職務経歴書に退職理由を書く場合はどのように書けばいいのか悩んでしまうもの。本記事では、職務経歴書に退職理由を書く必要はあるのか、そして書く場合にはどのように書くべきなのかをパターン別にご紹介します。
職務経歴書の退職理由をどのように書けばいいのかわからない方必見です。
目次
職務経歴書に退職理由は書く必要はある?
職務経歴書に退職理由を書く必要はあるのかどうかについて解説します。
職務経歴書には、退職理由を書かなければいけないという義務は特にありません。そもそも、職務経歴書はそもそも形式がなく、自由に書けるもの。
そして、職務経歴書は自分をアピールするための書類であるため、わざわざマイナスのイメージを与える可能性のある退職理由を書く必要はないのです。
また応募先の企業から退職理由を記入しなければいけないという規定がない限り、書かない方がいいでしょう。
退職理由はポジティブなものにした方が好印象を与えられます。退職理由はネガティブなものになりがちで、書いたところでマイナスのイメージを与えてしまう可能性が高いからです。
「キャリアアップのため」「挑戦したいことがある」などのような、アピールしたい退職理由や前向きな姿勢が示せる退職理由がない限り、退職理由を特記する必要はないのです。逆にいうと、マイナスな退職理由は書くべきではありません。
退職理由を書いていなければ、書類上で退職理由を評価されることもないので、マイナスのイメージを与えることはありません。
また職務経歴書は端的に記入しなければいけない上に、記入できる欄が限られています。300文字程度の文章量の中に、実際の退職理由を伝えるのは非常に難しいです。また、限られた文字数で端的に書きすぎてしまうと、実際の退職理由とは違う意味で解釈されてしまう危険性もあります。
退職理由は、職務経歴書に記入して誤解される解釈をされる面接の場で聞かれた場合に答える方がおすすめです。
最後に、自ら退職を申し出た場合は、「自己都合退職」となります。
「仕事が嫌になったから辞めた」「人間関係がうまくいかなくなったから辞めた」など、自分から申し出たマイナスな理由であっても「自己都合退職」となります。
自己都合退職の場合は「一身上の都合により退職」と記入しましょう。
職務経歴書に退職理由を書くのは必須ではない。マイナスの印象を与えてしまう可能性があるなら書かない方がいい。ただし企業から退職理由の記入を求められた際は、記入しなければいけない。
履歴書の職歴に書く退職理由・転職理由の書き方【一身上の都合以外】
では、「一身上の都合」以外のケースによる退職理由の書き方をご紹介いたします。
それぞれの理由に当てはまる「定型文」を掴みましょう。
「会社都合により退職」と記載する場合
倒産や人員整理による退職・転職は会社都合のものです。退職年月とともに「会社都合により退職」と記載しましょう。
「会社都合による退職」に該当するのは以下の場合になります。
- 1.倒産・大量リストラが原因で離職したとき
2.解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により」離職したとき
3.勤務場所や時間、賃金・職種などが労働契約締結時に明示されたものと著しく違っていたことが原因で離職したとき
4.賃金が大幅に減らされた、または未払いが続いたことが原因で離職したとき
5.職場の上司・同僚等からいじめや嫌がらせを受けたことが原因で離職したとき
6.会社から退職するよう促されたことにより離職したとき(この場合、早期退職優遇制度等に応募して離職した場合は含まれない)
7.期間の定めのある労働契約が更新され、3年以上引き続き雇用されたときや期間の定めのある労働契約を締結したときに当該契約が更新されることが明示された場合、当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職したとき
「契約期間満了につき退職」と記載する場合
契約社員や派遣社員など、期間の定めがある労働契約を結んで働いていたときです。
この場合、退職年月とともに「契約期間満了につき退職」と記載しましょう。
注意することとして、契約期間よりも前に自ら退職を申し出たときには、「自己都合退職」と同じです。この場合は「一身上の都合により退職」と記載してください。
採用担当者が転職(退職)理由から見ているポイント
ここからは、採用担当者が転職、退職理由から見ているポイントについて解説します。
志望動機との整合性
転職理由と志望動機に整合性がなければ、採用担当者は納得しません。
例えば、「現職でプログラミング学習を進め、今の会社ではスキルアップできる部署がない。そのため、より難易度の高いプログラミングを必要とするサービスを展開している企業へ転職をしたい」という志望動機なら納得感が大きいです。
しかし、現職で単に休暇体制に不満を持って転職を検討している場合には、休暇体制が整っているという理由を志望動機には使いづらいでしょう。
そうすると「御社の理念に共感して」など抽象的な志望動機になる傾向にあります。
抽象的な志望動機だと、応募者のモチベーションを正しく受け取ることができず、「それなら当社ではなくでもいいのでは」と判断されます。
応募者は「前職での不満は職場の環境が悪かったから。転職して環境を変えれば不満は解決できる」と思って志望しがちです。
本当に解決するかどうかは、実際に入社しないと分かりません。
何人もの応募者をみている面接官は、応募者の嘘や誤魔化そうとしている態度を見抜きます。志望動機との一貫性は丁寧に考えましょう。
転職理由と志望動機の整合性だけではなく、「その企業でなければならない理由」を深堀りすることが必要です。
\面接で嘘をつくとどうなる?/
応募者の将来性
応募者の将来性の有無を判断しています。
退職理由や転職理由が明確で、強い志望動機があり、明確に言語化できる段階まで到達している人は、会社にとって利益になるだろうと考えるのです。
深堀りによって最終面接の対策にもつながってきますので、一度考えることをおすすめします。
短期間での離職リスクがないかどうか
採用担当者は、応募者の退職のきっかけとなる事柄を把握することで、短期間で離職をするリスクがないかどうかも確認しています。
例えば、「前職では同僚と人間関係がうまくいかなかった」、「適切な社内の評価が得られなかった」のように、どの企業でも起こり得る内容や自身の課題について、改善策をとったのか見えてこない場合には注意が必要です。
企業は採用にコストをかけています。求人広告を出すのもほとんどは有償で、入社しても即戦力として働くまでに時間がかかります。転職者がかかったコストを完済して利益を出すには、できるだけ長く在籍して業績に貢献するしかないのです。
早期退職は企業にとって大きな損失を与えます。退職理由・転職理由についてはとても重視されていると考えてください。
好印象を与える退職(転職)理由や書き方のコツとは
これまで、退職理由を聞かれたときには、採用担当者に好印象を与える理由にすることが重要だと紹介しました。
では、実際にどのようにして採用担当者に好印象を与えられるのでしょうか。その書き方とコツを紹介します。
退職理由で好印象を与えるコツは、ポジティブに表現することです。
退職理由はポジティブなものばかりではなく、ネガティブな理由により退職を決める人も少なくはありません。
しかし、ネガティブな退職理由をそのまま伝えてしまうのは、マイナスに捉えられる可能性もありますよね。
採用担当者に好印象を持ってもらうには、退職理由をポジティブな表現に変更することが重要です。そのためには、自分が望む成長に対し、仕事環境にギャップがあったことを強調することが効果的です。
ポジティブな印象を与える退職理由と、これからはじめる仕事への目標などを伝える転職理由両方の方向からアピールすることで、採用担当者に好印象を持ってもらいやすくなるだけではなく、志望動機にも説得力がうまれます。
例えば、社内の人間関係が問題で転職を決めた場合、「チームワークを重要視し、目標達成に向けて協力し合える環境ならば、自分の能力や技術を最大限発揮できると考え、転職を決意いたしました。」などとアピールするといいかもしれません。
このように、前職では職場環境が原因で能力が発揮しきれなかったことを伝えつつ、自分の能力や技術を最大限発揮しスキルアップしたいという想いが向上した、という内容にすると、ポジティブな印象を与えられるでしょう。
良い印象を与えない退職(転職)の内容や書き方は
ここでは、よくある良い印象を与えない退職(転職)の内容や書き方を紹介します。
一つ目に、「理念に共感した」という内容です。どんな企業にも、必ず理念やビジョンがあります。しかし、「共感した」ということだけを書くのは不十分です。理由として、理念に共感するだけなら誰でも簡単にできるからです。
理念に共感した部分と自分の考えを結びつけ、「普段からこのような考えを持っているから、ここに共感した」というような、具体的なストーリーを記載できるように考えましょう。
二つ目は、「商品やサービスの感想だけ述べる」という内容です。
BtoC企業への志望動機でよく書かれるるのが、『貴社の商品が良かった』という感想のような文章です。これ自体は悪いものではありませんが、オリジナリティと具体性に欠けてしまいます。
「商品のここにこだわりを感じた」「自分の生活上の問題を解決してくれた」など自身のエピソードを交えながら、自分だけの「商品の分析」を作るイメージで書いてみましょう。
三つ目は「教えてくださいの受け身」である内容です。未経験の業界へ転職する場合は、入社した後に教育を受けます。それを見越して志望動機に「学びたい」と書くことはアピールに繋がります。
しかし、企業からみると教育することは「コスト」であることを理解しておきましょう。自分が成長したいという意思だけでなく、「成長した自分が企業にどんな貢献ができるのか」などの将来像を含めると良いでしょう。
「退職」「退社」どちらが正しい?
履歴書で、仕事を辞めたことを表現する場面が複数あると思います。転職活動において「退社」と「退職」どちらを使うべきなのでしょうか。
結果として、「退社」「退職」どちらを使用しても間違いではありません。しかし、履歴書や面接では「退職」を使うことが多い傾向にあります。両方の言葉の意味を解説していきます。
「退社」には「会社を辞めること」と「(今日の)業務を終えた」と2つの意味があるため、混合しないよう使い分ける必要があります。
対義語の「出社」をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。どちらの意味で用いているか、言葉を補足する配慮が必要になります。
一方「退職」には「仕事を辞める」という意味しかありません。「退社」と違って複数の意味があるわけではないので、補足したり認識違いに気を回したりする必要もありません。
このような理由より、認識違いを防ぐには基本的に一つの意味しかない「退職」を使うことが無難だといえますね。
履歴書を書く際には、まずマイナスポイントをつくらないということは重要になります。少しでも不安に思う言葉は使わず、正確に意味が伝わる言葉を選択していきましょう。
また、公務員が辞める時には「会社を辞める」わけではないので「退社」は使わず「退職」などを使う必要があります。「職を退く」というイメージをもっていると、混同せず覚えられるのではないでしょうか。
職務経歴書の退職理由はどうすべき?パターン別に紹介
基本的には職務経歴書の退職理由は記入する必要はありませんが、記入しなければいけない時の具体例をパターン別にご紹介します。
もしこれらのパターンに当てはまる場合は、退職理由を書く際に参考にしてくださいね。
パワハラの場合
パワハラで退職した場合、突っ込んで聞かれることがない限り、できるだけパワハラで退職したと伝えないのがおすすめです。パワハラの場合、その現場を見ていない第三者がパワハラがあったと判断するのは難しく「パワハラを受ける側にも問題があったのではないか」「何かあるとすぐにパワハラだと騒ぐ人なのではないか」「精神的に弱いのではないか」と疑念をもたれてしまいます。
パワハラで退職した場合は、「一身上の都合」や「体調不良のため退職。現在は完治しております。」のように、他の理由を書くようにしてください。
ただ、面接の場で突っ込んで退職理由を聞かれた際は「個人主義よりも、チームワークを重視する職場で働きたいと考えた」のように、パワハラの事実を直接伝えるのではなく、当たり障りのない答え方をするのがおすすめです。
体調不良の場合
体調不良で前職を辞めた場合は、体調を崩しても仕方がないような働き方をしていたことが客観的にわかるように書くべきです。
1日○時間労働、週に○時間残業していたなど、体調不良を起こしても仕方がないとわかるような、具体的な書き方をすることが大切です。
自分本意な目線ではなく、企業目線で相手を納得させられる退職理由を用意しておきましょう。
退職理由が体調不良の場合は、体調不良を理由にする場合は、完治していることを書いてください。もし完治していなければ、また体調を崩して退職してしまうのではないか、と疑念をもたれてしまいます。必ず仕事復帰できる体調であることが伝わるようにしましょう。
【記入例】
・平成〇〇年〇〇月 株式会社〇〇 入社
・平成〇〇年〇〇月 同社を体調不良により退職(現在は完治)
結婚、出産の場合
結婚や出産を機に退職した場合は、「婚姻を機に退職」「婚姻による引っ越しのため退職」「婚姻及び懐妊のため退職」と書くのが一般的です。繰り返しになりますが、退職理由を書かなければいけないのは、「前職と同じ理由で辞めてしまわないか」を確認するためです。
結婚や出産のように採用担当者も納得できる明確な理由がある場合は、結婚、出産で退職したという理由を直接伝えてもいいでしょう。
【記入例】
・平成〇〇年〇〇月 株式会社〇〇 入社
・平成〇〇年〇〇月 同社を結婚に伴い退職
期間満了の場合
契約社員、派遣社員、期間社員、臨時職員で契約満了による退職になった場合は「契約満了により退職」と記入しましょう。
【契約満了による退職の記入例】
・平成〇〇年 〇〇月 株式会社〇〇 入社
・平成〇〇年 〇〇月 契約期間満了のため退職
契約社員で契約期間が残っているのに自己都退職した場合は、自己都合退職になります。そのためこの場合は「一身上の都合により退職」と記入しましょう。
【契約期間が残っている場合の自己都合退職の記入例】
・平成〇〇年 〇〇月 株式会社〇〇 入社
・平成〇〇年 〇〇月 自己都合のため退職
転職回数が多い場合
転職回数が多いと「うちに就職しても、すぐに辞めてしまうのではないか」という疑念をもたれてしまいがちですが、採用担当者が見ているのは、転職回数よりもスキルや経験です。
転職の回数が多いことよりも、積み上げてきたスキルや経験をアピールするといいでしょう。
また、転職回数が多いからこそ、第三者を納得させられる、一貫性のある退職理由を書きましょう。
離職期間が長い場合
前職を退職後、離職期間が長い場合は職務経歴書の書き方に悩んでしまうでしょう。一般的に離職期間が長いと思われるのは、離職後3ヶ月以上経っている場合です。
離職期間が長い場合は、「資格の勉強をしていた」「家族の介護をしていた」「語学留学をしていた」「フリーランスで仕事をしていた」など、長期間離職していても仕方がないと思われるような退職理由を書きましょう。
どのような退職理由でも、採用担当者を納得させられるポジティブな退職理由を記入することが大切。
まとめ
職務経歴書の退職理由の書き方を解説しました。そもそも基本的には職務経歴書に退職理由を書く必要はありませんが、退職理由を書かなければならない際は、マイナスな印象を与えず、ポジティブな印象を与えるような書き方をしましょう。
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