エクセルは1つのファイル(ブック)の中に、複数のシートを作成できます。シートを分けることで、作業用のシートと見栄えにこだわったシートといった、目的別に編集が可能です。定例会議の議事録を日付ごとにシートを分けたり、個人ごとに管理シートを作成するなど、多種多様な使い方があります。
この記事では、エクセルでシート名を取得する方法と便利機能を解説します。エクセル初心者の方はもちろん、中級者以上の方もぜひ参考にしてください。
目次
エクセルでシート名を取得する方法
シート名はデフォルトでは「Sheet1」となっていますが、シートを新規で作成する度に「Sheet2」「Sheet3」と増えていきます。ダブルクリックするか右クリックすることで名前の変更も可能です。
エクセルではさまざまな処理でシート名を指定するのですが、一文字はおろか、全角や半角を間違えただけで正常に処理できなくなります。なので、手打ちではなくシート名を取得する方法を覚えておく方がおすすめです。
シート名をダブルクリックしてCtrl + C
エクセルの画面下部を見ると、シート名が表示されているので、ダブルクリックしてみましょう。するとシート名が全選択された状態になるので、CtrilキーとCを同時に押してコピーできます。
シート名を右クリックして名前の変更→Ctrl + C
シート名を右クリックして「名前の変更」という選択肢を選びましょう。ダブルクリックした時と同様に全選択された状態になるので、Ctrl + Cを同時にしてコピーしましょう。
CELL関数を使う
シート名の部分をダブルクリックする方法と右クリックする方法は、素早くシート名をコピーできますが、シート名を変更してしまうと再び取得し直さなければなりません。そこで引数となるシートの名前を取得・表示するCELL(セル)関数を使ってみましょう。CELL関数を使えばシート名を変更しても、自動で名前の変更が適用されます。CELL関数の数式は下記の通りです。
=CELL(検索の種類,参照)
第1引数の検索の種類は下記のように、さまざまな検索方法から選ぶことになります。今回は「filename」を使ってファイルのパス名を取得します。
検査の種類 | 戻り値(返り値) |
address | 対象範囲の左上隅にあるセル番地を表す文字列 |
col | 対象範囲の左上隅にあるセルの列番号 |
color | セルに負の数を色で表すように書式設定されている場合は「1」、それ以外の場合は「0」が返される |
contents | 対象範囲の左上隅にあるセルの値(数式ではない) |
filename | ファイルの名前保存されていない場合は「””(空白文字列)」 |
format | セルの表示形式※後述のCELLの表示形式コードを参照 |
parentheses | 正の値またはすべての値をかっこで囲む書式がセルに設定されている場合は「1」それ以外の場合は「0」が返される |
prefix | セル内のデータの配置.セルが左詰めの文字列を含むときは単一引用符 (‘)、右詰めの文字列を含むときは二重引用符 (“)、中央揃えの文字列を含むときはキャレット (^)、両揃えの文字列を含むときは円記号 (¥)、また、セルにそれ以外のデータが入力されているときは空白文字列 (“”) になる |
protect | セルがロックされていない場合は「0」、ロックされている場合は「1」が返される |
row | 対象範囲の左上隅にあるセルの行番号 |
type | セルに含まれるデータのタイプ。セルが空白の場合は “b” (Blank の頭文字)、セルに文字列定数が入力されている場合は “l” (Label の頭文字)、その他の値が入力されている場合は “v” (Value の頭文字) になる。 |
width | セルの幅 |
▼CELLの表示形式コード
表示形式 | 戻り値(返り値) | 表示形式 | 戻り値(返り値) |
全般 | “G” | 0 | “F0” |
#,##0 | “,0” | 0.00 | “F2” |
#,##0.00 | “,2” | $#,##0_);($#,##0) | “C0” |
$#,##0_);[赤]($#,##0) | “C0-“ | $#,##0.00_);($#,##0.00) | “C2” |
$#,##0.00_);[赤]($#,##0.00) | “C2-“ | 0% | “P0” |
0.00% | “P2” | 0.00E+00 | “S2” |
# ?/? または # ??/?? | “G” | m/d/yy または m/d/yy h:mm または mm/dd/yy | “D4” |
d-mmm-yy または dd-mmm-yy | “D1” | d-mmm または dd-mmm | “D2” |
mmm-yy | “D3” | mm/dd | “D5” |
h:mm AM/PM | “D7” | h:mm:ss AM/PM | “D6” |
h:mm | “D9” | h:mm:ss | “D8” |
第2引数の「参照」は省略可能です。どのセルから情報を得るかをセル番地で指定します。省略した場合は、CELL関数を入力したセルの情報が得られます。今回はfilenameでファイルのパスを取得するのでセル番地は関係ありません。省略して大丈夫です。
CELL関数を使ったシート名の取得方法
CELL関数を使う際に注意したい点が2つあります。それは、ファイルを保存してから出ないと使えない点と、CELL関数だけではシート名だけを取得することができない点です。
ファイルはどこに保存しても大丈夫です。CELL関数の検索の種類に「filename」を指定するとファイルのパスが表示されてしまいます。そこで文字列を抽出する複数の関数を組み合わせてみましょう。
ここでは、文字列の後ろから文字列を抽出するRIGHT(ライト)関数、指定した文字列をカウントするLEN(レン)関数、指定した文字列が何番目に位置するのかを返すFIND関数を使います。数式は下記の通りです。
=RIGHT(CELL(“filename”,A1),LEN(CELL(“filename”,A1))-FIND(“]”,CELL(“filename”,A1)))
CELL関数ではファイルパスを取得して、LEN関数で全ての文字数を取得します。その次に、パスの中でシート名がかっこで区切られる点を利用して、FIND関数でかっこ(])までの位置を求めます。全体からかっこまでの文字数を引き算して、得られた数値をRIGHT関数の引数にしている仕組みです。
シートの右クリックからできること
シートを右クリックすると、挿入や削除、名前の変更といったことが可能です。ここではシートの右クリックからできることを解説します。
挿入
名前の通り新しいシートを作成して挿入する機能です。Sheet2、Sheet3という風に、数字が1つ加算されてシートが作成されます。
削除
名前の通り、シートを削除する機能です。セルへの文字入力や罫線の設定などはCtrlキー + Zでやり直しができますが、シートの削除はやり直しができません。本当に削除して良いシートなのか検討してから慎重に削除しましょう。
名前の変更
シートはデフォルトの状態では「Sheet1」「Sheet2」といった名称になっているため、どのような情報が記入されるのかがわかりません。一目見て内容がわかるように記載するのがおすすめです。この名前の変更を利用してエクセルファイルの利便性を高めましょう。
移動またはコピー
移動またはコピーでは、シートをブック内の任意の位置に移動したりコピーを作成できます。他のブックにシートをコピーできるため、1つのブックにとらわれず作業ができます。
コードの表示
エクセルには簡単なプログラミングができるVBAという言語を利用可能です。シート内に設定されたVBAを確認できます。特にマクロを設定していない場合は、使うことはありません。
シートの保護
シート保護を設定すると、書式設定、列の挿入、並べ替えなど、項目ごとに許可するかどうか自由に制限できます。設定できる項目は下記の通りです。
設定できる項目一覧 | |||
ロックされたセル範囲の選択 | ロックされていないセル範囲の選択 | セルの書式設定 | 列の書式設定 |
行の書式設定 | 列の挿入 | 行の挿入 | ハイパーリンクの挿入 |
列の削除 | 行の削除 | 並べ替え | オートフィルタの使用 |
ピボットテーブルとピボットグラフを使用する | オブジェクトの編集 | シナリオの編集 |
特に重要書類に使われるエクセルシートでは、文字の入力をされないようにシートの保護をかける場合が多いです。
このシートの保護機能は、保護解除する際にパスワード入力を求めるよう設定できます。半角英数字で入力可能です。もしもパスワードを忘れてしまうと、その保護機能は永遠に解除できなくなってしまうので、必ずメモしておきましょう。
パスワードを忘れてしまった場合の対処法
エクセルでシートの保護をする際、パスワードを設定すると原則パスワードを解除するまで、永遠に機能が制限されてしまいます。最悪の場合、誰にも編集できなくなるので注意が必要です。
しかし、パスワード機能には意外な抜け道があります。それはシートのコピーです。
まずはシート下部の+ボタンから新しいシートを作成しましょう。ShiftキーとF11キーの同時押しでも新しいシートを用意できます。
A1セルの左上にある三角形マークを押すかCtrlキー+Aキーでシート全体を選択して、Ctrlキー+Cキの同時押しでコピーしましょう。表全体をコピーしたら、新しく作成したシートに貼り付けてみると、シートの入力保護が設定されていないので、自由にデータを編集できるようになります。
シート見出しの色
デフォルトではシートの色は白色で、特に装飾はされていません。そこで視認性を上げるために、「シート見出しの色を」設定しましょう。あまりにもカラフルにしてしまうと逆に見づらくなってしまいますが、強調したいシートを1つ2つ色付けるくらいにとどめれば、視認性を高められます。
非表示・再表示
シートを右クリックすると非表示はアクティブ状態になって押下可能ですが、「再表示」は押せなくなっています。試しに非表示をクリックしてみましょう。するとSheet2が非表示になって、Sheet1しか表示されなくなりました。そこでSheet1を右クリックしてみましょう。
すると、今度は「再表示」がアクティブ状態になるので再表示を押すと、下記の画像のように再表示したいシートが表示されるようになります。
Sheet2を非表示にしたので、一覧にはSheet2が再表示リストに載っています。万が一最後の1つのシートを非表示にしてしまった場合は、下記のようなポップアップメッセージが出るので、全てのシートが非表示になることはありません。
全てのシートを選択
全てのシートを選択すると一括でシート見出しの色を変更できます。1つ1つ色を変えていくのは面倒なので、一気に見出し色を変えたいときに使いましょう。一度「全てのシートを選択」をクリックすると、グループ化されてシートの保護は選択できなくなるので、もう一度シート名を右クリックして「シートのグループ解除」を押しましょう。
まとめ
エクセルでシート名を取得するには、シート名をダブルクリックまたは右クリックしてコピーするか、CELL関数を使いましょう。時間がない時はダブルクリック、シート名が変更されたら取得したシート名も変更されるようにしたい場合は、CELL関数を使うのがおすすめです。
シートを右クリックすると挿入や、削除、見出し色の設定ができます。シートの保護もかけられるので、ぜひ利用してみましょう。