マイクロソフト(Microsoft)が提供する表計算ソフト「エクセル(Excel)」では、セルに入力されたデータに基づいて、グラフを作成できます。
棒グラフや円グラフ、折れ線グラフなど、さまざまなグラフが用意されているため、用途やデータによって、最適なグラフを選べます。ただ、グラフを作成する上で、少し難しいのが単位と軸の設定です。
エクセルでのグラフ単位管理は、データの正確な理解と提示に欠かせません。グラフの単位を適切に表示、変更し、カスタマイズすることで、情報の伝達効率が高まります。例えば、「人」や「千円」、「パーセント」などの単位を正確に設定することで、視覚的にも理解しやすいデータ表示が可能になります。
また、複数軸グラフでの単位の統一や異なる単位の扱い、特にMacユーザー向けの変更方法など、環境に応じた対応策も重要です。このように単位の表示や変更をマスターすることで、エクセルグラフをより効果的に使いこなせるようになります。
この記事では、エクセルでグラフに単位を表示する方法を解説しています。単位の種類や変更方法、各グラフの特徴と最適な使いどころも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
エクセルでグラフに単位を表示する方法
ここでは、棒グラフを例に出し、単位を表示、変更する方法を解説します。軸の変更方法にも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
単位を表示する方法
棒グラフで単位を表示するには、軸にカーソルを合わせて右クリックをして、「軸の書式設定」を開きます。
表示単位から 「表示単位のラベルをグラフに表示」 というボックスにチェックを入れると、百、千、万、億といった単位を設定できます。これで単位の表示は完了です。この時、単位の大きさによって目盛幅が自動で変更されます。
単位を非表示にしたいときは、もう一度軸にカーソルを合わせて右クリックしましょう。表示単位の「表示単位のラベルをグラフに表示」 というチェックボックスからチェックを外すと、単位を非表示にできます。
配置を選択する
自動生成なので仕方のない部分ではありますが、単位を表示しただけでは、文字が90度回転していたり、単位として適していない位置に表示されることがあります。そこで、単位の配置を変えてみましょう。
上の図では「百」という単位が90度左に回転しています。これでは視認性が悪いですよね。「単位」 を右クリックして 「表示単位の書式設定」 をクリックしてみましょう。
「文字列の方向」を変更すると、単位の回転や、縦書き、横書きを選べます。また、「垂直方向の配置」という選択肢をクリックすると、上揃えや下揃え、中心、下中央といった、配置を自由に変更できます。
単位の名前を変更する
デフォルトでは、単位が「千」「万」といった「位」を表す単位にしかなりません。そこで、「km」や「人」といった任意の名前に変更してみましょう。やり方としては、グラフの領域を縮めて既存の単位を削除し、テキストボックスで新たに単位を入力する方法になります。
まずは「書式」タブをクリックして、画面左上にある、選択範囲を「プロットエリア」にしましょう。上の図の左上に「プロットエリア」 と書いてある項目の右に下矢印があるので、そちらをクリックすると「プロットエリア」 を選択できます。
プロットエリアを選択したら、軸と縦棒の間にある◯を右側にドラッグして、グラフ範囲を縮めましょう。
次に、元々あった単位を消して、軸の書式設定から、「単位なし」に変更します。
「挿入」タブからテキストボックスを選択して「横書きテキストボックスの描画」をクリックしてみましょう。好きなサイズのテキストボックスをマウスドラッグで作成できます。
テキストボックスが作成できたら、その中に任意の単位、文字を入力しましょう。文字が入りきらない場合は、文字サイズを小さくするか、テキストボックス四隅をドラッグしてサイズを拡大すると、文字が全て表示されます。
目盛の数を変更する
上の画像では、グラフは最大値を120,000として、20,000ずつの間隔で目盛が振られています。軸の書式設定では、単位の変更だけでなく、これらの軸の最小値と最大値、目盛の間隔を自由に調整できます。
例えば、単位の「主」という数値を20000から40000にしてみると、目盛間隔が広がりました。軸の最大値や間隔は、データに基づいて自動で調整されますが、任意の数値を自分で指定することもできるので覚えておきましょう。
軸を表示する方法
単位を変更、設定する際に必須なのが軸の表示です。軸を表示しなければ単位を設定できません。まずは軸を表示させる手順を解説します。
グラフを作成したが軸が生成されなかった、うっかり軸を削除してしまった場合は、グラフ左上の「+」ボタンをクリックして、グラフ要素の1番上にある「軸」にチェックを入れましょう。
軸の位置を変更する方法
軸はデフォルトで左と下に作成されるようになっています。軸の位置を変えたい場合は、軸を右クリックして「軸の書式設定」へ移動し、ラベルからラベル位置を自由に変更しましょう。
複数軸の単位を設定する方法
エクセルにおいて、2軸または3軸のグラフは、異なる尺度を持つデータセットを比較するのに非常に有効です。しかし、各軸に異なる単位を設定することは、グラフの読み手にとっての混乱を避けるために慎重に行う必要があります。このセクションでは、軸ごとに適切な単位を選択し、それぞれのデータが最も効果的に伝わるように表示方法を調整するテクニックを紹介します。特に、棒グラフや折れ線グラフなど、異なるグラフタイプでの単位管理の違いにも触れ、実際のデータ分析やプレゼンテーションでの応用例を紹介します。
複数軸グラフの単位を管理する際には、データの比較と解析を容易にするための表示方法の調整が必要です。ここで重要なのは、異なるデータセットが持つ意味を明確に伝えるために、それぞれの軸に適切な単位を選択し、表示スケールを調整することです。例えば、一方の軸には数量を示す「個」を、もう一方には金額を示す「千円」を用いることで、異なる種類のデータ間の関係性を視覚的に理解しやすくします。また、グラフ内のデータラベルや軸のタイトルに単位を明記することで、情報の読み取りを一層明確にします。
よく使うグラフの種類と特徴
エクセルには棒グラフや円グラフ、折れ線グラフといったさまざまなグラフがあります。選択したセルの範囲に基づいて、これらのグラフの中から好きな物を選んでグラフを作成できます。しかし、選ぶべきグラフを間違えると、本来視認性を向上させるためのグラフが、視認性を悪くするという逆効果を生んでしまうことがあるため、注意が必要です。
ここでは、エクセルでよく使われるグラフの種類と、それぞれの特徴を解説します。各グラフ、どのようなデータを表現するときに向いているのかも解説するので、ぜひ参考にしてください。
棒グラフ
棒グラフは、複数のデータの大小を比較する際に使われるグラフです。上下方向に伸びる縦棒グラフと、左右の方向に伸びる横棒グラフが存在します。どの項目が1番なのか、最下位なのか、同じ観点で数値を比較する際に有効なグラフです。都道府県別の人口や商品の生産数、会社の支店ごとの売上や教科の平均点など、学校や会社といったさまざまな場面で使われるため、多くの方に馴染みのあるグラフです。横棒グラフを応用すると、グラフを中央で折り返して、男女別で年齢を区切って人口構成比率を比較する人口ピラミッドを作成できます。
円グラフ
円グラフは、全体に対する割合、構成比率を比較する際に有効なグラフです。アンケート結果や市場のシェア率、人口比率など、全体に対して各項目がどのくらいの割合を占めているのかを比較する場面で多く使われます。円グラフはあくまで割合を示すものなので、各項目の数値で比較できません。数値を比較する場合は、棒グラフの方が視覚的にわかりやすくなります。
折れ線グラフ
折れ線グラフは、時系列に沿って、データがどのように変化したのかを調査したいときに有効なグラフです。例えば人口の変遷や入場者数の変遷、平均気温、物価、株価など、あらゆる変化を視覚的にわかりやすくします。棒グラフでもこれらの数値の変化を比較できますが、縦棒の面積が無駄に大きくなってしまうため、折れ線グラフの方が視覚的にわかりやすいです。
積み上げ棒グラフ
積み上げ棒グラフは、棒グラフの1種です。棒グラフを積み重ねることで、複数の要素の割合を比較できます。上記の表では、全体の中でどの年齢層が1番多いのかを視覚的にわかりやすくしています。その他にも、収入、支出の内訳といったものを表す際に使われるグラフです。
円グラフも割合を視覚的にわかりやすくしたグラフですが、積み上げ棒グラフは、1本のグラフを使うことによって、10年、20年前と現在の収支構成比較や、平均年収300万円、500万円、1000万円といった、年収帯ごとの収支比較が1つのエリア内でできます。割合だけをみるなら円グラフ、複数の項目の割合を比較する場合は積み上げ棒グラフがおすすめです。
面グラフ
面グラフはデータの変遷を見ると共に複数の要素の変化の比較をわかりやすく表せるグラフです。上記の表では、時系列に沿った、トウモロコシ、綿花、肉牛の生産量の変遷を示しています。トウモロコシと肉牛は増加傾向にあるものの、綿花は減少傾向にあることが一目でわかります。
散布図
散布図は、2つのデータの相関関係を調べる際に使われるグラフです。例えば、年収と年齢には相関性があるのか、身長と体重には相関があるのか、車の保有数と住宅の敷地面積には相関があるのかといった、さまざまな仮説を立証する際に有効です。
散布図で示した点を結んでいくと楕円形になり、その楕円形が直線に近い、円形に近いかどうかで、「正の相関」「負の相関」「相関なし」という3つに分類することができます。それぞれの特徴を下記にまとめました。
相関の種類 | 特徴 |
正の相関 | 横軸と縦軸が比例するように、ともに増加する状態。楕円形が直線に近くなり、右上がりになる。 |
負の相関 | 横軸と縦軸が比例するように、ともに減少する状態。楕円形が直線に近くなり、右下がりになる。 |
相関なし(無相関) | 点が散らばって楕円が直線にはなっていない状態。 |
レーダーチャート
レーダーチャートでは、複数の項目を比較して、視覚的にそれぞれの評価や傾向をわかりやすくしたグラフです。上記の表では、使いやすさや携帯性といった、5段階の評価を見やすいようにグラフ化しています。他にも、とあるメニューに含まれるタンパク質、脂質、炭水化物を比較する際に有効です。
どのグラフを選ぶか迷ったら
エクセルには、上記で紹介した以外にも「等高線」や「ヒストグラム」「箱ひげ図」といったグラフの種類があり、データに対して、どのグラフを使うべきか悩むことがあります。そういった際には、「挿入」タブにある「おすすめグラフ」をクリックしてみましょう。
上記の図のように、選択したデータに基づいて最適なグラフが提案されます。基本的には1番上のグラフが最もおすすめです。しっくりこなかった場合は、おすすめグラフを上下にスクロールして確認してみる、タブを「すべてのグラフ」に変更するといった対処法があります。
すべてのグラフから詳細設定を行う
グラフの挿入画面からすべてのグラフを選ぶと、各グラフの種類と、それぞれのレイアウトを選択できます。縦棒グラフ1つとっても、2D縦棒、積み上げ縦棒、3D縦棒といった豊富なレイアウトを選択できるため、表現の幅が非常に広い点が特徴です。視覚的にわかりやすいのはどれか、サンプル画面を見て比較してみましょう。
グラフを組み合わせる
エクセルでは、複数のグラフを組み合わせる機能も付いています。上記のグラフでは、時系列に沿って、全体の人口を青い縦棒で、20歳以下の人口をオレンジ色の折れ線で表現しています。複数の要素を1つのグラフで比較できるため、よく使われるグラフです。
おすすめグラフから「すべてのグラフ」タブへ移動して「組み合わせ」を選択するか、グラフメニューの「複合グラフ」を選択すると、複数のグラフを組み合わせたグラフが作成できます。
まとめ
エクセルでグラフに単位を表示するには、「軸の書式設定」から単位の設定を行います。軸の書式設定をするには、グラフの軸を表示させなければならないので、もしもグラフに軸が表示されていないときは、グラフのすぐ横に表示される「+ボタン」から、「軸」を選びましょう。単位を表示しても、デフォルトでは「百・千・万」といった位しか選べません。
「人・km・kg」といった別の単位を設定したい場合は、テキストボックスを作成して任意の文字を入力して単位を作りましょう。
エクセルには多種多様なグラフがあります。元々グラフはデータだけでは視認性が悪いことから、一目でデータの分析ができるよう、見た目を整えたものです。それぞれのグラフの特徴と向き不向きを知ることで、グラフをより有効活用できるので、よく使う棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフの3点は必ず把握しておきましょう。