YG性格検査は、就職活動の際に企業から出題される検査です。性格検査のため、事前に勉強をしたり高得点を狙うというものではありません。
しかし、YG性格検査に臨む前に、企業がYG性格検査の診断によって応募者のどんな点を見ているのか、事前に知っておけば少しは気が楽になるのではないでしょうか?
今回は、YG性格検査を企業が行う目的や受験する時の注意点など紹介します。
目次
YG性格検査とは何?性格がわかる?
YG性格検査とは、正式名称「矢田部・ギルフォード性格検査」と言い、被検査者の性格や特徴を調べることができる性格検査です。
元々は、アメリカの心理学者が開発した性格検査ですが、日本で使用されているものは、日本で実施しやすいようアレンジしたものです。
昭和33年に発売されたもので現代でも根強く利用されており、企業の採用担当者や人事配置に効果的なツールとして、使用されています。
YG性格検査の診断は、性格特性を判断するものであり、人の差別や優劣をつけるものではありません。純粋に被検査者のありのままの性格を知る方法であり、その性格を活かすためとして利用します。それでは、以下で、YG性格検査の概要を紹介します。
120問の心理テスト
YG性格検査は、120問の質問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3つのうちから、いずれかを選んで答えるという方法です。
YG性格検で出させる問題は、すべて人の性格に関する短い質問となっています。YG性格検査には専用の用紙を使用し、「はい」か「いいえ」に当てはまる場合には、どちらかに◯と記入し、「どちらでもない」場合には、△を記入します。
採点方法は、答えが「はい」の場合は2点、「どちらでもない」の場合は1点、「いいえ」の場合は0点とし、120問すベての「はい」「いいえ」「どちらでもない」の数を採点します。
その合計点数によって性格傾向別に分類され、「情緒安定性」「社会適応性」「活動性」「主導性」を判断することができるようになっています。
強制速度法を採用
YG性格検査は、「強制速度法」を採用しているところが特徴です。強制速度法とは、試験監督者が質問を一定の間隔で読み上げていき、回答者は試験監督者が次の質問を読み上げるまでに答えを記入するという方法です。
YG性格検査は、120問の質問を約30分かけて読み上げていきます。読み上げる試験監督者がいない場合には、CDを流して行うこともあるようです。
この方法は、約6秒間の間に答えを記入しなければならないため、考える時間がかなり短いことが特徴。そのため、回答者は直感で答えることとなり、より正確な検査結果が出るとされています。
YG性格検査の目的
YG性格検査を企業が使用する目的は、主に3つあると言われています。
応募者の得意・不得意を知り、面接で役立てる
YG性格検査の結果から、企業側は応募者の得意・不得意を知ることができます。企業は応募者の性格を事前に知っておくことで、面接で役立てることができます。
また、YG性格検査の診断結果を用いて、採用後の人材配置に役立てる企業もあります。
性格を知る
どのような人材を欲しいかどうか、社員からヒアリングして採用基準を決めているという企業が多数います。そのため、YG性格検査の結果から応募者の能力ではなく性格特性を診断し、採用に役立てようとしています。
精神的な自覚症状を知る
面接だけでは、「抑うつ」や「不安を感じやすい」「怒りっぽい」といった応募者の精神的な部分まで判断することは難しいとされています。そのため、YG性格検査を通して精神的な部分を判断するためにも使用されています。
YG性格検査を用いることで、企業は応募者の性格特性や得意・不得意、精神的な自覚症状を知ることができ、採用に役立てています。
YG性格検査でわかる性格タイプの特徴
YG性格検査では、以下の尺度から性格を分析します。
・情緒不安定因子
・社会不適応性因子
・活動性因子
・衝動性因子
・非内省性因子
・主導性因子
これらの因子を分類し、性格タイプの特徴を5つの類型に当てはめます。これらは性格の良し悪しを判別しているのではなく、応募者がどのタイプに当てはまるのかを判別しているだけです。
以下でYG性格検査で分類される類型を一つずつ紹介していきます。
【A型(タイプ)】
グループ内でバランスを取るのがうまく、どの性格特徴も平均的な傾向が見られます。これといって目立った問題傾向もみられないタイプ。
【B型(タイプ)】
活動的や外向的な性格特徴ですが、情緒不安定な傾向があるタイプ。グループ内でリーダーシップを発揮する力もある反面、本人に不利な事態が発生すると、パーソナリティの不均衡が現れやすくなります。
【C型(タイプ)】
消極的で情緒安定的な傾向があるタイプです。ルーティン作業も飽きずに続けることができ、グループ内では誰かのフォローをするのが上手。内向的なため、自己主張が乏しい傾向にあります。
【D型(タイプ)】
活動的で対人関係も良好な傾向にあり、情緒的にも安定しているタイプ。全国平均でも一番人数が多い型です。グループ内では、協調性がありつつ積極的に前に出ることも可能です。ただし、積極性になりすぎると、周りを気にせずに進みすぎることも…。
【E型(タイプ)】
非活動的で内向的なタイプで、情緒不安定な傾向があります。創作性を発揮する傾向が強く、グループ内では新しいアイデアや独創的な考えを生み出す立ち位置となりやすいタイプ。
心配性や完璧主義・神経質といった性格を持っているため、精神的に消耗しやすい傾向にあります。
YG性格検査の前に知っておきたい対策方法5つ
YG性格検査は、他のテストと違って知識を試すテストではありません。一般的な対策をするのは難しいですが、知っておくことである程度の対策になります。
ここからは、YG性格検査の知っておくといい対策方法を紹介します。
好印象を与えようとしない
完璧すぎる回答をせずに、正直に回答をしましょう。好印象を残そうと、嘘をついたりいい人に見える選択肢を選んだりすると、かえって不自然な回答になってしまうことも。
完璧に嘘をついたつもりでも、嘘をつくことで不自然な印象を残してしまうでしょう。好印象を与えようとせず、嘘偽りのない自分自身の回答をしましょう。
企業が求める人物になろうとしない
先述の「好印象を与えようとしない」と同じになりますが、自分とは違った人物になり、企業が求める人物になろうとするのはやめましょう。
企業が求めている人材と、自分の性格やタイプが異なる場合は、企業が求めている人物像に沿った回答をしたくなるかもしれません。
しかし自分と違うタイプの人間になろうとすると、入社後のミスマッチを起こす可能性があります。
例えば、「プロジェクトを牽引するマネージャー職」に応募した場合、積極的なコミュニケーションを取り、チームを引っ張れる性格が求められます。
本来は消極的な性格で、一人でコツコツ仕事を進めるのが得意なタイプなのに、あえて積極的な性格になれる回答を選んでしまったとします。
そうすると、自分とは全く違う性格の人になってしまいます。YG性格検査で自分を偽って入社できたとしても、入社後「こんなはずじゃなかった…」と後悔する可能性が高いです。
体力を判断する質問は嘘をつかない
体調に関わる質問も嘘をつかないようにしましょう。特に業種によっては、体力が求められることもあります。
体調に問題があることを隠して入社すると、後に苦労することになるので、嘘をつくのはやめましょう。
体調に不安がある場合は、YG性格検査で嘘をつくのではなく、採用担当者に事情を伝えましょう。
何度も訂正しない
回答を何度も訂正してしまうと、優柔不断な印象を与えてしまいます。できるだけ訂正しないように気をつけましょう。
YG性格検査を受験する時の注意点とは?
YG性格検査の問題は、同じ尺度の質問がランダムに出題されることが特徴です。
繰り返しになりますが、自分をよく見せたいと思い質問に対して、嘘をつくのはよくありません。
例えば、優等生になりきろうとして、協調性や活動性に関わりそうな問題をすべて満点にするとします。
そうすると、一見完璧に見えますが、「防衛本能が強く、自分をさらけ出せない人」として認識されることがあります。
他にも、自分の応募した企業は積極性を求めているだろうと思い、本当は内向的な性格なのに性格検査で外交的な性格になるため、嘘の回答をしてしまったとします。
YG性格検査の結果では、とても外交的な性格だと判断されても、実際の面接時に振る舞いを見た採用担当者から、検査とのギャップに辻褄が合わないと嘘を見抜かれる可能性が高いでしょう。
検査結果によって採用の結果は変わる?
YG性格検査の結果によって、良し悪しがあるわけではありません。A型がいいC型がいいといった、この性格が良いという決まりもありません。
そのため、自分を偽ることなく、自分の弱点も素直にさらけ出すことが大切です。
ただし、情緒安定性の質問の場合には、注意が必要です。明らかに一般的な常識としての良し悪しが判断できるような質問には、常識通りに答えましょう。
常識的な判断ができる人物かどうかも見られていることを覚えておきましょう。
まとめ
YG性格検査とは?という疑問から、YG性格検査を企業が行う目的、診断結果からわかる性格タイプの特徴、また、YG性格検査を受験する時の注意点を紹介してきました。
企業はYG性格検査を利用することで、応募者の性格特性や得意・不得意、精神的な自覚症状を知り、採用に役立てています。
しかし、YG性格検査の結果からわかる性格タイプには優劣があるわけではありません。自分を偽ることなく、自分の弱点も素直にさらけ出すことが大切です。
ただし、一般的な常識としての良し悪しが判断できるような質問には、常識を考えて答えを記入しましょう。