きな什器のメンテナンスや、ノートPC、携帯電話のような貸与品の管理・補充なども総務の仕事です。
オフィス全体の備品を全て管理・補充するのは大変だと思うかもしれません。しかし、故障等のトラブルやモノを切らしてしまった場合に各部署から申告してもらうことで、総務の負担は大きく減ります。前述の通り、会社の規模が小さいと総務の作業に加えて、他の部署に該当する仕事を1人で請け負う場合があるので、どれだけ作業を効率化できるかが重要です。
文書の管理・廃棄
オフィスには納品書や発注書、契約書、議事録といったさまざまな文書が存在します。これらの管理・ファイリング・廃棄は総務の仕事です。総務は社内の多くの部署と交流があるため、いつ・どの部署から依頼されても直ちに該当の書類を探せるよう、工夫して管理しなければなりません。
また、自分が休暇で不在の時は、他の社員が該当の書類を探すことになるため、誰が見てもわかりやすいように書類をフォルダ分けして保管するといった工夫が求められます。
建物自体の管理
総務の仕事には、従業員の労働環境を整備・改善する作業も含まれます。建物自体の整備・修繕が該当する仕事です。建物というと範囲が広いですが、トイレや廊下といった共用部や、防火設備のことです。整備・点検・清掃作業などをします。
オフィスが特定のビルの中に入っている場合は、それぞれのビルの規則遵守が重要です。会社の代表として、規則を共有して徹底させる必要があります。清掃作業は、外部の清掃会社にお金を払って契約すれば委託できます。会社の予算に応じて、自ら整備するか、業者に依頼するかを決めましょう。
また、会社が福利厚生施設を所有している場合は、そちらの施設の管理・整備も総務が請け負う場合があります。
社内・社外イベントの企画・運営
社内・社外イベントの企画と運営も総務の仕事です。社内イベントは入社式や内定式、社員旅行、納会、キックオフミーティングなどが該当します。一方社外イベントとは、株主総会や交流会のことです。年間のイベント予定をまとめたスケジュール表の作成や、参加可否の調査、会場予約、予算案の作成、告知、当日の案内・司会といった豊富な業務を行います。
イレギュラー・トラブル対応
組織運営につきものなのが、イレギュラー対応や、クレーム・トラブル対応です。これらの処理を総務が行うことがあります。また、電話応対も業務内容に含まれるので、電話の受け答えも勉強しておく必要があります。
経理の仕事内容
経理は名前の通り、会社で使えるお金や経済状況を把握・管理する仕事です。個人ではなく、会社全体の莫大な資産に触れるため、ミスは絶対に許されません。とはいえ、普段は経費申請や交通費申請といったものの対応をすることになります。経理の業務は、日次・月次・年次に分かれます。
日次業務
日次業務とは、日々行う業務のことで、交通費や経費精算といった対応をします。細々とした作業が中心ですが、漏れることなく正しい金額を記帳しなければ不正に繋がるため、注意が必要です。
月次業務
毎月の請求や支払い、給与の計算や税金計算など、1か月単位で待ち構えている仕事です。年次業務で苦労しないためにも、各月でしっかり金額を記帳して、損益計算書などに反映させる必要があります。
年次業務
年間でどれくらい利益が派生したのかを取りまとめるのが年次業務です。ミスがないよう厳重にチェックする必要があります。
年次業務を語る上で欠かせないのが決算です。決算日までの2ヶ月以内に集計を完了させて、税務署に申告する必要があります。経理業務の作業の中で最も重く、1年間で最も忙しくなるでしょう。
労務の仕事内容
総務が「モノ」に関する仕事が中心だったのに対して、労務は「ヒト」に関する業務が中心です。給与の計算や勤怠管理、社会保険の手続きの他、従業員が働きやすい環境づくりも仕事の1つです。
給与計算・勤怠管理
年俸制や月給制など、給与の形式はさまざまですが、勤怠状況に基づいて、残業代や深夜残業手当などの給与計算をします。所得税の計算や保険料の計算も行うため、法律の知識があると、業務に役立ちます。従業員の勤務状況をチェックして、法律に触れていないか、過労の危険性がある従業員がいないか確認するといった、従業員を守る重要な仕事です。
各種保険の手続き
会社に属する上で、社会保険や雇用保険、年金など給与から差し引かれるお金があります。社員が新しく入社する・社員が退社する際は、これらの手続きをします。手続きは期限があるため、作業優先度は高く、後回しにしていたら保険に入れなかったという問題に発展するので、注意が必要です。
労働環境づくり
従業員が安心して働ける環境づくりも、労務の仕事になります。前提として労働基準法に違反していないかチェックする必要があり、これに違反していると社員の士気が下がるだけでなく、外部の人間に発覚した際に会社としての信用が落ちる危険性があります。例えばサービス残業や休日が与えられないといったケースです。時代に合わせて就業規則も適宜変更していく必要があります。従業員を守る仕事と説明したのは、労働環境づくりに関わるからです。
オフィスの点検
労働環境づくりに関連することですが、オフィスを点検して回って、備品を切らしていたり、胡椒を発見したら適切に対処するのも労務の仕事です。総務が行う場合もあるため、どちらが行うのかは会社によってバラバラです。
総務・経理・労務の将来性
近年ロボットやAIの発展により、人の手がいらなくなった仕事が増えてきました。どの会社にも置かれるケースが多い総務・経理・労務は代替されてしまうのでしょうか?ここでは総務・経理・労務の将来性について解説します。
総務のキャリアビジョン
総務は業務の幅が大変広く、人の手が必要な仕事です。総務の負担を減らすためにデスクワークをサポートするソフトウェアを導入する可能性があっても、コミュニケーションの部分は人にしかできないため、あくまで総務のメインは人になるでしょう。
総務にはスペシャリストや人材育成といった道があり、人事や事務、労務、経理など、関連性の高い他の部署へうつることもあります。
経理のキャリアビジョン
経理は損益決算書をはじめとする高度な技術が求められる書類を作成することから、まだまだ人の手が必要です。業務を効率化する計算ソフトが導入されても、結局人のチェックが重要ですし、決算書の作成は複雑なので、知識がある方でないと確認作業ができません。
経理の知識を付けていき、日商簿記1級を取得すると、自分の市場価値を高められます。日商簿記は取得難易度が極めて高く、需要が高いです。今働いている企業の経営状態が傾いても、他の企業の経理に応募すれば経験者、かつ簿記1級持ちであることを評価されて採用される可能性が高まります。
労務のキャリアビジョン
労務は従業員が働きやすい環境づくりをするため、ヒアリングをはじめとしたコミュニケーション能力が求められる仕事です。労務は総務と同様に、スペシャリストや人材育成の道があります。労働基準法の知識を活かして環境整備をしていくため、プレゼンテーション能力が磨かれます。
総務・経理・労務に求められるもの
総務・経理・労務にはどのようなスキルが求められるのでしょうか?ここではそれぞれに求められる適性を解説しています。
総務に求められる適性
総務は「なんでも屋」と評されるほど幅広い業務を行います。ドキュメント作成能力や会議を円滑に進めるためのファシリテーション能力、書類作成のためのPC操作スキル、来客対応、電話応対のためのコミュニケーション能力などが求められる仕事です。社内の多くの方と話す機会があるため、人と話すのが苦手な方には、少し辛いと感じる部分があるかもしれません。
また、総務は同じタイミングで複数のタスクを割り振られることが多く、仕事の優先度付けやスケジュール管理を適切に行うことが求められます。マルチタスクが得意な方は、総務として複数の仕事が振られた際も対応できるでしょう。シングルタスクは得意だけど、マルチタスクはあまり得意ではない、という方は総務の広すぎる業務範囲に対応できない可能性があります。
経理に求められる適性
経理に求められるのはスケジュール管理能力と、作業の正確性です。経理の仕事は非常にデリケートで、遅れやミスが許されません。仕事が遅れてしまうとお金のやりとりが滞ってしまい信用問題に発展します。また、最も注意しなければならないのは記入漏れとミスです。経理は交通費や物品購入の経費など、細々した物を記帳しなければなりません。この金額を間違えてしまったり、記入漏れをしてしまうと、会社として支払う税金が変動します。場合によっては隠蔽、不正と捉えられることがあるため、緊張感を持って仕事に取り組む必要があります。
労務に求められる適性
労務に求められる適性は、コミュニケーション能力、主体的に法律知識を学べる、守秘義務を意識できるといった点です。労務は働きやすい環境づくりのために、従業員へヒアリングを行うことがあるため、話す力と傾聴力が求められます。給与や保険、税金を取り扱うため、法律の知識が必須です。必要な情報を主体的に勉強する意欲がなければ、業務についていけず、苦しい思いをするかもしれません。また、社員全体の給与を管理することから、誰がどのくらい給料をもらっているのかがわかってしまいます。プライベートなことになるので、守秘義務を果たせる方は労務への適性があるでしょう。
まとめ
総務・経理・労務は、仕事の際に扱う対象に違いがあります。総務は「モノ」、経理は「カネ」、労務は「ヒト」に関わる仕事が特徴です。総務は幅広い業務内容からマルチタスク、スケジュール管理能力が磨かれますし、経理は作業の正確性と専門性を高められる仕事です。労務はコミュニケーション能力をブラッシュアップできます。人工知能の発展が目覚ましい現代でも、これらの仕事は会社にとって必要です。まだまだ人の手が必要なので、すぐに代替される可能性は低いでしょう。
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