エクセルで表を作る際、罫線の有無によって視認性が大きく左右されます。「もともと薄いグレーの線が引いてあるのではないか」と思うかもしれませんが、あの枠線は印刷時に表示されず、表は文字だけの羅列になってしまいます。別途で罫線の設定が必要です。
この記事では、エクセル(Excel)で罫線を設定する方法を解説します。記事の後半では、作業時間を大幅に短縮できる、罫線に関するショートカットを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
エクセルで罫線を設定する方法
エクセルで罫線を設定する方法は非常に簡単で、表の範囲を選択して、ボタンをクリックするだけです。
枠線と罫線の違い
エクセルを使っていると、枠線、罫線という言葉を聞く機会が数多くあります。同じようなものと思っているかもしれませんが、実は大きな違いがあり、この違いをわかっていないと適切に設定できません。
まず枠線とは、セルを覆い囲むように表示されるグレーの線です。実はあの線はユーザーのデータ入力作業を助けるためのもので、印刷すると枠線は印刷されず見えなくなります。そこで使われるのが「罫線」です。
こちらは実際に印刷される線で、格子状や外枠などさまざまなスタイルがあります。
罫線機能を活用する
まず罫線を引きたい表の範囲を選択します。次にホームタブの「フォント」から「罫線▼」をクリックして、格子を選んでみましょう。罫線が格子状に引けました。この格子状の罫線は、最もスタンダードなスタイルです。
罫線はカスタマイズできる
罫線は線の太さや種類をカスタマイズできます。下記の表では、罫線のテンプレートや設定項目をまとめました。
罫線の種類 | 特徴 |
下罫線 | 選択範囲の最下部に罫線を引く |
上罫線 | 選択範囲の最上部に罫線を引く |
左罫線 | 選択範囲の最左部に罫線を引く |
右罫線 | 選択範囲の最右部に罫線を引く |
枠なし | 選択範囲にかかっている罫線を外す |
格子 | 格子常にセルに罫線を引く |
外枠 | 選択範囲の周囲に罫線を引く |
太い外枠 | 選択範囲の周囲に太い罫線を引く |
下二重罫線 | 選択範囲の最下部に二重の罫線を引く |
下太罫線 | 選択範囲の最下部に太い罫線を引く |
上罫線+下罫線 | 選択範囲の最上部と最下部に罫線を引く |
上罫線+下太罫線 | 選択範囲の最上部に罫線、最下部に太い罫線を引く |
上罫線+下二重罫線 | 選択範囲の最上部に罫線、最下部に二重の罫線を引く |
カスタマイズ | 特徴 |
罫線の作成 | マウスで範囲を選択して外周の罫線を引く |
罫線グリッドの作成 | マウスで範囲を選択して格子状に罫線を引く |
罫線の削除 | 設定した罫線を削除する |
線の色 | 罫線の色を自由に設定する |
線のスタイル | 罫線の種類を変更する(通常や太線、点線、二重線など) |
その他の罫線 | 線のスタイル、色、縦、横、斜めの書式を自由に配置できる |
罫線を引くときのポイント5選
罫線は一度設定すると、解除が難しいです。罫線を引いたセルをコピペする際は書式までコピーしてしまい、レイアウトが崩れてしまうことがあります。せっかく時間をかけて作成したレイアウトが戻せなくなってしまうのは、もったいないですよね。ここでは罫線を引く時に作業がスムーズになるポイントを5つ解説します。
基本はシンプルな線を使う
ただのセルのままにしておかず、罫線を引く理由は、視認性を上げるためです。取引先や上司、先輩社員に見せる資料となれば、気合を入れて作り込むのではないでしょうか?
しかし、表の凝りすぎは作業スピードを遅らせて、重要な中身のデータを疎かにしてしまう可能性があるため、シンプルな罫線を使いましょう。罫線のテンプレートとしてワンクリックで使えるため、作業効率が上がります。
やり方は上記の見出しで解説したように、罫線を引きたいセルの範囲をドラッグで選択して「ホーム」タブから「罫線▼」をクリックして「格子」を押すだけです。非常に簡単に罫線が引けるため、この手順は必ず覚えておきましょう。
コピペする際は罫線なしが便利
罫線を引いた後に、表の中のセルをコピーして別のセルやシートへ貼り付けた際、コピー元の罫線も一緒に貼り付けられてしまいます。逆もまた然りで、二重に罫線が引かれた別の表のセルをコピーして、新規シートの表に貼り付けると、二重線がコピーされてしまいます。
このような場合は、貼り付けた後に表示される「貼り付けオプション」から「罫線なし」を選択しましょう。名前の通り、「罫線なし」は罫線を外してセルの中身を貼り付けられます。
凝った罫線を引く際は最後がおすすめ
表のレイアウトを先に完成させてしまうと、セルの挿入・削除、ミスが発覚した時の戻し・修正作業が大変です。最悪の場合1からやり直しになります。
太線や二重線表の罫線などを使って凝った表を作る際は、必ず表の中身が完成してからにしましょう。
テーブルでも実現できそうか検討する
自分の思い浮かべるデザインがテーブルにないか探してみましょう。エクセルのテーブル機能は、セルを範囲選択して用意されたテンプレートをクリックするだけで、色や罫線が付いて、フィルターをかけられるという物です。
「ホーム」タブ→「スタイル」→「テーブルとして書式設定」を選択しましょう。すると、好きなデザインのテーブルを選べるので、自分のイメージに近い物を選んでみてください。
太線の外枠を引く場合は1番最後にする
外枠を太線にする場合は、1番最後に設定しましょう。後から挿入・削除・コピペによってレイアウトが崩れると、テンプレートの少ない太線は、「その他の枠線」から手動でデザインしなければならなくなります。
シートの枠線の表示・非表示を切り替える
印刷時に表示されない枠線は、基本的に存在するだけで視認性を高め、ユーザーの作業効率を上げてくれます。しかし、シチュエーションによっては、消してしまった方がみやすくなる場合もあるため、適切に表示・非表示を切り替えると効率的です。ここでは、枠線の表示・非表示を切り替える方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
白色でセルを塗りつぶす方法
枠線を消したいセルを範囲選択して、「ホーム」タブの「フォントメニュー」にあるバケツマーク(塗りつぶしマーク)を開き、塗りつぶしの色に「白」を選択してみましょう。指定した範囲は、全て枠線が消えています。これは、デフォルトでセルの塗りつぶしがオフ(色は透明)になっていることを利用した仕組みです。
表示タブから変更する
セルの塗りつぶしは、範囲を指定できるというメリットがありますが、広範囲を塗り潰すには時間がかかります。もっと簡単に枠線を消せる方法があるので、そちらを見ていきましょう。「表示」タブから「表示メニュー」へいき、「目盛線」のチェックを外すと枠線が消えます。もう一度目盛線にチェックを入れると再び表示されるので、ぜひ覚えておきましょう。
枠線を表示して印刷する
普通にシートを印刷すると、枠線は表示されませんが、とある設定をすると枠線を表示して印刷することができます。それが「ページ設定」です。ファイルから「印刷」を選んで、「ページ設定」をクリックします。「シート」タブに移動して、「枠線」というチェックボックスにチェックを入れると、枠線を印刷時に表示できるようになります。
罫線を引く際に使えるショートカット
マウスとカーソルを忙しなく動かすイメージのある罫線ですが、作業時間を短縮する便利なショートカットキーが存在します。ここでは、罫線を引く、消す、書式設定を開くショートカットを解説するので、ぜひ参考にしてください。
罫線を引くショートカット
罫線を引く場合は、事前に罫線を引きたいセルの範囲を選択して、Alt→H→Bの順番でキーボードを押すと、罫線のメニューが開きます。同時押しではなく、順に押していく流れです。その次に押すキーによって、どの罫線を引くかが変わってきます。
罫線の種類 | キー | 罫線の種類 | キー |
下罫線 | Alt→H→B→O | 太い外枠 | Alt→H→B→T |
上罫線 | Alt→H→B→P | 下二重罫線 | Alt→H→B→B |
左罫線 | Alt→H→B→L | 下太罫線 | Alt→H→B→H |
右罫線 | Alt→H→B→R | 上罫線+下罫線 | Alt→H→B→D |
枠なし | Alt→H→B→N | 上罫線+下太罫線 | Alt→H→B→C |
格子 | Alt→H→B→A | 上罫線+下二重罫線 | Alt→H→B→U |
外枠 | Alt→H→B→S |
例えば、選択したセル範囲に格子状の罫線を引きたい場合は、「Alt→H→B→A」となります。
罫線を消すショートカット
罫線を消したいセルの範囲を選択して、「Alt→H→B→N」を順に押していくと罫線を消せます。事前に罫線を消したいセルを正しく指定しないと、予想もしないセルの罫線を消してしまうことがあるので、注意しましょう。
ちなみにもっと早く消す方法もあります。「Ctrl+Shift+_」(コントロール+シフト+アンダーバー)の同時押しです。こちらも事前に罫線を消したいセルを正しく指定しないと、予想もしないセルの罫線を消してしまうことがあるので、注意しましょう。
罫線の書式設定ショートカット
罫線の種類だけでなく、下記のような罫線の作成に関わるメニューを触る際も、ショートカットキーでスピーディーに作業できます。
罫線のメニュー | キー | 罫線のメニュー | キー |
罫線の作成 | Alt→H→B→W | 線の色 | Alt→H→B→I |
罫線グリッドの作成 | Alt→H→B→G | 線のスタイル | Alt→H→B→Y |
罫線の削除 | Alt→H→B→E | その他の罫線 | Alt→H→B→M |
最速で「その他の罫線」から書式設定へ辿り着くには「Alt→H→B→M」を押しましょう。
便利なショートカット集
エクセルの作業効率を上げるには、ショートカットを覚えるのが効果的です。さまざまなショートカットがあるので、汎用的なものは優先的に覚えておきましょう。
ショートカット | 役割 | ショートカット | 役割 |
Ctrl + C | コピー | Ctrl + V | 貼り付け |
Ctrl + X | 切り取り | Ctrl + S | 保存する |
Ctrl + F | 検索ボックスを表示する | Ctrl + H | 置換ダイアログを表示する |
Ctrl + Z | 元に戻す | F12 | 名前を付けて保存 |
入力関連のショートカット
ショートカット | 役割 | ショートカット | 役割 |
Shift + F3 | 関数を挿入 | F2 | セルを入力モードにして末尾へカーソル移動 |
Ctrl + ; (セミコロン) | 現在の日付を入力 | Ctrl + : (コロン) | 現在の時刻を入力 |
書式関連のショートカット
ショートカット | 役割 | ショートカット | 役割 |
Ctrl + 1 | セルの書式設定ダイアログを表示 | Ctrl + Space | アクティブなセルと同じ列を選択 |
Ctrl + Shift + 方向キー | アクティブなセルと同じ列、または行の最後のセルまでを選択 | Shift + Space | アクティブセルと同じ行を選択 |
Ctrl + B | 文字を太字にする | Ctrl + I | 文字を斜体にする |
Ctrl + U | 文字に下線を引く | Ctrl + A | シート全体を選択 |
セル編集関連のショートカット
ショートカット | 役割 | ショートカット | 役割 |
Ctrl + D | アクティブなセルの上のセルをコピーする | Ctrl + R | アクティブなセルの左のセルをコピーする |
Ctrl + Y | 直前の操作と同じ操作を繰り返す | Ctrl + プラス(+) | セルの挿入(セルをズラす方向を選択。列と行も選択可能) |
Ctrl + マイナス( – ) | セルの削除(セルをズラす方向を選択。列と行も選択可能) |
カーソル移動系のショートカット
ショートカット | 役割 | ショートカット | 役割 |
← | 左に移動 | ↑ | 文頭にワープ |
→ | 右に移動 | ↓ | 文末にワープ |
Shift + ← | 1文字ずつ選択 | Shift + → | 1文字ずつ選択 |
Shift&↑ | 左側をすべて選択 | Shift&↓ | 右側をすべて選択 |
Backspace | 1つ前を削除 | Delete | 1つ後ろを削除 |
Enter | 確定して下のセルへ移動 | Tab | 確定して右のセルへ移動 |
まとめ
エクセルには、視覚的なサポートによってデータ入力をしやすくする「枠線」と、印刷した時の視認性を向上させる「罫線」が存在します。特に罫線はさまざまなスタイルがあり、自由に線のスタイル、色、配置を変更できるので個性が出る機能です。シンプルな罫線を選ぶ、凝った装飾は後回し、無駄な作業を増やさないための「罫線なしコピー」といったポイントを押さえましょう。
とはいっても、仕事でエクセルを使う際は時間的な制約もあるため、テーブルを利用して、テンプレートとして使えるデザインを選ぶのがおすすめです。