会社を退職する際に提出する退職届。初めて退職する方は、退職届をいつまでに出したら良いのかタイミングがわからなかったり、正しい書き方や退職理由はどう書けば良いのか悩んでしまうのではないでしょうか?
今回は、そんな方のために、退職届の書き方を例文付きで紹介します。
ぜひ辞める際の参考にしてくださいね。
目次
そもそも退職届とは?「退職願い」「辞表」との違い
退職願いは、会社へ退職を打診する際の書類。経営者や役員など、会社に対して退職の願いを申し出るものなので、却下される可能性があります。
対して退職届とは、退職が認められた段階で、届け出る書類のことです。退職を会社に通告するための書類なのです。
法律的には、退職を申し出る退職願を提出せず退職届を提出しても、会社を辞めることは可能です。会社の同意を得なくても、退職届を提出してしまえば退職することはできるのです。
さらに辞表とは、社長や取り締まり役などの会社の役員が、役職を離れる際に提出するものです。
退職届、退職願、辞表はそれぞれ意味が異なるため、間違えて提出しないよう注意しましょう。
退職届を書く前にやるべきこと
いざ会社を退職しようと思った時に、退職届を書くよりも先にやるべきことを紹介します。
会社を円満に退職するためには、準備が大切です。
以下の点に注意して進めていきましょう。
就業規則を確認する
まずは、会社の就業規則を確認しましょう。民法状では14日前に提出すれば問題ないとされています。
しかし、いきなり従業員に辞められては仕事が回らなくなり、会社側に嫌な印象を与えてしまいます。
そのため、退職する時は退職希望日の1ヶ月前に上司に伝えることが一般的となっています。
ただし、こちらもあくまで一般論に過ぎません。会社によって、それぞれ決まりが設けられているので、確認が必要です。
さらに、最後に有給を消化したい場合や業務の引き継ぎが必要な場合は、1ヶ月以上前から出しておく必要があることもあります。会社の規則を事前に確認しておきましょう。
\退職したいけれど有給が残っている場合の対応/
退職日の2ヶ月前には退職の意思を伝える
退職を決めたら、退職日の2ヶ月前くらいまでには退職の意思を上司に伝えましょう。
退職までの一般的な流れとしては、退職を決断する→退職の意思を上司に伝える→(必要に応じて)退職願を提出する→業務の引継ぎを行う→退職届を提出する(業務引継ぎと前後する事有)→有休消化/退職手続きなど→退職 という形です。
退職2カ月前くらいに意思表示をすることで、余裕をもって後任者に引継ぎをすることができたり、退職日の調整を円滑に進めることができたりします。
そこら辺の日程がタイトすぎたり、上司に相談せずに人事に退職届を出してしまったりすると、後々トラブルになってしまう事もあります。注意しましょう。
有休消化については、権利であって義務ではないので、取る・取らないは自由です。
ただし、ギリギリまで前職で勤務していると、生活のリズムがうまく切り替わらなかったり気持ちの整理がつきづらかったりします。スムーズに次の職場に移行する為にも、その前にリフレッシュする為にもできるなら有休消化をしておきたいところです。
上司に相談する
退職届を提出する前に、事前に上司に相談しましょう。退職願と退職届は別物です。
退職願は退職したい旨を相談ベースで伝えるものとなり、退職届は退職が決定してから会社に届出の書類として提出するものになります。
名前が似ていて混同しやすいので注意しましょう。
また、退職届は会社によって規定の退職届のフォーマットがある場合もあります。
まずは、退職する意思が確定したらすぐに上司に相談するのがベストです。
\退職理由はこう伝えよう!伝え方の例文やタイミングなど紹介/
退職したい場合は、まずは会社の就業規則を確認してどれぐらい前に伝えたら辞めることができるのかチェックしましょう。その上で、上司に口頭で退職したい旨を伝えるのがおすすめ。
退職願・退職届は手書きが一般的!パソコン作成の場合も有!
退職願や退職届は一般的には手書きの会社が多いです。これは昔からの慣例という場合もありますが、やはり手書きの方が今までお世話になった会社に対して誠意が伝わるという考えがあります。
そのため特に指定がない場合は、手書きで提出した方が良いでしょう。
ただし、別にパソコンで作成する事が常識外れというわけではありません。会社によっては定型フォーマットがありパソコンで打ち込む場合もあります。
例えばIT業界等では、パソコンの方が好まれる傾向もあります。業界や自分が所属する会社によって手書きかパソコン作成かを判断しましょう。
退職願・退職届の書き方(手書きの見本例文つき)
それでは今まで紹介したことを参考にしつつ、退職届の例文を紹介します。
退職届
2021年11月11日
株式会社××××××
代表取締役社長 □□□□□□殿
経営開発部 第三課
●●●● ㊞
このたび一身上の都合により、
2021年11月30日をもって退職いたします。
以上
このように、退職届の理由については細かく書く必要はありません。説明してきた要点を抑えつつ、退職の段取りを進め、退職届を作成したら退職届を提出しましょう。
退職届の書き方
【準備するもの】
- A4またはB5の用紙
- 白無地の封筒
- 黒ボールペンか万年筆
1.冒頭に「退職届」or「退職願」と書く
2.右下に「私儀」と書く
3.この度一身上の都合により、〇〇年◯月◯日をもって、退職致します。◯◯年◯月◯日
4.左下に部署と名前を署名する。捺印も忘れずに。
5.宛名を記入する。役名とフルネームを記入する。「殿」または「様」の継承をつける。
退職届の例文と書き方のポイント
退職届は手書きが基本でしたが、最近はパソコンでテンプレートをダウンロードしてプリントアウトする方法も多く利用されています。
自分の好きな方を選びましょう。
こちらでは、退職届の手書きでの書き方を紹介します。用意するものや、書き方をテンプレート付きで紹介するので参考にしてくださいね。
用意するもの
退職届を作成するには、用紙・封筒・ペン・のりを用意しましょう。用紙サイズはB5かA4が一般的です。
罫線あり・なしはどちらでも問題ありません。
封筒を選ぶ際は、何も描かれていない白無地の封筒が基本です。
柄物や郵便番号枠のついたものなどは、NGなので注意しましょう。
また、用紙サイズがA4用紙の場合は「長形3号」、B5用紙の場合は「長形4号」を使用します。ペンはフリクションの摩擦で消えるような類のペンは不可です。
ボールペンや万年筆など、消えないペンで記入しましょう。
書き方と例文
退職届の手書きでの書き方を紹介します。
退職届は以前は縦書きが主流でしたが、最近は横書きが多くなっています。
以下では、横書きでの書き方をテンプレートにして紹介します。
退職届(用紙)のテンプレート
1.一行目に中央寄せで「退職届」と書く
2.二行目は提出する日付を記載する
3.三行目退職する会社の正式名称と、四行目に代表取締役社長の正式名称を書く
4.一行空けて、六行目と七行目に自分の担当部署名と自分の名前を記載し、名前の後ろに押印する
5.自分の名前のあとは二行空ける。十行目に退職の旨を伝える内容を書く
6.一行空け、以上と記載ししめる
退職届(封筒)の書き方
1.封筒の表面の中央に「退職届」と書く
2.裏面の左下に、自分の所属部署と名前を書く
退職理由はどうしたら?
退職届に退職理由を詳しく記載する必要はありません。
退職する際に、「転職」や「人間関係が原因」「仕事への不満」「会社への不満」など様々な理由があるでしょう。
しかし、そのような理由を退職届に記載する必要はありません。
全て「一身上の都合」で通すのが良いでしょう。
また、結婚や出産などの一般的におめでたい理由のような場合でも、「一身上の都合により」と明記するようにしましょう。
退職届の出し方
最後に、退職届の封筒の入れ方や上司への渡し方を紹介します。
正しく封筒に入れる
封筒への入れ方にもポイントがあるので気をつけましょう。
用紙や封筒にすべて記入が終わったら、用紙は3つ折りに折りたたみます。
そして、用紙を入れた後は封をのりで留めます。
閉じた封と封筒が重なる中央部分に「〆」と書いて完成です。
上司に渡す
退職届を作成し終わったら上司に直接渡しましょう。
退職届を渡す際は、どうしても気まずさが付きものです。
つい、手渡しは憂鬱だからと上司の机に置いておきたくなってしまうかもしれません。
しかし、机に置いてしまうと責任感のない人という印象に映ってしまったり、確実に渡ったたか定かでなくなってしまったりするため、手渡ししましょう。
退職届を渡すタイミング
退職届を渡すタイミングは、上司の忙しくないタイミングがベストです。
午前中の仕事が始まったばかりがよいでしょう。そうすれば仕事を途中で中断することなく迷惑がかかりにくくなります。他には、お昼休みの少し前でも良いでしょう。
用紙は三つ折りにして封筒にいれ、封はのり付けして最後に「〆」と書く。上司に渡すタイミングは上司の忙しくない時間帯にして、とくに、仕事を途中で中断させることのない朝一か、お昼前あたりに渡すことがベスト。
「退職願」「退職届」「辞表」の違いを説明します!
「退職願」「退職届」「辞表」は一見どれも同じかと勘違いしてしまう事もあります。しかし明確に違いがありますので、一つずつ説明していきます。
まず「退職願」ですが、これはこれから退職するという、意思表示を示すものです。「退職」を「願う」ものですので、会社に対して退職の合意を求めるという位置づけです。
なお、口頭でも書面でも意思を伝えれば「退職願」となります。「退職願」が受理され、退職が確定した後に様々な手続きの為に提出する書類が「退職届」です。
きちんと退職日を明記して提出する事が多いように、基本的には「退職届」を提出する事で退職が確定すると言えます。法的には口頭でも退職は可能ですが、事務処理の手続きの為や、言った言わないを避けるために書面で提出する事が一般的です。
「辞表」は経営層が役職を辞する場合と、公務員が辞める場合に使用されます。普通の会社員が提出する事は無く、「退職届」の経営層と公務員用という位置づけです。その為、「会社員が上司に辞表を提出する」という表現は間違いとも言えます。
「退職届」「退職願」に関する法律 Q&A
「退職届」や「退職願」については色々とわからない事や悩むことも多いですよね。よくある疑問とその回答を少しだけ紹介していきます。
一度出した退職届を撤回することはできますか?
一度提出した退職届を撤回する事は基本的にはできない、と考えた方が良いです。
退職届を上司が受理した時点で、労働契約解除の効力が発生する為です。また、もしも仮に退職届を撤回できたとしても、その後同じ会社の中で働くのは自分が一番気まずいでしょう。
もしかすると自身が望まない部署に異動させられる可能性もあります。もしも退職届や退職願を出す際に悩んでいるのであれば、正式な書類提出の前に相談という形で上司や信頼のおける人に話をしておくことをおすすめします。
直属の上司が退職願を受け取ってくれず、退職交渉が進みません
直属の上司が退職願を受け取ってくれない場合はその上司のさらに上の上司に事情を伝え、手続きを進めてもらうように相談しましょう。
もしもその上司もダメならさらにその上、最終的に部門長まで言っても、受け取ってもらえない場合は、直接人事部門へ相談しましょう。
なお、仮に直属の上司と馬が合わない場合でも、基本的にはトラブル防止のため、また社会人としてのマナーとしてまずは直属の上司に退職願を提出する事が必要です。
会社都合の退職をすることになりました。退職届を出す必要はありますか?
会社の業績悪化によるリストラや早期退職など、会社都合による退職の場合は退職届を出す必要はありません。
そもそも退職届とは、会社に対して雇用者が退職の意思を明確に伝えるものです。会社都合の場合は会社側からその意思を伝えているので不要というわけです。
ただし、就業規則で会社都合でも退職届を出すことが義務付けられている場合などは提出しなければなりません。その場合、退職理由は一身上の理由ではなく、具体的な退職理由を書くことで、自己都合退職として扱われるリスクを抑えることができます。
スムーズに退職するためのポイント
最後に、スムーズに退職する為のポイントを説明します。今までお世話になった会社ですので、最後はできるだけ円満に退職したいですよね。まず重要なのは、退職が決まり次第、早めに直属の上司に伝える事です。
あなたがしていた仕事は、あなたが会社からいなくなった後は、後任者が引き継いで仕事を行います。急に辞められると引継ぎ時間が確保できずに残された人が困る事態となってしまいます。
もしも後任者が決まらなかったとしても、引継ぎ内容を整理する等の準備をしておきましょう。
また、退職理由はポジティブなものにしましょう。ポジティブな理由を提示し、退職の意思が固いことを示す事で円満かつスムーズに退職の手続きを進めることができます。
まとめ
退職願と退職届の違いがわからず、混乱していた方もいたのではないでしょうか?
ドラマのシーンのように、いきなり退職届を上司に叩きつけては、円満退職どころか険悪となってしまいます。
まずは、退職願と共に上司に相談ベースで退職したい旨を伝えましょう。
そこで上司が納得してくれて退職日が決定したら、やっと退職届を出すタイミングとなります。
タイミングを間違えてしまうと受理されなくなってしまい、希望していた時期で退職できなくなってしまう可能性も…。
しっかりと就業規則を確認して、時期を間違えないように計画を立てて退職しましょう。
また、今の会社を退職した後の転職先に悩んでいるという方は、ぜひキャリチェンにご相談くださいね。キャリチェンでは、あなたの次の転職をしっかりとサポートします。