履歴書を書く際に、何を書いたら良いのか悩んでしまうのが「志望動機」。本心は年収や福利厚生が魅力的だったといった理由だとしても、正直にそのまま書くことはできませんよね。
そこで今回は、どんな理由を書いたら良いのか、ポイントを5つ紹介します。また、未経験の職種や新卒、事務職などのパターン別に例文も紹介するので参考にしてくださいね。
目次
志望動機とは
志望動機とは、応募企業に対して「他の会社ではなく、なぜこの会社のこの仕事を希望するのか?」を示すためのものです。
リクルートが2014年に行った「就職白書」によると、企業が採用面接を行う際に重視するポイントとして、なんと志望動機が78.3%という結果になっています。
企業は採用面接の際、自社への熱意がどれだけあるのかどうかを判断したいため、履歴書の志望動機欄を重視しているのです。
そのため、応募者は応募した企業への志望理由を明確に伝えることが大切になってきます。理由が思いつかないから書かないということは絶対にやめましょう。
また、履歴書の志望動機の欄の文字数にはとくに決まりがないため、どれぐらいの文字数を書いたら良いのか悩んでしまう方もいるのでは?
理想の文字数としては、400文字程度が良いでしょう。企業によっては文字数を指定してくることもあるため、基本的には300文字程度を用意しておき、指定された文字数に調整するのが良いかもしれません。
履歴書に書く志望理由が思いつかないという方は、「応募企業を選んだ理由」「活かせる経験・スキル」「入社後に実現したいこと」を盛り込むのがおすすめです。
(参照:リクルート白書)
企業が採用面接で重視するのは志望動機が78.3%。400文字程度で、企業への熱意や他ではならない理由を明確に伝えましょう。
応募書類と面接とで志望動機は変えるべき?
応募書類に記入する志望動機と、面接で採用担当者へ伝える志望動機は同じ内容を伝えるようにしましょう。面接での質疑は、応募書類の内容に沿って行われることがほとんどです。
面接で、応募書類に書かれた志望動機と面接で伝える志望動機にズレがあり、一貫性が無い内容を伝えてしまうと、採用担当者に不信感を与えてしまったり、志望度が低いと思われてしまったり、良くない印象を与えてしまう可能性があります。
応募書類には、志望動機の一番伝えたいポイントを中心として端的に記入し、面接の時には、そのポイントをより詳しく伝えるようにしましょう。
応募書類は手書きで作成するべきか、パソコンで作成するべきか?
応募書類を記入する際には、応募企業から書類作成について指定が特に無いようであれば、パソコンで作成しても、手書きで作成してもどちらでも問題ありません。
志望企業の応募書類の提出方法の指定がメールなどの場合は、企業のデジタル化が進んでいる可能性も高いため、パソコンで作成した書類を提出した方が、社風に合った人材と認識されやすいかもしれません。
IT企業や外資系企業、スタートアップといった、IT知識の高い人材を求めている企業の場合は、パソコンで応募書類を作成した方が良いでしょう。
デジタル化が進んでいない企業や、人の暖かさやぬくもりを大事にしている企業の場合は、手書きの方が文字から志望度や人柄が伝わることもあるため、手書きで作成した方が好感をもたれやすいかもしれません。
応募書類を作成する時には、応募企業の業種や社風に合わせて、パソコンか手書きか戦略的に選択していくのも良いでしょう。
\履歴書は手書きとパソコンどちらがいい?/
応募書類へ記入する志望動機の文字数の目安
履歴書に記入する志望動機欄には、300文字~400文字にまとめた志望動機を記入しましょう。300文字~400文字であれば、記入欄に読みやすい文字の大きさで、スペースを埋める分だけ確保することができます。
文字数が多すぎてしまうと、文字が小さくなってしまい採用担当者が読みづらくなります。逆に文字数が少ないと、志望度が低いと判断されてしまう可能性が高いです。200文字以下にはならないようにしましょう。
履歴書以外に職務経歴書を添える場合には、職務経歴書に志望動機を記入することもできます。
その場合は、履歴書へ記入する志望動機は端的にまとめて、職務経歴書へは、十分なスペースへ300文字以上を使って詳しく志望動機を記入することで、採用担当者へ入社意欲を十分伝えることができます。
履歴書の志望動機を書く時のポイント
今章では、履歴書の志望動機を書く時に押さえておくべきポイントを5つ紹介します。
企業が求める人材ニーズを考える
自分の志望する企業がどんな人材を求めているのかを考えましょう。そのヒントは、企業のHPや求人票の中にあります。
くまなく読んでいると、何度も出てくる話題や同じ単語があることに気付きます。それらは企業の大切にしていることや、求めていることなのです。そうやって分析していくと、だんだんと企業の求めている人物像が浮かび上がってくるでしょう。
過去の職務経歴を活かす
企業はもちろん、自社に貢献してくれる人材を採用したいと考えて採用面接を行っています。そのため、自分の前職での職務経歴を活かし、何か応募企業に結びつく経験があれば積極的に志望動機に記載しましょう。
その際、前職での経験をできるだけ具体的に書くと、あなたならではのオリジナリティを出すことができ効果的です。
自分のスキルを活かす
直接活かせるスキルがないとしても、自分の持っているスキルが何か結びつく可能性があります。徹底的に企業の求める人物像を洗い出し、少しでも繋がる点があれば上手に結び付けてスキルを活かすのが手です。
熱意を伝える
企業は数ある企業の中で、どうして自社なのかという点をとても気にしています。どうしてもここではないとという、明確な理由を伝えましょう。その熱意によって話してみたいと思ってもらえる可能性が上がります。
例えば、物を売る企業だとしたら、他にも同じような製品を売る会社もあるでしょう。しかし、自分はその製品のファンで、他社製品よりどれだけ優れていて好きなのかを熱意を持って伝えれば、リアルさや説得力が増すでしょう。
退職理由と志望動機に一貫性を持たせる
志望理由を書く際には、退職理由と志望理由に一貫性を持たせましょう。言っていることが変わっていると感じると、「この人は自分の軸がないのだな」「本音は違うのではないか?」と判断されてしまいます。
例えば、退職理由に「前職では収入が不安定で、安定したかったため」と伝えたのにも関わらず、志望動機に「貴社のチャレンジしていく社風を魅力的だと思ったため」と書いてしまうと、採用担当者もどっちなのかわからなくなってしまいます。意外とこういったミスをしてしまう方が多いので気をつけましょう。
履歴書の志望動機を書く時のポイントは5つ!「求められている人材ニーズを洗い出す」「前職での経験を活かせることをアピール」「スキルを活かす」「その企業ではなければならない熱い思いを伝える」「理由は一貫性をもたす」です。
応募書類に記入する際にNGな志望動機
志望動機として、採用担当者に悪い印象を与えてしまう書き方や内容があります。以下の内容はできるだけ避けるようしましょう。
福利厚生や待遇面のみの志望動機
自分が希望する給与や働き方ができそうだから、福利厚生が充実しているから、というような志望動機は、良い印象を与えません。動機として決して悪いわけではありませんが、待遇が良いだけの会社であれば、他にいくらでもありますし採用担当者へ入社意欲が伝わり切りません。
また、仮に入社後になんらかの事情で、減給や待遇の引き下げをせざるを得ない状況になったり、残業をしないといけなくなるような状況になったりした場合、すぐに退社してしまうかもしれない誠実性の低い人材と思われてしまう可能性があります。
志望動機として全く伝えていけないというわけではありませんが、応募書類には書かないようにした方が良いでしょう。
「学びたい」「経験を積みたい」といった受け身な志望動機
「御社で〇〇〇のような経験を積み、〇〇〇について学びたいので、志望いたしました。」といったような、会社から何かしら与えて貰いたい、というような志望動機は、避けたほうが良いでしょう。
特に中途採用の場合は、企業が求めている人材は「即戦力」である場合も多く、応募者は自分が入社することで、企業にどんなメリットがあるのかアピールすることが重要です。
「経験したい」「学びたい」というモチベーションも悪いわけではありませんが、採用活動という自分自身の営業をする場合において、与えるのではなく受け身な志望動機は悪手ですので、避けるようにしましょう。
志望動機の重要性と、採用担当者目線の重要なポイント
応募書類において志望動機は、応募者が企業に入社意欲を伝えることができる項目です。
また、採用担当者にとって志望動機は、応募者が会社にどんな利益や良い影響を与えてくれそうか、求めている人材とマッチングしているかを読み取る項目です。
採用担当者が見ているポイントとしては、以下の4つがあります。
・会社にどんな利益やメリットを与えてくれそうか。
・会社が求める人材とマッチングしているか。
・応募者が入社したあと、活躍できるイメージが浮かんでくるか。
・会社の社風やビジョンへの共感に関する具体的な根拠があるか。
志望動機は、応募者自身の熱意や入社意欲を相手目線で記入することで、より効果的に応募企業へアピールすることができます。志望動機を自分目線で安直に考え記入してしまうと、企業にとっては採用してもメリットが無いと判断され、書類選考で落とされてしまう可能性もあります。そうならないためにも、志望動機は熟考し、4つのポイントが採用担当者へ伝わるように記入しましょう。
動機の種類別、志望動機の事例
自分がその会社を志望する一番の理由にフォーカスし、志望動機は作成します。また、いずれの動機も自分の具体的なエピソードや、どのような点で応募企業に貢献するのかを明記することがポイントです。
「社風」に惹かれた場合の志望動機
「一人ひとりが自主性をもってチームへ貢献し、一丸となって仕事を進めていく」という社風に魅力を感じています。現職でもプロジェクトメンバーの一人として、自分の役割を熟すことだけでなく、チームメンバーのサポートや、チームとして成果を出すために自主的に数値管理や人員配置提案などをしてきました。
直近では、後輩社員の育成サポートに力を入れ、チーム全体の営業スキルの底上げを提案、実践することで業績を昨対比120%まで上げることができました。
日々、チームとして成果を出すために自分のアイデアや行動で貢献できることにやりがいや充実感を感じています。貴社に入社した際にも、そのような自主性を持ったメンバーと共に、チームとして成果を出していくことで貴社に貢献したいと考えています。
「サービス事業」「商品」に惹かれた場合の志望動機
貴社の忙しい女性のための商品開発やサービス事業に魅力を感じ、応募いたしました。貴社の〇〇〇というサービスを購入した時に、作業の時間短縮ができ、生活にゆとりが生まれたことで、今までできなかった資格の勉強をする時間をつくることができました。
自分と同じように毎日仕事があり時間に余裕がないような女性を助けたい、もっと自分の人生を豊かにできるようなお手伝いや提案をしたいと考えています。
自分の経験や、同じ女性の目線を活かして、貴社のターゲットとする働く女性や一人で子育てする女性の悩みの解決や生活の改善ができるような商品づくり、サービスづくりに携わり、貴社の売り上げに貢献できると考えております。
「仕事内容」に惹かれた場合の志望動機
貴社の募集している「webデザイナー職」として貴社で活躍したいと考え、応募いたしました。特に、クライアントから希望やイメージを直接ヒアリングした上で、デザイナーがレイアウトや顧客体験をデザインしていく受注プロセスに魅力を感じています。
前職でも、クライアントの表面的なリクエストや希望だけでなく、なぜサイトの立ち上げや改良を行うのか、どんな問題を解決したいのかといった一歩踏み込んだところまでヒアリングしていくことで、より満足して頂ける仕事を心がけてきました。
貴社であれば、クライアントとデザイナーが直接やりとりし、よりクライアントのことを知り高品質な商品を提供することができると考えています。前職でのヒアリング能力や、提案力を活かし、貴社でもより良い商品の提供や売り上げへ貢献できればと思います。
「企業のビジョン」に惹かれた場合の志望動機
貴社の「ひとの幸せを日常からつくる」というビジョンに共感し、貴社で働きたいと考えています。
6歳になる子供と、母と3人で暮らしてきましたが、時間も金銭も決して余裕がある生活ではありません。そんな中でも、子供と一緒に公園に行ったときに感じる子供の成長や、子供と母が一緒に食事をするときの母の楽しそうな表情など、日常の小さな出来事に幸せや感謝を感じてきました。
貴社のビジョンの下で作られる商品やサービスも、人々の日常の中に溶け込み多くの人に幸せや楽しさを提供していると感じています。
自分もそんな商品やサービスを提供し、自分のように大きな出来事でなくても、小さな幸せの積み重ねを人々に与えられるような仕事をしたいと考えています。
「制度・働き方」に惹かれた場合の志望動機
貴社の育児制度や働き方に魅力を感じ、応募いたしました。貴社の働く社員のインタビュー記事を拝見しまして、自分と同じように子育てしながら働く女性の活き活きとした様子に感銘を受けました。
貴社の制度や働き方は、社員自身の主体性や働きがい、生きがいを尊重しより高いパフォーマンスを引き出すことができていると感じました。
私自身も子育てだけでなく、一人の社会人として社会や地域へ貢献したいと考えており、現在も子育てをしながら、カラーコーディネータの資格を活かして、空いた時間でカウンセリングなどを行いお客様の心のケアのお手伝いをしてきました。
貴社であれば、自分の働き方や生き方を考えながら、もっとより高い次元で成果を出しながら社会や地域に貢献できると考えています。
志望動機の例文
それでは、最後に具体的に志望動機の例文をいくつか紹介します。
未経験の職種への転職の場合
前職では、デザインやPOPなどの制作の進行管理業務を行っていました。デザイナーとクライアントの間に立ち、クライアントとの打ち合わせで決定したイメージを、いかに的確にデザイナーに伝えデザインを起こしてもらうかという業務を遂行してきました。
しかし、その際ラフ案を自分で作成することが多く、だんだんと自分でデザインを制作する側にまわり、さらに高いレベルでデザインができるようになりたいと考えるようになりました。そのため、すぐに即戦力として貢献できるようWEBデザインの夜間スクールに通い、デザインスキルも学びました。
進行管理としての、両者の中間の業務経験を活かし、両方の立場を考えて仕事ができるデザイナーとして活躍したい所存です。
第二新卒の場合
新卒で入社した会社では希望の部署に入れず、大学で学んだことが活かせないことに悩んでいました。しかし、せっかく縁あって入社した会社なので、すぐに退職することは踏みとどまりました。
社会人として最低限の基礎やマナーなどを身に着けつつ、何か結果を残したいと思い2年在籍しました。そして、同期の中で営業成績1位を取ることができたため、今度こそ自分の専門性を活かし本当にやりたいことができる企業に転職したいと思い、貴社に応募させていただきました。
\第二新卒っていつまで?第二新卒が転職に成功するポイント/
事務職への転職の場合
派遣社員として、さまざまな会社で事務業務を経験してきました。どうしたらもっと効率よく効果をあげられるかを考え、Word・Excelスキルを向上させ行動してきました。おかげでどの会社に異動しても、現場から高い評価をいただくことができました。しかし、派遣社員のままだと任される業務の範囲が限られていることがネックでした。
そのため、もっと責任ある業務を任せてもらいスキルアップがしたいと考え、応募させていただきました。貴社では、業務範囲を固定せず、会社の成長のために自ら考え業務に取り組んでいきたいと考えております。
同業他社への転職の場合
前職でもアパレルの販売をしており、店長として勤務していました。お客様と信頼関係を築き、顧客様になってお店にまた来てくれることにとても喜びを感じていました。この先もアパレルの販売をやっていきたい気持ちに変わりはありません。
しかし、前職は客単価が低く数を売る方針でしたが、次第に客単価の高いショップで、もっと1着1着にこだわったものを販売したいと考えるようになりました。
前職では店長まで役職も上がり、結果も十分出した今、次のステージに進みたいと思った次第です。
貴社のブランドは客単価も高く、また以前からとても好きなブランドで何着も愛用しているため、貴社でなら活躍できると思い応募させていただきました。
まとめ
志望動機は、「他の会社ではなく、なぜこの会社のこの仕事を希望するのか?」といった点を上手に伝えましょう。企業の求める人材ニーズの把握や、自分の過去の経歴の棚卸しを行い、企業の求めている人材にマッチするようにアピールすることが大切です。
また、志望動機を伝える際には、自分の言っていることに一貫性があるかどうかチェックしましょう。矛盾点があると、本心ではなく考えてきた内容なのだと受け取られてしまいます。
企業の採用担当者は、日々たくさんの応募者と面談をしているため、嘘や辻褄の合わない答えはすぐに見抜く力があります。たかが志望動機と思わず、慎重に内容を考えましょう。
しかし、自分で考えた内容だと、本当にこれで大丈夫か不安になる方も多いのではないでしょうか。そんな時はキャリチェンへ相談するのがおすすめです。信頼のおけるプロのキャリアカウンセラーが親身になってサポートします。ぜひ気軽にご相談くださいね。