「高卒でフリーターをしているけど、そろそろ正社員として就職がしたい」「高卒でも正社員になれる職種や業界が知りたい」と悩んでいませんか?
高卒は大卒に比べて就職しにくいと言われることもありますが、実際のところどうなのでしょうか。
今回は、高卒で就職先を選ぶポイントや、おすすめの業界や職種、就職先の選び方など紹介します。ぜひチェックして役立ててくださいね。
目次
高卒者の就職率と離職率の現況
新規高卒者の就職率は非常に高い
令和3年度の文部科学省の最新データでは、新規高卒者の就職内定率は97.9%と非常に高い就職率です。
男女別だと、男子 98.4%(前年同期比0.1ポイント減) 女子 97.1%(前年同期比0.4ポイント減)で、どちらもやや前年よりポイントが下がっていますが、大きな変化はありません。
ちなみに大卒者の就職率内定率は96%ですので、新規高卒者の場合は高卒者の方が大学卒より就職率が高いくらいです。
新規就職内定率は非常に高いことから、高卒であっても新規学卒者の場合は就職活動では売り手市場ということが分かります。
出典:文部科学省『3月新規高等学校卒業者の就職状況』
出典:文部科学省『令和2年度大学等卒業者の就職状況調査』
高卒者の離職率は大学卒と大きく変わらない
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、令和2年に就業した高卒者の在職1年目の離職率は「15.0%」、大卒者は「10.6%」でした。ちなみに中卒者は「31%」、短大卒者は「16.2%」です。大卒者よりも5%多いですが、大きな差ではありません。
在職3年以内の離職率は高校卒「36.9%」、大学卒「31.2%」、中学卒「55.0%」、短大等卒「41.4%」です。やはり大卒者が一番低い数字ではありますが、高卒者と大学卒の間とでは、そこまで大きい差はありません。
出典:厚生労働省『新規学卒者の離職状況』
高卒者の就職・転職活動の難易度とは?
上記のデータからもあるように、新規高卒者の就職が難易度が高いというわけではありません。ただし、求人によっては、応募条件項目に大学・専門卒以上という条件がある場合があります。
その場合、多くの場合が大手企業の求人であることが多いです。これは応募数が多いことから学歴である程度フィルターをかける意図があります。
既卒の高卒者の場合でも、世間一般的なイメージとして、高卒者は専門的な知識が無いという印象があるため、学歴のフィルターをかけて採用活動をする企業はあります。
そのため、既卒高卒者が転職活動をする際には、求人票の条件項目の中に「大卒・専門卒以上」という項目がある求人には応募ができません。しかし、最近は大学進学のハードルが低くなってきたことで、学歴で応募者の能力や価値を判断する風潮は薄くなってきました。
応募条件にも「学歴不問」や「高卒以上」を条件とする求人が多いので、学歴よりも職務経歴や、実務的なスキルや経験、社風とのマッチングなどを重視する企業が増えてきています。
自分が持っている能力や強み、相性が合っている求人や企業を見極めて応募することが大切です。こうしたポイントを抑えて就職活動をすれば、既卒高卒者で合っても就職や転職の難易度が高いということはありません。
自分に合う求人や企業を自分で見つめたり、見極めるのが難しいこともあります。自分だけでは就職活動が不安という人は、転職サービスやハローワークなどを利用して、サポートを受けると良いでしょう。
たくさんの求人者の就職活動を支援してきたスタッフが、求職者に合いそうな求人をある程度絞って提案してくれますので、効率的に就職活動を進めることができます。
高卒者と大卒者の年収の違いとは?
学歴による就職活動が困難というわけではありませんが、収入面では大学卒や専門卒よりも少ない傾向にあります。
高卒と大卒の新規学卒者初年度年収の違い
新規学卒者の年収において、高卒者と大卒者では差があります。厚生労働省の「産業、企業規模、性、学歴別新規学卒者の所定内給与額」を見てみると、新規学卒者の大卒男性の平均年収は「227.2万」に対し、高卒男性は「179.5万」と、約70万円ほどの差が出ています。
女性の場合は、新規大卒女性の平均年収は「224.6万」に対し、「174.6万」と、約50万円ほどの差が出ています。同じ新規学卒であっても就職年齢に差がある場合が多いので、新卒1〜3年目くらいまでは、致し方ないのかもしれません。
出典:厚生労働省「産業、企業規模、性、学歴別新規学卒者の所定内給与額」
高卒と大卒の平均年収の違い
厚生労働省の「産業、企業規模、性、学歴別所定内給与額」令和2年6月時点での賃金データを見てみると、大卒男性の所定内年収は「391.9万」に対して、高卒男性は「295.0万」というデータ結果です。およそ100万円の差があります。女性大卒者は「288.3万」、女性高卒者は「218.0万」と70万ほどの差が出ています。
出典:厚生労働省「産業、企業規模、性、学歴別所定内給与額」
大卒者と高卒者でここまで年収に差が出てきてしまっているのは、高卒者は、大卒者に比べて勤続年数が短く年収が上がり難いという傾向があるのが一つの原因と言えます。
高卒者が就職しやすい仕事とは?
厚生労働省の「新規学卒就職者の産業別構成比」を見ると、新規高卒学卒者の就職先は、第一次産業は0.9%、第二次産業は48.6%、内製造業が39.9%、第三次産業が49.6%、内小売業が10.6%、サービス業が3.9%という結果でした。
出典:厚生労働省「新規学卒者の産業別構成比」
第二次産業と第三次産業の割合が同じくらいですが、これが大卒者になると第二次産業は16.3%で、第三次産業が82.4%と、圧倒的に第三次産業の割合が高くなります。
こうした構造を見ると高卒の人が就職するのは、第二次産業の建設業や製造業か、第三次産業の小売業が多いことが分かります。
製造業や建設業は身体を資本とする仕事も多く、学歴関係なく就労できることから、高卒者でも就職・転職しやすい仕事と言えます。
また、第三次産業の小売業や、通信業、電気・ガス業なども収入の学歴差が比較的少ない仕事です。
厚生労働省の「産業、企業規模、性、学歴別新規学卒者の所定内給与額」を見ると、一番差が少ないのが電気・ガス・熱供給・水道業電気の仕事で、大卒者と高卒さの給与額の差が8.1万円のみです。
他の産業を見ると100万弱から数十万の差が出ているのがほとんどなので、電気・ガスといった公共インフラ事業などは高卒者にとっても、大卒者と同じような待遇を受けられる可能性が高いと言えるでしょう。
高卒の人が就職先を選ぶ時のポイント
高卒の方が就職活動をする際に必ずチェックしなければならないのが求人票に書かれている「応募条件」。
求人には「大卒以上」「専門卒以上」「高卒以上」と応募条件が記載されています。
「大卒以上」「専門卒以上」と記載されている場合には、高卒の方は応募自体できないので注意しましょう。学歴不問の企業であれば誰でも応募可能です。
また、文部科学省と厚生労働省がまとめた近年の就職内定率によると、大卒者の就職内定率は77.0%なのに比べ、なんと高卒者の就職内定率は98%~99%という結果に。
これは、高卒者のほとんどが就活を成功させていることになるため、期待して良いのではないでしょうか。以下では就職先を選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
やりたいこととできることについて考える
「やりたいこと」と「できること」の違いについて考えてみましょう。例えば、オシャレが好きだからアパレル販売がしたいと考えたとします。
どんなにオシャレが好きだとしても、人とのコミュニケーションが苦手な方や人見知りしてしまう方にとっては、ファッション関係の接客業は向いていないと感じるかもしれません。
というのも、どんなにファッションが好きでもコミュニケーションを取ることが苦痛となってしまえば、ファッション関係の仕事についたことを後悔してしまう可能性があります。
やりたいことだけではなく、自分の性格や向いている方向性についてもしっかりと考えてみましょう。また、まだやりたいことがわからないという方は、将来活かせそうな資格を取得したり、公務員に就職するという手も。
高卒で新卒という働いた経験がない状況では、まだ自分のことがわからない方がほとんどなのではないでしょうか。
\何をしたらいいのかわからない方必見!向いている仕事の見つけ方/
希望条件を絞る
絶対に譲れない希望条件を絞りましょう。高卒でも大卒だとしても、すベての希望が叶うぴったりの仕事を探すことはとても難しいことです。
引越しは考えられないという方は転勤のない企業、とにかく稼ぎたいという方はインセンティブがある職種や年収の高い職種、あまり無理をしたくないという方は給料よりも定時で帰れるような職種を選ぶ。
安定さを選ぶなら公務員も視野にいれてみる、といったように、自分の絶対に外せないポイントは就職活動をする前に決めておきましょう。
続けられるかについて考える
求人情報の年収や仕事内容だけでは、具体的なイメージがつきにくい場合があります。
せっかく入社しても自分に合わず、すぐに辞めるといったことにならないよう事前にその業界や職種で働く人の経験談や口コミなどを調べ、自分のイメージと相違がないかチェックしましょう。
就職先を選ぶ際は、希望条件を明確にし、譲れない点を決めること。また、自己分析を行い自分の性格にあっていて長く続けることができる企業かどうか考えましょう。
高卒の就職におすすめな業界
それでは、高卒の方の就職活動でおすすめの業界を紹介します。
IT業界
web業界やIT業界はあまり学歴は重視されず、スキルを求める傾向にあります。そのため、高卒でもスキルがあれば採用されやすいでしょう。
また、仕事の成果次第で評価されるため、昇給もしやすくなります。
IT業界にも様々な職種がありますが、プログラマーやシステムエンジニア・インフラエンジニアは需要があり、高収入を稼ぎたい方におすすめです。
特に、インフラエンジニアは人手不足に陥っているため、スキルのない未経験者でも採用したいほど需要が高い職業。
未経験から採用して育成していこうという考えを持っている業界のため、高卒で知識がなくても手厚い研修サポートを受けることができるでしょう。
\IT業界の将来性は?生き抜くために必要なスキルや問題点/
\未経験でIT業界に転職する前に!知っておくべき事前情報/
建設業界
頭を使うよりも体を使いたいという方におすすめなのが、建設業界です。
肉体労働で体のトレーニングにもなり、モノづくりをする達成感ややりがいを感じることができます。
また、昔はきつい仕事のイメージがあった建設業界ですが、近年は人員確保を最優先しており、現場環境の改善に力を入れている企業が多くなっています。
生活の基盤となる建設業は社会にとって欠かすことのできない存在であるため、常に需要が高い業界であると言えます。
介護業界
介護業界も学歴を重視しない業界です。介護業界は、少子高齢化に伴い慢性的な人手不足を抱えているのが現状。
そのため、少しでも多くの人材を確保しようとしており経験の有無を問わず採用率が高いのです。
また、将来的にも需要が絶えない仕事になると予想されるため、職を失うことはほぼないでしょう。
不動産業界
最初は大卒の方が給与の面で有利ですが、学歴よりも実力で差がつくのが不動産業界。
実力次第では月100万円稼ぐことも可能なため、とにかく稼ぎたいという意思が強い方におすすめです。
また、不動産の知識は知っていて損することはありません。自分が将来的に不動産投資を始める際にも知識や経験が役立つでしょう。
高卒の就職におすすめな職種
次に、高卒の方の就職活動でおすすめの職種を紹介します。
営業職
どんな企業でも、商品やサービスを売り込むのに欠かせないのが営業職。
営業職は学歴は関係なくスキルを重視する職種のため、「人当たりが良く、コミュニケーション能力の高い人」や「達成感を感じることや人に喜んでもらうことが好きな人」におすすめです。
事務職
特に女性に人気の高い事務職は、「裏方として誰かのサポートをすることに喜びを感じられる方」におすすめです。
目立つ職種ではありませんが、企業に必ず必要な職種のため、あらゆる企業で募集を行っています。
販売、接客職
販売や接客業も未経験可能の求人が多く、高卒でも働くことが可能です。
営業職と少し似ていますが、「人と話すのが好きな方」や「自分の勧めた商品でお客様が笑顔になる」ということに喜べる方が向いているでしょう。
職人
超高齢化社会を迎える日本では、現場の職人職の人手不足に陥っています。現場職は体力が求められるので、若い人材が必要不可欠です。
そのため、技術が求められる職人も、未経験採用を行っており、現場で働きながらスキルを身につけることができます。頭を使う仕事より体を使う仕事をしたいという方におすすめです。
高卒の場合の就職先の選び方
高卒の方が就職先を選ぶ際に、どんな方法があるのか紹介します。キャリアアップを目指すためには、計画性をもって行動するのが良いでしょう。
ハローワークを利用する
仕事を探そうと考えたときに、まず思いつくのが「ハローワーク」の存在ではないでしょうか。
ハローワークでは、地元の中小企業の求人や、たくさんの高卒可の求人を掲載しています。
しかし、ハローワークの求人は、企業は費用をかけずに掲載でき、審査もない点が注意ポイント。
経営状態が悪い企業でも掲載することができるということは、質の悪い企業に当たってしまう可能性があるということです。
正社員登用を目指す
正社員の仕事に就くことができなかったという方は、まずアルバイトから始めるのも手です。
正社員登用のある会社に入社すれば、アルバイトとして入社後に社員登用試験を受け、合格すれば正社員として働くことが可能です。
求人広告の概要欄をチェックして、正社員登用制度の有無を確認しましょう。
\正社員のメリットとデメリットは?アルバイトから正社員になる方法を紹介/
転職エージェントを利用する
高卒の就職では、転職エージェントを利用して求人を探すこともできます。
転職エージェントを利用する一つ目のメリットは、カウンセラーが担当性であるということ。一人の担当者とじっくり相談ができるため、信頼関係を築くことができます。
そのため、あなたのことをよく理解した上で、あなたに合う企業を紹介してもらえます。
2つ目のメリットは、企業が厳選されていること。転職エージェントでは、取り扱う企業を厳選しているため、質の良い企業を紹介してもらうことができます。
ハローワークは地元の中小企業の求人を探すのにおすすめ。しかし、転職エージェントの方が質の良い企業案件を紹介してもらえる可能性が高い。
まとめ
高卒の方が就職先を選ぶ時のポイントや、おすすめの業界・職種、就職先の選び方など紹介しました。
就職活動は、絶対に譲れない条件や、自分に合っていて長く続けることができるかどうかなどを軸にしっかりと選ぶことが大切です。
また、今後の市場動向も意識して業界を選ぶことも重要でしょう。IT業界に興味が湧いたという方は、キャリチェンへの相談がおすすめです。
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