基本給・初任給・固定給など似たような言葉がたくさんあって、混乱してしまう方もいるのではないでしょうか?
また、就職活動や転職活動の際に、額面給与はチェックするのに基本給はあまり確認していないという方も多いかもしれません。
しかし、基本給はボーナスや退職金などに影響をもたらす、とても重要な部分です。今記事では基本給について詳細を紹介するので、参考にしてくださいね。
目次
基本給とは?
基本給とは、給与の基本となるもので「最低限もらえる金額」です。似たような言葉で初任給という言葉がありますが、これはまた意味が異なります。初任給とは、基本給+各種手当を含む「最初の給料」のことです。
私たちが実際に支給される金額とは異なるため、あまり基本給について気にしていない人も多いようです。しかし、月々の給与が高くても、基本給が低いと時間外手当や賞与、退職金などの面で損をすることがあり、とても重要なものです。
基本給の平均は以下の通りです。男性は年齢を重ねるごとに基本給が上がっていくのに対し、女性はほとんど変わらない結果となっています。
【男性】
20~24歳 21.3万円
25~29歳 24.8万円
30~34歳 28.9万円
35~39歳 32.5万円
40~44歳 35.9万円
45~49歳 39.5万円
50~54歳 42.6万円
55~59歳 42.0万円
【女性】
20~24歳 20.7万円
25~29歳 23.0万円
30~34歳 24.3万円
35~39歳 25.4万円
40~44歳 26.4万円
45~49歳 26.9万円
50~54歳 27.1万円
55~59歳 26.7万円
給料の中には多くの手当てが含まれている
普段私たちが手にする給料の中には、基本給以外に通勤手当・インセンティブ・役職手当・家族手当・住宅手当・残業手当・時間外手当など、様々な手当が支給されています。基本給というのは、これらの手当を含まない純粋な給与のみの部分を指します。
月で変動することがない
残業手当や時間外手当などは月に勤務した時間によって毎月変動する給料です。しかし、基本給は勤務時間に関わらず、毎月変動することはありません。
基本給の決まり方
基本給の決まり方は、会社によって異なります。
仕事給式
学歴や年齢、勤続年数などに影響されず、仕事内容・職務遂行能力・業績・成果といった実力のみで基本給が定まる方法です。欧米でよく採用されている方法ですが、最近は日本でも多くなっています。
属人給式
属人給式は仕事給式とは反対に、学歴や年齢、勤続年数などの指標で定まる方法です。
年功序列型はこの属人給式の代表的な給与体系。年功序列型の給与方式は、いくら本人の実力があっても基本給をあげてもらうことができません。
しかし、反対に年齢を重ねるだけで自動的に基本給が上がるため、ライバルとの競争や新しい知識を身につけなければいけないというプレッシャーも少なく、安心して過ごすことが可能です。
総合給式
仕事給式と属人給式を合わせて基本給を決める方式なのが総合給式です。ベースとして、学歴や年齢、勤続年数などから基本給を算出します。
しかし、その上で本人の実力や実績を加味し、最終的な金額を算出します。日本企業では、この方法が一番多く採用されている基本給の決め方となっています。
基本給・固定給・額面給与・手取り給与の違い
ここでは、基本給・固定給・額面給与・手取り給与の違いについて紹介します。
固定給とは?
基本給と似ているようで全く違う「固定給」の意味。固定給とは、「毎月決まった給与が支給されること」を指します。
また、固定給には、通勤手当・家族手当・住宅手当といった手当も含まれています。固定給という名の通り、変動しないものを指しますので、残業手当や休日手当などの毎月変動するものはこれに含まれません。
変動しない手当が含まれているため、固定給は基本給に比べ高くなることがほとんどです。そのため、求人票をチェックするときは、固定給の内訳まで確認することが大切です。
額面給与とは?
額面給与とは、基本給+各種手当を合算した総支給額のことを指します。各種手当には、残業手当・休日出勤手当・通勤手当・家族手当・住居手当などが含まれます。
この額面給与とボーナスを合算したものが年収となります。
手取り給与とは?
手取り給与とは、先ほど紹介した額面給与から税金や保険料・厚生年金などが差し引かれた金額のことを指します。
つまり、実際に自分の手元に支給される金額です。インターネットで検索すると簡単に手取り計算をしてくれるサイトがあるので、気になる方はチェックしてみてください。
例えば、基本給+各種手当を入れて総額20万円の方だとすると、手取り金額はおよそ17万円程度となります。
基本給に付与される手当
このように基本給は最低限もらえる給料の事ですが、実際には基本給にプラスして各種手当が支給されることがあります。それでは具体的にどの様な手当てがあるのかを紹介していきましょう。
手当は大別すると「労働基準法にて支払い義務があるもの」とそうではないものがあります。
「労働基準法にて支払い義務があるもの」は時間外手当と休日出勤手当と深夜労働手当の3つのみで、他の各種手当は会社の中の制度として支払う事を決めているものであり、法律的には支払わなくても企業が罰せられることはありません。
それではまずは「労働基準法にて支払い義務があるもの」について説明していきます。
時間外手当
時間外手当とは一般的には残業手当とも呼ばれ、労働時間が法定労働時間を超えた場合に支払いが生じる割増賃金のことです。法定労働時間は1日8時間、1週間で40時間と定められていますので、それを超えた場合には会社は時間外手当を支払わなければなりません。
手当の額としては基本給を自給換算したものに対して25%増やした額を支払うように定められています。
ちなみに、法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合、36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが必要です。
休日出勤手当
休日出勤手当とは、休日に出勤したり、業務を行ったりした場合に支払われる賃金の事です。手当の額としては基本給を自給換算したものに対して35%増やした額となります。
この場合の「休日」とは「法定休日」を指し、「法定外休日」に出勤しても休日出勤手当は支払われません。「法定休日」と「法定外休日」は何が違うのでしょうか?
労働基準法では「原則1週に1回、もしくは4周で4回、従業員に対して休日を付与しなければならない」と定めています。特に曜日の指定はありませんが、会社ごとに最適な曜日を法定休日として設定しています。そして、会社が設定した法定休日に出勤や勤務をした場合に、休日出勤手当が支払われます。
一方「法定外休日」とは、「法定休日」以外に会社が独自に定めた休日の事です。例えば、土日が休みの会社で日曜日が法定休日の場合は土曜日が法定外休日となります。
深夜労働手当
深夜労働手当とは、午後10時から翌朝の午前5時までに勤務した場合に支払われる賃金の事です。基本給を時給換算した額の25%以上が支払われます。
なお、元々深夜勤務が想定されている場合や勤務時間が短くても、深夜に働くと必ず25%以上の割り増しが支払われます。つまり、深夜に残業をした場合は自給換算でプラスの25%にさらに25%プラスした50%が割り増しされて150%の賃金を受け取ることが出来ることとなります。
また、深夜労働手当と似ている手当の一つに「夜勤手当」を導入している企業がありますが、こちらは労働基準法での義務はなく、企業が任意で設定している手当となります。
以上が労働基準法で支払い義務がある手当です。続いて、労働基準法では支払い義務がないものの、企業によっては導入している事もある手当を紹介していきます。
仕事給的手当
仕事給手当とは仕事の中身に応じて支払われる手当の事で、主に「職務に関する手当」「能力に関する手当」「勤怠に関する手当」「成果に関する手当」の4つに分類されます。
「職務に関する手当」は職務に応じて支払われる手当の事です。例えば役職に応じて支払われる役職手当、営業職の人に支払われる営業手当、交替勤務をしている人に支払われる交替勤務手当、危険な業務を行う人に支払われる手当などです。
「能力に関する手当」は特定の資格や技能を保有している人に支払われる手当の事です。例えば、不動産会社で宅地建物取引士の資格を持っている、企業の経理部門で日商簿記1級の資格を持っている等の場合が当たります。
「勤怠に関する手当」はいわゆる無遅刻無欠席で支払われる皆勤手当や会社が指定した基準を満たした場合に支払われる精勤手当等があります。一般企業では導入している所は少ないかもしれませんが、例えば接客業で休まれると営業ができない危険性があるといった企業が導入するケースがあります。
「成果に関する手当」は歩合給に代表される、成果に対して支払われる手当です。営業職で成績に応じて支払われるものや運送業で一年間無事故無違反を達成した場合に支払われる手当等がこれにあたります。
生活給的手当
生活給的手当とは生活様式に応じて支払われる手当の事で、主に「私生活に関するもの」と「転勤等に関するもの」に大別されます。
「私生活に関するもの」は福利厚生の一環として導入する企業もあります。扶養内の配偶者や子どもがいることで支払われる家族手当や、住居の家賃に対して支給される住宅手当等があります。
「転勤等にかんするもの」は所定の地域に居住すると支払われる地域手当や、単身赴任手当等があります。
ちなみに最近では成果主義や同一労働同一賃金の考えが広がり、仕事の成果とこういった手当は関係がないという考えが出てきています。その為、生活給的手当は廃止し、手当分を給与に置き換えて支払うという企業も増えてきています。
実費弁償的手当の例
実費弁償的手当とは、会社としては支払う義務はないものの、通勤や仕事をする上で発生した費用を手当として支給するものです。
代表的なものは通勤手当です。多くの会社で導入されているものであり、通勤距離や時間に応じて支給されています。また、会社に徒歩圏内に居住し、徒歩通勤している社員に対して近距離手当を支給している会社もあります。
また最近は自分が持つパソコンやスマートフォンを業務で使用する場合に支給されるBYOD(Bring Your Own Device)手当というものも実費弁償的手当に当たります。
基本給が高いことによる社員側のメリット
仮に手元に残る給料が同じでも、手当が盛りだくさんの場合と、基本給が高く手当が少ない場合とでは、後者の方が色々な面でメリットがあります。基本給が高いことによるメリットをいくつか紹介していきます。
給料が安定する
基本給とは基本的には必ず最低でももらえる金額で、よほどの事がない限りは会社も下げることはできません。一方手当は支給要件がありますので、要件から外れると支給されません。
また、基本給と比べるとカットされる可能性が高いです。例えば時間外手当は残業をしないような方針が会社で出されると一気に減りますし、アパート住まいを条件とした住宅手当は一軒家を購入すると受け取れなくなる等します。
その為、基本給が高い方が色々な事が変わったとしても安定して給料がもらえると言えます。
基本給を基礎とする賃金が高くなる
基本給が高いと、基本給をベースとする賃金が高くなります。具体的には、ボーナス、時間外手当、退職金です。これらは実は総支給ではなくボーナスを基準として支払われます。
その為、求人票を見た際に、一見総支給で同じ条件の二社があったとしても、内訳として基本給が高い方が総合的に見た際には年収や生涯賃金が高くなる傾向にあると言えます。
ここら辺の基本給とボーナスの関係や、基本給をベースとする賃金については後ほど詳しく説明していきます。
基本給とボーナスの関係
ボーナスの支給額は、給料の◯ヶ月分という言い方を私たちはよく使っています。
しかし、この給料を、総支給額だと考えている方も多いのではないでしょうか。実は、ボーナスの額は総支給額ではなく、様々な手当を除いた基本給の◯ヶ月分という形で支給されるのです。
そのため、「思っていたよりも少ない」と感じる方もいるでしょう。また、ボーナスは支給されるのが当たり前ではありません。
企業にはボーナスの支払い義務があるわけではないため、支給の有無も支給額も、企業が自由に決めることができるのです。
会社の業績が悪ければボーナスカットということもよくある話です。そのため、生活費やライフプランはボーナスを頼らずに考えた方が良いでしょう。
基本給が低いことによるデメリット
「実際に自分の手元に入る総支給額が高ければ、別に基本給が低くても問題ないのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、基本給が低いことによるデメリットが存在します。
時間外労働手当が低くなる
1日8時間以内、週40時間以内が法定労働時間です。この法定労働時間を超えて働くことを「時間外労働」と呼んでいます。
法定労働時間以外に働いた「時間外労働」については、通常の金額よりも割増して賃金を支払うことが法律で定められています。この割増率に関わるのが「基本給」というわけです。
【時間外労働の割増率】
法定内残業(1日8時間、週に40時間を超えた時間外労働):25%以上
法定外残業(1ヵ月に60時間を超える時間外労働):25%以上(大企業になると50%以上)
法定休日労働:35%以上
深夜労働(22:00~5:00):25%以上
時間外労働+深夜労働:50%以上
休日労働+深夜労働:60%以上
このように、割増率が定められています。割増率は基本給に対して計算されるため、基本給が低いほど割増でもらえる金額も少なくなってしまうのです。
また、もともと1日の所定労働時間が7時間の会社も存在します。その場合には、定時の7時間勤務した後に1時間の残業をしたとしても、1日に8時間以内という法定労働時間内のため、時間外労働にはならないので注意しましょう。
ボーナスが低くなる
ボーナスの支給金額は、基本給の○ヶ月分と決まっています。そのため、様々な手当があり総支給額がいくら高くても、基本給が低いとボーナスは低くなってしまいます。
退職金額が低くなる
退職金の支給額を決める際、退職時の基本給と勤続中の平均基本給にプラスして、勤続年数別の支給率を掛けて計算している企業が多いようです。
そのため、ボーナスと同様に総支給額がいくら高くても、基本給が低いとボーナスは低くなってしまいます。
ただし、退職金についてもボーナスと同様、必ず支給しなければならない義務があるわけではありません。
会社によって支給されなかったり、支給額も異なるでしょう。退職金の支給額が高くなることを防ぐため、在籍年数に応じてあらかじめ退職金額を決めておくという企業もあるようです。
基本給が低いことによって、「時間外労働手当が低くなる」「ボーナスが低くなる」「退職金額が低くなる」の3つのデメリットが存在します。
転職時には基本給を要チェック
基本給に関する様々な情報を紹介してきました。基本給は、時間外労働・ボーナス・退職金などに関わりとても重要なものです。
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