派遣社員には、契約期間の定めがある働き方と契約期間の定めがない働き方があります。そして、契約期間の定めがある派遣社員は、定期的に契約更新のタイミングがきます。
では、契約期間のある派遣社員は契約更新のタイミングでなければ派遣会社を退職できないのでしょうか。
本記事では、雇用契約の定めがある派遣社員で働いている人に向けて、契約期間の定めがある派遣社員は契約途中でも辞められるのか解説します。
また、派遣社員が契約途中に辞めたいと感じる理由や、派遣会社を退職する際に担当者への伝え方なども併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【この記事を読んで分かること】
・契約途中に派遣を辞められる?
・契約途中に派遣を辞めたと感じる理由
・契約途中に派遣を辞めたと感じた時の伝え方
・派遣を辞めた後に転職活動をスムーズに進める方法
目次
契約途中に派遣を辞められる?
派遣社員で働いていると、さまざまな理由で退職したいと考えてしまうでしょう。最初に派遣社員が契約途中で辞めたいと感じた際に、退職できるのか紹介します。
結論としては、派遣社員は契約途中であれば、やむを得ない理由がある場合のみ退職できます。
これは、民法に記載されている内容で、契約期間の定めがある派遣社員に適用される内容です。
では、やむを得ない理由とは、どのような理由なのか見てみましょう。
【やむを得ない理由の例】 ・事前に伝えられていた仕事内容と実際の労働内容に相違があった ・派遣先でパワハラされている・サービス残業など、労働環境で違法している ・精神的な病気と診断された ・体調を崩して仕事に影響があると診断された ・家族の介護など仕事ができない環境になった ・家庭の事情で通えない距離に引っ越しをすることになった |
上記のように、やむを得ない理由とは、気分的な理由ではなく、仕方がなく仕事を退職する理由のことを意味します。
しかし、派遣会社の担当者と相談して退職する理由を伝えることで、上記以外の理由でも退職を許可してくれる可能性もあるでしょう。
また、契約期間中に退職したいと考えてる時点で就労から1年が経過していれば、契約期間中でも退職できます。
これは、労基法附則137条で定められています。
契約途中に派遣を辞めたと感じる理由
次に、契約途中に派遣を辞めたいと感じる理由を紹介します。派遣社員として働いていると予期せぬことで仕事を辞めたいと感じるかもしれません。
こちらで紹介する理由は、派遣会社が退職を検討する主な理由ですので、確認してみましょう。
【契約途中に派遣を辞めたと感じる理由】
・辞めたいと感じる理由:人間関係が悪いから
・辞めたいと感じる理由:家庭の事情で働きにくくなったから
・辞めたいと感じる理由:仕事内容が合わないから
・辞めたいと感じる理由:他の仕事に興味を持ったから
・辞めたいと感じる理由:雇用に不安を感じたから
辞めたいと感じる理由:人間関係が悪いから
派遣社員が契約途中で辞めたいと感じる理由でもっとも多いのが、人間関係です。
人間関係は派遣先で一人でも合わないと感じる人がいると仕事がつまらないと感じてしまう人も多いでしょう。
また、人間関係が悪いとどんな仕事でも楽しいと感じなくなってしまうため、契約途中でも辞めたいと悩む人は多いです。
人間関係で悩んでいる人は、派遣社員の担当者に相談してみると良いでしょう。
そうすることで、派遣会社の担当者が、人間関係で気を遣ってくれるように派遣先に相談してくれるかもしれません。
辞めたいと感じる理由:家庭の事情で働きにくくなったから
契約途中に派遣を辞めたいと感じる理由では、家庭の事情によって派遣先での勤務が難しくなることが挙げられます。
例えば、家庭の事情で働ける時間が少なくなったり、実家に戻らなければならなかったりする可能性があるでしょう。
この場合は、派遣会社の担当者に、派遣先を変えられるか相談することが大切です。
辞めたいと感じる理由:仕事内容が合わないから
仕事内容が合わないと感じた場合も、契約途中で辞めたいと思うことがあるでしょう。
しかし、仕事内容が合わないと感じた場合は、契約更新のタイミングまで働き続けることが大切です。
契約期間の定めがある派遣社員は、数か月に一度契約の更新手続きがあるため、1〜2カ月我慢すれば派遣会社とのトラブルにならずに退職できます。
事前に、仕事内容が合わないことを派遣会社に相談しておき、契約更新のタイミングまで我慢して働けるのであれば、働き続けることが大切です。
辞めたいと感じる理由:他の仕事に興味を持ったから
他の仕事に興味を持ったことが理由で、派遣社員を辞めたいと感じる人もいるでしょう。この場合は、行動力のある人が大半です。
行動力のある人は、他の仕事に興味が出ると、すぐに新しいことに挑戦してみたいという気持ちが出てしまいます。
そのため、派遣の契約途中でも、更新タイミングまで我慢できずに退職したいと考えるでしょう。
新しいことに挑戦したいと考えて契約途中に退職を検討した場合は、まずは派遣会社の担当者に相談することが大切です。
そして、派遣会社の担当者を説得できれば契約途中でも退職できるでしょう。
しかし、担当者から「最低でも更新のタイミングまでは、今の仕事を続けてほしい」と言われた場合、少し我慢して働き続けることをおすすめします。
辞めたいと感じる理由:雇用に不安を感じたから
派遣社員の不安定な雇用に焦りを感じることから、契約期間中に辞めたいと感じる可能性もあるでしょう。
確かに、契約期間の定めがある派遣社員は雇用が不安定です。契約更新のタイミングで、派遣会社・派遣先の都合で更新してくれない可能性もあります。
雇用が不安定だと感じた場合、無期雇用の派遣社員である「常用型派遣」か、将来は派遣先の直接雇用を目的としている「紹介予定派遣」への切り替えを検討しましょう。
どちらも派遣社員の働き方であるため、派遣会社の担当者に相談すると、前向きに検討してくれるかもしれません。
もしも、前向きに検討してくれない場合は、他の会社に転職しましょう。
契約途中に派遣を辞めたと感じた時の伝え方
次に、契約途中に派遣を辞めたいと感じた時の伝え方を紹介します。
基本的には就労から1年が経過していないと、個人的な理由での退職は認められません。
しかし、伝え方次第で派遣会社の担当者を納得させられます。納得できる伝え方ができれば、契約途中の退職を前向きに検討してくれるでしょう。
・伝え方:「家庭の事情により退職を検討しています」
・伝え方:「他の仕事に興味が出たため退職を検討しています」
・伝え方:「派遣先での人間関係が悪いため、退職を検討しています」
・伝え方:「他の派遣会社の方が待遇が良いため、退職を検討しています」
伝え方:「家庭の事情により退職を検討しています」
家庭の事情で契約期間中に退職したいと考えた場合は、そのまま「家庭の事情により退職を検討しています」と伝えると良いでしょう。
また、派遣会社の営業担当から具体的な事情を聞かれると思いますので、しっかりと説明できるようにしておくことが大切です。
伝え方:「他の仕事に興味が出たため退職を検討しています」
他にやりたい仕事が出て契約期間中に退職したい場合は、「他の仕事に興味が出たため退職を検討しています」と伝えましょう。
また、具体的にどのような仕事をしたいのかを伝えることで、あなたがしたい仕事内容ができる派遣先を再度紹介してくれる可能性があります。
派遣先の担当者が前向きに検討してくれると、次の契約更新のタイミングで自分がやりたい仕事ができる派遣先にスムーズに切り替えられるかもしれません。
伝え方:「派遣先での人間関係が悪いため、退職を検討しています」
派遣先の人間関係が原因で契約期間中に退職したい場合は、「派遣先での人間関係が悪いため、退職を検討しています」と伝えましょう。
派遣先のどの人と人間関係が悪いのか、どのようなことが現場で起きているのかを詳細に話すことで、派遣会社の担当者が対応してくれるかもしれません。
また、どうしても我慢できない場合は、最終手段として精神科に相談して診断結果を派遣会社に提出しましょう。
そうすることで、派遣会社の担当者により深刻な問題であることを伝えられます。
伝え方:「他の派遣会社の方が待遇が良いため、退職を検討しています」
求人票などの情報で、他の派遣会社の方が待遇が良いと感じて退職を検討している場合は、「他の派遣会社の方が待遇が良いため、退職を検討しています」と正直に伝えましょう。
そうすることで、派遣会社から給料の見直しをしてくれるかもしれません。
ただ、他の派遣会社へ転職する際は、現在働いている派遣会社の契約更新のタイミングまで働くことをおすすめします。
なぜなら、同じ業界での横のつながりがあるからです。契約途中に強引に辞めてしまうと、他の派遣会社からも悪い印象を持たれてしまう可能性があるからです。
派遣を辞めた後に転職活動をスムーズに進める方法
最後に、派遣を辞めた後に転職活動をスムーズに進める方法を紹介します。派遣会社から他の会社へ転職を検討している場合は、こちらで紹介する方法を意識しましょう。
派遣を辞めた後に転職活動をスムーズに進める方法
・方法:転職エージェントを活用する
・方法:失業保険を申請しておく
・方法:転職先の軸を考える
方法:転職エージェントを活用する
派遣会社以外の会社へ転職を検討している場合は、転職エージェントを活用しましょう。なぜなら、無料で転職サポートしてくれるからです。
また、転職エージェントを活用すると、さまざまなメリットが得られます。
【転職エージェントを活用するメリット】 ・履歴書・職務経歴書の添削をしてくれる ・面接対策をしてくれる ・一般的には公開されていない非公開求人を紹介してくれる ・担当アドバイザーが応募先企業にあなたをアピールしてくれる ・転職活動のスケジュール調整をしてくれる ・あなたに合った仕事先を多くの求人から厳選してくれる ・転職活動の相談に乗ってくれる |
方法:失業保険を申請しておく
転職先が見つかっていない状態で契約期間中に退職した場合は、ハローワークで失業保険の申請を提出しましょう。
失業保険は、転職先が見つかっていない状態で失業した人を支援する保険です。
しかし、失業保険を受給するには一定の条件を満たす必要があるため、事前に確認しておきましょう。
【失業保険がもらえる条件】 ・失業中であり働く意欲があること ・ハローワークに失業申請を提出していること ・雇用保険の加入が一定期間あること |
失業保険を受給するための必須雇用保険の加入月は、派遣会社を退職する理由が「自己都合退職」か「会社都合退職」かで変わります。
自己都合退職の場合 | 退職日以前の2年間で雇用保険に通算で12カ月以上加入していること |
会社都合退職の場合 | 退職日以前の1年間で雇用保険に通算で6カ月以上加入していること |
方法:転職先の軸を考える
派遣会社以外の転職先を検討している場合は、転職の軸となる部分を考えましょう。
なぜなら、転職の軸が決まっていないと、転職先を定められないからです。転職先軸とは、給料・勤務地・労働環境・雇用形態などがあります。
あなたが一番重視したい項目を事前に決めておくことが大切です。
「契約途中に派遣を辞められるのか?」のまとめ
今回は、契約途中でも派遣を辞められるのかについてまとめました。
結論としては、就労してから1年未満の場合は、やむを得ない事情がある場合のみ退職できます。
【やむを得ない理由の例】 ・事前に伝えられていた仕事内容と実際の労働内容に相違があった ・派遣先でパワハラされている ・サービス残業など労働環境で違法している ・精神的な病気と診断された ・体調を崩して仕事に影響があると診断された ・家族の介護など仕事ができない環境になった ・家庭の事情で通えない距離に引っ越しをすることになった |
しかし、就労から1年が経過している場合は、契約途中でも諸事情で退職できます。
ただ、派遣会社との今後の付き合いを考えると、契約途中に退職を検討しているのであれば、派遣会社の担当者が納得できる辞め方が大切です。