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会社でセクハラ…辛くて辞めたい。被害にあった時にすべきことと退職の手順について

パワハラにモラハラといった、様々なハラスメントと同じく、会社内でセクハラという性的なハラスメント問題が存在します。

会社内でセクハラ被害にあった場合には、毎日の出勤がつらく辞めたいと深く悩むでしょう。今回は、退職を考えた時にすべきことや、退職時に不利にならないように行うべき退職までの手順について紹介します。

目次

どこからがセクハラ?セクハラの定義と被害の例

厚生労働省が公表しているものによると、セクハラとは「職務上の地位を利用して性的な関係を強要し、それを拒否した人に対し減給、降格などの不利益を負わせる行為。 」「性的な関係は要求しないものの、職場内での性的な言動により働く人たちを不快にさせ、職場環境を損なう行為。 」だと記載されています。

困っているにも関わらず、食事やデートに執拗に誘ったり、「男なんだから」「女なんだから」といった性別の特徴を押し付けるような言葉も、すべてセクハラに値することも。相手に不快な思いをさせることがセクハラ行為になる場合があります。

✔︎性的に不快にさせる発言や行動がある

・身体的な特徴を指摘される(バストサイズやスリーサイズを聞かれた)

・性的な冗談を言われた

・服装を性的な話題にされた

・身体をじっと見つめられた

・プライベートな秘密を暴露された

・身体をジロジロ見られた

・不必要なスキンシップをされた

✔︎恋愛関係を求める発言や行動がある

・食事やデートに執拗に何度も誘われた

・不必要な連絡を何度も送られた

✔︎上下関係や職権を利用した言動

・性的な要求をされ、断ったら仕事で不利益を被った

以上のような事柄がセクハラに該当しますう。以下に、よくある被害例を具体的に紹介します。

要求を拒んだら無視されるようになった

一方的に恋愛感情を持った上司に、執拗に食事やデートに誘われ、要求を断ったら無視されるように。まともに仕事を振ってもらえなくなったケースです。仕事を行うことができず、職場にも居づらい空気が流れてしまいます。そうなると、被害者は何も悪くないのに自ら辞める方向へ向かってしまうことが多いのです。

体験談

ある日業務が終わって帰宅しようとしていると、既婚の上司が「このあと2人で食事しない?」と誘ってきました。仕事の話以外にも私のプライベートの話を根掘り葉掘り聞かれるため「セクハラでは?」と思いました。しかし「嫌だけど上司だから仕方ない」と渋々食事に行っていると、ほぼ毎日食事に誘われるように。

そのうち「業務終わりに毎日2人きりで食事に行っている」と、職場にも私が上司と不倫しているという噂が立ち、職場に居辛くなってしまいました。そこで「今日は行けません」と上司の誘いを連続で断っていると、その後その上司から、仕事でも辛辣に当たられるようになりました。職場に居づらくなってしまったので、そのまま自分から退職をしてしまいました。

性的な要求に抵抗したら人事異動をされた

上司に体を触られるといった性的な要求に抵抗し、会社に被害を訴えたら人事異動させられたというケース。ハラスメントをした側が上司である場合、被害者側の自分が会社内で弱い立場にあたり、立場の弱い部下の方を移動させて解決しようとする会社が多くあります。

体験談

上司と会議室で2人で打ち合わせをしていた際、私の全身を舐め回すように見た上司に「〇〇ちゃんってスタイルいいよね」と言われました。「セクハラ??」と思いながらも、上司に対しては何も言えず「ありがとうございます」と返したら、急に体を触られました。その場からすぐに逃げましたが、あれから上司と話すのが怖くなってしまいました。

身体的な特徴を指摘された

「きれいな髪だね」や「スタイルの良い体をしているね」などの言葉も、言った側は単に褒めているつもりの場合もありますが、言われた側が不快に感じていればこちらもセクハラに値します。他にも、「早く結婚しろ」や「子どもを産め」といった言葉もセクハラに該当する場合があります。

POINT

セクハラの定義と被害の例
・要求を拒んだら無視されるようになった
・性的な要求に抵抗したら人事異動をされた
・身体的な特徴を指摘された

セクハラ被害で退職を考えている場合にすべきこと

セクハラの被害にあった本人は、毎日会社にいくことが憂鬱でしょう。今すぐに辞めたくなり、退職届を出そうとしてしまうかもしれません。

しかし、何の計画もなしに泣き寝入りして退職してしまうと、後々マイナスになることがあります。不利益を被らないためにも、しっかりと計画してから退職するようにしましょう。ここでは、退職する前にできることをステップを踏んで紹介します。

ステップ1:セクハラの証拠を残す

まず最初にすべきことは、セクハラ被害を受けた証拠を押さえることです。セクハラ被害によって退職まで追い込まれた場合、加害者に慰謝料を請求できることがあります。慰謝料を請求しなくとも、セクハラされた事実を会社に訴えるためにも証拠を残しましょう。

証拠には、送られてきたメールの内容や、カメラによる映像や録音、診断書が有効です。メールやラインなど、証拠となりそうなものはできる限りスマホでスクショしておきましょう。可能であれば、メールやラインなどのスクリーンショットやその文面を印刷かダウンロードしておくといいでしょう。

さらに、スマホのボイスレコーダーを使って、証拠となる言動も録音しておきましょう。性的な言動や性的な関係を求める声が録音できていると、有効な証拠になります。動画の場合も、性的な要求やその言動が撮影できていれば、かなり有効な証拠になります。

また、セクハラが原因でうつ病になってしまった場合には、通院している記録も残しておきましょう。診断書を残すことを忘れないようにしてください。こちらの記録もセクハラの証拠として提出することができます。

ステップ2:社内の窓口に相談する

次に、社内にコンプライアンスの窓口がある場合は、そちらに相談するようにしましょう。証拠がなければなかなか対応してくれない場合も多いため、しっかりと証拠を持っていき、相談するのが得策です。コンプライアンス窓口がない会社の場合は、人事課に相談するのが良いでしょう。

ステップ3:相談窓口に相談する

社内で相談できる相手がいない場合は、法務省が管轄する「女性の人権ホットライン」や、労働局の管轄する「雇用環境均等部」にも相談しましょう。匿名で相談ができるメリットや、会社に相談しても取り合ってもらえなかったという場合にトラブルの相談をすることができます。さらに、心身に影響が出るほどのセクハラ被害を受け、法的に裁きたいという場合には労働問題弁護士へ相談することをおすすめします。

労働局に相談する場合

労働局は主に男女雇用機会均等法の関わるトラブルを相談できる機関です。労働局は個人のプライベートを守るため、匿名での相談が可能です。労働局に相談すると、会社に対して、法律や制度の説明をした上で、注意喚起を労働局が行ってくれます。

また、相談者と会社との間にトラブルが生じている場合は、助言や指導などを行い、相談者のサポートを行います。

ステップ4:刑事事件として訴える

相談窓口では埒があかない場合は、刑事事件として訴えることも可能です。

相談窓口では解決しない場合には、警察に相談して刑事事件として訴えることも可能です。例えば、セクハラは「強制わいせつ罪:「傷害罪」「強要罪」「名誉棄損罪」に該当します。それぞれの刑事罰の構成要件を満たせば、刑事罰として訴えることも可能です。

例えば、強制わいせつ罪は、暴行+わいせつな行為の有無で、成立します。実際に手を上げられてわいせつ行為があった場合には、刑法によって罰することができるのです。警察に相談する場合には、できるだけ早く被害届を提出したり告訴をしたりという行動を起こしましょう。セクハラが認められれば、慰謝料請求が可能になり、相手に前科がつきます。

セクハラでの慰謝料請求は可能

セクハラを受け続けて苦痛を感じる場合には、慰謝料を請求することもできます。セクハラの加害者と会社の両方に請求することができるのです。ただ、裁判を起こせば必ず慰謝料が取れるわけではないため、注意が必要です。

セクハラでの慰謝料相場には幅がありますが、一般的なセクハラによる不法行為責任が問われる場合は100万円程度、セクハラによって退職を余儀なくされた場合は300万円程度が相場となっています。さらに刑事事件に発展した場合は1000万円程度の慰謝料が認められた場合も。

慰謝料を請求したいほどセクハラによる苦痛を受けている場合には、まず弁護士に相談するのが手です。

ステップ5:転職する

行動しても改善されない場合や、職場にいられない場合などは、転職するのも手です。転職する際の退職理由は、セクハラによる退職と伝えていいでしょう。できるだけ冷静に客観的にセクハラの事実が伝わるように述べましょう。

POINT

セクハラ被害で退職を考えている場合にすべきこと
ステップ1:セクハラの証拠を残す
ステップ2:社内の窓口に相談する
ステップ3:相談窓口に相談する
ステップ4:刑事事件として訴える

セクハラの加害者を辞めさせることはできる?

セクハラ被害を受け「どうして被害者の自分が退職しなければならないの?」という方も多いのではないでしょうか。セクハラの加害以外会社に問題がなく、会社を辞めたくない場合には、加害者を辞めさせたいと思うでしょう。

一般的には、「強制わいせつ」「強姦」「暴行」「脅迫」などの刑法に値する罪を犯した場合や、セクハラで訴えられ処罰された後にも関わらず、再度セクハラ行為を繰り返す場合に対し一番重い処罰に当たる「懲戒解雇」の処罰を受けさせることができます。

それ以外のセクハラ被害の場合は、今現在の労働基準法では多くの制限があるため、「懲戒解雇」は難しいのが現状です。ただし、セクハラをした加害者に対し、会社から退職勧奨をして自主的に辞めてもらうことができる場合もあります。

また、セクハラの程度によって異なりますが、「戒告」「譴責」「訓戒」「減給」「出勤停止」「降格」「諭旨解雇」などの処罰は行うことが可能な場合があります。

POINT

セクハラの加害者の「懲戒解雇」は難しいのが現状。

セクハラで退職する時の辞め方と注意点

ここからは、セクハラ被害によって退職する場合の辞め方と注意点を紹介します。

会社都合にできる場合

退職する場合、自己都合なのか会社都合なのかによって、もらえる失業給付金の金額が異なります。自己都合の場合は、退職後にある一定の期間を設け、その間に転職が決まらなかった場合に支給が開始されます。

しかし、会社都合での退職であれば期間を設けずにすぐに給付金をもらうことができます。退職後に収入がストップしてしまうと生活に直に影響が起こってしまいます。勢いで自己都合で辞めてしまう前に、セクハラの証拠を提示し会社都合として認定してもらい退職するようにしましょう。

労災認定になる場合

労災認定とは労働基準監督者が行うもので、会社と加害者に対し、損害賠償請求をすることができます。ただし、セクハラを受けた被害者が「労災認定」を受けるためには、「精神障害」が発症していることを証明する必要があります。

精神障害とは主に、「うつ病」や「適応障害」「急性ストレス反応」が含まれます。しかし、医学的に精神障害が認められ、医師によって診断書を書いてもらうことでやっと認定されるためなかなか難しいのが事実。

POINT

セクハラで退職する時の辞め方と注意点 会社都合の退職にできれば、失業給付金を退職後すぐにもらえる。

セクハラで退職したら不利?転職先への退職理由の伝え方とは

次に、セクハラ被害によって退職したあとの、転職活動の注意点を紹介します。転職先での面接時に退職理由を聞かれ、どう答えたら良いのか悩む方も多いでしょう。

結論からお伝えすると、面接時や履歴書にセクハラの事実は伝えない方が良いです。加害者ではなく被害者のため、何も隠すことはないので正直に話したくなるかもしれません。しかし、セクハラはネガティブなワードには間違いないため、あまり良いイメージを与えることができないためです。

転職活動は、次の転職を成功させるためのものです。退職理由を正直に話すことよりも、採用担当者へポジティブで前向きに転職したいイメージをアピールすることで、転職を成功に導くことの方が大切なのではないでしょうか。

POINT

セクハラが理由で退職する場合、面接時や履歴書にセクハラの事実は伝えない方が良い。

まとめ

加害者により不快感や苦痛を味わされ、メンタルを壊してしまいかねないセクハラ。そんな苦痛を我慢してまでその会社にいる必要はあるのでしょうか。セクハラ被害を受けた場合は速やかに証拠を押さえ、相談窓口に相談しましょう。

そして、会社からきちんと加害者に処罰を与えてもらい、セクハラをやめさせましょう。しっかりと計画を立て、自分が被害者として不利益を被らないように措置した後で退職し、次の転職を考えることが大切です。転職先に悩んでいる、またセクハラの被害があるのではないか…と不安に思う方も多いかもしれません。転職エージェントは、転職先企業のことを熟知したプロのカウンセラーが転職先を紹介するため、自分一人で転職を行うよりも安心して転職をすることができます。転職に悩んでいる場合は、ぜひキャリチェンにご相談くださいね。